｢縄文時代から現在までの、木を使った建物｣に関するリード文からの出題。｢歴史｣の基本的な問題に紛れて、やや｢視点｣の異なるものがあるので、とまどうかも知れない。以下、いくつかを確認してみよう。

[問１(２)]　｢下線部についての内容説明記述設問｣(字数指定なし｡小さめの解答欄１行｡25字ほど)。

下線部①｢縄文時代｣について、当時は｢ブナ、クリ、ナラ、シイなどの実｣は重要な食料だったが、生では食べられないものの｢アクをぬくためにどのようなことをしたか｣を説明する。

要は｢どんぐりのアクぬき｣だが、知っている受験生は少ないはずだ。
どうする？　｢知っていること｣に結びつけて考えていけばいい。｢縄文時代｣⇒｢縄文土器｣⇒｢煮炊きに使った｣とつながるはずだ。であれば、たとえば、｢縄文土器に水と一緒に入れ、加熱し、さらしておくこと。｣といった｢答え｣になる。
｢初見｣の問題には、自らの｢知識｣をフル活用すること。

＜時間配分目安：１分半＞

[問６(２)]　｢下線部に関する理由説明記述設問｣(字数指定なし｡小さめの解答欄２行｡50～60字ほど)。

｢信長や家康が拠点とした町には共通した特徴｣があるが、｢その特徴を考えて、それらの町を建設するために木がたくさん使われた理由｣を説明する。

｢拠点とした町｣＝｢城下町｣だ。信長や家康の頃には｢兵農分離｣が徹底されていたのだから、｢城下町｣には多くの家臣(武士)たちが集住し、商工業者も生活する。ということは、多くの住宅が必要になる。

｢過不足なく｣まとめたい。たとえば､｢兵農分離によって城下町には多くの武士や商工業者が生活するという特徴があり、数多くの住宅を建設する必要があったから。｣といった｢答え｣だ。
与えられている｢情報｣から｢類推｣することも必要になる。

＜時間配分目安：１分半＞

[問７]　｢下線部についての事項記述設問｣。

下線部⑦｢江戸時代の銭湯｣について、それを利用した｢町人｣の多くは｢何とよばれる住宅に暮らしていたか｣を答える。

意外とエアポケットか？　ここまで押さえていないかも知れない。
江戸の一般的な｢町人｣は､｢長屋｣(＝｢答え｣)とよばれる､一つの建物をいくつかに仕切った６畳程度の住居を借りて暮らしていた。本校では｢深知り｣も求められるということだ。

＜時間配分目安：１分以内＞

｢弥生時代から明治時代までの、木を使った施設｣に関するリード文からの出題。｢産業｣や｢交通｣などの｢分野史｣からの出題で、難問もある。以下、いくつかを検証する。

[問２]　｢下線部についての内容説明記述設問｣(字数指定なし｡解答欄１行｡30～40字ほど)。

下線部①｢江戸幕府は大きな川にわざと橋をかけなかった｣について、｢人びとはどのようにして大きな川を渡ったか｣を説明する。

まあ、常識的に｢船を使った｣と思いつくはずだが、それだけでは不十分なので曲者だ。
｢渡し船｣を利用(｢船渡し｣という)したのは無論だが、｢川越し人足｣とよばれた人に｢肩車｣をしてもらったり、｢台｣に乗って担がれて渡ったりしていた。
よって、たとえば、｢渡し船に乗って渡ったり、人に肩車をしてもらったり、台に乗って担がれて渡ったりした。｣といった｢答え｣になる。完璧な｢○｣は難しいと思うが、｢△｣は何とかゲットしたい。

＜時間配分目安：１分半＞

[問３]　｢下線部についての事項記述設問｣｡

下線部③｢電信｣について、｢最初にどことどこの間で開通したか｣を答える。

は？　知らなくて当然だ、そもそも｢電信｣て何？　という人も多いだろう。｢文字｣などを｢電気信号｣に変えて伝送する｢通信方式｣のこと。｢電報｣や｢ファックス｣などがそうだ。最初の｢電信｣は明治時代の1869年に､｢東京と横浜の間｣(＝｢答え｣)で開通した。
ちなみに、最初の｢電話｣も｢東京と横浜の間｣(1890年)だ。これはできなくて当然。｢捨て問｣とする覚悟も必要だ。

＜時間配分目安：１分＞

[問５]　｢リード文中の空所補充事項記述設問｣｡

｢室町時代には、木でつくられた(Ｂ)の力を使って田に水をひいていました｡｣の､(Ｂ)にあてはまるものを答える。

易しい。｢水をひく｣のだから、｢答え｣は｢水車｣だと即答できなくてはいけない。尚、江戸時代には｢踏車｣(人が水車の羽を踏んで回す)が使われ始めたことも覚えておきたい。こうした｢基礎的設問｣での失点は致命的だと心得よ。

＜時間配分目安：30秒＞

｢縄文時代から現在までの、木を使った乗り物｣に関するリード文からの出題。基本的な問題が多いが、｢早とちり｣しそうなものもあるので要警戒だ。以下、いくつか検討したい。

[問１]　｢下線部についての条件付き内容説明記述設問｣(字数指定なし｡解答欄１行｡30～40字ほど)。

下線部①の｢丸木船｣を、｢縄文時代の人びとはどのようにつくったか｣を説明する。

｢条件｣は｢使った道具｣をあげること。｢丸木船｣とはどのようなものかは知っているはずだ。１本の大きな木をくりぬいてつくった船だ。では、何を使ってくりぬいたのかだが、｢縄文時代｣の｢道具｣といえば｢磨製石器｣だ。
従って、たとえば、｢１本の大きな木を､磨製石器を使ってくりぬいてつくった。｣といった｢答え｣だ。｢条件｣は絶対に見逃さないこと。

＜時間配分目安：１分＞

[問２]　｢下線部についての事項記述設問｣｡

下線部②の｢江戸時代の沿岸航路｣について、｢北海道の産物を大阪へ運んだ船は何か｣を答える。

｢江戸時代の沿岸航路｣⇒｢北海道→大阪｣＝｢西廻り航路｣で決定！　などと｢早とちり｣してはいけない。確かに｢西廻り航路｣なのだが、問われているのは｢航路｣ではなく｢船｣だ。
なので、｢答え｣は｢北前船｣｡あせって｢設問｣を読み違えてしまっては元も子もないので、注意すること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問５]　｢リード文中の空所補充事項記述設問｣｡

｢平城京や平安京では、貴族や天皇は(Ｃ)という車に乗っていました｡｣の､(Ｃ)にあてはまる｢乗り物｣を答える。

易しいのだが、｢周辺ネタ｣なので果たして押さえているか？　
｢答え｣は｢牛車｣｡尚、｢ぎっしゃ｣という読み方にも注意すること。テキストの隅に記されているようなこともしっかりと定着させておくこと。

＜時間配分目安：30秒＞

｢古墳時代から現代までの、木でつくった機械や道具｣に関するリード文からの出題。この大問も基本的な問題ばかりだ。全問正解といきたい。１問だけ確認する。

[問１]　｢下線部についての内容説明記述設問｣(字数指定なし｡解答欄１行｡30～40字ほど)。

下線部①の｢はた織り｣は、｢何をすることか｣を説明する。

｢はた織り｣は誰もが知っている言葉。だが、いざ説明するとなると、とまどうかも知れない。落ちついて整理すること。｢はた(機)｣という｢機械｣を使って、｢糸を織る｣ということだ。で、何をつくるのか？　｢布｣に決まっている。では、｢はた｣は何で動かすのか？　｢古墳時代｣とあるので無論、｢人力｣だ。
ということで、たとえば、｢はたという機械を人の力で動かし糸を織り、布をつくること。｣といった｢答え｣になる。解答欄の大きさを考えて、しっかりと説明する必要がある。

＜時間配分目安：１分半＞

｢統計資料についての選択肢設問｣(５択)｡

｢都道府県別木材生産量｣の上位10までを示した表中の｢第３位の県名｣を答える。

誰も見たことのない｢統計資料｣だろう。｢手がかり｣はないか？
　｢設問｣に｢上位の道や県に共通する特色を考えて｣とある。｢第１位＝北海道｣｢第２位＝宮崎県｣｢第４位＝秋田県｣｢第５位＝熊本県｣､以下、｢大分県｣｢青森県｣｢鹿児島県｣｢福島県｣と続いている。｢共通点｣といえば、｢面積が広い｣｢九州地方･東北地方が多い｣といったことだ。

各選択肢を確認する。(ア)｢愛知｣･(イ)｢岩手｣･(ウ)｢沖縄｣･(エ)｢島根｣･(オ)｢和歌山｣だ。であれば、｢答え｣＝｢(イ)｣だと特定できるはずだ。
尚、｢紀伊山地｣＋｢吉野杉｣からの｢連想｣で｢和歌山｣としないこと。｢設問｣｢リード文｣などの｢手がかり｣｢ヒント｣を最優先で判別すること。

｢木材｣に関する３つの｢統計資料｣からの出題。｢事項記述｣｢選択肢｣(｢不適切｣あり)､そして、本校特有の｢作図問題｣もある。それも含めて２問だけ検証したい。

[問１(１)]　｢図中の項目についての事項記述設問｣｡

｢日本の木材生産量の変化｣を示した｢図１｣について、その中の｢1955年から1970年ごろにかけて減り｣続けている｢用途別の項目Ｅ｣は｢何をつくるために使われた木材か｣を答える。

図に示されている他の項目は､｢丸太｣｢しいたけ原木｣｢その他｣だ。それら以外で、60年ほど前まではそれなりの｢生産量｣があった｢用途｣とは何か？　
これは難問だ。｢木材｣には｢燃料｣としての｢用途｣があると思いつくかどうかだ。｢答え｣は｢木炭(炭)｣｡無論、｢捨て問｣でも構わない。｢問２｣に示されている｢輸入量｣を加えた｢図２｣も参考にすると分かりやすい。各小問は関連していると考えよ。

＜時間配分目安：１分＞

[問２(２)]　｢統計資料読み取りの作図設問｣｡

｢木材の使われ方の内訳｣を｢輸入品｣と｢国内生産品｣別に示した｢表２｣を｢解答用紙｣にある｢図｣にした場合､すでに作成されている｢輸入品の部分｣にならって｢国内生産品の部分｣を完成させる。

本校の｢作図｣に慣れていないと何をどうすればいいのか悩むかもしれないが、実は単純だ。
｢解答用紙｣を確認すれば、｢作図｣するのは｢丸太｣の｢使われ方｣だと分かるはずだ。それを｢表２｣から読み取ると、｢製材用1206｣｢パルプ･チップ用438｣｢合板用326｣｢その他63｣で｢計2083｣(単位は全て｢万㎥｣)となっている。
なので、｢解答用紙｣の｢丸太｣の｢枠｣に、それぞれの項目を比率配分して区分けし記入すればいいわけだ。

比率計算すると、順に｢58%｣｢23%｣｢16%｣｢3%｣だ。｢解答用紙｣の｢図｣は｢方眼１目盛＝１%｣だと分かるので、それに応じて｢作図｣すればいいだけだ。
本校特有の｢作図問題｣､とにかく志望者は｢過去問｣を練習し、慣れておくことが必須だ。

＜時間配分目安：２分半＞

｢本年度のテーマ全体関する内容説明長文記述設問｣(字数指定なし｡解答欄６行｡180～240字ほど)。

｢これまでの問題から木の特色を考えて、日本で古くから木材がよく利用されてきたのは、どのような理由からか｣を説明する。

本校のお約束、問題全体を踏まえての｢長文説明記述｣だ。最後の難関。当然ながら｢設問｣に着目する。｢本年度の問題｣全体から｢木の特色｣をとらえる。
｢建物｣｢施設｣｢乗り物｣｢道具｣など、｢木材｣は様々な｢用途｣に使われている。ということは、｢加工しやすいこと｣が特色だと判断したい。

では、なぜ｢日本｣なのか？　気候区分が｢温帯｣に属し樹木の生育に適しているので､｢森林資源｣に恵まれているからだ。こうしたことを、問題全体の｢具体例｣にも触れながら、各自でしっかりとまとめていくこと。

最後のお約束である｢長文説明記述｣についても、確実な練習が不可欠だ。