学習院女子中等科 入試対策
2017年度「学習院女子中等科の理科」
攻略のための学習方法
家庭環境と教養
教科書の理科の知識だけではなく、志望者の教養も合わせて問おうとする設問がある。このような設問は、志望者の家庭環境を試すものと考えられる。
例えば、【大問3】の(1)は、小学生の身近にある海水浴の場面を題材にしている。正答するためには、教科書だけではなく、図鑑・資料・実体験によって、知識を獲得していくことが理想となる。
中学受験で忙しくはあるが、家事手伝いや野外活動などにも積極的に参加して、実物を通して学習する機会を確保しておきたい。
科学法則の理解
科学法則は、暗記するのではなく、きちんと理解しよう。暗記と理解は、似て非なるものだ。
教科書に書いてある公式を暗記したら、そこから、どのような物事にその科学法則が活用できるのか、理解を深めておきたい。
例えば、【大問4】の(2)と(3)は、科学法則の暗記からでは、正答できない。しっかりと法則がどのように導き出されたのかを、理解しておかないと、記述ができないようになっている。
現代社会は、何気ない暮らしのなかに、いくつもの科学法則がそれとなく潜んでいるので、観察する機会には困らないだろう。実験授業や理科教室も、各地で開催されている。
それでも、もし実験の経験が不足していると感じたら、担当の家庭教師に、おすすめの理科の実験教材を紹介してもらってもいいだろう。授業を提供して終わりではなく、子どもの学習状況に合わせて、学習全体を支援できる点に、家庭教師の強みがある。
記述の訓練
学習院女子中等部では、記述形式の設問が中心となるので、独自の対策が必要となる。一般的な中学入試においては、記述形式の設問は、理科ではあまり出題されない。受験本番の設問だけではなく、教科書や問題集や模試にも、そもそも記述形式の設問の比率は高くはない。 したがって、放っておくと、志望者の記述力は、伸びないままになる恐れがある。
例えば、【大問2】の各設問が、記述力を判断する基準となる。解答用紙に合わせて、要点を短くまとめて記述できる能力が求められている。このような能力は、一問一答形式の設問だけを演習していても、身につかない。
そこで、志望者は、記述形式の設問があれば、積極的に解く経験を積んでおきたい。
採点については、自己採点では甘さが残るかもしれないし、集団授業の先生では対応に限界があるかもしれないので、もし不安があれば、家庭教師に依頼しよう。細かな添削指導が期待できる。
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2017年度「学習院女子中等科の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で、得点は60点満点だ。大問数は4問で、分野ごとに整理して出題される。
設問数は30問で、記述形式の割合がかなり高いので、記述力をしっかりと鍛えておきたい。文章を書くのが得意な受験者が、有利となる試験構成だ。
【大問1】生物(生態系)
- 難度:易
- 時間配分:8分
- ★必答問題
単元:生物と環境
内容:季節の変化に対して、動植物がどのように適応しているのか、理解できているかが求められている。
形式:一問一答形式に加えて、短い記述形式の設問がある。
(2)サクラとモミジは、落葉して、幹と枝だけで冬越しをする落葉樹だ。反対に、冬でも落葉せずに、葉を茂らせたまま冬越しする常緑樹についても、覚えておこう。
<時間配分目安:8分>
【大問2】地学(河川と大地)
- 難度:易
- 時間配分:7分
- ★必答問題
単元:川の流れと地形
内容:河川が地形にどのように影響を与えているのか、仕組みを理解できているかが問われている。
形式:一問一答形式に加えて、記述形式の設問がある。
(1)ただ図を丸暗記しているだけの受験者を、記述が書けるか書けないかで、区別しようとしている。浸食作用という用語をきちんと書けるようになっておきたい。自分の頭で考えたことを、きちんと文章にできる記述力が求められている。
<時間配分目安:7分>
【大問3】化学(気体の性質)
- 難度:標準
- 時間配分:7分
単元:気体の性質
内容:二酸化マンガンに過酸化水素水を加える実験を通じて、気体の性質を理解できているかが問われている。
形式:一問一答形式に加えて、計算を含んだ記述形式の設問がある。なお、計算は小数点以下まで求める必要がある。
(2)二酸化マンガンは、反応を促進するだけだ。反応の前後で、二酸化マンガンは変化しない。このような役割の物質を、触媒と呼ぶ。
<時間配分目安:7分>
【大問4】物理(振り子)
- 難度:標準
- 時間配分:8分
単元:振り子
内容:振り子は有名な実験器具で、速度と重量がどのような関係にあるのか、理解できているかが問われている。
形式:例年通り、解答だけではなく「どうしてその計算式になるのか」を、きちんと言葉で説明できる能力が求められている。
(2)データの読み取りに、注意深さが求められる。実線のグラフにおいて、センサーの示す位置がもっとも高くなるのは、おもりがセンサーの真下に来るときだ。「往復する」とは、おもりが「センサーの下に2回めに来るとき」だと、見抜いておきたい。
<時間配分目安:8分>
攻略のポイント
全体として、自分の頭で物事を思考できる受験者を求める傾向にある。 知識の量をやみくもに暗記で増やしたり、計算を機械的にこなすのではなく、理科の本質である筋道を立てて考える力を養えるように、教材を選んでいく必要がある。 それと合わせて、自分の言葉で物事を説明できるだけの記述力も欠かせない。
いずれの能力も、標準の教材ではなかなか育ちにくいので、学習院女子の受験者は、受験の早い段階から、対策を取っておきたい。傾向の異なる模試の結果は、あまり当てにならないので、しっかりと過去問の演習を行おう。
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