フェリス女学院中学校 入試対策
2022年度「フェリス女学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
フェリス中学、理科の満点は60点、際立った難問はないものの、幅広い知識と思考力が必要な問題が並んでいる。問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心である。また、各大問において記述問題が含まれていることも大きな特徴である。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。問題演習においては、一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習もしっかり行おう。
本校理科の対策として、記述問題への対策も必要である。過去問、問題集の中の記述問題演習はもちろんのこと、日頃からなぜ?を考える習慣が大切。記号選択問題においても、なぜその記号を選択したのか?を意識する学習を心がけて欲しい。実験器具の使い方について問われる年度もあるので、ガスバーナー、上皿天秤などの使い方はしっかり押さえておきたい。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は生物の分類に関する出題であった。3種の中から異なる特徴を持つ生物をあげ、その根拠を説明する問題で、しっかりとした知識が求められる内容であった。ここ数年を見ると、人のからだの働き、植物のつくり、生物の分類、昆虫等の出題が見られる。この分野の学習法としては、人のからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類など基本知識を確実に覚えることが第一である。植物の光合成、ヒトのだ液の働きなどを確認する実験については、実験の進め方等についても覚えておきたい。
地学分野 本年度は太陽の動きに関する出題で、知識とデータを読み取る能力が求められる内容であった。ここ数年では、気象・天体・川の水の働きなどについての出題が見られる。この分野の学習方法としてまずは、風・雲・四季の天気の特徴、太陽の見え方、星の名前と動き、月の満ち欠けと動き、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている基本事項は確実に理解し覚えよう。天体の動きに関しては、単なる丸暗記ではなく、なぜそのように動いて見えるのか?を理解する学習を心がけたい。
物理分野 本年は空気と水の膨張と収縮についての出題であった。ここ数年では物体の運動・浮力など力のつり合いに関する出題が多く、それ以外では、電気、音から出題されている。この分野の学習方法として、力のつりあいに関しては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力などの基本知識を身につけた上で、計算問題の練習をしっかり行おう。電気については、豆電球の明るさ、方位磁針の振れなど基本的なものだけでなく、LED回路での電気の流れ方、手回し発電機の使い方についても学習して欲しい。また、光や音の基本性質もしっかり押させておきたい。
化学分野 今年度は気体の性質と燃焼に関する出題であった。ここ数年では、水溶液と金属の反応、ものの溶け方、水溶液の性質などに関する出題が見られる。水溶液についての出題頻度が高い。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。実験器具の使い方、実験の進め方も確認しておこう。
過去問演習は時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。また、記述問題対策にも十分に時間をかけて欲しい。分析や対策および記述問題の採点については、プロの家庭教師を是非活用しよう。
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2022年度「フェリス女学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で、得点は60点満点。大問数は各分野から1題ずつ、計4問。すべての大問の中に記述問題が含まれているのが大きな特徴。小問数が多く記述問題が多いので、30分という試験時間はかなり短く感じるであろう。できる問題から迅速に処理をしていくことが求められる。過去問等を通じて時間を意識した問題演習にも十分に行いたい。
【大問1】生物 生物の分類
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
3種の生物の中から違う性質や特徴を持つ生物を選び、説明する問題。
1 アサリは無脊椎動物、イルカとクジラは脊椎動物(哺乳類)
2 ホウセンカは離弁花、アサガオとヒマワリは合弁花
3 バッタは不完全変態、テントウムシとチョウは完全変態
4 タマネギとニンジンは植物だが、シイタケは植物ではない(菌類)
5 チューリップは単子葉類、アブラナとタンポポは双子葉類
生物の分類に関する出題。植物・動物に関する正確な知識が求められる。今回の入試の各大問の難易度を考えると、ここは確実に正答しておきたい。
【大問2】化学 気体の性質と燃焼
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
1 火を使う実験における注意事項についての記述問題。
2 二酸化炭素の性質についての選択肢問題。
3 酸素の性質についての選択肢問題。
4 すべての実験で加熱後の水温が0℃より上昇しているので、氷が残っているものはない。
5 1gの燃料アで200gの水を50℃上昇させるために発生した熱を⑤とする。実験2より100gの氷を解かすのに必要な熱は④。50gの氷を解かすのに②の熱が使われるので、残っている燃料で発生する熱は③の熱で100gの水を暖めると60℃上昇する。
6 実験結果より、燃料ウが最も多くの熱を発生し、二酸化炭素の発生量は少ない。燃料ウについて計算すると、2.8×51÷140 より、1.05gの二酸化炭素が発生する。
前半は基本的な知識問題。後半は思考力と計算力が求められる内容で、ややレベルが高い。
【大問3】物理 空気・水の膨張と収縮
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
1 記述問題。水よりも空気の方が温度変化による体積の変化が大きい。
2 記述問題。ゼリーは形を保ちやすく、ガラス管とのすき間を作らないためにも適して
いる。
3 計算問題。水の膨張率0.00021を利用し、単位の変換にも注意すること。200×0.00021×10÷0.12 より、3.5cm。
4 記述問題。フラスコが熱により膨張するため、初めわずかにガラス管の水面が下がる。
5 記述問題。より細いガラス管を使うことにより、わずかな温度変化を測ることができる。
空気と水の膨張・収縮に関する出題。問3が計算問題、それ以外はすべて記述問題。記述は長すぎずポイントを的確に表現すること。そのためにも、日頃からの練習が必要であろう。
【大問4】地学 太陽の動き
- 難度:やや難
- 時間配分:9分
- ★必答問題
1 夏至の日と冬至の日の日の出および日の入りの時刻についての選択肢問題。
2 夏至の日と冬至の日の日の出および日の入りの時刻を実際に調査した結果について、
グラフを読み取る問題。
3 (1)与えられた天球図から、夏至の日の太陽の通り道を選択する問題。
(2)(問1)均時差のグラフより、夏至の頃も冬至の頃も均時差が減っている、つまり、南中時刻が遅くなっていることがわかる。
横浜は明石よりも東にあるので、太陽の南中時刻は明石よりも早くなる。12:00-19分より12時41分に南中。
問題で提示されたグラフを読み取ると、太陽の南中時刻が11時41分になり、均時差のグラフにおいて日時計との差がないのは、6月13日と12月25日とわかる。
(問2)記述問題。地球の太陽のまわりの公転軌道はきれいな円ではなく、楕円形をしている。
太陽の動きに関する出題。知識で解答できる部分と、図やデータを読み取った上で解答する部分があり、知識問題では確実に正答したい。
その上で、図・グラフ・データの読み取りができたかどうかで明暗が分かれる内容になっている。与えられたグラフや図が多く、記述問題も含まれており、限られた時間で処理することを考えると、レベルの高い出題と言える。
攻略のポイント
知識と思考力両面が要求される内容の出題になっている。攻略のポイントとして、まずは基本知識を確実に固めること。その上で、長めのリード文や実験・観察の結果を基に考えるタイプの問題演習に十分時間をかけたい。さらに、記述問題対策は本校受験者にとって欠かせない。例年複数の記述問題が出題され、今年度の出題においても、すべての大問で記述問題が用意されていた。日頃の学習において、単なる丸暗記ではなく、なぜ?どうして?を考える学習を心がけて欲しい。
実験・観察の結果のデータ読み取り問題と記述問題が多い上での30分というテスト時間は、慣れていないと非常に短く感じられるであろう。入試直前期においては、過去問等を用いて、時間を意識した上で、記述問題での空欄を作らないという練習を行うことが必要であろう。
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