学習院女子中等科 入試対策
2016年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法
学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式で、全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る。
設問には大別して、
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
がある。
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。
【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。
【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。
【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。
いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、低カロリーのマヨネーズのほうが高価である理由〈H22年度〉や、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉などの出題例がある。このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。本校の短文記述には字数制限がないが、長文を書くスペースは無い(せいぜい20~30字程度)ので、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。
そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、
「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。
学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかをテストを通じて問われているようである。前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。
基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。
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2016年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1~4がそれぞれ政治経済・地理・歴史の問題で、広い範囲から問題が作られている。解答数は39、短文とはいえ記述問題も6問あり、スピードが要求される。記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないのでてきぱき解いて、ミスせずに得点源としたい。
【大問1】 政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
選挙制度と国会について、最新の情報も問われている。
問1
選挙や国会についての基本事項。参政権の年齢引き下げという新しい話題も問題にされている。
問2
こちらも新しい話題。合区については他校でも出題されている。現代社会分野での新しいトピックは注意しておこう。
問4
国民投票だけ年齢が引き下げられる時期が異なるのだが、他の選択肢はいわゆる「選挙」なので参院選に準ずることが予想できるだろう。
問5・問6
本校頻出の一行程度の短文記述。いずれの事項も、テキストで学んだ際に目的や理由も合わせて学んでいるはずである。
<時間配分目安:記述 各2分 その他各30秒 計10分>
【大問2】 地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:3分
- ★必答問題
各都道府県の様々な特徴について訊かれている。
「~未満・~以上を選べ」という形が多いので、選択肢の中から最も上位・下位のものを選べばよいということになる。面積・果実の出荷割合・林野面積など、県の特徴を踏まえて比べれば、4つの選択肢の中でひとつだけ他の3つと差があるものが混じっていることに気づくだろう。
【大問3】 地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:5分
鹿児島県の半島や島の問題。昨年は図版が一切使われなかったが、今年度は地図が一枚だけ用いられている。
問3 種子島・屋久島で多くの人が訪れる場所はすぐに頭に浮かぶはずである。少し前に話題になったドラマを思い出した人も多かったことだろう。
<時間配分目安:記述 各2分 その他30秒 計5分>
【大問4】 歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:12分
各時代の農村・農民についての問題。
問4
一揆というものの内容や目的についてではなく、一揆という手段を選んだ理由を訊かれている。寄合や農民による自治など、農民の団結が強くなった時代背景があったことを考えてまとめればよいだろう。
問7
TPPの主要目的である「関税による貿易の妨げを取り除くこと」が、当然関係してくることがわかる。
問9
地球温暖化防止京都会議の時期を正確におぼえていれば、他の3つは迷わず並べられるだろう。
<時間配分目安:記述 各2分 その他30秒 計12分>
攻略のポイント
今年度は例年のような本校らしさが薄れ、平均的な社会の入試問題に近づいた印象である。
ただし、記述問題は単なる用語の説明ではなく、原因・理由を問うものが多いので、普段の学習でも意識しておいてほしい。
特別な難問が出されるわけではないので、テキスト・資料集・地図などで基本的事項をしっかりマスターしたうえで、特に最新のニュースに目を向けて、現実の社会に対する意識を高めるようにしたい。
なお、試験時間に余裕はないので、スピードも意識して練習しておくこと。また、例年は頻出であった地図やグラフが今年度は1点だけしか使われなかったが、当然準備はしておくべきであろう。
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