学習院中等科 入試対策
2020年度「学習院中等科の社会」
攻略のための学習方法
問題構成
大問3つに地理分野・歴史分野・政治経済分野が割り当てられる形である。総解答数は65問前後、3分野でほぼ均等の出題数となっている。リード文は計1500~2000字ほど。地図や図版などの資料はここ数年、用いられていない。
設問は適語記入が多いが、年度により選択肢問題が多い時もある。リード文の穴埋めや年表の穴埋めにプラスして、下線部について訊いていく一問一答形式の問題が並ぶ。他校ではあまり見ないかなり細かい地名や人名も出されており、難しい。2行くらいの短文の記述問題が3~4問出されるが、詳しい知識を必要とするやや難しい問題も見られる。
地理分野
食料品・工業製品の都道府県別出荷額(2020年度)や中部地方9県について(2019年度)などが出された。2020年度は統計を読み取る問題が出された。
テーマについてかなり詳しく訊かれる問題も多い。2019年度では、中部地方について山・半島や岬・湖など細かく頭に入っていないと正確に答えられない問題が多かった。静岡県石廊崎や愛知県伊良湖岬(2019年度・大問1)など、覚えていない人も多かっただろう。
皆が答えられる問題を取りこぼさないことが重要である。どのテーマについても標準レベルにもう一歩プラスした詳しい知識を身に付けられるよう、広く丁寧な学習が必要であろう。
歴史分野
大正時代の国際情勢や国内での動き(2020年度)や外交に見る近世の歴史(2019年度)といったテーマで、年代をある程度区切って問題が出されている。リード文や年表の穴埋めに答えた後で、下線部について一問一答で答えていく形が多い。
この分野も、標準レベルの知識から一歩踏み込んだ質問が見られる。高橋是清や浜口雄幸(2018年度・大問2)といった人名は思い浮かばなかった人もいたはずである。また、同じ2018年度では、「協調外交」について一般的な意味ではなく、1929年に取られた政策の中身を訊く問題も出された。
地理分野と同様、標準レベルから一段階詳しい知識がないと答えられない問題がある。それ以外の、多くの人が答えられる問題を落としていては勝負にならない。基本レベルの知識を確実にしたうえで、関連する詳しい情報も付け加えて、さらなる得点を狙えれば理想的である。
政治経済分野
前年に起こった出来事を話題にしていくつかの項目が取り上げられ、そのことについて、あるいは関連する下線部について訊かれる問題が出されている。政治の仕組みや国際関係の問題が多い。
憲法や政治についての基本を押さえたら、直近・特に前年の出来事をよく調べておこう。外国の首相や国際連合についての質問もある。日本だけでなく、世界の主な国の政治的・国際的な出来事にも注目しておこう。
まとめと注意点
時間は40分と多めだが、問題数も65問前後と多くなっている。年度により多少異なるが、適語記入の問題が多く、正確に覚えていないと得点にならない。また、穴埋め問題の数が多いので、リード文をすべて読むことになり時間も取られる。
難しい問題は皆もできないとある程度覚悟を決めて、それ以外を完璧に解答する気構えで、基本事項の徹底したマスターを目指したい。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2020年度「学習院中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数が58問とかなり多い。リード文の穴埋め問題は問題数が多いので結局リード文をすべて読むようになる。例年は適語記入など、ことばで書く問題が多いのでさらに時間がかかるが、今年度は地理で選択肢問題が多かったので多少余裕がある。
知識で答えられる問題はどんどん解き進めて、記述問題に余裕をもって取り組みたい。
【大問1】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
産業の都道府県別出荷額についての問題。
問1
A. 静岡県牧之原や京都府宇治などは茶の名産地である。
B. 長野県を中心として生産される辛口の白みそは信州みそとして知られている。
C. 群馬県はこんにゃくの生産の93.2%(2018年度)を占めている。
D. 北海道は生乳生産量が第1位で、バターの出荷は86.8%(2018年度)を占めている。
E. 沖縄県・鹿児島県はさとうきびの生産が多い。
F. もち米の生産は北海道が多いが、切り餅の生産額は新潟県が圧倒的に多い。
問2
A. 埼玉県岩槻市は節句人形の生産で46%(2018年度)のシェアを占めている。
B. 三重県は真珠の養殖では愛媛県・長崎県に次ぐ第三位だが、真珠装身具の生産では第1位である。
C. 福井県鯖江市はめがねフレームの国内シェア96%である。
D. 新潟県燕市は金属洋食器の国内生産の圧倒的シェアを誇る。
E. 今治タオルというブランド展開をしている。
F. 諏訪湖周辺では古くから精密機械工業が盛んで、光学機械も多く生産している。
G. 浜松市や掛川市で楽器の生産が行われている。
【大問2】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:17分
- ★必答問題
大正時代のできごとを中心とした問題。
問1
(1)~(3) アメリカ大統領ウィルソンの提案のもとに、第一次世界大戦後に国際連盟が設立され、スイスのジュネーブに本部が置かれた。
(4) オーストリア皇太子夫妻が、大セルビア主義組織の青年に暗殺された「サラエボ事件」。
(5) ロシアの南下や満州・朝鮮への進出を警戒して、日本とイギリスの間で日英同盟が結ばれていた。
(6)・(7) 第一次世界大戦の講和会議がパリで開かれ、ベルサイユ条約が結ばれた。
(8) 中国の五・四運動や朝鮮の三・一独立運動など、抗日・反日の抗議が起こった。
(10)~(11) シベリア出兵を見越した米の買い占めで価格が上昇し、人々が米屋に殺到した米騒動。
(13)・(14) 1925年には普通選挙法と治安維持法という重要な法律が出されている。
問2 (イ)日露戦争の講和条約がアメリカのポーツマスで結ばれた。
問3 ソビエト社会主義共和国連邦。略してソ連・ソビエト連邦。
問4 ワイマール憲法は第一次世界大戦敗北の後に制定された憲法で、国民主権・議会制民主主義のほか初めて社会権についても定め、民主主義憲法の先駆けとなった。
問5 大正デモクラシー運動の思想的根幹である民本主義を唱えた、東京帝国大学教授・吉野作造。
問6 平塚らいてうが中心となって発行された、女性による月刊誌『青鞜』。
問7 第一次世界大戦はヨーロッパが主戦場であったため、参戦はしていたが日本本土は影響を受けず、ヨーロッパや中国への輸出が増え好景気となった(大戦景気)。
問8 国会議員を一番多く出している第一党から大臣が多く選ばれることで、国民の意見が行政に反映されやすくなり、議会と政府の連携も取りやすくなる。
【大問3】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:15分
前年に起こった出来事について。
問1
(A) 渋沢栄一は銀行や鉄道会社など多くの企業を設立し、明治の実業界をけん引した。
(D)~(F) ホルムズ海峡は中東地域からの石油の通り道になっており、周辺の国で紛争などが起こると影響を受ける。2019年のタンカーへの攻撃はイランとアメリカの緊張関係が影響していると考えられるが、イランは否定している。
(G) 大阪府大山古墳を含む「百舌鳥(もず)・古市古墳群」。
(I)・(J) 参院は定員が6名増えて248名となり、その半数の124名が改選された。
(L) 首都移転は2024年に予定されている。
問2 増加率第1位の東京都が抜けている。
問4 ヨーロッパから見た位置関係で、日本や韓国などは東の端にあるので「極東」と呼ばれる。
問6 憲法に関する最終的な判断を行うので最高裁判所は「憲法の番人」といわれる。
問8 節分の恵方巻や土用の鰻などは一時期に集中して大量に生産するため売れ残りも多く、その廃棄処分の費用がかさんでしまうのである。
問10 過密と過疎。日本全体で人口は減少しているが、大都市への集中はさらに進んでいる。
攻略のポイント
問題数の多さ、ことばで書く問題の多さなどから、スピードが要求される試験である。リード文の穴埋めも多いので、結局すべて目を通すことになる。難しい問題もところどころに見られ、記述問題にも細かい知識を問われるものがある。基本レベルをマスターしたうえで、もう一段階詳しい知識を上積みできるように学習したい。
試験に臨んでは、難しい問題はとりあえず保留して、その他の基本事項をミスなく答えて、合格者平均点以上を狙いたい。記述問題は2行ほどでまとめるものなので、さほど時間はかからないだろう。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
学習院中等科の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。