学習院女子中等科 入試対策
2024年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法
学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。
記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式に加えて、2024年度では50字ほどの論説記述が出された。全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る。
設問には大別して、
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
がある。
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。
【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。
【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。
【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。
いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉や北海道の特ちょうにあった行政サービスの提案(H30年度)などの出題例がある。
このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。
本校の短文記述には字数制限がないが、これまでの1~2行の短文記述に加えて2024年度では50字程度の論説記述が出された。さほど長文ではないが、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。
そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、
「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。
学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかテストを通じて問われているようである。
前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。
言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。
基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。
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2024年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1が歴史分野、大問2が地理分野、大問3が政治経済分野という構成で、広い範囲から問題が作られている。解答数は47問、記述問題も5問ある。適語記入で書き込む問題も多く、時間に余裕はない。
記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないのでてきぱき解いてミスせずに得点源とし、記述問題は残りの時間でできるだけ答えるような心づもりで臨もう。
【大問1】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
日本と外国のつながりを題材に、各時代の出来事などについて訊かれている。
問1 (1) 菅原道真 (2) 足利義満 (3) オランダ
問2 イ. 卑弥呼は魏の皇帝から「親魏倭王」と刻まれた金印や銅鏡などを授けられた。
問3 日本と敵対する新羅が朝鮮半島を支配し、危険だが南の航路を取るようになった。
問4 (1) a. 富岡 b. 立憲改進 c. 伊藤博文
(2) A. え B. あ C. い
問5 元寇(1274年)→朝鮮出兵(1592年)→朝鮮通信使の初来日(1607年)→韓国併合(1910年)
問6 (1) 農地改革
(2) 政府が一部を除いて地主の農地を買い上げて農民に安く売ったため、自作農が大きく増えた。
問7 (1) ロシア〔韓国〕 (2) 北方領土〔竹島〕
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
日本の農業・都市・都市の特徴など。
問1 A. 新潟・北海道・秋田が上位なので、米。
B. 北海道・福岡・佐賀が上位で、小麦。
C. 青森・長野・岩手で、りんご。
D. 熊本・千葉・山形で、すいか。
E. 長野・茨城・群馬で、レタス。
G. 山梨・長野・岡山で、ぶどう。
H. 和歌山・奈良・福岡で、かき。
問2 ① 横浜市(約376万人)→大阪市(約273万人)→札幌市(約196万人)→仙台市(約107万人)
② 新潟市→大阪市→札幌市→那覇市
③ シンガポール・0度→東京・北緯35~36度→ペキン・北緯40度付近→ロンドン・北緯51~52度
④ なすしおばら駅→こおりやま駅→しろいしざおう駅→はちのへ駅
問3 (1) ぼんち
(2) 山に囲まれた平地なので、川や湖などが多く生活用水や農業用水が得やすく、耕地や水田で作物を育てるのに便利で、人が集まりやすかった。
【大問3】現代社会分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
マイナンバーカードを題材とした問題。
問1 (1) エ (2) コ (3) ソ (4) オ (5) ア (6) チ
(7) キ (8) セ (9) タ
問2 日本は皆保険で原則として国民全員が健康保険への加入を義務付けられている。加入者が納める保険料を元に、健康保険を提示すれば1~3割の料金で治療を受けられるようになっている。
問3 東京都・新宿区
問4 (1) 厚生労働省 (2) イ
問5 プライバシーの権利や思想・良心の自由、 表現の自由など。
問6 マイナンバーカードに公金受取口座を登録しておくと、国や地方自治体からの給付金などの受け取りがスムーズになる・本人確認書類になる・政府が運営するマイナポータルというオンラインサービスを受けられる・コンビニで各種証明書を発行できる……など。
攻略のポイント
30分という時間に対して、書き込みが多い47問の問題数はやはり多い。幸い、問題の難易度自体は難問というほどではない。通常、漢字指定されるような問題もひらがなでもよいとされる問題もある。まずは記述以外の問題をてきぱき解き進めて点を稼ごう。
60点という配点から考えても記述問題の配点は低めである。とはいえ記述問題は4問あるし、記述問題もひととおり手をつけられるよう、知識だけで答えられる問題を素早く終えられるようスピードは十分につけておきたい。
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