暁星中学校 入試対策
2023年度「暁星中学校の算数」
攻略のための学習方法
暁星中学の算数の入試問題の特徴は、計算問題⇒一行問題⇒大問(標準問題・応用問題、)という標準的な模試タイプの問題構成ではなく、すべてが大問の形式になっていることがあげられる。計算問題や一行問題は一切ないので、過去問等を通じてこの問題構成に慣れて頂きたい。
出題頻度の高い単元
①速さ:ほぼ毎年出題されている。今年は歩数・歩幅・速さの関係と比を用いて解く内容の出題でややレベルの高い内容であった。ここ数年を見ると、ダイヤグラム(進行グラフ)についての出題頻度が高く、昨年度まで連続して出題されていた。同じダイヤグラムについての問題でも、年度によって難易度に差がある点は注意が必要であり、レベルの高い問題も想定して学習しておきたい。ダイヤグラム以外でも、「比」の利用がカギとなる問題、・流水算・通過算・時計算など速さ全般における問題演習にはしっかり時間をかけておきたい。
②平面図形:昨年・今年と純粋に平面図形の問題と言える出題がなかった。過去の傾向を見ると、相似など比を使って解くタイプの問題よりも、円や多角形の複合図形の面積を工夫して求めるタイプの問題が多い。
③数論:今年は「図形と規則性」「場合の数」「1から始まる奇数の和は平方数になる」という性質についての出題で、この分野の比重が非常に高い入試であった。過去の出題を見ると、約数の個数に関する出題が複数回見られる。この単元では、約数の個数に関する問題・素因数分解を利用して解く問題・場合の数等を中心に、難度の高い問題も含めて学習を進めて欲しい。
④割合と比の文章題:今年は食塩水の濃さに関する出題で、難度の高いものであった。過去の出題を見ると、ニュートン算が2018年から2020年まで3年連続で出題されている。仕事算、食塩水の濃さなどが出題されている。
学習のポイント
本校の近年の入試問題を見ると、ニュートン算・食塩水の濃さ・速さとダイヤグラム・約数の個数など頻繁に出題される単元が見られる。このような傾向を見ると、過去問を使っての学習は非常に有効的であり、必須である。上記単元を中心に基本の定着はもちろんのこと、多少レベルの高い問題にも対応できるように問題練習を積み重ねて欲しい。問題演習においては、1行問題だけではなく、本校の特徴である大問形式の問題を1つの大問を10分程度の時間設定も行いながら進めて欲しい。
本校の入試では計算問題としての出題は見られないが、計算練習は怠りなく行って欲しい。今回の入試でも、速さの問題の中に計算力が要求される問題が見られた。自信を持って解き進めるのに必要な計算力を身につけて欲しい。
過去問以外の問題演習においては、本校入試と同タイプの練習が有効的である。問題の選択については、家庭教師に相談して欲しい。
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2023年度「暁星中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
50分で大問が5、小問が11。すべての問題に計算欄がある,いわゆる「記述」形式である。50分という時間に対して問題数は少ないが、昨年・今年の傾向を見ると、全体的に難度があがり、一問一問をしっかり考える考察力重視型の入試になってきたと言える。
本年度の特徴としては、数の性質や場合の数など数論についての出題が多く、立体図形の出題が見られなかった。平面図形についても規則性の問題として扱われているが、純粋な平面図形の問題はなかったのも特徴的であった。
【大問1】図形と規則性
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)あ:白い部分の面積が1/4+1/4×1/4×2=3/8 となるので、斜線部分の面積は1-3/8 より、5/8㎠。
い:同様に、白い部分の面積が3/8+1/4×1/4×1/4×4=7/16となるので、斜線部分の面積は、1-7/16 より、9/16㎠。
(2)(1)の結果より、1番目・2番目・3番目と進めていくと、分母は前の数×2、分子は前の数×2-1となっていることがわかる。このルールで操作を進めていくと、4番目:17/32 5番目:33/64 6番目:65/128となり、6回目の操作で初めて51/100を下回ることがわかる。
図形と規則性の出題。与えられた図と説明から規則を見抜くことができるかどうかが最大のポイント。(1)では斜線部分を直接考えるより、全体-白い部分=斜線部分と考えた方が処理しやすい。
【大問2】食塩水の濃さ
- 難度:難
- 時間配分:12分
(1)EはBを○gとCを△g、FはCを○gとAを○g混ぜたものと考える。○+△=100g EとFの濃さが等しいので、○×3+△×5=○×5+△×2となる。これより、○:△=3:2なので、○=60g △=40g DはAを60g、Bを40g混ぜたものになり、濃さは2.4%となる。
(2)GとIは同じ重さであり、同じ量の食塩を加えたら同じ濃さになったということは、GとIが同じ濃さであったと言える。GはAを●gとBを▲g、IはCを●gとAを▲g混ぜたものと考える。●+▲=100g GとIの濃さが等しいので、●×2+▲×3=●×5+▲×2 となる。これより、●:▲=1:3 これよりGとIの濃さは2.75%、Hの濃さは4.5%。従って、2.75%で100gの食塩水に食塩 を加えた時に4.5%になればよく、面積図または天秤図を用いて を求めればよい。なお、食塩は100%の食塩水と考えて図を描くこと。
食塩水の濃さに関する出題。条件がかなり複雑であり、濃さの計算に加え、消去算など違う要素を盛り込んだ処理になるので、難度が高くなっている。
【大問3】場合の数
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)千の位が2、百の位が0の時の取り出し方は、3×3より9通り。千の位が1以上の時の取り出し方は、4×4×3より48通り、千の位が3以上になる取り出し方は、3×5×4×3より180通り。計237通り。
(2)各位の数の和が3の倍数で、一の位が0または5になればよい。和が3の倍数になる4枚の取り出し方は、0・1・2・3、0・1・3・5、0・2・3・4、0・3・4・5、1・2・4・5 の5通り。これらを使って1の位が0または5になるような順列を考えればよい。
場合の数に関する出題。カード並べの問題で、難問とは言えないが、場合分けをしながら丁寧に調べることができるかどうかがポイントとなる。
【大問4】速さと比
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
(1)AとBの歩数の比は6:5、歩幅の比は15:16 速さの比は(歩数の比)×(歩幅の比)で求めることができる。6×15:5×16=9:8。2人が1周するのにかかる時間の比は速さの比の逆比になるので、8:9で、問題文よりその差は4分なので、4×8 より32分。
(2)AとBの進行の様子をグラフ(ダイヤグラム)で表すと、相似比が1:1の砂時計型(クロス型)の相似関係にある三角形が2つできる。これより、出会うまでにAとBが歩いた距離は等しい。同じ距離を歩くとAとB歩数の比は16:15であり、Bが1周にかかる時間は36分であることから、1536÷16×15×18より、80歩。
(3)Aが1周進むと歩数は1536×2 より、3072歩。1周の距離は64×36より2304m。2304÷3072 より歩幅は0.75mとなる。
速さと比に関する出題。歩数・歩幅・速さの関係は塾のテキスト等でも取りあげられており、一般的な内容と言えるが、本問題では2人の出会いという要素が加わり条件もやや複雑なために難度を上げている。(2)では進行グラフを利用することが効果的と思われるが、それ以外の解法も考えられる。いずれにしても池1周の出会いを向かい合う2地点の両端から進んで出会うという設定で図を描くことで、2人の動きをわかりやすくさせる。
【大問5】数の性質
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)1から始まる奇数の和は平方数になる。
1+3+5+9=4×4
1+3・・・・+9=5×5
1+3+・・・・・・21+23=12×12
1+3+・・・・・・・23+25=13×13
(2)平方数と平方数の和が平方数になればよい。
3×3+4×4=5×5 これは6以上30以下という条件にあわない。
5×5+12×12=13×13 これも条件に合わない。
7×7+24×24=25×25 これが条件に合う。
数の性質に関する出題。「1から始まる奇数の和は平方数になる」は受験生として知っておいた方がよい性質。(2)は、直角三角形の3辺が整数になるときの3辺の比の条件。3:4:5は有名だが、5:12:13なども覚えておくと何かの時に役立つかも知れない。
攻略のポイント
テスト時間は50分で100点満点、例年通りであった。
合格者平均点は一昨年が89点、昨年は69点、今年が48点とこの2年で40点以上も下がっている。このまま難化を続けるとも思えないが、本校の算数を攻略するためには、多少難度の高い問題にも対応する力を身につけるための練習が必要になってきている。
本年度は平面図形に関する問題が大問1の規則性に関する問題の中で取り上げられているのみ、立体図形に関する問題は見られなかった。その一方で、場合の数・数の性質・図形と規則性と数論に関する出題が多かったのも本年度入試の特徴であった。文章題は「濃さ」「速さ」の2題で、いずれも難度が高いものであった。
大問5題とも標準あるいはそれ以上のレベルの内容であり、いずれの大問においても比較的得点しやすい(1)で正答できるかどうかで明暗が分かれると言えよう。
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