学習院女子中等科 入試対策
2024年度「学習院女子中等科の国語」
攻略のための学習方法
物語の読解と記述問題
素材文は物語。例年、10~15問の記述問題・数問の言葉の知識の問題・20問の漢字の読み書きで構成されるという、記述問題と漢字に特化した特徴のある試験となっている。
記述問題は字数の指定がない。解答欄の大きさから考えて40~60字程度でまとめることを想定して作問されているようである。
素材文は受験生の年齢に合わせて、設定や内容が理解しやすいものが使われている。文量は5000~7000字ほど。さほど多くはないが、記述に時間を取られることを考えると、なるべく早く読み終えたい。
これだけ記述問題が多いと気後れしてしまう人もいるかも知れない。素材が論説文であれば本文から適切な部分を抜き出してまとめることで答えになる場合も多いのだが、物語文ではそうもいかない。人物の気持ちは言動に含まれていたり、情景によって暗示されていたりと、直接には書かれていないことが多い。読み手の心情把握の実力が問われる。
ただし、素材文自体や設問の内容自体は、けっして難しすぎるということはない。小学六年生として素直に感じ取れることを、適切な文章力でまとめれば良いのである。
物語の読解
まずは物語や小説をたくさん読んで文学的文章に多く触れることである。比喩や情景描写など、物語でよく用いられるさまざまな技法には特に注意して十分に慣れておこう。
読書経験を通して、読解の訓練を積み重ねよう。まずは場面分け。時間・場所・登場人物の変化などで場面の変わり目をマークする。回想や想像など、過去や未来の場面が含まれる場合などは時系列を整理して混乱しないように注意する。
一番のポイントは人物の言動や情景描写から、その心情を理解すること。物語の読解で訊かれるのは多くはこの部分であろう。人物の性格が異なれば同じ行動でもその意味が異なってくる。どのような気持ち・考えか、その理由は何か、重要点には傍線を引くなどして目立つようにしておこう。
そして全体としての主題は何か。読んだ部分を簡潔にまとめてあらすじをつくり、そこに人物の気持ちを当てはめていくとわかりやすいだろう。
今後も出題傾向に大幅な変更が無いと仮定すれば、物語の読解を徹底して練習しておくことが対策の第一となる。
記述力の養成
解答のほぼ全てを記述で答えなければならないのは、やはり大変である。「人物の気持ち」や「情景が何を表しているか」を「説明」しなければならない。文中にあるのは手がかりや素材なので、自分でうまくまとめなければならないのである。
物語の場合は「心情+その理由」というパターンが一番多いだろう。「~という理由・原因で、~という気持ち・考えになった」という2点を常に意識しよう。読んでいる最中に「なぜなのか」と「どんな気持ち・考えなのか」を丁寧に考えるくせをつけたい。
40~60字ほどでまとめる問題が多いので、いろいろな物語を読んで、読んだ部分の人物の心情や情景を、字数で説明する練習をするとよいだろう。頭で考えるだけでなく、実際に書いてみることが大事である。
その際、ひととおり書いて終わりではなく、文法がおかしくないか・内容に破綻がないか・誤字脱字はないかなどセルフチェックできるよう練習して、本番で無理なく実行できるように頭に染み込ませよう。
漢字の読み書き
20問の出題は他の学校と比べてもかなり多い。配点で2割を占めているので落とすわけにはいかない。さほど難しい漢字ではないが、読みはやや難しいものも見られるので、少し重点的に練習しておくとよい。全問正解で得点を稼ぎたいところである。
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2024年度「学習院女子中等科の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
漢字の読み書き20問・言葉の知識が数問・20~100字ほどの記述問題が8問という例年通りの形式の出題となっている。
文量は7000字程度。読みに10~12分・漢字は10分以内に終えるとして、記述1問につき4分程度かけられる計算である。書く分量が多いので「書くスピード」といったものも必要になってくる。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:40分
- ★必答問題
自分の本心をうまく言葉にできずごまかし捻じ曲げてきた主人公。母親の「自分の一番の味方は自分」という言葉に、自分にだけは本心をごまかしてはいけないと思うようになる。
問1 遠藤のお母さんの「嚙んだことを覚えていないのか」という驚きの表情の奥に、主人公は非難めいた色を見て取った。自分の気持ちを言葉に表すのが難しく、この時は実際覚えていないと本人も思っているので、お父さんに答えてもらおうと助けを求めている。
問2 「こういう場面は、お父さんだって得意ではないのだろう」などの表現からもわかるように、緊張した答え方のお父さんは大きな声で強く主張してくる人が苦手なのだろう。それでも娘の性質を説明してなんとか窮状を治めて、遠藤の母親の怒りを抑えて娘を守りたいと懸命に話をしているのである。
問3 お父さんが泣いているのは主人公のせいではなく、子どもの頃の記憶が遠藤君のお母さんとの会話からよみがえり、お母さんと合流し「学校から離れたらほっとして涙が出てきた」のだと説明している。しかし、急に泣いてしまったことに「自分でもびっくり」してしまい、うまく説明できずに慌ててしまった。
問4 子どもの頃、学校に行けなくなっていたお父さんは「学校に通えない子だ、かわいそうだ」と親に言われていた。当時の一般的な世間の考え方として「子どもは学校に行かねばならない」と考える親だったのだろう。そんなお父さんに大学のとき「嫌なことからは逃げろ」といったのはお母さんだった。そのお母さんからすればお父さんの両親は「まじめ」ということになるのである。
問5 (1) それまでの主人公は笑いたくもないのに笑い、本当の気持ちをごまかして気づかないようにしてきた。遠藤に大事な過去問を取られ、唾をかけられてぐしゃぐしゃにされたとき、たまらなく頭にきて傷つけてやりたいと思って嚙みついた。本当はすべて覚えていたのに、その記憶がとてもつらかったため、忘れたと思い込もうとしていたのである。
(2) お母さんの「自分の味方は自分」ということばに、それまでごまかしてきた自分の本心に気づき、忘れたと思い込んでいた嫌なことに向き合うようになった。
問6 点線で囲まれた部分ではうね雲に乗って隙間から下を眺めている自分を空想している。その時、現実に雲の隙間から晴れ間が見えてきて、あの雲の晴れ間のように、自分がいままでできなかった自分の味方もできるようになるかもしれないと、希望を持つようになったのである。
問7 Aでははっきりしない空に厚い雲がたれこめて暗く、主人公の重苦しい気持ちを表している。
Bではうね雲が空いっぱいに広がってお父さんとお母さんの顔に光がさして明るくなり、主人公が前を向く気持ちになってきたことと重なっている。
Cでは主人公の顔を照らし始めており、自分が自分の一番の味方になろうと思えるようになった気持ちを反映している。
【大問二】漢字の読み書き
- 難度:標準
- 時間配分:10分
① 規則 ② 激痛 ③ 寒暖 ④ 私財 ⑤ 放牧
⑥ 序 ⑦ 晴耕 ⑧ 権限 ⑨ 恩着(せ) ⑩ 律(する)
⑪ 最適 ⑫ 暗証 ⑬ 重箱 ⑭ 編 ⑮ 蒸気
⑯ ぼぜん ⑰ こんりんざい ⑱ がんか ⑲ たかびしゃ ⑳ かんれい
攻略のポイント
とにかく記述の分量が多いので、書く事に抵抗を感じないように十分な経験を積んで慣れておくことが大事である。40~70字程度でまとめられるように感覚をつかんでおこう。
素材が物語文なので、普段から小説や物語を多く読む習慣がある人は当然有利であろう。年齢相応の話でよいので、なるべく多くの本に触れておこう。
漢字に重点が置かれている点も考慮して、しっかり練習しておくこと。ここで大きく失点するレベルでは合格はおぼつかない。
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