学習院中等科 入試対策
2022年度「学習院中等科の国語」
攻略のための学習方法
問題構成
大問2つに小説の読解と論説文の読解、そこに漢字の書き取りが含まれるという形が定型となっている。接続詞や四字熟語など、ことばの知識も数問織り交ぜられている。文量は9000~10000字程度。総解答数は30~35問ほど。設問は選択肢・書き抜き・穴埋め・記述など。記述問題は計6問ほど出されている。
長文読解
素材文は受験生の年齢を考慮した理解しやすい内容のものが多い。漢字に読みが示されている場合もあり、難易度を適切に設定している印象である。それだけに、大事な質問は記述問題になっている場合が多い。
小説なら人物の心情や物語のあらすじ・テーマ、論説文なら要点や要旨などが記述問題で訊かれる。「この物語はどんな物語か。」「筆者の主張は何か」ということを40~80字程度でまとめる問題が毎年出されている。正解を自分のことばで書く必要があるので、確かな読解力が必要である。それぞれの文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
・物語・小説
登場人物の整理――名前・人数・それぞれの性格・互いの関係などを確認する。登場人物の人数を訊く問題が出されることもある。祖父母や孫など人物が多くなると関係がわかりにくくなる場合もある。同じ気持でも性格が違えば行動も異なる。注意しよう。
場面分け――場面の変わり目に注意。時間・場所・人物の入出などで場面の変化をチェックする。それぞれがどんな場面なのかを考えておくと、あとで全体を見渡してテーマを考えるときに役立つ。場面の変わり目自体を訊く問題も見られる。
心情把握――人物の言動・表情・情景などから気持ちを考える。その際にはこれまでの人生経験や読書経験が役に立つ。人生経験はともかく、読書経験は自分の努力しだいで増やすことができる。多くの小説を読み、様々な登場人物に触れておくことが何よりの実力アップの手段となる。
テーマの把握――誰のどんなことを描いた話なのか。本校では「○○が××する物語」という形であらすじを訊かれることが多い。全体を短く的確にまとめる必要がある。
・説明文・論説文
段落の整理――形式段落を意味段落にまとめる。意味段落には内容を短くまとめて小見出しをつけておくと、段落のつながりや要旨を考える際に役立つ。
要点と細部の区別――段落で最も大事な1文には傍線などで目印をつけてしまう。それ以外の細部には要点の捕捉や言い換えなどが含まれる場合が多い。書き抜きや記述問題で訊かれることが多いだろう。
要約と要旨――要旨をつなげて要約を作る。そのなかで筆者のもっとも言いたいことが要旨・結論である。本校では記述問題でまさに要旨が訊かれるので、説明的文章を読むときには要旨を70~80字程度でまとめる練習をしておこう。
大事なことは記述問題で訊かれるという本校の特徴を踏まえて、心情や要旨を言葉で書いてまとめる練習を重ねることが重要である。
漢字・ことばの知識
漢字の書き取りが15~16問出題されている。特別な難問ではないので、標準~中級の漢字教材をしっかり仕上げておけば得点できる。ことばの知識も数問出されている。持っている教材をひととおりこなしておこう。
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2022年度「学習院中等科の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説が約5600字・論説的随筆文が約4400字の計10000字ほどで総解答数は27問。問題数は多くないので読むスピードが遅すぎなければ時間は足りるだろう。記述問題が長短合わせて計7問あるので、20分ほどはかかると見ておきたい。
漢字以外のことばの知識などは数問ほどと少ない。読解の正確さとスピードを意識して訓練しよう。
【大問一】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
① 芽
② 敬老
③ 豊(か)
④ 軽減
⑤ 所属
⑥ 傷(める)
⑦ 人権
⑧ 資源
⑨ 対策
⑩ 四捨(五入)
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:25分
- ★必答問題
「テツヨン」はずっと続く友達四人組だと思っていた主人公は、成長し離れていく仲間たちの考えに傷つき、自ら関係を壊すような言動をとってしまう。
問一 そのあとの旬の発言をたどってみる。「話すこともないし、時間の無駄」「興味のあることが違う、話も合わない」など、話が合わないなら無理に集まる必要はないと考えていることがわかる。
問二 A. 大樹の話し方が元に戻ったので、変わっていないと思って「ホッとした」。
B, 大樹の小ばかにしたような言い方に「カチンときた」。
問三 直前の「幼稚園のときの泥んこ遊び」のことである。今さら小さい頃の遊びなどしたくないだろうという例えとして挙げている。
問四 年を経て成長すれば今までと同じようにはいかないと、これまでの「テツヨン」
を否定するような発言になっている。
問五 「テツヨン」が崩れてしまうことを主人公は恐れている。
問六 自分たちは「友達」なのであって、「親戚」のような遠い結びつきの関係ではない、と主人公は憤っている。
問七 「テツヨン」はこれからもずっと続く四人のつながりだと思っていたが、他の三人は精神的に大人になりつつあり、「テツヨン」から離れようとしている。悲しくてたまらないのだが、自分だけ古い関係にしがみついている恥ずかしさも感じ、「弱みを見せるのは、きらい」なので無理に強がって、自ら関係を崩すような行動をとってしまった。大事に思っていたからなおさら、心の傷を隠すような過激な態度に出てしまったのだろう。
問八 あらすじを1行程度でまとめるということである。皆の気持ちが「テツヨン」から離れていくことを感じ、本心とは裏腹に自ら関係を壊してしまった、というストーリーである。
【大問三】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
人は言葉を通してものを考えるので、言葉を鍛えることで自らの気持ちをよく理解し、自分だけの感じ方も見えるようになり、相手に対してもうまく表現できるようになるのである。
問一 まず次の段落で「それは、自分の気持ちがわからないから」であると述べている。なぜそうなるかというと「人間は言葉を通してものを考え」るので「自分の言葉が確立されていないと、心もぼやける」からだと話が続いている。次に言葉を武器に例えて、言葉を鍛えることで自分の心を考える手掛かりになる、と書いている。つまり、筆者はこのような鍛錬が足りなかったため、自分の気持ちや考えをはっきりととらえられなかったのである。
問二 Aを言い換えたのが直後の「人間は、言葉を通してものごとを考える」であるから、選択肢イが合う。
問三 続く数段落で、言葉を鍛えておかないと自分の心の正体もとらえられないと述べられていることから、選択肢エがよい。
問四 「むかつく」ひとつをとっても、似ているが微妙に異なる表現がたくさんあり、そのような言葉を多く知ることで自分の気持ちを考える手助けになり、それが心を育ててくれるのである、と筆者は述べている。
問五 『枕草子』を例にとって、抽象的な言葉も具体的なものと結びつければ自分だけの表現になると筆者は書いている。そして自分だけの感じ方が見えてきて、それをどう描くかという(話者の)表現力が鍛えられ、そのように発せられた「言葉」は他者に対して「説得力」を持つのである。
問六 揶揄――からかって面白おかしく扱うこと。
問七 逆に、言葉を多く知り鍛えることで抽象的な言葉も「自分だけの表現」になるのだ、と後に書かれている。楽な言葉ばかり使っていると、「自分だけの表現」ができなくなるのである。
問八 「抽象的な言葉も具体的なものと結び付ければ自分だけの表現になる」「自分だけの感じ方が見えてきて、表現力が鍛えられる」、そのよい例が清少納言の『枕草子』なのである。
攻略のポイント
小説のあらすじやテーマ・論説文の要点や要旨などの重要点が記述問題で訊かれている。普段から自分の読んだ文章について、重要点を短くまとめる練習をしておこう。1行ほどの短文記述もあるので、そちらも対策して慣れておくこと。その他の選択肢問題や書き抜き問題は答えやすい問題が多い。読解力が適切にあれば得点できるだろう。
漢字の書き取りも15問ほど出される。全問正解で点を積み上げたうえで、読解問題でさらなる得点を目指そう。
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