学習院中等科 入試対策
2019年度「学習院中等科の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問2つに小説の読解と論説文の読解、そこに漢字の書き取りが含まれるという形が定型となっている。接続詞や四字熟語など、ことばの知識も数問織り交ぜられている。文量は9000~10000字程度。総解答数は30~35問ほど。設問は選択肢・書き抜き・穴埋め・記述など。記述問題は計6問ほど出されている。
長文読解
素材文は受験生の年齢を考慮した理解しやすい内容のものが多い。漢字に読みが示されている場合もあり、難易度を適切に設定している印象である。それだけに、大事な質問は記述問題になっている場合が多い。
小説なら人物の心情や物語のあらすじ・テーマ、論説文なら要点や要旨などが記述問題で訊かれる。「この物語はどんな物語か。」「筆者の主張は何か」ということを40~80字程度でまとめる問題が毎年出されている。正解を自分のことばで書く必要があるので、確かな読解力が必要である。それぞれの文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
・物語・小説
登場人物の整理――名前・人数・それぞれの性格・互いの関係などを確認する。登場人物の人数を訊く問題が出されることもある。祖父母や孫など人物が多くなると関係がわかりにくくなる場合もある。同じ気持でも性格が違えば行動も異なる。注意しよう。
場面分け――場面の変わり目に注意。時間・場所・人物の入出などで場面の変化をチェックする。それぞれがどんな場面なのかを考えておくと、あとで全体を見渡してテーマを考えるときに役立つ。場面の変わり目自体を訊く問題も見られる。
心情把握――人物の言動・表情・情景などから気持ちを考える。その際にはこれまでの人生経験や読書経験が役に立つ。人生経験はともかく、読書経験は自分の努力しだいで増やすことができる。多くの小説を読み、様々な登場人物に触れておくことが何よりの実力アップの手段となる。
テーマの把握――誰のどんなことを描いた話なのか。本校では「○○が××する物語」という形であらすじを訊かれることが多い。全体を短く的確にまとめる必要がある。
・説明文・論説文
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落には内容を短くまとめて小見出しをつけておくと、段落のつながりや要旨を考える際に役立つ。
要点と細部の区別――段落で最も大事な1文には傍線などで目印をつけてしまう。それ以外の細部には要点の捕捉や言い換えなどが含まれる場合が多い。書き抜きや記述問題で訊かれることが多いだろう。
要約と要旨――要旨をつなげて要約を作る。そのなかで筆者のもっとも言いたいことが要旨・結論である。本校では記述問題でまさに要旨が訊かれるので、説明的文章を読むときには要旨を70~80字程度でまとめる練習をしておこう。
大事なことは記述問題で訊かれるという本校の特徴を踏まえて、心情や要旨を言葉で書いてまとめる練習を重ねることが重要である。
漢字・ことばの知識
漢字の書き取りが15~16問出題されている。特別な難問ではないので、標準~中級の漢字教材をしっかり仕上げておけば得点できる。ことばの知識も数問出されている。持っている教材をひととおりこなしておこう。
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2019年度「学習院中等科の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説が約6300字・論説的随筆文が約2800字の計9100字ほどで総解答数は29問。問題数は多くないので読むスピードが遅すぎなければ時間は足りるだろう。記述問題が計6問あるので、15~18分程度はかかると見ておきたい。
漢字以外のことばの知識などは数問ほどと少ない。読解の正確さとスピードを意識して訓練しよう。
【大問1】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
① 出納――金品の出し入れ。読みでもよく出題される。平安時代の役職を意味する場合は「しゅつのう」と読む。
⑦ 雑木林――読みでも出題される。
【大問2】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
- ★必答問題
草太の妹への愛情や陸上競技への情熱に触れ、主人公は恋心を抱く。
問一 兄に忘れ物を届けたいが場所がわからないという状況である。
問二 当然学校で水を用意してあるだろうと思い至らなかったことと、息がきれるほど全力で走ってきた必死さに対しての気持ち。
問三 「上田はそんなんじゃないってわかってるのに」という言葉に注目。親切で傘を貸してくれたのだとわかっていたのに「同情するな」と言ってしまった自分の行動を、そうではなかったのだと説明したいのである。
問五 この後でためらいながらお願いしている内容を見る。妹の香純と姉妹のように仲良くしてほしいと頼んでいる。
問六 「それで……」と言い淀んでいる様子から、お願いをなかなかうまく言い出せないでいることが読み取れる。その後、「思い切ったように一気に」話している。
問八・問九 草太のレースなのに自分のことのようにドキドキしている。また、傍線部少し前の「私はそんな草太が――」と自分の気持ちを意識していたり、そんな気持ちを抑えられずに息が上がるほど走ったりなど、草太に恋をしていることが読み取れる。妹を大事に思う優しさや、陸上競技に真剣に取り組んでいる姿に、心を惹かれていったのであろう。
【大問3】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
一部の経済的強者が資源やエネルギーを独占的に消費してしまうことが紛争などのリスクを高めると指摘し、安全かつクリーンなエネルギー消費を目指すべきだと主張している。
問一 時代が進めば格差が小さくなるはずだと考えれば「けれども」、格差は大きくなると予想していれば「そして」が入りそうである。格差が小さくなることが理想であるし、次の文で「そして」が使われているので、ここは「けれども」が入る。
問二 前者・後者と考えれば、後者は直前の「ヨーロッパ王侯貴族・資本家たち」、前者は少し前の「現代の富裕層」のことを指している。ごく一部の人間が弱者から搾取するという構図が似ているという点を書けばよい。
問三 「ヨーロッパ・アフリカ」の例で、「便利で快適な生活を送るため」とあるのでここが使える。
問四 イ. 資源・エネルギーの地産地消を目指すべきだと言っているので×。
オ. 大量生産・大量消費・大量廃棄の経済を批判しているので×。
問五 方策が無く、どうしていいかわからない状態。
問六 現実にはどうであるかが波線直前に書かれている。「鉱物資源やエネルギーがアフリカなどで紛争の要因になっている」「それらから生産されるモノやサービスをぼくらが消費している」とある。その逆の「選択」をすれば、紛争を防げるかもしれないのである。
問七 「みなさんに知っておいてほしい事実があります」と言っている、その事実のことである。直後の「私たちが~なっていない」までを指している。
問八 自給率を上げるには、自分の暮らす地域で作ったものを自分たちで使う=地産地消すればよい。
攻略のポイント
小説のあらすじやテーマ・論説文の要点や要旨などの重要点が記述問題で訊かれている。普段から自分の読んだ文章について、重要点を短くまとめる練習をしておこう。1行ほどの短文記述もあるので、そちらも対策して慣れておくこと。その他の選択肢問題や書き抜き問題は答えやすい問題が多い。読解力が適切にあれば得点できるだろう。
漢字の書き取りも15問ほど出される。全問正解で点を積み上げたうえで、読解問題でさらなる得点を目指そう。
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