学習院中等科 入試対策
2021年度「学習院中等科の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問2つに小説の読解と論説文の読解、そこに漢字の書き取りが含まれるという形が定型となっている。接続詞や四字熟語など、ことばの知識も数問織り交ぜられている。文量は9000~10000字程度。総解答数は30~35問ほど。設問は選択肢・書き抜き・穴埋め・記述など。記述問題は計6問ほど出されている。
長文読解
素材文は受験生の年齢を考慮した理解しやすい内容のものが多い。漢字に読みが示されている場合もあり、難易度を適切に設定している印象である。それだけに、大事な質問は記述問題になっている場合が多い。
小説なら人物の心情や物語のあらすじ・テーマ、論説文なら要点や要旨などが記述問題で訊かれる。「この物語はどんな物語か。」「筆者の主張は何か」ということを40~80字程度でまとめる問題が毎年出されている。正解を自分のことばで書く必要があるので、確かな読解力が必要である。それぞれの文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
・物語・小説
登場人物の整理――名前・人数・それぞれの性格・互いの関係などを確認する。登場人物の人数を訊く問題が出されることもある。祖父母や孫など人物が多くなると関係がわかりにくくなる場合もある。同じ気持でも性格が違えば行動も異なる。注意しよう。
場面分け――場面の変わり目に注意。時間・場所・人物の入出などで場面の変化をチェックする。それぞれがどんな場面なのかを考えておくと、あとで全体を見渡してテーマを考えるときに役立つ。場面の変わり目自体を訊く問題も見られる。
心情把握――人物の言動・表情・情景などから気持ちを考える。その際にはこれまでの人生経験や読書経験が役に立つ。人生経験はともかく、読書経験は自分の努力しだいで増やすことができる。多くの小説を読み、様々な登場人物に触れておくことが何よりの実力アップの手段となる。
テーマの把握――誰のどんなことを描いた話なのか。本校では「○○が××する物語」という形であらすじを訊かれることが多い。全体を短く的確にまとめる必要がある。
・説明文・論説文
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落には内容を短くまとめて小見出しをつけておくと、段落のつながりや要旨を考える際に役立つ。
要点と細部の区別――段落で最も大事な1文には傍線などで目印をつけてしまう。それ以外の細部には要点の捕捉や言い換えなどが含まれる場合が多い。書き抜きや記述問題で訊かれることが多いだろう。
要約と要旨――要旨をつなげて要約を作る。そのなかで筆者のもっとも言いたいことが要旨・結論である。本校では記述問題でまさに要旨が訊かれるので、説明的文章を読むときには要旨を70~80字程度でまとめる練習をしておこう。
大事なことは記述問題で訊かれるという本校の特徴を踏まえて、心情や要旨を言葉で書いてまとめる練習を重ねることが重要である。
漢字・ことばの知識
漢字の書き取りが15~16問出題されている。特別な難問ではないので、標準~中級の漢字教材をしっかり仕上げておけば得点できる。ことばの知識も数問出されている。持っている教材をひととおりこなしておこう。
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2021年度「学習院中等科の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説が約6100字・論説的随筆文が約4300字の計10400字ほどで総解答数は27問。問題数は多くないので読むスピードが遅すぎなければ時間は足りるだろう。記述問題が長短合わせて計7問あるので、20分ほどはかかると見ておきたい。
漢字以外のことばの知識などは数問ほどと少ない。読解の正確さとスピードを意識して訓練しよう。
【大問1】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
③ 任(せる)
④ 輸血
⑥ 厳(しい)
⑦ 模型
⑨ 加盟――団体や組織に加わること。
⑩ 臨時――決められた時ではなく、その時々の事情に応じて行うこと。
【大問2】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
主人公は、小学生の時からずっと一緒だった行人から山村留学に来た理由を打ち明けられ、
本当は苦しんでいたのだと知らされる。
問一 話そうとした内容は行人にとって言いづらいことだったので、打ち明けるのに勇気が必要だった。自分が不登校で苦しみ、逃げるように山村留学してきたことを満希に話すのには、「決意」が必要だったのである。
問二 傍線(2)はテーブルの天板を押す行人の手の様子である。辛い過去を告白しているので、話を続けるのに体に力が入ってしまうのであろう。
問三 行人とは小学生のときからずっと一緒だった。それまで満希が知っていた行人は、成績もよく言葉遣いも丁寧で誰にでも優しくできるよくできた生徒だった。そんな行人が不登校に苦しみ、逃げるように山村にやってきたのだということを打ち明けられ、想像もできなかった行人の過去に現在との「隔たり」を感じてしまった。
問四 少し遠いので探しづらいが、文章最後部の満希の独白の部分にある。「ありったけの力を振り絞ってここに逃げてきたんでしょ」は【A】の行人の言葉を受けているのだと考えられる。
問五 似たような選択肢がいくつもあって選びきれない状態で、「決定的」なものがないということである。
問六 自分を責め不登校になるほど心身が辛かったのに、誰にも話さずひたすら耐えていた。満希はそんな行人を「戦ってた。ひとりきりで。」と慮(おもんばか)っている。
問七 人の気持ちに敏感すぎるがゆえに、じぶんが悪いわけでもないのに自分を責めて辛い思いを抱えて山村留学に来た。ぎりぎりの状態なのに強がり我慢して自分にまで愛想よくしてきた行人に対して、どうしてそこまで無理をするのかと親友ゆえの怒りを吐露している。いつも一緒にいた自分に対しては頑張りすぎずに本音をさらけ出して欲しかったという意味で、そんな行人の我慢しすぎな部分に怒っているのである。
問八 あらすじということである。字数的に二文くらいの区切りでまとめるのがよいだろう。話の中心はそれまでは気づかなかった行人のつらい心情を主人公が知ったということである。きっかけは山村に来た理由を行人が打ち明けたことである。以上の二点をまとめれば字数もちょうどよくなるだろう。
【大問3】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:24分
生物が「遺伝的多様性」を持ちその個性が生き残るための戦略であるように、人間の性格や特徴に個性があるのもそれだけで価値があるのであり、どれが優れているということではないのだと説明している。
問一 思うようにいかない例として挙げられているのは、種を播いても芽が出ない(ア)・出たとしても時期がばらばらである(エ)・早く出たほうが有利であると思われるのにどうしてゆっくり芽を出すものがいるのか(イ)、である。
問二 直後のオナモミの例から、時期がずれたほうが生き残る可能性が高くなるという理由をおさえる。ただし、訊かれているのは「のんびり屋がいる理由」であるから、「遅く芽が出たほうが有利な場合があるから」のようにまとめる。
問四 芽吹きの早い・遅いは個性であり、どちらも存在することが大事であると言っているので、アがよい。
問五 前段落で述べられている。時期がバラバラに咲いたほうがその時の環境にあった個体が生き残り、種としての生存の可能性が高まるのである。
問六 「個性」もいいが、字数が足りないので同じ意味で使われている「多様性」を抜き出す。
問八 植物の話から人間の話へと共通点をつなげている流れをしっかり書く。雑草がバラバラに咲くのは「遺伝的多様性」という戦略であり、個性があるからこそ生き延びられる可能性が高まる。人間の性格や特徴に個性があるのもそれと同じで、どちらが良い・悪いということではなく、さまざまに違いがあること自体に価値があるのだ、と筆者は述べている。
攻略のポイント
小説のあらすじやテーマ・論説文の要点や要旨などの重要点が記述問題で訊かれている。普段から自分の読んだ文章について、重要点を短くまとめる練習をしておこう。1行ほどの短文記述もあるので、そちらも対策して慣れておくこと。その他の選択肢問題や書き抜き問題は答えやすい問題が多い。読解力が適切にあれば得点できるだろう。
漢字の書き取りも15問ほど出される。全問正解で点を積み上げたうえで、読解問題でさらなる得点を目指そう。
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