フェリス女学院中学校 入試対策
2021年度「フェリス女学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
フェリス中学、理科の満点は60点、際立った難問はないものの、幅広い知識と思考力が必要な問題が並んでいる。問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心である。また、各大問において記述問題が含まれていることも大きな特徴である。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。問題演習においては、一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習もしっかり行って頂きたい。
本校理科の対策として、記述問題への対策も必要である。過去問、問題集の中の記述問題演習はもちろんのこと、日頃からなぜ?を考える習慣が大切。記号選択問題においても、なぜその記号を選択したのか?を意識する学習を心がけて欲しい。実験器具の使い方について問われる年度もあるので、ガスバーナー、上皿天秤などの使い方はしっかり押さえておきたい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は人のからだの働きに関する出題であった。ここ数年を見ると、人のからだの働き、植物のつくり、生物の分類、昆虫等の出題が見られる。この分野の学習法としては、人のからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。植物の光合成、ヒトのだ液の働きなどを確認する実験については、実験の進め方等についても覚えておきたい。
地学分野 本年度は地層と岩石に関する出題であった。ここ数年では、気象・天体・川の水の働きなどについての出題が見られる。この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、太陽の見え方、星の名前と動き、月の満ち欠けと動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えて頂きたい。天体の動きに関しては、単なる丸暗記ではなく、なぜそのように動いて見えるのか?を理解する学習を心がけたい。
物理分野 本年は物体の運動についての出題であった。ここ数年でも浮力など力のつり合いに関する出題が多く、それ以外では、電気、音から出題されている。この分野の学習方法として、力のつりあいに関しては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。電気については、豆電球の明るさ、方位磁針の振れなど基本的なものだけでなく、LED回路での電気の流れ方、手回し発電機の使い方についても学習して欲しい。また、光や音の基本性質もしっかり押させておきたい。
化学分野 今年度は水溶液と金属の反応に関する出題であった。ここ数年でも水溶液と金属の反応に関する出題が見られ、それ以外では、ものの溶け方、水溶液の性質などに関する出題が見られる。水溶液についての出題頻度が高い。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認して頂きたい。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。また、記述問題対策にも時間をかけて欲しい。分析や対策および記述問題の採点については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2021年度「フェリス女学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で、得点は60点満点。大問数は各分野から1題ずつ、計4問となっていて、小問数は30問程度。記述問題が多く、グラフや図を描く問題も見られる。問題数に対して試験時間が30分と短いので、できる問題から迅速に処理をしていくことが求められる。過去問等を通じて時間を意識した問題演習にも十分に行いたい。
【大問1】生物分野 人のからだの働き
- 難度:標準
- 時間配分:7分
問1 (1)つま先を持ち上げる時の筋肉の動きを問う問題。
(2)骨と骨のつなぎ目を関節とよぶ。
問2 鳥および人の前腕を動かすときの筋肉の動きに関する問い。
問3 人の背骨のつくりに関する問い。短い骨どうしが軟骨でつながっている。
問4 記述問題。宇宙空間では重力の影響が小さくなる。背骨を作っている軟骨が伸びることにより、背が高くなると考えられる。
問5 血液循環と心臓のつくりに関する出題。からだの各部からの血液は右心房に戻る。また、肺への血液は右心室から送り出される。
問6 記述問題。宇宙空間では重力の影響が小さいので、心臓より上へ血液を送る働きが大きくなり、顔に流れる血液の量が多くなる。
骨と筋肉の働きおよび心臓のつくりと血液循環に関する出題。知識を問う問題の中で、宇宙空間における背の高さとムーンフェイスに関する記述はやや難しい。
【大問2】物理分野 物の運動
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 0.2秒間に48cm進んでいるので、48÷0.2 より2.4m。単位変換を忘れずに。
問2 記述問題。表より、小球の重さは速さに関係しない。また、はなす高さを4倍にすると速さが2倍になるという関係がある。
問3 記述問題。表より、小球の重さが同じとき、小球の速さが2倍になるとばねの縮む長さも2倍になるという関係がある。
問4 記述問題。表より、小球の速さが同じとき、小球の重さが4倍になるとばねの縮む長さは2倍になるという関係がある。
問5 200gの小球で速さが秒速1.7mのとき、ばねは1.4m縮む。ばねを4.2cm縮ませるためには、速さを3倍に、小球をはなす高さを9倍にすればよい。
斜面を転がる物体の運動に関して、実験結果の表から言えることを記述でまとめる問題と計算問題。決して難問ではないが、的確に記述する力が求められる。うまく記述できなかったという場合は、実験や観察の結果を整理し記述するようなタイプの問題演習で、記述問題に慣れて欲しい。
【大問3】 化学分野 金属と水溶液の反応
- 難度:標準
- 時間配分:8分
問1 塩酸と鉄の反応で発生する気体は水素。
問2 水素の性質についての選択肢問題。
問3 鉄を加えていくと、途中で水素の発生が止まることに注意。塩酸50㎤に0.2gの鉄を加えると80㎤の水素が発生しているので、200㎤の水素を発生させるのに必要な鉄の重さは、200÷80×0.2より0.5g。
問4 問3より、塩酸50㎤と鉄0.5gが過不足ない組み合わせであることがわかったので、鉄1.2gと過不足なく反応する塩酸の量は、1.2÷0.5×50 より、120㎤。
問5 選択肢問題で正しいものをすべて選べと書かれてあるが、正しいものは1つだけなので、惑わされないように。塩酸の濃さが2倍なので、鉄は1gまで反応する、
問6 グラフ作成問題。2倍の濃さの塩酸80㎤と過不足なく反応する鉄は0.8gでこのとき発生する水素は320㎤。
塩酸と鉄の反応に関する出題で計算問題が中心。過不足なく反応する組み合わせを考えながら解くという、中学入試では頻出タイプの問題。
【大問4】 地学分野 地層と岩石
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 (1)「2mm以上のつぶ」よりレキ岩。
(2)ぎょうかい岩は火山灰が固まってできたもの。
(3)ねん板岩はでい岩が押し固まって板状になったもの。
(4)せっかい岩と塩酸の反応で発生する気体は二酸化炭素。
(5)地層ができた順番の説明とボーリング調査の図より、サンゴの化石が発見されたと考えられる。
(6)地層はすべてちがう岩石でできています、という説明に注意が必要。河口付近でできるのがでい岩と考えられるので、海岸に近い浅瀬でできたのは砂岩である。
問2 地層の断面を図に描く問題。図1の等高線を表した図と図2のボーリング調査の図より、エのせっかい岩の層の一番上は、A地点で標高140m、B地点で標高160m、C地点で標高180mである
問3 記述問題で難。1922年と1939年の間に横浜付近で起こった出来事として、「関東大震災(1923年)」がある。熱で変形したガラス片、かわらなどの言葉から、地震や地震が原因で発生した火災が考えられる。
岩石や地層に関する出題。問1は知識問題、問2は入試頻出のボーリング調査に関する出題。ここまでで間違いがある場合は、テキストに戻って岩石の分類等の知識の再確認とボーリング調査をテーマにした問題の演習に力を入れて頂きたい。
攻略のポイント
際立った難問はないが、知識と思考力両面が要求される出題になっている。攻略のポイントとして、まずは基本知識を確実に固めること。その上で、長めのリード文や実験・観察の結果を基に考えるタイプの問題演習に時間をかけたい。
本校の出題の特徴として、例年複数の記述問題が出題されることがあげられる。今年度の出題においても、【大問3】以外で複数の記述問題が用意されている。日頃の学習において、単なる丸暗記ではなく、なぜ?どうして?を考える学習を心がけて欲しい。
記述問題が多い上での30分というテスト時間は、慣れていないと短く感じられるであろう。入試直前期においては、過去問等を用いて、時間を意識した上で、記述問題での空欄を作らないという練習を行うことが必要であろう。
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