江戸川学園取手中学校 入試対策
2021年度「江戸川学園取手中学校の算数」
攻略のための学習方法
江戸川学園取手中学の算数は、本年度(2021年度)入試より大きく変わった。
テスト時間が10分短縮され50分、大問数も1問減り6問、小問数も20問台前半に収まった。これらの数字は他校と比べても標準的なものであり、これまであった「テスト時間60分」・「大分量」というもっとも大きな特徴を失ったと言える。したがって、分野ごとの対策は必要だとしても、時間・問題数を気にすることはなくなった。
問題の質について触れると、過去問を数年間見ると、出題されているのは、参考書や問題集で見かけたことがあるようなものが多い。レベルとしては上・中・下の「中」・「下」あたりの問題である。多くの生徒は、分らなかったとしても、その解き方を知れば、「ああなるほど」と説明に納得し、理解できた問題として処理されるだろう。設問もシンプルなものが多く、テスト中盤までは設問を読めば「解き方→解答」までが見通せるものが多い。解きやすい、教えやすいという印象だ。
しかし、ここで引っかかってはいけない。
なぜ「江戸川取手」が難関校なのかと言われれば、上記のような「わかりやすい」問題を合格者はことごとく解いてしまっているからである。
つまり、これら中盤の解きやすい問題は、ほぼ正解できていないと合格はなく、出来なかったときの「さわやか感」「喪失感」など味わってはいられないからだ。
一見とっつきやすいけれども、ミスの許されないこわさ、それが「江戸取」をして難関校と言わしめている由縁なのである。
[基本問題と応用問題]
また問題のレベルは年々易化の傾向にあり、難易度が高く手を出せないような問題は数問にとどまっている。しかしながら当校に受かるためには、基本問題だけではなくて、もう一つの上のレベルでの対策を厚く行う必要がある。
夏休みか、遅くとも9月頃までには、「四科のまとめ」や「ベストチェック」あたり(つまり、基礎とかベーシックと呼ばれる一行問題レベル)の水準までは克服しておきたい。
江戸川取手で言えば、【大問1】~【大問4】にあたる内容である。迅速に正確に解けるようスキルを磨いて先に進みたい。
受験の成否を分ける、【大問5】・【大問6】の対策は、秋~初冬にかけて時間を十分とって多くの問題にあたりたい。
江戸川取手の問題において、「出来るか出来ないか」の分岐点にある、具体的な公式・解き方は以下のものを参考にするとよい。
[代数]
「一定の量がない倍数算」⇒一方の比を○で囲い、比例式で解く求め方。
「売買損益」⇒「利益=総売上−仕入れ値の合計」
平均算や食塩水の面積図による解き方
割合のつるかめ算とその解き方
「1」からN番目までの奇数の和=N×N
[図形]
・外角を使って多角形の和を求める解き方
・30度、60度、90度の直角三角形の辺の比(2:1)
・3:4:5、5:12:13などの辺比を持つ直角三角形
・高さが等しい三角形において、底辺の比=面積の比
・半径の値が分らない円の面積の求め方
・おうぎ形の面積の公式=弧×半径÷2
・円すいの側面積=母線×半径×円周率
・斜めに切断した直方体の体積の求め方
・特殊な三角すいの展開図は正方形にまとめられる
・円すいをころがしたときの回転数=母線÷底面の半径
・その他、時計算・N進法などあまり触れる機会がない問題の解き方
これらの公式や解き方を身につけてからは、ランダムに中程度の問題に多くあたりたい。
江戸川取手の問題には奇問はないので、同レベルの学校の過去問よりは、精選された問題集などで良問をたくさん解く方がよい。
必ず解いたことのある問題に本番でも出会うはずだ。それは大きなアドバンテージをうむ。
[最後に]
本番にあたっては、気力・体力を充実させて当日を迎えたい。コンディションが大切なことはスポーツなどでもおなじみのことだ。
同じ学力があっても力を発揮できるかどうかはひとえに当日の調子にかかっている。
算数においては、前半から中盤にかけてスムーズに問題解法が進むと、後半余裕が生まれてくる。
そのためには当然の帰結となるが、普段の勉強量の豊富さ、内容の質の高さが肝心である。
時間や問題数は減ったとは言え、学校自体が易しくなったわけではない。しっかりと態勢を整えて本番に臨みたい。
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2021年度「江戸川学園取手中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が6,小問が22(100点満点)。
【大問1】は簡単な計算問題と基本的な一行問題で、【大問2】以降は「易」・「標準」または「やや難」の文章題から成り立っている。
本校テスト問題の難易度は易しくなる傾向にあり、本年度もそれを踏襲した。合格点をとるためには70点~80点は必要であり、基本問題はほぼ完璧におさえておきたいところだ。
大問1つあたり6分~10分の時間はかけられるので時間不足に陥ることはないだろう。ただし、設問によっては比較的難度が高いものも含まれているのでそのときは取捨選択を思い切って行おう。難問に時間をかけず、出来る問題を確実に正解することが合格への最低条件となる。
【大問1】計算問題・数列・面積・体積
- 難度:易
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)は基本的な計算問題で、①は3.14に注目して、計算の工夫を行うことが大事だ。
(2)は数と数の「差」ではなく、はじめから、2,4,8,16,32…と「2」を何回かかけた数から1をひく、と考えた方が良い。
(3)は補助線を引いて、正方形と四分円2つに区切る、基本的な面積の問題。
(4)は回転体の基本的な問題で、大きな円柱から小さい円すいの体積をひいて求める。計算をまとめることにも気を配ろう。
いずれもウォーミングアップレベルの問題なので全問正解して先に進むこと。
【大問2】売買損益
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
入試では頻出の重要な分野だが、(1)の答えである、仕入れた個数が簡単に求まるのでレベルは高くない。(2)では、定価の半額で売る商品もあるので、総売上高から仕入れ値の合計をひいて全体の利益を求めるようにする。
【大問3】速さ(旅人算)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問題文に条件が多い問題なので、線分図などに数値をまとめてから問題に取りかかる方が良い。単位も距離・速さともに複数出てくるのでどちらかに統一してから計算しよう。
(1)は速さの公式に確認にすぎない。
(2)は典型的な旅人算で、12分後についた太郎君と花子さんの距離を速さの差で割って花子さんが追いつくのにかかった時間を求める。
(3)は、「旅人算」でも「速さの比」を用いても解ける問題である。しかし、ダイヤグラム(速さのグラフ)を必要とするレベルではない。花子さんがB地点を出発する時点での2人の距離が求められればあとはどちらで求めてもよい。
(3)まで標準レベルの問題なので確実に正解したい。
【大問4】割合と比(食塩水)
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問題文が長く、食塩水のやりとりが何回も続いていくので、そのときそのときの食塩水の「濃さ」と「重さ」をきちんと押さえていくことが大切だ。やりとり自体は面倒なものはひとつもない。もっとも間違えやすいのは【エ】を求めるところか。ここでは「面積図」か「てんびん」を使って比を用いた計算を行うことになる。ここを過ぎれば、【オ】はむしろ基本的な設問である。
ここもできれば全問正解しておきたい。
【大問5】整数の性質
- 難度:標準
- 時間配分:6分
(例)をよく読んで、「同じ整数を3回かけた数の答え」と「連続する奇数の和」の関係を自分なりに理解しておくことが必要だ。そこを押さえておけば、少なくとも(2)までは正解できる。
(1)たとえば、2×2×2は2個、3×3×3は3個の奇数の和となっているので、6×6×6は連続する6個の奇数の和と考えることができる。
(2)は10×10×10なので、連続する10個の奇数の和となるわけだが、(1)と数が離れているので最初の奇数を求める際には等差数列の公式を使いなど工夫が必要だ。または、7×7×7の奇数はここからここまで…というように調べていってもそう時間はかからない。
(3)はさらに数が伸びて2×2×2から20×20×20まで、つまり20個の奇数の和ということになるので、等差数列の公式をうまく使って求めたい。
ここでは(2)までの正解を求めたい。
【大問6】点の移動
- 難度:標準
- 時間配分:8分
最後の大問が「点の移動」とくれば、どんな難問が待ち受けていることか、とヒヤヒヤするところだが、とりたてて水準の高いものではなかった。(1)は基本、(2)(3)は答えが分数になるなど計算がやっかいなものの考え方は標準レベルのものである。
(1)はPQの長ささえ間違えなければ解けるだろう。
(2)はP,Qの位置がそれぞれAB、AC上にあるので、全体の面積に対する、三角形APQの大きさを比や割合などで求める必要がある。とはいっても答えが少し面倒な分数になるだけで解けておかなくてはいけない問題だ。
(3)では、Scm2を実際に計算で求めるよりも、(2)同様全体の面積に対する割合(または比)で出しておいた方が計算が少なくてすむ。そして、底辺PQの長さを求めるという方向で考えを進めていけばこれもまた解ける問題なのではないか、と思う。
少なくとも(2)までは正解を、できれば(3)もできるようにしておきたい。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点。
本年度よりテスト時間・問題とも減少したので取り組む側としてはやりやすくなった。また、問題の大半は「易」~「標準」レベルの域を出ないものなので、気持ちに余裕が持てるだろう。
本年度だと【大問5】(3)と【大問6】(3)がやや難しく思われ、この2問は回避してもよかったかもしれない。しかし、他の問題はすべて得点できるくらいには力をつけておきたい。
「江戸川取手中学」の算数において、合格点を取るためには以下の点に注意して進めていこう。
・手元にある教材の中から過去問と同程度の問題を多くこなし、必要な解き方や公式などを身につけること。
・分野において大きな偏りはない。最も出題されやすいとされる典型題の類、さらには「図形」「速さ」「場合の数」など、「中学受験一般に出やすい分野」に合わせて勉強していけばよい。
・過去問にあたる時の注意としては、時間と問題数である。本年度から時間が変更になったので、過去問の時間数60分や問題数の多さはあまり気にせず解いておきたい。ただし、分量の負担が減ったからといって、学校の難易度が変わったわけではない。基本的な問題でつまずかないようにしっかりと腕を磨いて本番に臨みたい。
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