栄光学園中学校 入試対策
2015年度「栄光学園中学校の理科」
攻略のための学習方法
栄光学園中学校の理科の難しさは、偏差値では較べにくい。標準的な模試とは、出題傾向が異なり、本番の得点がなかなか予想できない。本校以外にも難関校と呼ばれる学校はあるが、そもそも難しさの質が異なっていることを意識したい。学習に際しては、過去問を第一に考えよう。志望者が意識したい対策は以下の4点になる。
[知識を関連づける]
1つめは、知識は丸暗記するのではなく、他の知識との関連のなかで理解していこう。例えば【大問1】の(設問2)は、ひとつひとつの「ものの名前」を問うのではなく、「ものの関係」を問うている。子葉の知識といっても、その「名前だけではなく」、「理由」や「役割」や「絵」といった知識までを含めて覚えておきたい。機械的に知識を覚えているだけでは、得点が伸びていかないだろう。
[答案作成の速度と精度]
2つめは、答案作成の速度と精度を磨いておきたい。
反射的に解答できる設問が少なく、設問文をじっくり読んでから解答しなければならない。これは一問一問に時間がかかることを意味している。複雑な計算が求められない点は救いだが、その反対に、志望者が計算能力に自信があったとしても、評価には反映されない。理科に限れば、志望者との相性によって得点が変動しやすいことを覚えておこう。また過去問の演習の時は、時計を使って時間を計り、答案作成の技術を身につけておきたい。
[記述問題に慣れる]
3つめは、記述問題に慣れたい。記述問題の多さは、他の学校の比ではない。計算能力が問われない反面、ほとんどの設問に記述による解答が求められ、文章が書けない志望者は不利になる。対策としては、身近にある自然現象がなぜ起こるのか、すでに学習した理科のさまざまな法則を当てはめて、説明することが求められている。結果が答えられても、そこまでの過程を、自分の言葉で説明できなければ、得点は伸びない。したがって、計算だけができていても、志望者は安心しないでほしい。記述問題は、意識して対応していかなければ、なかなか解けるようにならないので、すこしでも記述を書いたら、きちんと指導できる人間に添削してもらうことをおすすめする。
[分析力]
4つめは、分析力を身につけたい。与えられた図や資料から「法則を発見」し、その「法則を運用」できるようになっておきたい。具体的には、【大問2】のような設問だ。設問を丸暗記するだけでは、歯が立たない。図や資料を用いた類題をしっかりと演習して、分析力を磨いておきたい。
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2015年度「栄光学園中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は40分で、得点は50点満点だ。大問数は2問で、設問数は11問と少ないが、そもそも出題形式が特殊なので、他校との比較はできない。記述の割合が多いので、計算よりも、文章をしっかりと書けるように訓練しておきたい。
【大問1】生物分野
- 時間配分:30分
1 きちんと理科の用語で書けるようになろう。
2 記述の設問だ。子葉の役割を指摘してから、それがどのように変化していくのかを、知識のつながりのなかで述べられることが求められている。
3 解答に手をつけるまでに時間がかかる設問だ。設問文が長く、資料からの読み取りも必要だ。一度全体の流れを把握してから、ひとつひとつの設問で何が問われているのかを確認したい。
4 「豆苗」という身近な植物に、中学受験で習った理科の法則を当てはめて、推理させる設問だ。
5 計算問題で、難易度は標準だ。落ちついて解けば、得点できるだろう。
6 グラフを描く設問だ。まずは資料からのデータを点描し、そこから線グラフをつなげて書こう。栄光学園中学校の受験者は、グラフの演習をしっかりと行い、どのような手順でグラフを描けばいいのかを理解しておこう。
設問自体は、難しいわけではないが、入試本番ではゆっくりと考えている余裕はないので、自然に手が動くようになっていることが望ましい。
7 分析力が必要な設問だ。自然現象の観察を通して、背景にある理科の法則を分析できることが求められている。単純な計算能力とは異なる能力なので、受験者はしっかりと対策をしておきたい。
8 理科の知識を、実生活の目的に合わせて応用できるかが試されている。
栄光学園中学校の出題傾向がよくわかる設問で、知識が丸暗記ではなく、実生活に役立てるような教養の水準にまで高めてあることを求めている。
【大問2】物理分野と化学分野
- 時間配分:10分
2と3 資料文が長いので、作業がどのようなものなのかを確認してから解答に手をつけたい。まずは「片栗粉」がどのような「性質」があるのかを指摘し、それがそのどのような「役割」を果たすのかを述べればよい。
この「性質」と「役割」という知識のつながりを記述させようとする傾向を、過去問演習から読み取ってほしい。
また記述の設問に、どれくらい時間をかけるべきなのか迷うことがあるが、その場合は解答用紙の大きさがひとつの参考になる。
攻略のポイント
合否を決めたのは「記述力」だ。受験者の学力を考えれば、計算力や知識の量では差がつくことはなく、ていねいに栄光学園中学校の記述対策をしてきた受験者が有利になったはずだ。
知識は一問一答でばらばらに覚えるのではなく、知識同士の関係を、大きな体系として理解しておくことが重要だ。
また因果関係をはっきりと指摘できる論理的な文章の書きかたを学んでおく必要がある。事前に記述の採点のできる先生から添削してもらい、訓練しておくことは必須だろう。
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