暁星中学校 入試対策
2023年度「暁星中学校の社会」
攻略のための学習方法
傾向
試験時間40分、大問は3~4だが、総解答数は50~60にも及ぶ。
本文・資料も含めると、目を通す分量がかなり多い試験である。
解答形式は、記号選択と用語記入がほとんどであるが、正解を選ぶのに手順や多くの知識が必要になる問題が多く、かなり手ごわい。
2014年度では無くなっていた記述問題がその後は復活している。また、2015年度以降に高まった難易度も徐々に下がってきているようである。
今後の動向について、学校説明会などに参加し、情報があれば確認しておきたい。
地理分野
日本地理全般の問題がまんべんなく出題されていて、偏りは無い。
地図や資料が多く示され、地形図の読み取りも出されている。
ここ数年は特に統計・グラフから数値を読み取って答える問題が多くなっている印象である。
また、一つの事項について集中して詳しく訊く問題が地理分野で出題されることがある。副教材などで「世界遺産」や「国際紛争の起こった地域」などをまとめたページでテーマごとに覚えておくと良い。
問題自体はテキストや参考書で勉強できる内容なので、幅広くこなしておく。
地図を使った問題は頻出なので、常に近くに置いて場所などのチェックを怠らないこと。
また、世界地理の問題も出されているので、主だった国や地域は知っておこう。
さらに、2018年度では北海道の発電所や都内のある市の夜間人口と昼夜間人口比率の比較など、他校ではあまり見られない問題もみられた。
歴史分野
古代から近代、現代の時事的要素を含む問題まで、幅広い範囲から出題される。
歴史上の出来事があった場所や関係の深い都道府県など、「歴史地理」といった問題も見られる。
単発の知識よりも歴史の流れを問われる設問が目立つ。
事項を時代順に並べ替えたり、本文自体で文章を時代順に並べて穴埋めさせたりという問題が出されている。
2015年度から著しく難易度が上がり、とくに歴史分野でその傾向が顕著であった。橘諸江や恵美押勝など他校ではあまり問われない人物名や、近江大津宮の場所など、答えられなかった人も多かったであろう。しかし、ここ数年で合格者平均点も上がってきており、難易度が抑えられているようである。
2017年度は地理分野に重点が置かれ、歴史分野でも地理分野が混合された問題が見られたが、2018年度~2020年度では歴史分野の方で問題数が多くなっている。両分野とも油断なく準備したい。
政治分野
日本国憲法・政治の仕組み・国際関係などからの出題。
特に憲法と三権の仕組みはよく訊かれるので、しっかり覚えておくこと。
政治分野も細かく突っ込んだ内容は問われないので、テキストを中心に丁寧に学習しておけばよい。
この分野で時事的問題が合わせて聞かれることが多いので、地理・歴史と比べると、政治自体の問題数は少な目である傾向が見られる。
2017年度は歴代総理大臣の名前と、関係する知識を問う政治史とも言える問題が出された。年度により傾向が変わる可能性があるので、慌てないように幅広く学習しておきたい。
知識
2014年度まではテキストに書かれているレベルの基本をしっかり押さえた学習で対処できたが、2015年度から難易度が急上昇し、合格者平均点を見るとここ数年でまた元に戻りつつある。
来年度の動向に注意しつつ、テキストレベルにおいて可能な限り高度な学習を目指し、極端な難問以外は確実に得点できる実力を身につけたい。
◆テキスト・問題集で基礎をしっかり固めた上で、地図・白地図・資料集等で場所や関連事項を詳しく調べておく。
◆年表で時代の流れに沿って知識をまとめておく。地図で場所も確認する。
◆「必要と思われる解答は全て漢字で」という指定がつくので、特に人名・地名や法律の文言などは漢字で書けるようにしておく。
難しい問題で時間を取られ過ぎてもよくない。できる問題から着実に答えることである。
さらに注意点として、本文と設問でかなりの文章量になる年が多いため読むスピードは必要であるということを付け加えておく。
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2023年度「暁星中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
本校の試験問題は、全体の文章量が多く、資料もたくさんあり、読み取りに時間がかかる。
解答数も多い上、答えを選ぶのに手順が必要な問題があり、時間的にはきついかも知れない。
総解答数は37問で2022年度より少なくなったが、やはり読むのにあまり時間がかかるようではうまくない。
文章を読むスピードをつけるよう練習すること。
【大問1】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:14分
- ★必答問題
いろいろな時代の出来事を時代順に並べ替えたり、人物について訊かれたりしている。
問1 ① 江戸城の火災・明暦の大火(1657年)→富士山の永宝の大噴火(1707年)→浅間山の噴火・天明の大飢饉(1782~87年)
② 承久の乱(1221年)→御成敗式目(1232年)→元の成立(1271年)
③ 世界恐慌(1929年)→二・二六事件(1936年)→盧溝橋事件(1937年)
④ 日本の国際連合加盟(1956年)→日中共同声明(1972年)→バブル景気(1980年代後半~1990年代はじめ)
⑤ 平成元年・ベルリンの壁崩壊(1989年)→細川護熙内閣(1993年)→民主党政権(2009年)
⑥ 二条河原の落書(1334年)→勘合貿易の始まり(1404年)→山城の国一揆(1485年)
⑦ 遣隋使(607年)→旻・高向玄理の帰国(632年・640年)→公地公民制(646年)
⑧ 二十一か条の要求(1915年)→関東大震災(1923年)→治安維持法(1925年)
⑨ 最澄・空海の帰国(805年・806年)→平等院鳳凰堂(1053年)→白河上皇の院政(1086年)
⑩ 民選議員設立建白書(1874年)→西南戦争(1877年)→ノルマントン号事件(1886年)
問2 田中角栄
問3 村山富市は1994年に内閣を組織した日本社会党の党首。
問4 二条河原の落書は後醍醐天皇の行った建武の新政を風刺した落書。
問5 大隈重信
【大問2】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:19分
- ★必答問題
高度経済成長期の日本を題材に、生活の変化や情報格差などについて訊かれている。
問1 エ. 千葉県には新幹線は通っていない。
問2 デジタル・デバイドは、情報格差とそれに起因する社会の分断(devide)を意味する用語である。
問3 エ. 視聴形態の変化に合わせた新たな調査方法であるから、「番組作り」のための調査は合わない。
問4 低い額で変化がないウはラジオ、急激に伸びているエがインターネット、ゆるやかに下降しているイは新聞で、アがテレビである。
問5 エ. 働き手として来日したタイやベトナムの人たちが不当に安い賃金で働かされる事例が問題となっている。
問6 ア. 計算すると約7割である。
問7 エ. キャッシュレス化が進めば現金による支払いは減るので、高額紙幣の使用も減ると予想される。
問8 A. 床に座って、ちゃぶ台で食事している。
問9 ア. 部屋の間取りが親と子の二世代の利用に向けた作りになっており、それまでの祖父母も含めた三世代同居よりも人数は減っている。
問10 それまでの三世代同居が減って親と子だけの核家族化が進んだ。母親も仕事に出かける共働きが増え、子供だけで過ごす時間が増えたため、安心して過ごせる児童館の設置が急がれたのだと考えられる。
問11 日本の発電は石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料を使用する火力発電が主であり、その燃料の大部分を輸入に頼っているため、輸入先の経済や政治の状況により供給が不安定になったり価格が高騰したりなどのリスクがある。
【大問3】政治経済分野
- 難度:標準
- 時間配分:7分
日本の司法制度や憲法について訊かれている。
問1 国民審査は最高裁判所の裁判官がその職にふさわしいかどうかを国民が直接判断する仕組みである。
問2 最高裁裁判所は三審制度において最終的に判断を決する終審裁判所であり、「憲法の番人」と称される。
問3 あ. 高等 い. 地方 う. 簡易 え. 家庭
問4 ア. 裁判官は、天皇が任命(内閣が指名)した最高裁判所長官の指名により内閣が任命する。
イ. 違憲立法審査権はすべての裁判所が有する。
ウ. 行政裁判所は存在しない。
問5 国会内に裁判官を審査する弾劾裁判所を設置することができる。
問6 イ. 逮捕令状は裁判所が発布する。
問7 A. 父母が婚姻していなくても日本国籍を取得できる判決が最高裁で出されている。
B. 違憲状態にあるという判決は、複数回出されている。
攻略のポイント
2015年度からの難易度上昇が、ここ数年では抑えられ元に戻ってきたようである。
いずれにしてもテキストの基本的事項を徹底的にマスターし、難問を除いた他の問題を確実に得点していけば合格最低点には達すると考え、あまり身構えずに堅実な実力アップを図って欲しい。復活した記述問題にも抜かりなく対策をしておく必要がある。
また、地理分野で狭い範囲に限定して細かく問う問題が見られ、その範囲の勉強をおろそかにしていると大量失点につながるので、各分野で大きな穴を作らないようにすることも大切である。
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