学習院中等科 入試対策
2018年度「学習院中等科の理科」
攻略のための学習方法
学習院中等科の理科の出題は、塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能な問題が中心で、標準的な知識問題と計算問題が並んでいる。さらに、時事問題は毎年必ず出題されている。分野毎の学習方法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
【生物分野】 本年はヒマワリの育ち方に関する出題であった。ここ数年の出題を見ると、動物のからだのつくりや生態について、昆虫についてなどの出題が見られた。例年、長めのリード文を読んで答える問題が中心であったが、今年度は解きやすい問題のつくりに変わっている。この分野の学習法として、植物については、光合成、呼吸などの基本的な知識を身につけておきたい。また、昆虫については、チョウ、セミ、バッタ、トンボといったような代表的な昆虫のからだのつくり、食べ物、冬越しの方法といった基本知識を確実に覚えて欲しい。動物の分類やセキツイ動物に関してもしっかり知識を整理しておきたい。
【地学分野】 本年度は日食に関する出題であった。ここ数年を見ると、台風、大陸の移動、化石などから出題されている。今後も、季節の星座や星の動き・太陽の動き・月の満ち欠けなど天体に関しての出題を中心に、気温の変化・台風など気象に関する出題、地層や岩石に関する出題が予想される。この分野においても、基本知識を確実に覚えることが大切である。天体については、現象の理屈を理解した上で覚えて欲しい。
【物理分野】 本年はコンデンサー・発光ダイオードを中心とした電気回路に関する出題であった。ここ数年では、物の運動や浮力など力のつり合いに関して出題されている。特に、浮力に関する出題が非常に多い。今後も力のつりあい、電気回路を中心とした出題が予想される。この分野の学習法としては、力のつり合いに関しては基本知識を固めるとともに、てこのつり合いや浮力等の計算問題の練習をしっかり行って欲しい。電気回路については、豆電球の明るさを中心に、発光ダイオード(LED)、手回し発電機、電磁石、方位磁針の振れ、電熱線の発熱についても基本的な問題は確実に解けるように練習して欲しい。
【化学分野】 本年度はものの溶け方と熱量に関する出題であった。ここ数年では、水溶液の性質、水の三態変化などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、水溶液と金属の反応、金属の燃焼、溶解度、熱量(カロリー計算)等に関しては簡単な計算問題が解けるように練習して頂きたい。
上記以外では、時事問題が毎年必ず出題されている。ニュースになっている化学的発見や発明、日食や月食等の天体現象、地震や台風など自然現象について、時事問題対策用のテキストや問題集を使って対策をしっかり行って欲しい。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
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2018年度「学習院中等科の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問4題と時事問題の小問集合で、小問数が25題で程度あった。
試験時間は40分で80点満点、例年通りであった。例年、合格者の平均点は6割~7割程度である。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題が中心であるが、記述問題も何題か見られた。試験時間が40分あるので、慌てることなくできる問題から解答用紙を埋めていくことを心がけて欲しい。
【大問1】時事問題 小問集合
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
① 千葉県で市原市の地層がその時代を代表する地層と認められた場合、時代名は「チバニアン」と命名される。
② 熊本大学のグループは、ES細胞から培養される2種類の細胞からじん臓の細胞を再現することに成功したと発表した。
③ 産業技術研究所は「キログラム」の基準の改定に向けて大きく貢献した。
④ 衛星「みちびき」の利用目的は、カーナビゲーション等である。
時事問題の小問集合であるが、やや細かい内容を含んでおり、事前の対策が必要と思われる。気象や地震など自然現象、科学技術、ノーベル賞、等に気を配って欲しい。
【大問2】化学 ものの溶け方・熱量
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 表より、20℃の水100gには塩は35.9g溶ける。水が350gの時は、35.9×3.5より、125.65gまで溶ける。従って、130g加えた塩のうち、4.35gが溶け残る。
問2 表より、70℃の水100gには塩が37.5g溶けるので、水が200gの時は、37.5×2より、75gの塩が溶ける。
問3 50℃の水200gには、36.7×2より73.4gの塩が溶けるので、75-73.4より、1.6gの塩が溶けきれずに結晶となる。
問4 温度の高いビーカーBの水の熱が、温度の低いビーカーAに移ったと考えられる。
問5 「水の重さ×温度変化」が移動する熱量である。
500×(40-20)より10000カロリーの熱がビーカーBからビーカーAに移った。
10000÷200よりビーカーBの中の水の温度変化は50℃。40+50よりビーカーBの水温は90℃であった。
問6 2つのビーカーの温度差が大きい時ほど、温度の変化の仕方が大きくなる。
溶解度をもとにして考えるものの溶け方に関する問題と、水の温度変化と熱量に関する出題。
標準レベルの問題で、ここでの正答率が今回の入試の大きなポイントとなる。
ここでの正答率が低い場合は、溶解度・ものの溶け方に関する演習と、熱量(カロリーの計算)
に関する演習をさらに積み重ねて欲しい。
【大問3】物理 電気回路
- 難度:標準
- 時間配分:8分
問1 乾電池に対して発光ダイオードとコンデンサーを並列につなぐ。この時、電池の+を発光ダイオードとコンデンサーの+端子につなぐ。このように接続すると、電池を外した時にコンデンサーに蓄えられた電気が発光ダイオードに流れ、発光ダイオードは点灯したままになる。
問2 マンションなどにある非常灯は、停電時に蓄えられていた電気を用いている。
問3 ○×選択問題。電池から流れる電流で発光ダイオードが点灯する場合と、電池からコンデンサーに蓄えられた電気によって発光ダイオードが点灯する場合が考えられる。
発光ダイオード、コンデンサーを接続した電気回路に関する出題。豆電球だけでなく、発光ダイオード(LED)やコンデンサーに関する出題が各校で増えてきており、これもその傾向を示す1題。
【大問4】生物 ヒマワリの育ち方
- 難度:標準
- 時間配分:7分
問1 ヒマワリの発芽に適した温度が20℃~25℃なので、4月~5月に種をまくのが適している。
問2 ヒマワリの根の長さを考えると、表面から35cmほどまで土を耕せばよい。
問3 発芽しない種もあるので、普通は2~3粒ずつまく。
問4 本場が生えたら、最もよく成長しているもの以外は根元付近で切って間引く。また、水まきは少し水がたまる程度に行う。
問5 日陰のひまわりは光を求めて茎の背丈が高くなる。また、日なたのひまわりは、太く丈夫な茎になる。
ヒマワリをテーマにした植物の成長に関する出題。種のまき方、土の耕し方など やや細かい知識も含まれる。
【大問5】地学 日食
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 部分日食、皆既日食、金環日食を写真で判別する問題。皆既日食では太陽の周りにコロナが見られる。
問2 太陽と月の見かけの大きさはほぼ同じなので、地球~月に距離:地球:太陽の距離=月の直径:太陽の直径になればよい。
問3 地球から太陽までの距離は、地球から月までの距離の400倍なので、38万×400を計算すればよい。
問4 日食は新月の日に起こる可能性がある。
問5 地球の公転軌道と月の公転軌道が異なるので、新月の日に必ずしも日食にはならない。
問6 月の公転軌道は完全な円ではないので、地球と月の間の距離は一定ではない。このために、皆既日食になる場合もあれば金環日食になる場合もある。
日食を中心とした天体に関する出題。いずれも基本知識を問う問題であり、問5・問6の記述問題も入試で頻繁に問われる内容である。ここで得点できなかった場合は、日食に関する知識だけでなく、太陽・月に関する基本知識を整理するとともに、月の動き、月の満ち欠け、月食等についても知識の整理をしっかり行って欲しい。
攻略のポイント
今年度の出題は時事問題を集めた小問集合と大問が4題であった。各分野から出題された大問4題はいずれも塾のテキストや問題集の問題と同等レベルであった。計算を必要とする問題や記述問題もあったが、難問は見られなかった。逆に、時事問題はやや細かい内容も見られ、事前に対策を立てた受験生とそうでない受験生で正答率に差があるものと思う。
本校の理科を攻略するためには、まずは、各単元をまんべんなく学習し、基本的な知識を確実に身につけることが最も大切である。計算問題も出題されるので、基本的な計算問題の練習も不可欠である。その上で、時事問題対策をしっかり行って欲しい。
日頃から科学や自然に興味を持って接することが大切だが、入試直前には塾や書店で時事問題対策のテキスト・問題集を手に入れ、理科に関する部分をしっかり読み、内容を理解して頂きたい。
家庭教師に時事問題対策を相談することも必要であろう。
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