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学習院女子中等科 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2021年度「学習院女子中等科の算数」
攻略のための学習方法

速読即解が目立つ女子上位校の中にあっては、じっくりと問題を読み解かせることに重きを置いた算数となっている。

問題を解くスピードに若干の不安を抱える生徒にはうってつけの学校である。
もちろん、スピードに自信がある生徒には余裕が増すだけなのでなお向いている学校と言える。

しかしながら、ある程度の学校難易度が示しているように合格点を取ることはそう容易ではない。
それは基本問題をすべて抑えていくことの難しさ、さらにこの学校独特の出題にその理由がある。そこで対策が必要となる。

答案作成

まず、「答案用紙に式や考え方を書かせる」という点を述べておきたい。
おそらくふだんも線分図や面積図、表や図を書いて解いているものと思われるが、ここでは試験官に見せるものとしての答案作りを指導したい。

はじめに頭に浮かぶのは「どこまで書けば試験官の納得のいく式や考え方になるのか」ということだ。自分だけ分かれればよいような式や答えでは相手に伝わるのは難しいし、かといって参考書や問題集にある模範解答並みの分量ではどう見ても時間が足りなくなる。

ほどほどの記述量で相手に過不足なく伝わる答案作成にはどうしても演習が必要になる。そこで今すぐにでも始めてもらいたいのは「簡単な問題」の答案作成から始めよう、ということだ。

「AとBの和は30、差は4です。A、Bはそれぞれいくつですか」
というレベルでよい。はじめのうちは作成する側に余裕のある問題でよい。過去問レベルで急に答案作成となると無理がありすぎる。

ふだんなら暗算でも出来てしまうレベルでよいのでていねいに数行、図や式を書いて練習してみよう。
難易度は徐々に上げていけばよい。過去問での答案作成は寒くなったころでも十分間に合う。
数学などの数式には本来美しさが伴うものだ。誰に見せても美しいと思われる答案を作れるようになりたい。

作図問題

次は「作図問題」への対策。
通常の問題集では作図問題が軽視されていることが多い。どの学校でも出されるというわけではないからだ。
そこで家庭教師の先生などに作図問題をまとめてプリントにしてもらい、ある時期にまとめて演習してみるのがよい。

出される傾向は決まっているのでそれほど時間はかからないと思う。
ただし、作図問題の場合、演習を重ねても本番では解けそうもないレベルで出されることがあるので注意が必要だ。

計算問題

最後に「計算問題」の練習。

学習院女子に合格したい場合、どうしても確実に得点しておきたいのが冒頭の計算問題である。
しかし、計算問題は「自分でやっとけ」と言わんばかりに軽視される傾向にあり、意外と受験生の盲点になっている。しかも計算問題でミスすると、ひどいことをやったようにあちらこちらから指摘されイヤな思いをする。

または解けたとしても、平成26年度【大問1】(2)などを分配法則でまとめもせずに力ずくで解いて正解してもあまり意味がない。問題にはその問題に適した解き方と所要時間がある。10分もかけて正解を導いてもそれは正解とは言えない。

計算に工夫が必要とされる問題を選択して、正解よりも工夫することに重きを置いた時間を作ろう。受験生生活全体で2~3時間もやればある程度形になるだろう。ほとんどは例年出されるような計算であり、慣れが必要だが、慣れてしまえば整数の計算なのでそれほど厄介ではない。

過去問演習

過去問に取りかかるのは、上記の演習を十分こなした秋頃からでよい。

1回目はとにかく問題に当ってみて、この学校の難易度に触れておくこと。はじめから合格点などとれやしない。2・3ヶ月やってみて、60~70%取れれば十分である。
2回目は時間配分や答案作成に気を遣いながらできるだけ完璧な答案を心がけること。
3回目は受験直前に解いてみて、合格できる力を確認してから本番に臨もう。

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2021年度「学習院女子中等科の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が6,小問14で例年より小問数が多めだった。ただ、テスト時間に対してさほど多い分量とは思えず、設問をきちんと選択できていれば時間不足に陥ると言ったこともないだろう。
また、どの問題にも考え方や式を記述させる学校なので、その分にかかる時間も念頭に置いて時間配分をしなくてはいけない。特に、図形の作図問題があるときはなおさらである。

【大問1】計算問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

(1)小数を分数に直した上で、約分を駆使して計算をまとめたい。こちらは平易。
(2)①のイ・ウにはいる数はすぐに分かるだろうから、問題はのほうだ。
もし並んでいる分数の分子が1であれば、いつもの問題、となるわけだが分子が11,18,7,7なので一筋縄ではいかない。しかし、積の形をしている分母を分けて2つの分数にしていく作業は同じである。一番前の分子が11で次が18なので、その差が後ろの分子7と等しくなることを使って分数をまとめながら計算していく。例年そんなに複雑ではない計算問題が続く【大問1】にこれだけの問題が出題されたということで意表を突かれる。

【大問2】倍数算

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1)は連比を作るだけなのでここでも(2)が成否を決める。AとCの比を使って比例式による倍数算を展開すれば良い。倍数算の解き方としては最も高度なものだ。ただ、比例式をたてて倍数算を解くというのはこの学校の頻出問題であり十分対策が出来ているはずだ。したがって、この問題は必ず正解するようにしたい。

【大問3】 場合の数

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

問題文に書かれた条件にそって、A・B・Cの組み合わせを調べていけば良い。例えば、(A,B,C)=(1,2,4)などだ。ここで肝心なことは、倍数になっているというところで、「1倍」を忘れないことだ。(A,B,C)=(1,1,1)でもよいし、(1,1,2)でもよいし(1,2,2)でも良いと言うことだ。ここをミスってしまうと正解とはほぼ遠い少ない組み合わせになってしまう。過去問をやりながらおそらくミスした生徒がいたと思う。注意したい。

【大問4】 速さとグラフ

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

速さのグラフが与えられ、(1)~(3)は簡単な速さの問題または旅人算である。ポイントは(4)のグラフ作成だけである。もとの2人のグラフを参考にしながら、2人の速さ、位置関係、向きなどに気をつけながらグラフを書いていきたい。5回の変化を見せるグラフなので正解は難しいかもしれないが8分の時間配分のうち6分は使えるだろうからなんとかねばってものにしたい。

【大問5】平面図形(作図・弧の長さ)

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

これは典型題中の典型題で、作図も易しい。当然できあがった弧の形も易しいし困るところはない。円周率の計算も上手にまとめて正解をいただきたい。

【大問6】立体図形

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分

(1)は回転体の体積を求める問題だが、回転軸がABなので、底面・高さが異なる3つの円柱が積み重なった形になり、基本問題の範疇(ちゅう)に入る。【大問5】同様、円周率の計算をまとめて行うのは理の当然である。
(2)は難しくはないがユニークな出題だ。図1の円柱は半径が2cm、6cm、8cmなので図2の円すいでも上の方から半径が2cm、6cm、8cmになるように床に平行に切断すれば良い。相似を利用してそれぞれの高さも求められるだろう(ただし、湯からの高さなので要注意)。とすると、答えは3通りになる。はたしてそうか?ここでは最後にそれぞれの高さを吟味するという作業が必要になる。3つの答えを出すのは容易かもしれないが最後にチェックが入れられるかが最大のヤマである。

攻略のポイント

本年度A入試の受験者平均点は59.8点と昨年度より9.5点上がり、その分合格点も上がった(70点程度)。また、【大問3】のように細かい作業を要する問題もある一方、かなり平易な図形の問題も複数見られたので70点はそれほど高い目標ではあるまい。
平均点に関しては、2017年度は47.3点、2018年度は61.9点、2019年度は76.8点と安定しないもののテストに向かう姿勢に変わりはない。それは、基本的なレベルの問題をしっかりと正解することだ。平均点が低い年は基本レベルが少なく、本年度はそのほとんどが基本レベルの問題だったと言うことだ。本年度であれば、【大問1】(1)(2)①・【大問2】・【大問4】(1)~(3)・【大問5】・【大問6】(1)は確実に正解しておきたい。
来年度もまた標準的な大問が並ぶつくりになるだろうから、テスト中の基本問題をしっかり正解して合格点をその手につかもう。
最後に、合格するためのポイントとして
・ひん出分野の徹底的な演習
・図形など作図が必要な問題でも手が出るようにしておこう
・式や考え方を相手に伝わるように書く練習
をあげておく。

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