栄光学園中学校 入試対策
2023年度「栄光学園中学校の算数」
攻略のための学習方法
本校の入試問題をみると、非常に独創的かつ難しい問題が目につく。したがって、一般的な模試の結果が良くても、本校の問題で高得点が取れるとは限らない。
しかし、模試のような一般的な問題が解けなくてもよいわけではないことに注意したい。塾で学んでいる内容は、本校受験のための土台である。この土台がしっかりしていないと、本校の受験には対応できない。標準的な問題が解けるということは、最低条件だと心得ておきたい。
標準的な問題は解けるという最低条件はクリアしているという前提で、攻略のための学習法を紹介する。
本校で問われているのは、自らの手と頭を使って問題にじっくり取り組む姿勢である。多少難しくても、試行錯誤しながら粘り強く考え続ける力が絶対的に必要である。普段の学習でも、時間をたっぷり使って考え抜くという経験を積んでおきたい。
ただし、ぼんやりと時間を浪費するのではなく、なんとしても自力で解こうとする強い意志と積極性が必要であることは言うまでもない。
思考力の強化
本校の入試のためには、思考力を強化は必須である。
考え続けることで思考力が自然と身につくイメージがあるかもしれないが、それほど単純ではない。そもそも、ある程度の思考力がなければ、考え続けること自体が困難であろう。
やはり、思考力を強化するきっかけが必要である。まずは手軽に思考力を鍛えるところからはじめたい。標準的な問題で構わないので、さまざまな解法で解いてみるとよい。そして、自分なりに解き方を説明できるようにしてみる。
そのような経験の積み重ねによって、柔軟な考え方ができるようになり、結果的に思考力が鍛えられるようになる。この段階までくれば、難問にじっくり取り組むことで本校の入試に対応できるようになるだろう。
理由説明の対策
本校では、理由を説明させる問題がよく出題されている。通常のテキストではほとんど見られない問題だが、過去問を有効に使いたい。
本校の場合、「起こりえない理由」を説明させることが多く、対策は可能である。起こりえない理由を聞かれたときの説明方法は、背理法(背理法については身近な先生に質問するとよい)が鉄則である。慣れてくれば、説明のコツはつかめるであろう。
最後に一言
本校は非常に特殊な問題が多いが、一般的に見かけるようなタイプの問題も出題されている(難易度はさまざま)ので、あらゆる問題に対応できるように学習しなければならないことを最後に付け加えておくことにする。
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2023年度「栄光学園中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
独創的な問題や難易度の高い問題が目立つのが本校の特徴。
今年度は、70点満点中、受験者平均点は31.2点、合格者平均点は39.8点であった。超難問だった昨年度よりは、多少取り組みやすくなっているものの、やはり難しい問題が目立つ。
60分で全問解くのは極めて難しい。解ける問題を選んで解いていくしかないだろう。
【大問1】平面図形
- 難度:やや難
- 時間配分:17分
直角三角形の辺上を正方形が移動する問題。直角三角形と正方形の重なっている部分の面積について考えていく。
(1)は、スタートから3秒後、4秒後、5秒後のときの重なっている部分の面積を求める。それぞれ図を書いて、丁寧に処理していくしかない。
(2)では、重なっている部分の面積が2㎠であるのは、スタートから何秒後かを求める。正方形の中心が、辺AB上、辺BC上、辺CA上にある場合について、それぞれ調べてみればよい。
(3)では、重なっている部分の面積が32/75㎠であるのはスタートから何秒後かを求める。これまでの流れから、正方形の中心がCの近くにある場合しかないことはわかるはず。正方形の中心が、辺BC上、辺CA上にある場合について、それぞれ調べてみればよい。
【大問2】立体図形
- 難度:難
- 時間配分:17分
小立方体を72個積み上げてできた直方体を切断する。
(1)~(3)のいずれも、(ア)で切られていない小立方体の個数を、(イ)で1㎤未満の立体の個数を求める問題になっている。
(1)は、点A、B、Gを通る平面で切断した場合を考える。面BFGCに垂直な方向から見たときの状況を考えるとよい。(イ)については、切られる小立方体1個につき、1㎤未満の立体が2個できると考えればよい。
(2)では、(1)に加えて、点A、D、Fを通る平面でも切断する。上段、中段、下段に分けて考えるとよい。
(3)では、(2)に加えて、点B、C、Eを通る平面でも切断する。この問題も上段、中段、下段に分けて考えるとよい。(イ)は、3つの切断面が通る小立方体の分析が難しい。
【大問3】規則性
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
- ★必答問題
「偶数ならば2で割り、奇数ならば1を足す」という、よく見かける設定の問題。しかし、後半は本校らしくオリジナリティのある問題になっている。
(1)~(3)は地道に調べる問題。単純作業だが落とせない問題なので、正確に処理すること。
(4)以降は、この問題の本質部分に迫っていく。
(4)では、空欄に当てはまる整数を求める。作問者の誘導に乗ることが重要である。
(5)では、≪128≫を求める。(4)で、≪64≫と≪32≫の関係について考察しているので、それを手がかり解いていけばよい。
【大問4】論理
- 難度:難
- 時間配分:14分
さいころを転がしたときの目についての問題。
(1)は地道に調べるのみ。
(2)は規則が見つかるので、それを利用して解いていく。(2)までは難しくない。
(3)以降は非常に難しいので、正解できなくても気にする必要はない。
(3)は、特定の目が出た回数として考えられるものをすべて答える。
(4)は出た目の和として考えられるものをすべて答える。
攻略のポイント
本校の大問では、非常に高難度の設問が含まれていることが多い。このため、大問を完答することが難しく、しばしば問題の取捨選択に迫られることになる。時間配分目安を一応設定してはいるが、必要以上に気にする必要はない。
今年度の場合、【大問4】(3)(4)は時間をかけたところで、何も進展しない受験生がほとんどと思われる。解けそうな問題に時間を使って、確実に得点していく方が無難である。
【大問1】は、丁寧な作業が必要だが、解き方自体は決して難しいものではない。このような問題こそ、時間をかけてしっかり得点しておきたい。20分程度かけてもよいだろう。
【大問2】では、(1)は落とせないが、(2)以降は差がつくことが予想される。(3)(イ)は解きにくいので、深追いしなくてもよいだろう。
【大問3】は、今年度の問題では最も解きやすい。(3)までは単純作業なので、正解して当たり前。(4)以降も誘導にのることで完答が狙える問題になっている。16分くらいかけてもよいので、完答を目指したい。
【大問4】は、(2)までの問題と考えてよい。(1)(2)だけなら8分程度で終わらせることができる。
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