詩的な声に耳をすませば、私たちと世界の関係が違ったふうに見えてくる――萩原朔太郎，伊藤比呂美，谷川俊太郎といった教科書でもお馴染みの詩を通して、｢詩｣に独特の感性の鍛え方を説明している。本文では、谷川俊太郎の｢おならうた｣という詩を分析し、その魅力を解説しながら、詩を読むときに我々の心の中で起こっていることについて説明している。難解な語句があるが、｢注｣を活用して内容を理解したい。４つの小問というコンパクトな大問だ。｢説明記述｣の２問だけを検証してみたい。

[問三]　｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし｡｢35字ほど｣の解答欄)。傍線部③｢『ふたり』という語の意外性｣について、｢なぜ意外なのか｣を説明する。何はともあれ、先ずは｢おならうた｣という詩の内容を確認する。｢いもくって  ぶ/くりくって  ぼ/すかして  へ/ごめんよ  ば/おふろで  ぽ/こっそり  す/あわてて  ぷ/ふたりで  ぴょ｣という詩だ。最後にある｢ふたり｣という言葉、何がどう｢意外｣なのか？ ｢同一意味段落｣に｢手がかり｣を求めたい(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落に根拠･手がかり｣がある)。傍線部の直前から、｢私たちは無意識のうちに、ひそかにおならにこだわる『私』を読んでしまう｣が、｢最後の行｣にいきなり｢『ふたりで』とあってびっくりする｣ことが読み取れる。さらに、その前の形式段落では、｢『おなら』はできれば他人には聞かれたくないもので、『こっそりやるもの』という先入観がある｣と述べられている。こうした内容から｢なぜ意外なのか｣を説明できると分かるはずだ。あとは、｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば、｢『おなら』は他人に聞かれず『こっそりやるもの』という先入観があるから｡｣(35字)といった｢答え｣だ｡尚、｢説明記述｣では、必ず｢最重要要素｣(｢理由説明｣では｢直接的理由｣)を｢文末｣とすること。

＜時間配分目安：２分半＞

[問四]　｢内容説明記述｣(｢字数指定｣なし｡｢70字ほど｣の解答欄)。傍線部④の｢仕掛け｣とは｢どのようなものか｣を説明する。｢仕掛け｣である以上、何らかの｢目的｣｢狙い｣があるはずだ。何か？ ｢傍線部一文一部の法則｣で確認したい(｢傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という読解の基本となる解法)。直前に｢そこには(仕掛けがある)｣とある｡｢指示語｣なので開く(｢指示語｣が出たら即開くこと)。直前から、｢そこ｣＝｢私たちが谷川の詩を読むとき、自分でも気づかないうちに『分かろうとしている』こと｣だと読み取れる。では、どのような｢仕掛け｣なのかを｢同一意味段落｣から読み解いていく。直後から、たとえば｢おならうた｣には｢問:『いも』ときたらなんと解く？｣｢答え:『ぶ』です！｣という｢問答の形｣がひそんでいて、｢私たちは知らず知らずのうちに、問いに答えようとしている｣ことが分かる。さらに、次の形式段落冒頭には｢それだけではありません｣とあり、｢『見えない問い』の連鎖を仕組むことを谷川俊太郎は得意としている｣と説明されている。以上のような内容を、｢どのような『仕掛け』なのか｣という視点で分かりやすくまとめていきたい。たとえば、｢詩の中に問答の形をひそませ、私たちに問いに答えさせようとし、『見えない問い』の連鎖を仕組むことで、気づかないうちに『分かろう』とさせるもの｡｣(70字)といった｢答え｣になる｡本校では、｢解答欄｣に応じて｢説明すべき要素｣を加減することが肝要だ。

＜時間配分目安：３分半＞

６歳の｢あたし｣(サマー)を引きとって古いトレーラーハウスで育ててくれたやさしい｢オブおじちゃん｣と｢メイおばちゃん｣の夫婦、｢おばちゃん｣が突然亡くなり、悲しみにつぶされそうになっていた｢おじちゃん｣がある日、｢メイおばちゃん｣の霊が現れたと言い始め……、｢サマー｣の細やかな心の機微が、彼女の語りによって綿密に描かれていく物語だ。本文では、｢オブおじちゃん｣が｢メイおばちゃん｣からのメッセージを受け取ろうと、｢あたし｣の同級生である｢クリータス｣を庭に連れ出す様子が描かれている。アメリカが舞台なので、馴染みの薄い語句があろうが、｢注｣を使えば内容は理解できる。本校のオーソドックスな設問内容が並んでいる。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみたい。

[問一]　｢理由説明記述｣(｢字数指定｣なし｡｢70字ほど｣の解答欄)。傍線部①｢それほど期待してたわけじゃない｣、②｢あたしたちは、奇跡がおこるんじゃないかって希望をもてたんだと思う｣について、｢『あたし』が『おばちゃんが現れる』ことを『期待してたわけじゃない』｣のに、｢奇跡がおこるんじゃないかって希望をもてた｣のは｢なぜか｣を説明する。２箇所の傍線部に関連していることに注意して、｢同一場面｣から｢理由｣を読み解いていきたい(｢小説｣では｢同一場面の直前直後｣に｢手がかり･ヒント｣がある)。同じ形式段落から、｢(亡くなった)おばちゃんが現れる｣などという｢奇跡｣を、｢あたし｣は｢それほど期待して｣いないが、｢おじちゃん｣は｢ものすごくいれこんでいて、本気で信じていた｣、｢だから、あたしもほんの少しだけ(期待していた)｣ことが分かり、また、｢おばちゃん｣は｢生きていたころ、ぜったいにあたしたちの期待をうらぎったことがなかった｣、だから、｢奇跡がおこるのではないかと希望をもてた｣ことも読み取れる。こうした内容を、｢直接的理由｣を｢文末｣として｢過不足なく｣まとめていく。たとえば、｢おじちゃんは亡くなったおばちゃんが現れる奇跡を本気で信じていたし、おばちゃんは生きていたころあたしたちの期待をうらぎったことがなかったから｡｣(70字)といった｢答え｣になる。｢小説｣で｢理由｣を読み解くポイントは｢きっかけ｣や｢結果｣だと心得よ。

＜時間配分目安：３分半＞

[問二]　｢条件付き理由説明記述｣(｢60字以内｣指定｣)。傍線部③｢どういうわけかこのときのほうが、おばちゃんのほんとのお葬式のときよりももっとしみじみとして、本物らしく思えた｣について、それは｢お葬式のとき二人がどうだったからか｣を説明する。｢条件｣は｢解答欄に合うように｣説明すること。解答欄は｢お葬式のときのおじちゃんとサマーは[     (60字)      ]から｡｣となっている。｢ほんとのお葬式のとき｣の｢状況｣を｢同一場面｣で読み取る。直後の形式段落冒頭に｢外部の人たち、たとえば葬儀屋さんや牧師さんがいったん入ると、残された家族の悲しみが型にはめられてしまうように思える｣とあり、同段落最後が｢悲しむときにもふつうはこうするっていうやり方があるからだ｣と結ばれていることにすぐ気づくはずだ。そして、続く形式段落からは｢(ほんとのお葬式のときは)まわりの人たちが、ふつうのやり方で悲しむことを望んで｣いたので、自分たちのしたいように｢髪をかきむしって泣きわめく｣ことなどできなかった｢状況｣が読み取れる。こうした｢お葬式のときの二人｣の｢状況｣を適切にまとめていけばいい。たとえば、｢(お葬式のときのおじちゃんとサマーは)まわりの人たちが望むふつうのやり方で悲しむという型にはめられてしまって、自分たちのしたいように悲しむことができなかった(から｡)｣(59字)といった｢答え｣だ。｢条件｣に応じることは必須だ。同時に、｢条件｣は｢手がかり･ヒント｣でもあるととらえよ。

＜時間配分目安：３分半＞

[問三]　｢内容説明選択肢｣(５択)。傍線部④｢おじちゃんとあたしを社交界の名士みたいにしてしまった｣について、｢どのようなことを表現しているか｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢～みたいに｣とあるので｢比喩換言説明｣になる。よって、｢名士みたい｣という｢比喩表現｣の｢原意｣に結びつかない｢換言説明｣を｢消去｣していきたい。本問の｢選択肢説明｣はとても短く、しかも前半は全て｢二人が、みんなから～｣と同じなので、各選択肢の｢後半｣と照合する(尚、通常は｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)｡(ア)｢距離を置かれる存在になったということ｣､(イ)｢尊敬される存在になったということ｣､(ウ)｢うらやましがられる存在になったということ｣､(エ)｢煙たがられる存在になったということ｣､(オ)｢注目される存在になったということ｣｡ さあ、どうだろうか？ ｢名士｣＝｢世の中に名を知られている人｣ということは知っているはず。であれば、｢注目される存在｣以外は｢消去｣できなくてはいけない。念のために、｢同一場面｣を確認する。何も問題もない。したがって、｢答え｣は(オ)だ。瞬時の｢一発消去｣。｢原意消去｣は必須定着ツールだと心得よ

＜時間配分目安：１分弱＞

｢漢字の書きとり｣(全10問)。昨年度よりは難化したが、本校としては｢標準レベル｣｡示されている｢例文｣の｢カタカナ｣の部分を｢漢字｣に直す。やや分かりづらいものだけをチェックしてみたい。(２)｢費用をセッパンする｣＝｢折半｣⇒｢漢字書きとり｣の定番⇒｢金銭や品物を半分に分けること｣という意味も押さえておくこと｡(３)｢原案にイゾンはない｣＝｢異存｣⇒｢同音異義語｣に要注意⇒｢ある考えに対する反対の考え｣のことだ｡(５)｢シュクテキをたおす｣＝｢宿敵｣⇒これは問題ないはず｡(６)｢シフクのひととき｣＝｢至福｣⇒これは悩ましい。｢この上ない幸福｣のことだ⇒｢至福のとき｣という慣用表現で覚えておきたい⇒ちなみに、昨年度には｢シフクを肥やす｣＝｢私腹｣が出題された⇒｢同音異義語｣に注意したい。(８)｢ハタイロが悪い｣＝｢旗色｣⇒｢旗色が悪い｣(＝形勢が思わしくない様子)という｢慣用句｣として定着させること。本校志望者は無論､｢全問正解｣をしたい。ひとつでも不安なものがある諸君は、未だ｢本校レベル｣に達していないと認識し、精進すること。

＜時間配分目安：全問で２分半＞