学習院中等科 入試対策
2022年度「学習院中等科の理科」
攻略のための学習方法
学習院中等科の理科の出題は、塾のテキストや問題集で学習していれば解答可能な問題が中心であるが、時事問題を中心に細かい知識を問う問題が含まれている。また記述問題も出題されることが多い。分野毎の学習方法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は生物の進化とからだのつくりに関する出題で、脊椎動物の心臓のつくりなどの知識を問う問題が中心であった。ここ数年の出題を見ると、鳥のからだのつくり、動物のからだのつくりや生態について、昆虫などの節足動物について等の出題が見られる。例年、やや長めのリード文や図・データを読み取った上で答える問題が中心になっている。この分野の学習法として、植物については、光合成、呼吸などの基本的な知識を身につけておきたい。また、昆虫については、チョウ、セミ、バッタ、トンボといったような代表的な昆虫のからだのつくり、食べ物、冬越しの方法といった基本知識を確実に覚えて欲しい。動物の分類やセキツイ動物に関してもしっかり知識を整理しておきたい。
なお、学習の際には、図鑑や資料集などの写真、絵を確認しながら進めて欲しい。
地学分野 本年度は地震と災害に関する出題で、液状化現象など地震に関連する知識を問う内容であった。ここ数年を見ると、川の流れの働きと自然災害、地球の歴史と環境問題、大陸の移動、化石、天体などから出題されている。自然災害に関連する出題が多いことには注意が必要である。今後は、気温の変化・台風など気象に関する出題、地層や岩石に関する出題、月の満ち欠けに関する出題も予想される。この分野においても、基本知識を確実に覚えることが大切である。天体については、現象の理屈を理解した上で覚えて欲しい。
物理分野 今年度は高飛び込みをまねた実験装置を題材とした、力のつり合いついての出題であった。ここ数年を見ても、物の運動・てこのつり合い・浮力など力のつり合いに関しての出題が多い。今回は出題されていないが、浮力に関する出題が非常に多い。今後も力のつりあいを中心とした出題が予想される。この分野の学習法としては、力のつり合いに関しては基本知識を固めるとともに、てこのつり合いや浮力等の計算問題の練習をしっかり行って欲しい。今後は電気回路に関する出題も予想される。電気回路については、豆電球の明るさを中心に、発光ダイオード(LED)、手回し発電機、電磁石、方位磁針の振れ、電熱線の発熱についても基本的な問題は確実に解けるように練習して欲しい。
化学分野 本年度は塩分濃度と水の移動に関する出題であった。昨年も塩分濃度に関連した出題が見られた。近年それ以外では、気体の性質と環境問題、水溶液の性質、水の三態変化などに関する出題が見られた。この分野の学習法としては、まずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など基本的な知識を確実に身につけて欲しい。さらに、水溶液と金属の反応、金属の燃焼、溶解度、熱量(カロリー計算)等に関しては簡単な計算問題が解けるように練習して頂きたい。
上記以外では、時事問題が毎年必ず出題されている。ニュースになっている化学的発見や発明、ノーベル賞受賞者とその内容、日食や月食等の天体現象、地震や台風など自然現象、環境問題について、時事問題対策用のテキストや問題集を使って対策をしっかり行って欲しい。
模試や過去問演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。苦手分野の確認や克服に関しては、家庭教師を有効的に利用して頂きたい。
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2022年度「学習院中等科の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問4題と時事問題の小問集合で、小問数が25題程度。試験時間は40分で80点満点、例年通りであった。例年、合格者の平均点は6割~7割程度である。適語を答える問題、記号選択問題が中心だが、記述問題も何題か見られた。記述問題がやや多いことが特徴。試験時間が40分あるので、慌てることなくできる問題から解答用紙を埋めていくことを心がけて欲しい。
【大問1】小問集合 時事問題
- 難度:やや難
- 時間配分:5分
① 新型コロナウイルス感染症の治療法で、いくつかの抗体を混ぜた薬剤を体内に注入する方法は「抗体カクテル療法」。
② 2021年7月の世界初の宇宙旅行では、高度約100kmの宇宙空間まで達した。
③ 真鍋氏は気候研究の基礎となる予測モデルを作り、ノーベル物理学賞を受賞した。
④ 2021年7月、熱海市で大雨による土石流災害が発生した。
例年通り大問1は時事問題の小問集合であった。ノーベル賞に関しては過去にも頻繁に出題される。①は小学生には難しい。ニュースや天気予報に興味を持つと同時に、事前の対策が必要である。
【大問2】化学 塩分濃度と水の移動
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
問1・問2 皮膚の一番外側の死んだ皮膚に水が吸収され、体積が増える。
問3 「指先だけ」にあるものから、「爪」と考えられる。
問4 記述問題。吸収された水も時間が経つと蒸発する。
問5 問題文中の「のう度のうすい方からこい方に水が移動します。」より、塩分濃度のうすいうすい人のからだから、塩分濃度の濃い海へ水が移動する。
問6 記述問題。問題文中の「川に住む魚の体の塩分のう度は、人間とほとんど同じ」より、川に住む魚が海に出ると、体内の水分が海へ移動し、体内の水分不足によって死に至る。
塩分濃度と水の移動に関する出題。記述問題が2題含まれている。問題文の読み取り力と考察力が求められる。
【大問3】物理 力のつり合い
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
問1 おもりが横向きの状態で水に落下すると、縦向きで落下する時と比べて水面と当たる面積が大きくなり、水面から受ける抵抗が大きくなる。従って、水しぶきは大きくなり、あまり深くは沈まないで浮いてくる。
問2 板の重さの600gは板の重心(端から50cmの場所)にあると考える。
① 28×600>22×400 なので ○
② 6×600÷200=18より、板のはしから18cm進むと落下
③ 5×600÷300=10 より、板のはしの10cm手前で落下
④ 手をはなした段階でつり合わないので落下
問3 グラフの選択問題。おもりの重さが重いほど机のはしからB点までの距離を短くする必要がある。
オリンピックの高飛び込みに関連した板とおもりのつり合いに関する出題。基本は、「重さのある棒のつり合い」の計算ができるかどうかであり、板の重心に板の重さがあることを利用して計算できるかどうかにかかっている。
【大問4】生物 生物の進化とからだのつくり
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 魚の呼吸器官は「えら」。
問2 は虫類と両生類は心臓のつくりが不完全なために、酸素が不十分であり、体温を一定に保てない。
問3 肺のまわりの気圧が低いことにより、息を吸いやすくなっている。
問4 心臓の絵を選択する問題。魚類は1心房1心室、両生類は2心房1心室、哺乳類は2心房2心室。
問5 魚類の胸びれが進化して両生類などの前足になり、さらに進化して鳥類のつばさや人間の手になった。また、魚類の腹びれが進化して両生類などの後ろ足になった。
動物の進化とからだのつくりに関する出題。脊椎動物の心臓のつくりなどの知識が身についているかどうかが問われる内容になっており、知識の差で明暗が分かれる。
【大問5】地学 地震と災害
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 プレートの範囲と地震の発生場所の図を見た上で答える選択肢問題。
問2 液状化現象の実験で浮かび上がるものして適しているのは、砂よりも密度の小さなものである。
問3 地震の災害として考えられるものを選択する問題。
平地:液状化・地割れ・建物などの倒壊
砂浜:液状化・地割れ・津波
問4 地震による災害に関するピクトグラムについての問題。
波(津波)、逃げている人、建物の絵から「津波がきたらこの建物に逃げる」を意味する。
地震、および地震によって起こりうる災害に関する出題。ピクトグラムなどやや細かい知識問題も含まれているが、液状化・津波などの災害についての知識、および地球上のプレートと地震の頻繁に発生している場所などの知識は身につけておきたい。大問4同様、知識の豊富さで明暗が分かれる内容になっている。
攻略のポイント
今年度の出題は時事問題を集めた小問集合と大問が4題で昨年と同様であった。標準レベルの問題が中心であるが、時事問題および各大問の中にややレベルの高い問題も含まれている。特に時事問題は毎年かなり細かい内容につて聞かれるので、事前の対策が必要である。また、記述問題は昨年に比べると減ったが、複数題見られた。これについても事前の対策が必要である。
本校の理科を攻略するためには、まずは、各単元をまんべんなく学習し、基本的な知識を確実に身につけることが最も大切である。
時事問題対策も必要である。日頃から科学や自然に興味を持って接することが大切だが、入試直前には塾や書店で時事問題対策のテキスト・問題集を手に入れ、理科に関する部分をしっかり読み、内容を理解して頂きたい。
記述問題についても、直前期にはしっかり練習したい。
時事問題対策や記述問題対策については、家庭教師に相談することも必要であろう。
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