本年度の計算問題は、難化した昨年度と異なり例年のレベルに戻った。小数・分数・整数の混合四則計算とその逆算である。
(1)では、前半の小数の計算は小数のまま計算してその後、分数に直して後半の分数計算に合わせると解きやすい。(2)は分数だけで構成されているので計算のきまりをしっかり守って逆算していくこと。もちろん、正解必至である。

一見「つるかめ算」かなと思わせるものの、全体の時間を求める問題なので、頭を切り替え速さの比を用いると良い。
走った時速7.5kmで8分進んだ距離を10kmからひくと9kmになる。この距離を歩いた時間と走った時間は同じに進んだので、その進んだ距離の比は3.3:7.5になる。あとは整数比に直して比例配分する。歩いた時間・走った時間どちらでも良いので求めてから2倍して最後に8分を加える。時速を分速などに直して解いていると時間がよけいにかかってしまう問題なので、できるだけ与えられた数値はそのまま使う。時速のまま・分速に直す、いずれにしても答えることは出来るだろう。

桃1個の仕入れ値を1として解いていくという「売買損益」の典型的問題。定価は1.4、定価の半額は0.7とおけるので(総売り上げ-仕入れ値=利益)の式を完成させる。少々長いが「1.4×240+1.12×100+0.7×20-1×360=20400(円)」となり、ここから1あたり、すなわち仕入れ値を出すことが出来る。ただし、問われているのは定価なので、もったいないことをしないようにしたい。

学習院女子特有の図形の作図問題ではあるものの、そのレベルは基本的なものであり、2年続けて基礎問題集を解いているような印象である。
(1)三角形の頂点AとA’を半径15cmの曲線(弧)で結び、三角形の頂点BとB’を半径9cmの曲線(弧)で結ぶ。これだけだ。
(2)回転させた角度は120°と与えられているので、三角形ABC内で点Bが通った曲線を三角形A’B’Cに移動し(等積移動)、求める面積を(半径15cm中心角120°のおうぎ形-半径9cm中心角120°のおうぎ形)の面積として計算する。

本年度に出題された問題の中では、おそらく最も時間がかかるのがこの【大問5】である。問われていることは基本的ながら、どの解き方を用いても時間だけはそこそこかかる。
1つめの解き方は「輪が3つ」のベン図を使って解く解き方。100から999までの4の倍数、5の倍数、6の倍数の3つの輪とその重なりの部分、さらに3つとも重なる部分(最小公倍数の倍数)にあてはまる数値を計算していく。解き方は単純ではあるものの時間を要するのは確かだ。
もう1つは、1から最小公倍数である60までに「4,5,6のどれでも割り切れないもの」の数を調べて、周期算として解く解き方である。これもまた解き方は単純ながら、時間はたいそうかかってしまう。ただ、他の大問はそれほど時間がかかるものではないので、時間配分の目安には8分とあるものの、実際には15分くらいはかけられるのではないか。とすれば、面倒だなと思いつつも時間をたっぷりかけて正解に至りたい。

一見して「N進法の問題」とわかる。これが最後の大問である。2×5マスの図にあるように●の表す大きさは変化していくので、この問題は2進法の問題であることが分かる。すなわち、右下からその上、さらに次の下のマスにあてはまる数を考えていくと、1,2,4,8,16,32,64,128,256,512となる。
(1)はそれに該当する●の数値を足していくだけ。
(2)は全部●で埋め尽くした数なので、それらをたしていっても良いが、2進法の次に来る数512×2=1024の1つ手前の数までは表すことが出来る、と解いた方が早い。
(3)それぞれの図が表すN進法の数に直して、足して、再度マスの目を●でうめていくだけである。
本年度の算数は最後までレベルが上がることはなかった。しかし、その結果は平均点に現れるはずであるから、100点またはその近くを目指して点数を重ねていくしかない。