学習院女子中等科 入試対策
2018年度「学習院女子中等科の社会」
攻略のための学習方法
学習院女子中等科の社会の入試問題は、例年大問3~4つに総解答数40前後で構成されている。歴史・地理・政治経済がほぼ等分で出題されており、およそ各20点ずつバランスよく配点されているようである。
記号選択と用語記入、そして本校の特徴でもある1行記述が4~5問という解答形式で、全体の文章量は多くないので読むのに時間はかからないが、問題数は多いので30分で解くにはかなりのスピードが要る。
設問には大別して、
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
がある。
(1) 中学入試の基本的な知識を問われる問題
まず、(1)については確実に答えられるよう基本を押さえることである。
【地理】は、地勢と各地の産業といった分野がよく出されているので、基本事項に加えて、白地図・資料集で位置やデータの特徴も合わせて覚えてしまう。
【歴史】は、古代から現代まで広い範囲から出題されている。細かい年号までは訊かれないが、全体の流れをつかみ同時期に起こった出来事など関連づけておきたいので、年表などで整理しておく事。ここでも白地図で位置を確認しておきたい。また、歴史的に日本と関係のある地域・国についての質問もあるので、韓国・中国や南蛮とよばれた国々、アメリカやイギリスなどについて、世界地図も合わせて見ておくと良い。
【政治経済】は日本国憲法と政治のしくみを中心として習熟しておく。法律や選挙に関係した時事問題などの出題もあるので、普段から関心を持ってニュース等、見ておきたい。
いずれの分野もいわゆる難問奇問ではないので、基本をがっちり固めるという意識で日々の学習に取り組めばよいだろう。
(2) 知識についての理解(事件の背景や理由など)をもとに答える記述問題
(2)については、学習院女子の特長ともいえる問題で、得点に差が付く部分かも知れない。他校では見られないユニークな問いもあり、博物館の照明が暗くなっている理由〈H23年度〉や北海道の特ちょうにあった行政サービスの提案(H30年度)などの出題例がある。
このような問題に答えるためには、学校や塾で学ぶことだけでなく、普段から身の回りの出来事にも好奇心を持ち、「なぜそうなったのか」「そのことが他にどのような影響をおよぼすのか」というように考えを発展させられる思考力を養うことが大切である。
本校の短文記述には字数制限がないが、長文を書くスペースは無い(せいぜい20~30字程度)ので、解答欄に合わせて自分の考えをまとめられるよう練習しておこう。
そして、上記(1)(2)に対しての心構えとして、
「経済・国際・環境などの社会的な出来事に関心を持つ」ことが大事であることを付け加えておく。
学習院女子の問題は選択式にしろ記述式にしろ、上記のようなテーマに沿って出されることが多い。教科書やテキストの「勉強」だけでなく、「社会そのもの」にどれだけ関心を持って接しているかをテストを通じて問われているようである。
前年の出来事についてのやや難しい質問が出されたりするため、普段からニュースや新聞に目を通し、家庭でもわからないことを話し合ったり先生に質問したり・・・・・・そういった環境があれば大きなアドバンテージとなる。
言い換えると、そのような環境で育った女子を学習院は望んでいる。それが、学習院という伝統校の考えなのであろう。
基礎的事項は教材を最大限に活用して確実なものにしておく。その知識をもとに、社会で話題になった出来事について自分なりに少し深く考え、理解を深める。その繰り返しが本校の試験に求められる「思考力」を培うことになるのである。
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2018年度「学習院女子中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1・大問2と4・大問3がそれぞれ歴史・地理・現代社会の問題で、広い範囲から問題が作られている。解答数が49問と多く、短文とはいえ記述問題も6問ある。適語記入で書き込む問題も多く、時間に余裕はない。
記号選択・用語記入の問題はいわゆる難問ではないのでてきぱき解いてミスせずに得点源とし、記述問題は残りの時間でできるだけ答えるような心づもりで臨もう。
【大問1】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
いろいろな島を題材に、歴史上の人物や出来事について訊かれている。
問1 (2)法華宗は開祖の名を取って日蓮宗とも呼ばれ、「南無妙法蓮華経」という題目を唱えることを重要と
する。
(4)将軍が代替わりするたびに、朝鮮通信使が江戸に祝いに訪れた。
(6)沖ノ島(宗像大社沖津宮)は宗像三女神への信仰の中心とされ、「神宿る島」と呼ばれる。
問2 氷河期が終わるとともに大陸などの氷が溶け、海面が上昇したことで大陸と分断された。
問3 『風土記』――朝廷の命で国の由来や産物などをまとめた書物。
問5 大阪には発達した水路を利用した海運で全国から様々な物資が運び込まれ、商業の町として栄えた。蔵屋
敷では年貢米を売りさばいた。
問8 ポーツマス条約では樺太の南半分を日本が譲り受けた。
問9 ハワイの真珠湾を宣戦布告せずに襲った奇襲攻撃であった。
問10 小笠原諸島・硫黄島ではアメリカ軍との激戦が繰り広げられた。
問11 日本に駐留しているアメリカ軍が国連軍の主力として派兵され、大量の軍需物資が日本に発注されたこ
とから好景気となった。
<時間配分目安:10分>
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:5分
各地の農畜産物について。
問1 A.北海道・鹿児島・宮崎が含まれるので肉用牛。
B.青森・長野・山形でリンゴ。
C.北海道・新潟・秋田で水稲。
D.愛知・群馬・千葉でキャベツ。
E.鹿児島・茨城・千葉でさつまいも。
F.愛媛・和歌山・静岡でみかん。
G.熊本・北海道・茨城でトマト。
問2 (1)阿武隈川は福島県から宮城県に流れ、仙台平野で太平洋に注いでいる。
(2)利根川は群馬県から主に茨城県と千葉県の境を流れ、銚子市で太平洋にそそぐ。
(3)北上川を岩手県から宮城県へ流れて太平洋に注ぐ。
(4)長良川は木曽三川の1つで伊勢湾で海に注ぐ。
<時間配分目安:5分>
【大問3】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
ふるさと納税を話題に、地方自治のしくみなどについて訊かれている。
問1 (1)宮崎県都城市付近では宮崎牛というブランド牛の飼育が盛んである。
(4)住民税は、都道府県・市区町村が居住者に課す税で、地方税の一種である。
(7)その地域の特色を生かし、地元に根付いた産業を地場産業という。
問2 外交や司法は国の仕事である。
問3 内閣府にはそのときどきの政策の必要に応じて「特命担当大臣」が置かれることがある。金融担当大臣や
地方創成担当大臣などが置かれている。
問4 (2)北海道では夕張市の財政破綻や鉄道の赤字路線廃止など、都市部以外の地域で人口流出や高齢化など
を原因とする問題が起こっている。鉄道より経費を抑えた経営ができる路線バスの運行や、インターネッ
トを使った遠隔医療や電子カルテの共有などで自宅でも診療が受けられるサービスなどが考えられる。
問5 累進課税について説明すればよい。
<時間配分目安:10分>
【大問4】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:5分
瀬戸内海と北海道の島についての問題。
問1 小豆島は瀬戸内海で淡路島に次いで大きな島で香川県に属する。温暖少雨な気候を利用して、オリーブの
栽培が盛んである。手延べそうめんも有名である。
問2 国後島は北方4島の中で択捉島についで2番目に大きい島である。地図中には根室港があり、さんま・サ
ケ・マスやホタテ貝・こんぶ・うになどの水揚げが多い。
<時間配分目安:5分>
攻略のポイント
30分という時間に対して、書き込みが多い49問の問題数はやはり多い。幸い、問題の難易度自体は難問というほどではない。通常、漢字指定されるような問題もひらがなでもよいとされている。まずは記述以外の問題をてきぱき解き進めて点を稼ごう。
60点という配点から考えても記述問題の配点は低めである。とはいえ五分の一ほどは記述問題の配点であるし、知識だけで答えられる問題も多いので、記述問題もひととおり手をつけられるよう、スピードは十分につけておきたい。
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