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暁星中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「暁星中学校の理科」
攻略のための学習方法

暁星中学校理科の満点は75点、今年度の合格者平均点は51点で、昨年と同程度の難易度であった。幅広い知識を必要とする問題、思考力や計算力が求められる問題も含まれる。また今年度は凸レンズの作図問題が見られた。問題の形式としては、実験や観察に関する説明・図などを読み取った上で答える問題が中心である。
合格に向けての学習法としては、まずは各分野の基本知識をまんべんなく身につけることが必須である。その上で、過去問を中心にレベルの高い問題を含めた問題演習をしっかり行うことが求められる。
各分野における学習法は以下の通りである。

<分野毎の学習法>

生物分野 

本年度は「有酸素運動と無酸素運動」というユニークなテーマの出題で、問題文やグラフの読み取りがポイントとなる内容であった。ここ数年では、動物の大きさとつくり、植物の生殖、植物の補償点、人のからだの働きなどに関する出題が見られる。幅広い単元から出題されており、しっかりとした知識が求められる。実験や観察を通して考える問題や、表やグラフの読み取り問題の演習にも時間をかけたい。

地学分野 

本年度は気象・岩石など幅広い内容を含んだ出題で、幅広く豊富な知識が求められる内容であった。近年では、気象、天体、プレートと地震等についについての出題が見られる。中でも、天体に関する出題頻度がやや高い。この分野を学習する上では、月・太陽・星の動きなど天体についての学習には特に力を入れて欲しい。「なぜそのように動いて見えるのか?」の理屈を理解した上で覚えて頂きたい。気象については、低気圧・高気圧・台風・風の吹き方・雲と雨・四季の天気の特徴など幅広く知識を身につけること。岩石や地震・火山についての基本的な知識も固めておきたい。

物理分野 

本年は凸レンズによる像に関する出題で、作図問題が中心であった。ここ数年を見ると、力のつり合い(振り子・ばね・滑車など)と電気回路に関する出題が多く、光・音に関する出題も見られる。今回出題された凸レンズによる像に関する出題は過去にも見られ、本校受験者は対策が必要である。最も出題される可能性の高い力のつり合い(ふり子・滑車・輪軸・浮力・ばねなど)については、基本的な計算をしっかり練習して欲しい。電気・音などについても基本的性質を理解した上で問題演習を行って頂きたい。単なる頭の中だけでの丸覚えだけでなく、実際の演習や計算をしっかり行うことが大切である。

化学分野 

本年度は尿素の結晶を作る実験というユニークなテーマであった。書かれてある内容の読み取り力と基本知識および考察力が求められる内容であった。ここ数年では水溶液の性質、水の沸騰、ろうそくの燃焼などに関する出題が見られた。この分野の学習としては、気体や水溶液の性質、燃焼、物質の三態変化など基本知識を固めることが第一である。複雑な計算問題の出題はあまり出題されていないが、基本的な計算問題の演習はしっかり行って欲しい。

秋以降に実施される模試は、合格可能性の判定だけに注目するのではなく、苦手単元を見極めるチャンスとして考えて頂きたい。特に間違いの多かった単元においては、その問題だけの解きなおしではなく、これまで使ってきたテキストや問題集を活用して「基本」の洗い直しをすることも必要である。模試の結果の分析やその後の対策については、家庭教師を有効に活用して頂きたい。

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2022年度「暁星中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4題、小問数は25題で75点満点、試験時間は40分であった。出題形式は、適語を答える問題、記号選択問題の他に、計算問題・記述問題・作図問題も含まれている。
問題文の読み取りや記述・計算・作図にかかる時間を考えると、40分という試験時間は長くはない。できる問題から解答欄をてきぱきと埋めていく姿勢が求められる。

【大問1】  生物分野 有酸素運動と無酸素運動

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

(1) 骨と骨のつなぎ目は「関節」。酸素は「肺」から「血液」の中に取り込まれる。
 
(2) 腕を曲げるときの筋肉の動きについての選択問題。

(3) 記述問題。グラフより、運動距離が短いと無酸素運動、運動距離が長いと有酸素運動が増える。
 
(4) 問題文中の「筋肉の中にも、酸素とくっついたり離れたりするミオグロビンというたんぱく質が存在します」がヒント。

(5) 選択および記述問題。赤身の魚はミオグロビンが多く、有酸素運動が優位であ
ると考えられる。
   
ヒトと魚の有酸素運動と無酸素運動についての出題。基本知識および問題文とグラフの読み取りがポイントとなる出題。

【大問2】 化学分野 尿素の結晶を作る実験

  • 難度:標準
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

(1) 式の記述指定問題。70÷(70+90)×100 より四捨五入して、44%。

(2) 実験結果から、洗濯のりと洗剤の役割を考察する選択問題。

(3) アルミニウムは軽いが、包丁に使うほどの強度がない。

(4) 筒の上部で水が蒸発することにより、結晶が育つと考えられる。
 
(5) (ⅰ)青色リトマス紙も赤色リトマス紙も変化しないことから中性。砂糖水と食塩水が中性である。
    (ⅱ)空欄を埋めて文章を完成させる問題。提示された2つのグラフを見ると、実験開始後、水の温度が下がっている。温度が下がると、尿素は水に溶けにくくなる。

尿素の結晶を作る実験というかなりユニークな内容をテーマにした出題だが、各設問を見ると際立った難問は見られない。基本知識および与えられたデータを読み取る力が求められる。

【大問3】 地学分野 地学総合問題

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1) 気象の観測に関する選択問題で易問。
 
(2) 川の流れに関する選択問題。砂防ダムは水不足対策用ではなく、土砂災害を防ぐために作られたものである。
 
(3) 「川の流れを管理、維持」より、川の流れで運ばれてきた土砂をすくい出していたと考えられる。
 
(4) 崖ができるしくみに関する選択問題。生物や生物の死骸で崖ができることはない。

(5) 花こう岩と安山岩についての選択問題。花こう岩・安山岩は火成岩であり、海の中で堆積してできわけではない。
 
(6) 瀬戸内地方は年間を通して降水量が少ない。
   
気象観測・川の流れの働き・岩石など様々な内容を盛り込んだ出題。瀬戸内地方の気候など地理の知識問題も含まれている。日頃の学習で得た知識量がポイントとなる。

【大問4】 物理分野 凸レンズによる像

  • 難度:やや難
  • 時間配分:14分

(1) 像の作図問題。作図に必要な線は、光源か光軸と平行に進み、レンズで屈折後焦点を通って進む線 光源からレンズの中心を通って直進する線 レンズの手前の焦点を通り、レンズで屈折後光軸と平行に進む線 以上3本または3本のうち2本である。
 
(2) 作図問題。焦点距離の2倍の位置から出た光は、レンズの反対側の焦点距離の2倍の位置に集まる。

(3) 焦点距離の2倍の位置が光源にあたるので、レンズで屈折した光は焦点距離の2倍の位置に向けて屈折する。焦点距離の2倍は20cm、レンズからスクリーンまでの距離は15cmなので、スクリーンに光が当たる部分の面積:レンズの面積=3×3:4×4=9:16 となる。

(4) 作図と計算問題。光源が焦点の位置なので、レンズで屈折した光は光軸と平行に進む。8×8×3.14÷4-8×8÷2 より、18㎠。

(5) 追加したレンズには平行光線が入るので、レンズで屈折した光は焦点に集まる。
    作図問題であるが、スクリーンの真ん中に黒い点を打つのみである。

(6) 作図問題。追加したレンズには光軸と平行な光が入る。レンズから焦点までが10cm、焦点からスクリーンまでも10cmなので、(4)で作図した図形と上下左右が逆になった図形がスクリーンに映る。
 
凸レンズによる像の作図を中心とした出題。同テーマの出題としては決して難問とは言えないが、像の作図が苦手、あるいは学習が不十分な方にとっては非常に辛い内容の出題。なお、本校では過去に凸レンズの像について出題されており、本校受験者は絶対に抑えておきたい単元である。

攻略のポイント

例年通り各分野から大問4題の出題であった。本校の理科の出題では、毎年ユニークな内容を取り上げている。今年も「尿素の結晶」をテーマにした出題が見られた。
知識だけで解ける問題と思考力・計算・作図が必要な問題がバランスよく配分されている。大問4の凸レンズによる像の作図問題は中学入試で頻繁に取り上げられる単元ではないが、本校では過去にも出題されており、本校受験者はしっかり学習しておかなくてはいけない。
テスト時間は40分と十分あるので、問題の読み取り・理解をしっかり行うことを意識して欲しい。
学習を進める上では、基本知識の習得を夏休みまでを目途に行い、秋以降は過去問またはそれと同傾向の問題演習をしっかり行って欲しい。演習に使う問題の選択については、家庭教師などに相談して欲しい。

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