獨協埼玉中学校 入試対策
2024年度「獨協埼玉中学校の国語」
攻略のための学習方法
問題構成の特徴
大問3つにそれぞれ、漢字の読み書きとことばの知識・小説の読解・論説文の読解が割り当てられる構成が定型となっている。
素材文は計6000~8000字ほど、小説が4000~5000字ほど・論説文が3000字ほどと、小説の方が長い場合が多い。解答数は計30~40問前後。設問形式は選択肢・書き抜き・適語補充が多く、数問の短文記述が混じる。記述は書き抜きを利用できるものと自分で考えて書くものとがある。論説文では段落分けの問題がよく出されているのでしっかりマスターしておこう。
全体としては、難易度も適切なオーソドックスな試験である。
長文読解
・小説
文量が4000~5000字と多めなので、普段から速読を意識して文章を読むようにしよう。小学生や若者を主人公にした物語が多く、主人公の設定次第では小学校6年生にはやや難しい内容になるかもしれない。中・高生向けくらいの物語を多く読んでおくと良い。問題の難易度自体はそれほど高くはない。年齢に見合った理解力があれば答えられる問題なので、長文読解の基本的な実力を養おう。
登場人物の把握――主人公とその他の人物の性格・関係性を見る。
場面分け――時間・場所・人物の出入りなどで場面の変わり目を見分け、その場面の大まかな内容をまとめておく。
心情把握――人物の言動・表情、また情景などにも注意し、なぜそんなことをするのか・どのような気持ちなのかを想像する。
本をたくさん読み、様々な登場人物に触れておくことは、人間の心理を理解するのに大いに役立つ。勉強以外でも、多くの物語に触れることを強く推奨したい。
・論説文
こちらは3000字前後と少なめな文章量になっている。
社会科学的な内容のものが多く、社会人なら理解しやすい事柄も受験生には難しく感じる場合もあると思われ、小説よりも難易度は高めである。しかし文量は少ないので考える時間もあるし、本文から答えやヒントを探すのも手間が少ないので、論説文が得意でない人も臆せずに取り組んでいただきたい。
段落分け――本校では段落分けの問題がよく出されている。形式段落を意味段落にまとめる練習を積んでおこう。意味段落に分けたら、内容を簡単にまとめて小見出しをつけておくと後でわかりやすい。
要点と細部――その段落で一番大事な文をチェックする。傍線を引いてしまうと良い。要点をつなげれば意味段落のまとめができる。
要旨と要約――全体を見渡して筆者の意見を読み取る。普段から、説明的文章を短くまとめる練習をしておくと、論理的な文章の読解力がつくので、実践してほしい。
知識問題
漢字と言葉の知識も必ず出題がある。標準レベルの教材でいいので、1冊しっかり仕上げておくこと。
注意点
自分で考えて答える適語補充の問題などで、字数を限定される場合が多い。求められる内容を少ない字数で的確にまとめられるように慣れておくこととともに、他の字数の言葉で言い換えられると有利なので語彙も増やしておくことを意識していただきたい。
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2024年度「獨協埼玉中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2024年度は35問の問題数であった。おおむね35問から45問ほどの問題数で、年度により多少のばらつきがある。文量は計7000字ほどと前年度と同様だったが、なるべく早く読み終えて記述問題に時間を多く残したい。問題の難易度自体は適切に設定されているので、悩んで時間が足りなくなるようなことはないだろう。
【大問一】漢字・ことわざ
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
Ⅰ. ① いただき ② じゅうだん ③ しんこく ④ 穴場 ⑤ 紅潮 ⑥ 裁(く)
Ⅱ. ① 筆 ② 三 ③ 文 ④ 聞
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
自ら望んで入った学校だったが、主人公は次第に居心地の悪さを感じるようになって自信を失い、試験でわざと解答を間違えるという行動を取ってしまう。
問一 父から電話があったことで太一はすでに事情を知っていて、十分ほど前から箸が進んでいなかったようなので、選択肢イがよい。
問二 a. さっき言った言葉を「また」引き合いに出して……。
b. 父が全力で歩いているところを初めて見た。「ただし」他の家族には話さなかった。
c. 地元の中学に進んだところでやはり不満だっただろう。「つまり」どこへ行ってもうまくいかなかっただろう。
問三 冒頭で父親が突きつきつけてきた「もっと勉強がしたいから~させてください」という過去の主人公の発言のことである。
問四 それまでゆっくり歩く父の姿しか記憶になかったので、通勤の途中で全力で歩いているのを初めて見かけておどろいたのである。
問五 成績の悪化を知った父から激しく責められている場面である。
問六 通学や予習復習で忙しく家事の手伝いもしなくなっており、たまに頼まれるとさも忙しいのにというようにため息などついていたくせに、実際は成績が下がっているのだから母からかばってもらえなくてもしかたないと、主人公は思っている。
問七 入学当初は学校に通えるのが誇らしく、スカートのプリーツにも「念入りに」アイロンをかけていた。
問八 キリスト教系の学校で礼拝の時間があるが、「おごそかなきもち」で祈っておりそのこと自体を嫌がっている様子はない。他の生徒との育った環境の違いや自分の志望動機などに引け目を感じているようである。
問九 礼拝自体にはまじめに出ているのだが、感じている引け目のせいでつい「グチを言いあって」しまい、そのことを後ろめたく思っている。
問十 学校で悩みを抱えてつまずきかけている自分と違って、太一は打ち込んでいるテニスが順調に上達し充実している様子である。
問十一 ウ. 私立中学に通うようになって忙しくなった主人公にあまり用事を頼まなくなったことが描かれていることと合う。
【大問三】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
制服を着ることは人格の拘束や画一化という意味で人をある属性に還元してしまう一方で、自ら作ったイメージである独自性や固有性・同一性から解放してくれる側面も持つと筆者は述べている。
問一 a. 制服――服飾 b. 配布――公布
問二 選択肢ア・イ・エの内容はそれぞれ文中で「楽である」「心地いい」と述べられているが、選択肢ウについては「心地いい」という面で紹介されていない。
問三 そのような「訓練」で「ファッション感覚」がきたえられると書かれている。
問四 素の自分・本当の自分ではなく、その制服の持つ「学生」「会社員」といった「型」に当てはめられてしまうという意味であろうから、波線ウの《属性》と同じ意味である。
問五 直前の「それにもうあきてしまった、疲れてしまった」というのがいまの時代の雰囲気である。では、「それ」とは何かというと、「じぶんの知らないじぶん、真のじぶんに出会わねばならない」といった「強迫観念」のことである。制服による匿名の類型に閉じ込められないことがかつて目指されたが、そうした個性的であらねばならないという意識に疲れてしまったということである。
問六 「そういう現代人を揶揄するようなナレーション」とあるのは、自分探し・個性的であろうとする意識に疲れてしまった現代人を揶揄しているということであるから、個性的でなくてもいい・無理に独自性を作り上げなくてもいい、というヴェンダース監督のメッセージであろう。
問七 問六も参照。無理に「固有性」に固執するのではなく、むしろ自分を緩めるために制服を着ることもでき、そうなると制服こそが「自然体」とも言える……現代はそんな感覚かもしれないというわけである。
問八 普通に来ている服にすらその人の属性・「らしさ」が現れてしまうことを考えると、すべての服は制服であるようにも思えてくるのである。
問九 空欄2の直前に、学校の制服や不良について話している部分があるので、ここに入れれば「従順か反抗か」という内容がうまくつながる。
問十 一般に制服は個性を失くすものと言う意味でとらえられがちだが、文章後半では独自性・同一性から解放してくれる面もある、と述べられている→選択肢エ。
攻略のポイント
文章量の多い小説の読解と難易度がやや高い論説文の読解と、どちらかで大量失点していては合格はおぼつかない。両分野で一定の得点を狙えるよう、文学的文章・説明的文章どちらも手を抜かず訓練しておこう。漢字やことばの知識は得点の計算できる部分なので、地道に努力して確実に答えられるようにしよう。適語補充の字数指定は、適切な言葉を思いつかないと苦労するので、いろいろな言い回しができるように少しでも語彙を増やしておこう。
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