暁星中学校 入試対策
2020年度「暁星中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向
例年、物語文の読解一題と漢字の書き取りという形式が続いている。
素材文の長さは、5000~6000字程度が多い。長文はこれ一題だけなので、文量としては多くはない。内容は主に受験生の年齢に近い世代の設定で、登場人物が困難や苦悩を経て成長していく話が多い。
設問は選択式1~2問と記述問題が5~6問ほど出題される。字数指定のあるものと無いものとがあり、50~80字程度が多い。
一般的な記述問題に加えて、試験の最後に小作文とも言える記述問題があるのが通例であり、300字程度は書ける力が必要になる。練習が必要な部分である。
長文読解
素材文が文学的文章のみなので、本校の対策としては小説・物語に特化した読解練習ということになる。
まずは読解の基本的な技術を身に付ける。文学的文章なので、人物の心情の読み取りが中心となる。登場人物の整理、時間・場所・人物の出入りなどで場面分け、人物の言動や情景から心情の読み取り、全体のテーマの把握。類似問題でコツを掴んでおこう。
問題演習も大切だが、特に小説・物語については普段からの読書経験が資するところが大きい。さまざまなストーリー・多くの登場人物の生き方・考え方に触れて、本を通した人生経験を多く積んでおくことは、そのまま国語力を養う近道にもなる。漢字・語彙も自然と増えてゆく。読書を普段の習慣とすることを強くお薦めしたい。
記述問題
漢字以外はほぼ全て記述問題という、記述に特化した試験である。書く事が苦手な生徒はそれだけで志望校から外してしまう人もいるかも知れない。
しかし、物語や小説の読解力が適切にあればそれほど身構える必要はない。聞かれるのは選択式問題と変わらない、人物の気持ちや行動の理由が主である。本文中に表されている場合も多いので、その場合はそこをまとめに使うことができる。書かれていない場合は、記述以前に国語力の問題となる。
型としては、「できごと+気持ち」でまとめられることが多いだろう。気持ちの変化を訊く問題なら「初めは○○だったが、××をきっかけに△△という気持ちになった」という型が使える。
いずれにしろ、綺麗にまとめて満点を目指す必要は無い。訊かれたことを規定字数まで書いて部分点を稼げば良いのである。
ただし、本校の特色である試験最後に出される小作文のような記述については、やはり練習が必要である。自分自身の経験やそれについての意見を訊かれるので、ここは読解力とは関係がない。
対策としては、やはり作文の練習ということになる。普段のちょっとした出来事などを、300~400字で書いてみるのである。出来事の説明・周囲の反応・自分の考えなどを一定の字数でまとめてみよう。起承転結や序破急といった、文章のリズムをつけられればなお良い。たくさん書くと、読み手にとって読みやすい文章というものがわかってくるだろう。理想はともかく、この問題については下手でもいいからとにかく字数を埋めることである。空欄にして無得点になることだけは絶対に避けたい。
漢字・言語事項
知識の問題も量は少ないが必ず出題されている。あまり差がつかない部分なので、失点すると非常に不利である。記述問題にばかり気を取られて油断しないようにしていただきたい。
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2020年度「暁星中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
例年通り、小説の読解一題という構成になっている。記述以外の問題は、できる限り短時間で済ませて記述に時間をまわしたい。
記述は、全部で4問。そのうちの3問は字数指定がない。最後の記述は難しく考えすぎず、求められている内容を自分なりに丁寧に書けば良い。解答欄が埋まるくらいの文量は書き込みたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:50分
- ★必答問題
友人の百井と引っ越しでもう会えなくなるという最後の日、別れ際に主人公は子供のように全力でふざけて遊ぼうと提案する。
問1 ㋐ 雑草 ㋑ かか(えて) ㋒ 帰路 ㋓ く(れた) ㋔ いや(な) ㋕ に(た)
問2 A. 仰々しい――大げさでものものしい。
B. ありきたり――めずらしくない。ありふれている。
C. ひとりよがり――自分ひとりだけでよいと思って他人の意見を無視すること。
問3 【Ⅰ】・【Ⅱ】もう会えなくなるという別れ際に気の利いた事を言おうと思ってはいるが何も思い浮かばず、中途半端な態度・物言いになってしまっている。
問4 あっさりとした別れのあと、これでもう会えないのだという事実は認識しながらも「なぜだか実感がわかなかった」。このまま「永久にぴんとこない」とまで感じている。もっと「別れの寂しさ」を感じるはずだと思っていたのに、肩透かしをくらったようなすっきりしない気分なのだろう。
問5 いったん分かれた百井を全力で追いかけてまで提案した内容が答えとなる。大人になろうと意識しているらしい百井と、子供らしく無邪気に遊んだことがないことに思い当たり、最後に何も考えず思い切りふざけ合いたくなったのである。
問6 百井の「けげんそう」な様子に気づいてはいたが、最後のチャンスであるから自分の本心は正直に伝えておきたいという気持ちが言葉を勢いづかせている。
問7 普段の大人になろうと急いでいるような百井と違う本当の百井を見られた気がして、自分と同じ気持ちで遊んでくれたことが嬉しかった。
問8 「ガキみたく、全力で走ったり、叫んだりして遊ぶ」「くだらないことを一緒にする」という、自分の提案を二人で実行したこと。
問9 百井が自分の突拍子もない提案を受け入れて全力で遊んでくれたことで、心の奥で望んでいたことが果たされて、思い残すことなく気持ちよく別れられる。きっとこの日のことは一生の思い出になるだろう。そうしたことに感謝しているのである。
問10 「あなたが何度も思い出す出来事」であるから、実体験を訊かれていることになる。これまでの人生で特に強く心に残っている人物・出来事を思い出して、どこで、どんなきっかけで、どんな人と、どのようなことがあったのか。それによって何を思い、どんな変化が自分や相手に起こったのか。なぜそのことを何度も思い出すのか……といった形でまとめていけばよいだろう。楽しかったこと、つらかったこと、腹が立ったり不快だったりしたこと、何を書いてもよいのだから、素直にその時思い出したことを書けばよいのである。
攻略のポイント
文学的文章に特化した問題なので、普段の物語・小説の読書量がモノを言う試験である。年齢の設定は受験生と近い話が多く、無理に難しい小説を読む必要はない。どんな気持ちなのか・なぜこんな行動を取るのかなど、試験で訊かれるようなことを考えながら、物語や小説を読んで想像力を養っておこう。
記述問題は規定の字数(8~9割)が書けていなければ得点にならない。綺麗な答えで満点を目指さなくてよいので、ともかく字数に達して部分点を取る泥臭さを持ちたい。
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