暁星中学校 入試対策
2019年度「暁星中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向
例年、物語文の読解一題と漢字の書き取りという形式が続いている。
素材文の長さは、5000~6000字程度が多い。長文はこれ一題だけなので、文量としては多くはない。内容は主に受験生の年齢に近い世代の設定で、登場人物が困難や苦悩を経て成長していく話が多い。
設問は選択式1~2問と記述問題が5~6問ほど出題される。字数指定のあるものと無いものとがあり、50~80字程度が多い。
一般的な記述問題に加えて、試験の最後に小作文とも言える記述問題があるのが通例であり、300字程度は書ける力が必要になる。練習が必要な部分である。
長文読解
素材文が文学的文章のみなので、本校の対策としては小説・物語に特化した読解練習ということになる。
まずは読解の基本的な技術を身に付ける。文学的文章なので、人物の心情の読み取りが中心となる。登場人物の整理、時間・場所・人物の出入りなどで場面分け、人物の言動や情景から心情の読み取り、全体のテーマの把握。類似問題でコツを掴んでおこう。
問題演習も大切だが、特に小説・物語については普段からの読書経験が資するところが大きい。さまざまなストーリー・多くの登場人物の生き方・考え方に触れて、本を通した人生経験を多く積んでおくことは、そのまま国語力を養う近道にもなる。漢字・語彙も自然と増えてゆく。読書を普段の習慣とすることを強くお薦めしたい。
記述問題
漢字以外はほぼ全て記述問題という、記述に特化した試験である。書く事が苦手な生徒はそれだけで志望校から外してしまう人もいるかも知れない。
しかし、物語や小説の読解力が適切にあればそれほど身構える必要はない。聞かれるのは選択式問題と変わらない、人物の気持ちや行動の理由が主である。本文中に表されている場合も多いので、その場合はそこをまとめに使うことができる。書かれていない場合は、記述以前に国語力の問題となる。
型としては、「できごと+気持ち」でまとめられることが多いだろう。気持ちの変化を訊く問題なら「初めは○○だったが、××をきっかけに△△という気持ちになった」という型が使える。
いずれにしろ、綺麗にまとめて満点を目指す必要は無い。訊かれたことを規定字数まで書いて部分点を稼げば良いのである。
ただし、本校の特色である試験最後に出される小作文のような記述については、やはり練習が必要である。自分自身の経験やそれについての意見を訊かれるので、ここは読解力とは関係がない。
対策としては、やはり作文の練習ということになる。普段のちょっとした出来事などを、300~400字で書いてみるのである。出来事の説明・周囲の反応・自分の考えなどを一定の字数でまとめてみよう。起承転結や序破急といった、文章のリズムをつけられればなお良い。たくさん書くと、読み手にとって読みやすい文章というものがわかってくるだろう。理想はともかく、この問題については下手でもいいからとにかく字数を埋めることである。空欄にして無得点になることだけは絶対に避けたい。
漢字・言語事項
知識の問題も量は少ないが必ず出題されている。あまり差がつかない部分なので、失点すると非常に不利である。記述問題にばかり気を取られて油断しないようにしていただきたい。
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2019年度「暁星中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
例年通り、小説の読解一題という構成になっている。記述以外の問題は、できる限り短時間で済ませて記述に時間をまわしたい。
記述は、全部で4問。そのうちの3問は字数指定がない。最後の記述は難しく考えすぎず、求められている内容を自分なりに丁寧に書けば良い。解答欄が埋まるくらいの文量は書き込みたい。
【大問一】小説の読解 問1~問11
- 難度:やや難
- 時間配分:50分
- ★必答問題
近田さんとよく一緒にいることを枝野たちにからかわれた主人公は、つい近田さんを傷つけるようなことを言って本人に聞かれてしまった。枝野に復讐をしようと上履きに画びょうを入れようとするが未遂に終わり、そんな自分に嫌悪感を抱く。
問1 ㋑ 子分――ある者の支配下にあって言うことをきく人。手下。
㋕ ふし――「~の節がある」などと用いる。「~なところ・気配などがある」の意。
問2 ~するや否や――~するとすぐ。
問3 A. 何回説明してもわからない・理解力が無い→のみこみが悪い。
B. 直前でいら立ちを表に出してしまったので、「気を取り直して」おだやかに話そうと意識している。
問4 直後の「いまの、ぼくの口から出た音声か?」に注目。直前の「わかんない?」「……だからさあ」のいらだった口調が伝わってしまったかも知れないと近田さんの驚いた表情で気づき、慌てて言い訳しようとしている。
問5 「合唱のとき、近田のこと見すぎだよ」と枝野に図星を突かれ、慌てて否定しようとした。続けて、仕方なく付き合ってやっているだけだと勢いで言ってしまい、近田さんに対して悪いことしたような後ろめたい気持ちが生じている。
問6 「近田さんとは仕方なく付き合ってやっている」という発言を本人に聞かれてしまったようだと気づき、謝りたいという気持ちはあるのだが話しかけるだけの勇気が無く、困惑している。
問7 「お前、勉強好きだな!」という言葉から、主人公の「角田先生に質問に行く」という言い訳をハセが疑いもなく信じている様子がわかる。近田さんとの触れ合い方からも、ハセの裏表がなく屈託のない性格が読み取れる。
問8 「たぶん、もう、部活には顔を出さないです」という発言から、美術部に対しての情熱は無いと思われる。今、主人公は枝野に復讐するため上履きに画びょうを仕掛けに行く途中であり、「あの、ちょっといまから、やることがあるんで」と急いでその場を離れたい気持ちであることが読み取れる。今は竹丸の相手をしている気分ではないのである。
問9 角田先生が主人公のしようとしていたことに気づいていたかどうかは、はっきり示されてはいない。おそらく気づいていないのだが、心にやましいところがある主人公には、角田先生の視線がすべて見抜いているもののように感じられ、いたたまれない気持ちになり、自分の行いを恥ずかしく思っている。
問10 問9と同様、自分の傷について母親が何か感づき、詳しく詮索されるのではないかと恐れている。唇の傷を詳しく見られると嘘がばれてしまうので、荒れてもいないのにあわててリップクリームを塗ってごまかしているのである。母親も多少の違和感は感じているようだが、エの「母はすべて見抜いていた」は言い過ぎである。
問11 まず、訊かれた内容「最近楽しくなってきたこと」を端的に答えよう。つづけて、そのきっかけや良かったこと・苦労したことなどで話の流れを作り、現在の気持ちや今後の希望などでまとめると形がよく収まる。格調高い文章を作ろうとする必要はない。読み手がいることを意識して、読みやすい文章を心がけよう。
攻略のポイント
文学的文章に特化した問題なので、普段の物語・小説の読書量がモノを言う試験である。年齢の設定は受験生と近い話が多く、無理に難しい小説を読む必要はない。どんな気持ちなのか・なぜこんな行動を取るのかなど、試験で訊かれるようなことを考えながら、物語や小説を読んで想像力を養っておこう。
記述問題は規定の字数(8~9割)が書けていなければ得点にならない。綺麗な答えで満点を目指さなくてよいので、ともかく字数に達して部分点を取る泥臭さを持ちたい。
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