暁星中学校 入試対策
2021年度「暁星中学校の理科」
攻略のための学習方法
暁星中学校理科の満点は75点、今年度の合格者平均点は50点で、昨年より10点ほど高くなっている。幅広い知識を必要とする問題、思考力や計算力が求められる問題も含まれる。問題の形式としては、実験や観察に関する説明・図などを読み取った上で答える問題が中心である。
合格に向けての学習法としては、まずは各分野の基本知識をまんべんなく身につけることが必須である。その上で、過去問やレベルの高いも含めた問題演習をしっかり行うことが求められる。
各分野における学習法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は動物の大きさとつくりに関する出題で、記述を含めた思考力を必要とする問題も見られた。ここ数年では、植物の生殖、植物の補償点、人のからだの働きなどに関する出題が見られる。幅広い単元から出題されており、しっかりとした知識が求められる。実験や観察を通して考える問題や、表やグラフの読み取り問題の演習にも時間をかけたい。
地学分野
本年度は気象に関する出題で、雲の種類など細かい知識を問う設問も見られた。近年では、月の満ち欠け・惑星についてなど天体に関する出題頻度がやや高く、プレートと地震などの出題も見られた。この分野を学習する上では、月・太陽・星の動きなど天体についての学習には特に力を入れて欲しい。「なぜそのように動いて見えるのか?」の理屈を理解した上で覚えて頂きたい。今回出題された気象では、低気圧・高気圧・台風・風の吹き方・雲と雨・四季の天気の特徴など幅広く知識を固めること。
物理分野
本年はふり子の運動に関する出題で、計算問題ではつるかめ算を用いるユニークな内容も見られた。ここ数年を見ると、力のつり合い(ばね・滑車など)と電気回路に関する出題が多く、音に関する出題も見られる。この分野の学習としてまずは、最も出題される可能性の高い力のつり合い(ふり子・滑車・輪軸・浮力・ばねなど)の基本的な計算をしっかり練習して欲しい。電気・音・光などについても基本的性質を理解した上で問題演習を行って頂きたい。単なる頭の中だけでの丸覚えだけでなく、実際の演習や計算をしっかり行うことが大切である。
化学分野
本年度は水溶液の性質と濃度に関する出題であった。感染症対策の石けんとアルコールを題材にしたユニークな内容であった。ここ数年では水の沸騰、ろうそくの燃焼などに関する出題が見られた。この分野の学習としては、気体や水溶液の性質、燃焼、物質の三態変化など基本知識を固めることが第一である。複雑な計算問題の出題はあまり出題されていないが、基本的な計算問題の演習はしっかり行って欲しい。
秋以降に実施される模試は、合格可能性の判定だけに注目するのではなく、苦手単元を見極めるチャンスとして考えて頂きたい。特に間違えの多かった単元においては、その問題だけの解きなおしではなく、これまで使ってきたテキストや問題集を活用して「基本」の洗い直しをすることも必要である。模試の結果の分析やその後の対策については、家庭教師を有効に活用して頂きたい。
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2021年度「暁星中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は30題で75点満点、試験時間は40分であった。本年度第1回入試の合格者平均点は50点で、昨年度第1回入試に比べて10点程度上がり、かなり易化している。逆に言うと、ミスや基本知識の欠如は大きなマイナスになる入試になっている。適語を答える問題、記号選択問題の他に、計算問題・記述問題も含まれている。
問題文の読み取りや記述・計算問題にかかる時間を考えると、40分という試験時間は長くはない。できる問題から解答欄をてきぱきと埋めていく姿勢が求められる。
【大問1】地学分野 気象
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1) 雲は水蒸気が上空で水になったもの。
(2) 雲の種類は「巻雲」「巻層雲」「巻積雲」「高層雲」「高積雲」「乱層雲」「層積雲」「層雲」「積雲」「積乱雲」の10種類。
(3) 雷を伴い激しい雨を降らせる雲は、積乱雲。
(4)(5) 雨を降らせる雲は積乱雲と乱層雲。乱層雲は別名雨雲で、これが増えてくると雨が降ることが予想される。
(6) 全国約1300か所の降水量・気温などのデータを集め、気象予報に役立てているシステムをアメダスと呼ぶ。
(7) 6月~7月の梅雨の時期には梅雨前線が停滞して雨の日が多くなる。
(8) 高度が高いほど風が強い。日本上空には偏西風と呼ばれる強い西風が吹いている。
(9) 記述問題。熱帯低気圧のうち中心付近の最大風速が秒速17.2m以上のものを台風と呼ぶ。
(10) 記述問題。天気予報の根拠を説明する問題。高気圧周辺では天気がよく、低気圧周辺では天気が悪いと考えられる。低気圧や高気圧は偏西風に乗って西から東へ移動するので、天気も西から東へ移り変わっていく。
気象に関する出題。知識問題が中心だが、やや細かい知識も問われている。小問数が10あり、知識不足は大きなマイナスになりかねない。間違いが多かった時は、テキストに戻って、気象に関する基本知識の再確認を行って欲しい。
【大問2】化学分野 水溶液の性質と濃度
- 難度:標準
- 時間配分:10分
(1) 石けん水はアルカリ性。アルカリ性では、フェノールフタレイン液が赤く変わる。
(2) 密度の違いにより、上層にベンゼン、下層に水酸化ナトリウム水溶液と分かれる。水酸化ナトリウム水溶液だけがフェノールフタレイン液で赤く変わる。
(3) 乳化作用の原理を用いたものとして、マヨネーズがあげられる。
(4) 消毒に使うアルコールとして70%程度のものが最適であることについての記述問題。アルコール濃度が低すぎると消毒効果が弱く、濃度が高すぎると、アルコールが早く蒸発してしまう。
(5) 濃度に関する問い。
(a)87×0.7=60.9 四捨五入すると、61g。
(b)70%エタノールに含まれるエタノールは、60.9×2より、121.
8g。96%エタノールを作るには、121.8÷0.96 より四捨五
入して127gのエタノール水溶液が必要。
感染症対策における石けんやアルコールを題材にした水溶液に関する問題。難問ではないが、基本知識に加え、問題文の読み取り力・記述力・計算力が求められる。
【大問3】生物分野 動物のからだの大きさとつくり
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1) 食べたものは肝臓の中は通過しない。ひじを曲げるとき、腕の内側の筋肉は縮み、外側の筋肉は伸びる。
(2) 直方体の体積と表面積に関する計算問題。からだが大きくなるほど、体積あたりの表面積は小さくなる。寒い地域に住む動物ほど、体温を逃がしたくないため、からだが大きくなる。
(3) 表に示された動物が住む地域の選択問題と選択理由についての記述問題。(2)より、からだの大きな動物ほど北極に近く、からだの小さな動物は赤道近くを選択すればよい。
(4) 哺乳類と違い、は虫類や昆虫は変温動物。変温動物は寒い地域では体温を上げやすいように、体が小さい傾向にある。
動物のからだの大きさを中心とした出題。問題文やデータから、生息する地域とからだの大きさの関係について考察できるかがポイントとなる。ややレベルの高い出題である。
【大問4】物理分野 ふり子の運動
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1) 記述問題。測定上の誤差を小さくするために、10往復の時間を測り10で割る。
(2) 実験結果より、ふり子の長さが4倍になると周期は2倍、ふり子の長さが9倍になると周期は3倍・・・という関係が読み取れる。
(3) ふり子の周期におもりの重さは関係しない。おもりをたてにつなぐと、ふり子の長さが長くなることになり、周期も長くなる。
(4) ふり子の速さは最低点で最も速くなり、ストロボで撮影した時の間隔が長くなる。また、くぎの右側はふり子の長さが短くなるので、周期が短くなる。そのために、おもりの撮影回数が少なくなる。
(5) 計算問題で、計算式の記述指定。くぎの左側が100cmのふり子、右側は25cmのふり子になる。1÷2+2÷2 より、1.5秒。
(6) 計算問題で、計算式の記述指定。くぎがある時の周期は1.5秒、くぎがないときの周期は2秒。くぎが外れない時は10往復で15秒かかる。実際には16.5秒かかったので、(16.5-15)÷(2-1.5)=3 より、3往復の間くぎが外れていたことになる。7往復の間はくぎがあったので、くぎの真下を通過したのは、14回。
ふり子の運動に関する出題。後半のくぎの左右で周期が異なる設定の計算問題は中学入試で頻出だが、(6)のつるかめ算の考え方で解く問題はユニーク。全体的に、日頃の練習の成果が問われる内容になっており、今回の入試において明暗を分ける1題と言える。
攻略のポイント
大問は各分野から4題、知識だけで解ける問題と思考力や計算力が必要な問題がバランスよく配分されている。今回の出題では、大問1では知識を中心とした出題、大問2と大問4では計算力が必要な問題、大問3では思考力を問う問題が中心となっている。すべての大問が実験や観察に関する長めのリード文・図・グラフなどを題材として作られている。
テスト時間は40分と十分あるので、問題の読み取り・理解をしっかり行うことを意識して欲しい。
学習を進める上では、基本知識の習得を夏休みまでを目途に行い、秋以降は過去問またはそれと同傾向の問題演習をしっかり行って欲しい。演習に使う問題の選択については、家庭教師などに相談して欲しい。
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