学習院中等科 入試対策
2021年度「学習院中等科の社会」
攻略のための学習方法
〇問題構成
大問3つに地理分野・歴史分野・政治経済分野が割り当てられる形である。総解答数は50~60問前後、3分野でほぼ均等の出題数となっている。リード文は計1500~2000字ほど。地図や図版などの資料はここ数年、用いられていない。
設問は適語記入が多いが、年度により選択肢問題が多い時もある。リード文の穴埋めや年表の穴埋めにプラスして、下線部について訊いていく一問一答形式の問題が並ぶ。他校ではあまり見ないかなり細かい地名や人名も出されており、難しい。2行くらいの短文の記述問題が3~4問出されるが、詳しい知識を必要とするやや難しい問題も見られる。
〇地理分野
各地の気候の特色(2021年度)や食料品・工業製品の都道府県別出荷額(2020年度)などが出された。今年度も統計を読み取る問題が出されている。
テーマについてかなり詳しく訊かれる問題も多い。2019年度では、中部地方について山・半島や岬・湖など細かく頭に入っていないと正確に答えられない問題が多かった。静岡県石廊崎や愛知県伊良湖岬(2019年度・大問1)など、覚えていない人も多かっただろう。
皆が答えられる問題を取りこぼさないことが重要である。どのテーマについても標準レベルにもう一歩プラスした詳しい知識を身に付けられるよう、広く丁寧な学習が必要であろう。
〇歴史分野
各時代の人物・出来事(2021年度)や大正時代の国際情勢や国内での動き(2020年度)といったテーマで、年代をある程度区切って問題が出されている。リード文や年表の穴埋めに答えた後で、下線部について一問一答で答えていく形が多い。
この分野も、標準レベルの知識から一歩踏み込んだ質問が見られる。高橋是清や浜口雄幸(2018年度・大問2)といった人名は思い浮かばなかった人もいたはずである。また、同じ2018年度では、「協調外交」について一般的な意味ではなく、1929年に取られた政策の中身を訊く問題も出された。
地理分野と同様、標準レベルから一段階詳しい知識がないと答えられない問題がある。それ以外の、多くの人が答えられる問題を落としていては勝負にならない。基本レベルの知識を確実にしたうえで、関連する詳しい情報も付け加えて、さらなる得点を狙えれば理想的である。
〇政治経済分野
前年に起こった出来事を話題にしていくつかの項目が取り上げられ、そのことについて、あるいは関連する下線部について訊かれる問題が出されている。政治の仕組みや国際関係の問題が多い。
憲法や政治についての基本を押さえたら、直近・特に前年の出来事をよく調べておこう。外国の首相や国際連合についての質問もある。日本だけでなく、世界の主な国の政治的・国際的な出来事にも注目しておこう。
〇まとめと注意点
時間は40分と多めだが、問題数も40~60問前後と多くなっている。年度により多少異なるが、適語記入の問題が多く、正確に覚えていないと得点にならない。また、穴埋め問題の数が多いので、リード文をすべて読むことになり時間も取られる。
難しい問題は皆もできないとある程度覚悟を決めて、それ以外を完璧に解答する気構えで、基本事項の徹底したマスターを目指したい。
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2021年度「学習院中等科の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は46問と多めである。今年度は長いリード文はなく、統計の数値と地名を結びつける問題が地理で出された。例年は適語記入など、ことばで書く問題が多いのでさらに時間がかかるが、今年度は地理で選択肢問題が多かったので多少余裕がある。
知識で答えられる問題はどんどん解き進めて、記述問題に余裕をもって取り組みたい。
【大問1】地理分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
各地の気候の特色についての問題。
問1 A. 年間の降水量の多さから、三重県・尾鷲市。
B. 冬の降水(雪)量の多さから、日本海側の石川県・金沢市。
C. 年平均気温の高さから、沖縄県・那覇市。
E.とF. ともに降水量が少ない点は似ているが、温暖な気候のEは瀬戸内気候の香川県・高松市、Fは冬の気温の低さで中央高地気候の長野県・松本市。
G. 年平均気温の低さから、北海道・網走市。
残るDは気温の低さと冬に降水(雪)が少し多い点から見て、青森県・青森市と考えられる。
問2 A. 岐阜県・美濃市の41.0度は歴代第3位の記録である(2021年7月現在)。
C. 青森県・酸ヶ湯は有名な温泉地であるが、積雪の多さでしばしばニュースにも取り上げられる。
D. 神奈川県・箱根市のこの歴代1位の数値は、関東地方や静岡県に記録的な大雨をもたらした台風19号の影響によるものであった。
E.とF. 第1位が記録された1996年9月には2つの台風が西日本・東日本に同時に上陸した。概して、台風や梅雨前線の影響を強く受けやすい沖縄地方や西日本で強風や大雨が記録されやすい。
【大問2】歴史分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
各時代の人物や出来事について。
問1 (1) 平将門の乱の説明。
(2) 政治の実権を取り戻そうと、執権・北条義時に対して後鳥羽上皇が起こした反乱。
(3) 足利尊氏が室町幕府を開いた。
問2 福岡県・志賀島の畑から発見された。
問3 埼玉県・稲荷山古墳から鉄剣が発見され、大和政権の支配が関東まで及んでいたことがわかった。
問4 (ア)・(イ) 説明が逆である。
(エ) 法隆寺と四天王寺は別の寺である。
問5 行基は各地を巡り、用水路や道路の建設など社会事業を行った。
問6 (ア)は故郷への思いを詠んだ阿倍仲麻呂の歌。(ウ)は百人一首の一番歌で作者は天智天皇となっているが、実際は他者の作であると考えられている。(エ)は紀貫之・古今和歌集収録の歌。
問7 現在の岩手県・平泉市。
問8 侍所(1180年)→壇ノ浦の戦い(1185年3月)→守護・地頭設置(同年11月)。
問9 勘合は日明貿易で用いられた割符である。
問10 農民から武器となるものを取り上げ、一揆を起こさないようにした。武士と農民の身分が明確に分けられた(兵農分離)。
問11 (ア)は松平定信の寛政の改革、(イ)は田沼意次の改革、(ウ)は水野忠邦の天保の開改革のことである。
問12 初代内閣総理大臣・伊藤博文は日露戦争後に韓国統監府の初代統監に就いている。のちに安重根に暗殺された。
問13 朝鮮戦争(1950年)→日ソ共同宣言(1956年)→オイルショック(1973年)。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
敗戦と日本国憲法について。
問1 (1) ドイツのポツダムで決められたのでポツダム宣言と呼ばれる。
(2) 貴族院は皇族・華族や勅任(天皇の勅令による)議員で構成された。
(3) 大日本帝国憲法では兵役も義務であった。
問2 憲法改正は、総議員の3分の2以上の賛成で発議され、国民投票で過半数の賛成があれば成立する。
問3 (1) イ. 発布は1889年(明治22年)である。
(2) ウ. 憲法には「自衛隊」の文言やその存在についての規定は存在しない。
オ. 「政教分離」の原則で、政治による宗教活動は禁じられている。
問4 もう一つは勤労の義務である。
問6 (2) 衆議院選挙は25歳以上で、参議院選挙では30歳以上で立候補できる。
問7 (1) 司法権は裁判所に属している。内閣が有するのは行政権である。
問8 (1) 日本は三審制を取っている。
攻略のポイント
問題数の多さ、ことばで書く問題の多さなどから、スピードが要求される試験である。リード文の穴埋めも多いので、結局すべて目を通すことになる。難しい問題もところどころに見られ、記述問題にも細かい知識を問われるものがある。基本レベルをマスターしたうえで、もう一段階詳しい知識を上積みできるように学習したい。
試験に臨んでは、難しい問題はとりあえず保留して、その他の基本事項をミスなく答えて、合格者平均点以上を狙いたい。記述問題は2行ほどでまとめるものなので、さほど時間はかからないだろう。
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