栄光学園中学校 入試対策
2024年度「栄光学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
栄光学園中理科の出題は、受験者の知識・計算力・思考力などの総合力を問う問題構成になっており、単なる丸暗記では対応しきれない問題が中心である。夏までには基本知識を固め、それ以降はその知識を運用する学習に入りたい。本校理科攻略のための具体的な学習方法は以下の通りである。
《各分野の学習内容の理解・定着》
各分野の学習は、夏までに完成させるつもりで怠りなく行って欲しい。その際に特に力を入れて欲しい内容は次の通りである。
〈生物分野〉植物・動物についての基本知識は当然身につけること。森林の構成、食物連鎖など生物の成長と置かれ環境や気候との関わり合いの理解にも力を入れたい。植物の働き(光合成、呼吸など)やヒトの働き(だ液の働き)等の実験について力を入れたい。
〈地学分野〉本年は太陽による影の動きが出題されている。この分野の学習法として、天体については太陽の動き・月の満ち欠け・星の動き・日食や月食のメカニズムについて理解することが最も大切である。地層のボーリング調査や様々な気象現象は今後出題のテーマになる可能性がある。
〈化学分野〉この分野の学習として、水溶液と金属の反応や燃焼等に関係する計算問題については、一通り練習しておくこと。また、実験器具の使い方、実験の進め方についても学習し、実験結果のグラフなどについては資料集等に眼を配ることが大切。
〈物理分野〉もののつり合い、音、光、電気などの基本法則をしっかり理解することが大切。さらに、それを日常生活や自然現象と結びつけて考える習慣が求められる。例えば、虹はなぜ7色に見えるのか、救急車が通過した時の音の変化、てこの原理や滑車を利用したものが身の回りのどこに使われているのか、などいろいろなテーマの出題が想定される。
《実践力を身につける》
本校の理科の入試問題では、計算問題、データ読み取り問題、記述問題が大半を占める。ここにどう対応するかが、本校理科の攻略の大きなポイントになる。
〈計算問題対策〉まずは、化学分野では中和、金属と水溶液の反応、金属の燃焼など計算処理に比を用いるものを中心にマスターして欲しい。物理分野では、てこや滑車のつり合い、浮力など力のつり合いに関する計算問題の練習に時間をかけたい。その他では、電熱線による発熱、熱量(カロリー)の計算、音の速さに関わる計算問題、人の呼吸や血液循環に関する計算問題なども想定される。いずれも、問題集やテキストの応用問題レベルまで手を出しておきたい。
また、生物分野では植物の補償点、人の呼吸と血液循環に関する計算問題について、地学分野では地震波の伝わり、地層のボーリング調査など計算が絡む問題の演習にも力を入れたい。
〈記述問題対策〉問題集などから記述問題を含む問題を選択し、数多く練習することが大切である。本校の過去問にこだわることはない。問題の選択に際しては、家庭教師に相談するとともに、採点に関しても、家庭教師に見てもらい、その都度アドバイスを受けることが記述力向上につながる。
〈データ読み取り問題対策〉今年度はグラフの読み取りが大きなポイントとなった。与えられた表・グラフ・絵・写真などを手掛かりに解答する問題が例年出題され。また、与えられたデータをグラフ化する問題も見られる。記述問題同様に、演習量が大きな決め手になる。これに関しても、家庭教師をうまく利用して、問題の選択・演習を進めて欲しい。
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2024年度「栄光学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は1、小問数は14で50点満点。試験時間は40分で昨年と同じであった。
大問は1題のみで、知識問題・計算問題・グラフの読み取り・記述問題・図を描く問題と出題形式は多様であるが、特に記述問題が多いのが例年通りの特徴である。短時間で素早く処理というよりは、与えられた情報を基に作業をし、計算し、考察し、記述するといった能力が求められる。
【大問1】プラスチック製の鉢と素焼きの鉢の違い・太陽による影の動き
- 難度:やや難
- 時間配分:40分
- ★必答問題
問1 温度計の設置条件についての知識選択問題。風通しがよい・地面から1.2m程度の高さ・直射日光が当たらない の3つが条件。
問2 グラフの読み取り問題。プラ鉢では40.7-29.8で10.9℃上昇。素焼き鉢では、34.0-29.2で4.8℃上昇。0.1程度の差は許容されるであろう。
問3 同様にグラフの読み取り問題。プラ鉢では、43.8-29.6で14.2℃上昇。素焼き鉢では、41.1-28.8で12.3℃上昇。
問4 考察選択問題。素焼きの鉢が水を吸ったと考えられる。これは、提示された写真による素焼きの鉢の色の変化からもわかる。
問5 グラフの読み取り問題。
(1)プラ鉢では795-770で25g。素焼き鉢では、942-890で52g。
(2)プラ鉢では770-578で192g。素焼き鉢では、890-491で399g。
(3)プラ鉢では578-559で19g。素焼き鉢では、491-452で39g。
問6 問5で求めた数値を使った計算問題。
(1)52÷25より、約2倍。(2)399÷192より約2倍。(3)39÷19より約2倍。
問7 記述問題。問題文の「素焼き鉢は鉢の側面からも水が蒸発していると考えられる」より、素焼き鉢の側面をラップ等でおおって同様の実験を行ったときに、プラ鉢の実験結果に近い数値になることを確認すればよい。
問8 記号選択および記述問題。ピーマンを植えると、ピーマンによる蒸散作用も加わり、水の減り方は速くなる。
問9 記述問題。実験結果から言えることは、①プラ鉢の方が土の温度が高い。②プラ鉢の方が水の減り方が少ない。つまり、プラ鉢は素焼きの鉢に比べて、熱や水を失いにくいと言える。
問10 立てた棒の影の動きを選択する問題。7月20日では、太陽は真東より北よりから上り真西より北寄りに沈む。また、南中時刻に近いころは影の先端の動く量は少なくなる。影の先端は東に向かって動くので、Pは14時である。
問11 問10で選択した影の動きを表したグラフを見ると、午前8時には15㎝の棒の影は真西に向かって伸び、その長さは1.9㎝である。従って、庭の東側の高さ1.5mの塀から1.9m離れたところに引いた塀と平行な線が、日なたと日かげの境界線になる。
問12 同様に南側の塀と西側の塀についても考える。南側の太陽が南中したとき、19㎝の棒の影は北に4㎝伸びているので、庭の南側の1.5mの塀から0.4mの線が日なたと日かげの境界になる。13時では、15㎝の棒のかげは北東方向に伸び、東に向っては4.8㎝伸びていると読み取れる。(見方はよっては4.7㎝とも取れる)従って、庭の西側の塀から0.48mの線が日なたと日かげの境界になる。問11で引いた線と新たに引いた2つの線で囲まれた内側がずっと日なたになる。
問13 西側の塀によってできる影だけ考えればよい。13時以降西側の塀によってでき
る影は長くなっていくので、問12の13時で引いた線が、境界線になる。
問14 ピーマンを輪切りにしたときの種子の見え方を選択する問題。日頃の観察力が問われる問題。
実験結果を表したグラフの読み取りを行い、計算や考察をするという毎年本校で出題されている傾向の出題。今年は前半がプラスチック製の鉢と素焼きの鉢で、水や熱がどう変化していくかの比較実験がテーマになっている。後半は太陽による影の動きについての出題で、作図問題が含まれ、前半に比べると難度が高い。いずれも、グラフの読み取りと計算にかかる比重が高くなっているが、計算そのものの難度は決して高くない。各設問の読み取りや計算結果を後の設問で利用することになるので、前半で確実に正答できているかどうかで大きく明暗が分かれる。
攻略のポイント
大問1題による出題であった。近年は大問1題の総合問題形式での出題が多くなっている。
本年は「プラスチック製の鉢と素焼きの鉢の違い・太陽による影の動き」が大きなテーマであった。問題文やグラフ・表・図等の読み取り、計算問題、実験結果の考察、考察した内容の記述など例年と同じ傾向の出題であったと言える。純粋な基本知識問題は問1と問14のみであったが、後半の出題では太陽の動き等についての知識が必要である。
昨年度の出題に比べると、グラフの読み取りの比重が高く、計算問題の難度は決して高くはなかった。グラフの読み取りと、読み取った数字を使っての計算など比較的簡単な問題で正答できるかどうかが大きく明暗を分ける。
攻略のポイントとして、本校受験者は単なる知識の丸暗記に終わることなく、それを日常生活や身の回りの現象・自然と結び付けて考える力が必要になる。
具体的には、夏までに基本知識を身につける学習は完了し、それ以降は、計算問題、データの読み取り問題、思考力を必要とする問題、記述問題の演習にたっぷり時間をかけて頂きたい。また、記号選択問題であっても常に何故?を考える習慣を身につけて欲しい。演習する問題の選択に際しては、是非家庭教師に相談して欲しい。
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