学習院中等科 入試対策
2024年度「学習院中等科の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問2つに小説の読解と論説文の読解、そこに漢字の書き取りが含まれるという形が定型となっている。接続詞や四字熟語など、ことばの知識も数問織り交ぜられている。文量は9000~10000字程度。総解答数は30~35問ほど。設問は選択肢・書き抜き・穴埋め・記述など。記述問題は計6問ほど出されている。
長文読解
素材文は受験生の年齢を考慮した理解しやすい内容のものが多い。漢字に読みが示されている場合もあり、難易度を適切に設定している印象である。それだけに、大事な質問は記述問題になっている場合が多い。
小説なら人物の心情や物語のあらすじ・テーマ、論説文なら要点や要旨などが記述問題で訊かれる。「この物語はどんな物語か。」「筆者の主張は何か」ということを40~80字程度でまとめる問題が毎年出されている。正解を自分のことばで書く必要があるので、確かな読解力が必要である。それぞれの文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
・物語・小説
登場人物の整理――名前・人数・それぞれの性格・互いの関係などを確認する。登場人物の人数を訊く問題が出されることもある。祖父母や孫など人物が多くなると関係がわかりにくくなる場合もある。同じ気持でも性格が違えば行動も異なる。注意しよう。
場面分け――場面の変わり目に注意。時間・場所・人物の入出などで場面の変化をチェックする。それぞれがどんな場面なのかを考えておくと、あとで全体を見渡してテーマを考えるときに役立つ。場面の変わり目自体を訊く問題も見られる。
心情把握――人物の言動・表情・情景などから気持ちを考える。その際にはこれまでの人生経験や読書経験が役に立つ。人生経験はともかく、読書経験は自分の努力しだいで増やすことができる。多くの小説を読み、様々な登場人物に触れておくことが何よりの実力アップの手段となる。
テーマの把握――誰のどんなことを描いた話なのか。本校では「○○が××する物語」という形であらすじを訊かれることが多い。全体を短く的確にまとめる必要がある。
・説明文・論説文
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落には内容を短くまとめて小見出しをつけておくと、段落のつながりや要旨を考える際に役立つ。
要点と細部の区別――段落で最も大事な1文には傍線などで目印をつけてしまう。それ以外の細部には要点の捕捉や言い換えなどが含まれる場合が多い。書き抜きや記述問題で訊かれることが多いだろう。
要約と要旨――要旨をつなげて要約を作る。そのなかで筆者のもっとも言いたいことが要旨・結論である。本校では記述問題でまさに要旨が訊かれるので、説明的文章を読むときには要旨を70~80字程度でまとめる練習をしておこう。
大事なことは記述問題で訊かれるという本校の特徴を踏まえて、心情や要旨を言葉で書いてまとめる練習を重ねることが重要である。
漢字・ことばの知識
漢字の書き取りが15~16問出題されている。特別な難問ではないので、標準~中級の漢字教材をしっかり仕上げておけば得点できる。ことばの知識も数問出されている。持っている教材をひととおりこなしておこう。
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2024年度「学習院中等科の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説が約4000字・論説的随筆文が約4500字の計8500字ほどで総解答数は26問。問題数は多くないので読むスピードが遅すぎなければ時間は足りるだろう。記述問題が長短合わせて計6問あるので、15分ほどはかかると見ておきたい。
漢字以外のことばの知識などは数問ほどと少ない。読解の正確さとスピードを意識して訓練しよう。
【大問一】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
① 救(う) ② 胃腸 ③ 備(える) ④ 導入 ⑤ 均等
⑥ 傷口 ⑦ 演劇 ⑧ 秘密 ⑨ 創立 ⑩ 誕生日
【大問二】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:23分
- ★必答問題
ウイルスを取り巻く現状に振り回された主人公は、幼なじみのサエコに今まで言えなかった弱音を話すことで心を通わせる。
問一 サエコが謝ろうとしている内容に心当たりはあったが、謝られる理由があるとは思っていず、むしろお礼を言いたいと思っているくらいである。
問二 ごめんと「頭」を下げた。
問三 卒業式でもマスクをするというサエコに対して、主人公は「一人でも?」と周囲の目を気にしている様子である。そんな主人公に自分の考えはよくわからないのだろうと寂しそうな笑顔のなったのだと考えられる。
問四 落ち込んだ様子の主人公を「フォロー」するように「前歯のワイヤーを見せたくない」とサエコが言ったのは、主人公に対する気遣いである。
問五 前歯のワイヤーを見てみたいと思ったことを主人公は「エッチなこと」と考えている。相手が男子だったらそうは思わないであろうから、これはサエコを女性として意識してしまった結果である。
問六 マスク・ウイルスのことも言っているが、特に「未来」のことを考えると苦しくなるということが弱音の核心であろう。
問七 真剣な心情の吐露のあとのなにげない普通の会話が主人公の心をほぐしたのである。
問八 主人公はウイルスやマスクをめぐる社会の混乱に振り回され、未来に対して不安を感じていた。そんな弱音を好意をもっていたサエコに打ち明けたことで、心が通いあった、というストーリになっている。
【大問三】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:24分
現代人には「狩猟採集時代」の性質が残っており、平等性・協調性といった今では時代遅れの名残が残っているのだが、そうした性質を可能にした「共感能力」はますます強化されてきているようである。
問一 狩猟採集社会で大事なのは平等性であることを指摘し、「もし、獲物をしとめた人だけが食べ物にありつけるとしたらどうなるでしょうか」という仮定を提示している。この仮定を受けて「そんな社会は……」と話を続けているのである。
問二 次段落に「偉ぶってしまって嫌われてしまったら……助けてもらえないかもしれない」と嫌われないことが大事であると述べられている。
問三 狩猟生活にとって大事な平等性を維持するために、偉ぶって仲間から嫌われたり仲間外れにされたりしないようにするという「狩猟生活の心」の名残が現代人にもあるため、我々も協調性を重んじるのである。
問四 かつては生きるのに必要だった本能的な悩みは、進化した社会においては学習してその由来を知れば理性で逆らうことができると述べられている。
問五 二段落後で、悩む必要がないと「理性」が判断すればそんな悩みは無視できると書いてあり、「理性」で本能に逆らうことができると示されている。
問六 「共感能力」は他人の気持ちになって考えられることであり、それが近年では人間以外の動物まで強化・拡大されているのであるから、「どんどんやさしく」なっているわけである。
問七 直前の、「人を殺すことはもちろん、人間以外の人間とよく似た動物を殺すことにも抵抗感を持ち始めている」と述べている部分を指している。
問八 人間の「共感能力」はますます強化されてきており、他の動物へも「共感」の範囲を広げつつあるのである。
攻略のポイント
小説のあらすじやテーマ・論説文の要点や要旨などの重要点が記述問題で訊かれている。普段から自分の読んだ文章について、重要点を短くまとめる練習をしておこう。1行ほどの短文記述もあるので、そちらも対策して慣れておくこと。その他の選択肢問題や書き抜き問題は答えやすい問題が多い。読解力が適切にあれば得点できるだろう。
漢字の書き取りも15問ほど出される。全問正解で点を積み上げたうえで、読解問題でさらなる得点を目指そう。
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