学習院中等科 入試対策
2020年度「学習院中等科の算数」
攻略のための学習方法
学習院中等科、算数の満点は１００点、ここ数年合格者平均点は７割程度で、ほぼ一定の難易度を保っている。
標準的な問題が多いがややレベルの高い問題も含まれている。グラフの読み取り問題などほぼ確実に出題される単元もあり、過去問およびその類題演習に大きな意味がある。試験時間は５０分、問題量に対して十分な時間は用意されているので、慌てることなく、落ち着いて取り組んで欲しい。各単元の出題傾向と学習法は次の通り。
<単元毎の傾向と学習法>
計算問題
毎年整数、小数、分数の計算が４題程度出題される。□を求める問題も含まれる。計算問題への対策としては、毎日５題～１０題程度の計算練習を行って欲しい。素早く解くことも大事だが、落ち着いて丁寧に解く練習を心がけて頂きたい。□を求める問題も例年出題されているので、練習を十分に行って欲しい。
文章題
今年度は、小問として食塩水の濃さ、売買損益、時計算、和差算が、大問では流水算、旅人算が出題された。ここ何年かの出題傾向を見ると、小問としては倍数算、食塩水の濃さ、売買損益などの割合と比に関する文章題が、大問として速さに関する問題が頻繁に出題されている。速さに関する問題はダイヤグラムの読み取りと関連して出題されることが非常に多い。今年度出題された2題のダイヤグラムの読み取り問題は、ややレベルの高いものであった。ダイヤグラムの読み取りには時間をかけて演習を多く重ねて欲しい。
また、和と差の文章題（過不足算、つるかめ算等）、割合と比の文章題（食塩水の濃さ、相当算など）の練習もしっかり行って欲しい。
数に関する問題
場合の数、数の性質、数列に関する問題が頻繁に出題される。今年度は、３と５の倍数を並べた数列に関する出題であった。場合の数や数の性質などこの分野を苦手にしている方が多いと思う。特に場合の数はいろいろなパターンの問題があるので、幅広くいろいろな問題の練習を行って頂きたい。
平面図形
面積や角度を求める問題は毎年出題されている。今年度は正多角形の中に描かれたおうぎ形の求積に関する標準的な出題であった。ここ何年かでは、図形の移動に関する出題が見られた年度もある。この分野については、際立った難問はあまり見られないが、多少応用的な内容も含めて練習しておきたい。特に、相似など比を使った問題に力を入れて欲しい。また日頃から、等積変形・円周率の計算はできる限りまとめて１回だけ行う、といった工夫を考えて問題に取り組んで欲しい。
立体図形
今年度は立体図形の出題はなかった。ここ何年かを見ると、立体図形の出題はあまり多くはないが、水そうに水を入れた時の深さの変化に関する問題が出題された年度もある。ここでもグラフの読み取りが大きなポイントとなる。今後も同様の出題が予想される。
模試や過去問はまだ仕上がっていない単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。単に得点だけを気にするのではなく、失点の多かった単元については、塾のテキストに戻るなどして、もう一度基本の確認を行うことが必要であろう。なお、苦手分野の分析やその対策については、プロの家庭教師へ是非相談して頂きたい
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2020年度「学習院中等科の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
計算問題が４題、小問４題、大問が３題で１００点満点、試験時間は５０分で例年通りであった。合格者平均は、ここ何年かは７割前後で落ち着いており、一定レベルの難易度が保たれている。
すべての小問数は２０で多くはないので、あせることなく落ち着いて取り組んで欲しい。できる問題から解答欄を埋めていくという姿勢も大切である。
【大問１】計算問題
- 難度：易
- 時間配分：7分
（１）整数の四則演算
（２）小数の四則演算
（３）分数の四則演算
（４）□を求める問題
例年通り大問１は計算問題４題であった。確実に正答したい。慌てることなく計算し、見直しも行って欲しい。
【大問２】小問集合
- 難度：標準
- 時間配分：８分
- ★必答問題
（１） 和差算
線分図を描くなど一般的な方法で確実に正答して欲しい。
（２） 時計算
長針と短針が1分間に進む角度の差は5.5度。この数字は覚えておくこと。
（３） 食塩水の濃さ
食塩の重さ÷濃さ＝食塩水の重さ 最後に食塩の重さを引いて水だけの 重さを求めること。
（４） 数の性質
売上金額の合計－原価の合計＝利益の合計 となる。
いずれもテキストの例題レベルの問題。ここで得点できなかった問題がある場合は、テキストでその単元に戻って、例題・類題などの確認と問題練習をもう一度行って欲しい。
【大問３】平面図形
- 難度：標準
- 時間配分：7分
（１） 正方形の面積から半径3cmの四分円２つと半径2cmの四分円２つの面積を引けばよい。
（２） 半径3cm中心角120度のおうぎ形３つと半径2cm中心角120度のおうぎ形３つの弧の長さの合計。
（３） 正八角形の１つの内角は135度。（２）と同様の計算を行えばよい。
多角形内に描かれたおうぎ形の面積や弧の長さに関する出題。
3.14の計算はまとめて行うなど計算上の工夫を行って欲しい。
【大問４】流水算とダイヤグラム
- 難度：やや難
- 時間配分：１０分
- ★必答問題
（１） 川の流れの速さを１、Aの静水時の速さを３、Bの静水時の速さを７とする。
Aの上りの速さは２になるので、Aの上りの速さ：流れの速さ＝２：１
従って、エンジンを止めて１時間流された距離を、Aは30分で上る。
8.4－（1+0.5）より、6.9時間。
（２） Bの下りの速さは８になるので、Aが3.6時間で上る距離をBは0.9時間で下る。
3.3－0.9 より2.4時間遅れて出発した。
（３） 同様に考えて、Aが2.8時間で上る距離をBは0.7時間で下る。
0.9＋1＋0.7 より2.6時間。
流水算とダイヤグラムに関する問い。「同じ距離を進むとき、速さとかかる時間は逆比の関係になる」という考え方が使えるかどうかが大きなポイント。
ここで得点できなかった場合は、流水算の基本を復習するとともに、上記の考え方を中心に、「速さと比」の学習をしっかりやり直すこと。
【大問５】数列
- 難度：標準
- 時間配分：８分
- ★必答問題
（１） ３と５の最小公倍数である１５を1つのグループとして考えること。
１５の中に該当する数が7個ある。
３０÷７＝４・・・２なので、３０は第５グループの２番目。
１５×４＋５より６５。
（２） １５０÷１５＝１０より、１５０は第10グループの最後の数。７×１０より70番目。
（３） （１）と同様に考えると、５０は第8グループ1番目で１０８。
グループ毎の和を考えると、１０５ずつ増えているので、
第7グループの和は６０＋１０５×６より６９０。
等差数列の和の公式を用いると、（６０+６９０）×７÷２＝２６２５。
最後に１０８を足すことを忘れないように。
３と５の倍数を並べた数列の問題。同様の問題はテキストや問題集でも頻繁に見かけるので、練習の成果が身についているかどうかで明暗が分かれる。
【大問６】旅人算とダイヤグラム
- 難度：やや難
- 時間配分：１０分
（１） グラフより、AB間は12km、また、信号はABの真ん中にあるので、
A地点から信号までの距離は6km。グラフの折れ曲がり部分に注目すると、自動車Pは5分でAから信号
まで進んだことになる。6÷5より、分速1.2km。
（２） PがAB間にかかった時間は12÷1.2より10分。グラフより、自動車Qは4.5分で3.6kmを走ったことに
なるので、3.6÷4.5で分速0.8km。
（３） アは２つの自動車が出会った時間、イは自動車Qが信号で止まった時の2台の自動車の間の距離に
あたる。アを求める上では、その前に自動車Pが1分間信号停車していることに注意。
2台の自動車の間の距離を表したグラフ（ダイヤグラム）の読み取りと旅人算についての出題。
信号での停車を考えなければいけないために、グラフの折れ曲がり箇所が多く、やや難しい問題となっている。
攻略のポイント
前半は計算問題と小問の集合で、後半に大問が４題の構成になっている。大問１の計算問題は基本的なもの。大問２の小問集合は、食塩水の濃さ・売買損益といった塾のテキストなどで見かける標準的な問題であった。大問は平面図形、流水算とダイヤグラム、数列、旅人算とダイヤグラムの４題で、速さとダイヤグラムに関わる出題が2題もあったのが特徴的であった。
本校攻略のポイントとしてまずは苦手単元を作ることなく、すべての単元の基本をしっかり身につけることがあげられる。過去に頻繁に出題されているダイヤグラムなどグラフの読み取りに関する問題、平面図形、場合の数などには特に力を入れて学習して欲しい。
問題に取り組む姿勢としては、前半の計算問題や小問集合は得点しやすい問題が並んでいるので、ここでの取りこぼしは禁物である。
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