法政大学第二中学校 入試対策
2023年度「法政大学第二中学校の国語」
攻略のための学習方法
[問題構成]
大問は3つ。それぞれに漢字や熟語・論説文の読解・小説の読解が割り当てられている。接続詞や慣用句などのことばの知識は読解問題と合わせて出題される。
文量は、論説文が3000~5000字・小説が5000字ほどで、計8000~10000字程度で多めである。総解答数は約30~45問と年度により差がある。
設問は選択式が多く、数問の書き抜きと1問の記述問題が含まれている。ここ数年、記述問題は論説文の読解で出題されている。60~80字ほどで、筆者の意見の中心部分を問う質問が多い。
[論説文の読解]
社会科学・人文科学の文章がよく使われている。受験生の年齢を考慮した出題で、文章が難しすぎるということはない。ここ数年、記述問題はこちらの分野で出題されている。60~80字と字数は多いが、説明的文章なので文中の重要点を抜き出して解答をまとめられる問題が多い。要点・要旨をしっかり把握できれば、字数を埋められるだろう。説明的文章の読解力を養おう。
・段落の整理
形式段落→意味段落へのまとめ。意味段落の内容を短くタイトルにしてつけてしまえば、段落のつながりや論理の流れがわかりやすくなる。
・要点
各段落の最初と最後に特に注意しながら、要点をチェック。自分のやりやすい方法で良いので、傍線を引くなどしてすぐ探せるようにしておくことはやはり有効である。別の言葉で言い換えた部分と線で結んでおくなどするのも良い。
・要旨
要点をまとめれば全体の要約ができる。その中で筆者の最も言いたいことが要旨である。特に記述問題は要点・要旨から字数に合わせて抽出し、まとめて答えとなる場合が多い。説明的文章の読解は結局は要旨の把握が求められている。
[小説の読解]
中学生を主人公にした小説が多く用いられている。受験生と近い年齢の設定なので、その心情や行動も理解しやすいだろう。文学的文章の読解の基本をしっかりマスターして臨もう。なお、2022年度・2023年度ではこちらの分野でも記述問題が出題されている。
・人物の整理
人数・名前・それぞれの関係などを確認する。だいたいの性格も見ておこう。性格が違えばその言動の意味するところも違ってくる。
・場面の変化
時間・場所・人物の入出などで場面の変わり目を見つける。場面の変わり目を訊かれる問題もある。
・心情の把握
人物の言動・表情や情景などから、気持ちを読み取る。最も問題にされる部分である。多くの文章を読んで様々な人間の考えに触れておくことがなによりの経験になる。
・主題の理解
作者が描きたかったことは何か。人間の成長や葛藤・挫折、戦争の悲惨さなど、よく描かれるテーマがある。読書を通じて多くのテーマを見ておくことで、テーマをとらえる力もより付くことだろう。
[選択肢問題について]
選択肢の文が長めである点、注意が必要である。文字数が多ければ時間も取られるし、見落としやすい要素もそれだけ増えることになる。細部の一言一句にも油断せず集中して読み切ろう。消去法で弾いていき、最後に2者で迷うことが多い。本文との細かい相違点・共通点を見逃さないよう、過去問で経験を積んでおこう。
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2023年度「法政大学第二中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数31問で、80字と150字の2問の記述問題が出されている。素材文は計10000字ほどあり、読むスピードも必要となる。
記述問題以外はそれほど時間を取られないので、他の問題を手早くこなして記述問題に十分時間を残して、しっかり得点したい。
【大問1】漢字・同意語・品詞
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問一 ① 系統 ② 貯蔵 ③ 収拾 ④ 織(る) ⑤ 勇(み立つ)
問二 ① つい(やす) ② やわ(らぐ) ③ あんぴ ④ ほっきにん
問三 ① 裕福・富裕 ② 刊行・出版 ③ 真心・誠意
問四 ① 「名詞+で(原因・理由の格助詞)」
② 「どうやら~らしい(推定の助動詞)」
③ 「が(対象を示す格助詞・~を)」
【大問2】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:21分
- ★必答問題
筆者は〈被差別―差別〉という二分法的見方の危険性を指摘し、差別を特別なものとして締め出そうとするのではなく、だれでもが「差別する可能性」を持っていることを自覚しながら他者と繋がり理解することが必要だと述べている。
問一 ウ. 差別は自分とは関係ない特別な出来事だと「傍観」していることの例えである。
問二 ウ
問三 「差別をできるだけ限定し、狭くまれなできごととして私たちの日常生活世界から締め出そうとする」ことで、「被差別(差別も)」が他人事になってしまうのである→選択肢ア。
問四 直前に「『差別者であれ~特別な存在だ』という考え」と示されている部分が抜き出せる。
問五 解放運動を進めていた人に話を聞いた例で、「差別を受ける人々であるからといって、他の差別事象を真に理解できると言い切ること」などできない、と述べられている→選択肢アが合う。
問六 「差別する可能性」とは、「決めつけや思い込み」「歪められ偏った理解の仕方」などの「他者理解や現実理解をめぐる知や情報に私たちが囚われてしまう危うさのこと」であると、筆者は説明している→選択肢ウ。
問七 なぜ「差別を考えること」が重要なのか→それは他者と繋がる力を得る原点だから(ウ)→自らを掘り起こして問題を理解しようとする(イ)→そうした過程で他者の現実と向き合うことができる(エ)→そこに厳しい生があり、そこで生きる他者の姿がある(ア)。
問八 差別の基本的様態は、多数と異なる少数者を攻撃・排除しようとする動きであろう。自分の周囲でそのような事例がなかったか考えてみよう。そこに筆者が述べた「差別する可能性」を当てはめてみて、特別な他人事として傍観するのではなく、「違うこと」は「普通のこと」であると考え、他者と繋がり理解しようと努力することが大切だと論を展開すればよいだろう。
【大問3】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:21分
子どもたちの自主性を守るため義母に初めて反抗した主人公。自分に味方してくれて、あきらめた夢に挑戦する後押しをしてくれる子供たちを大切に思い、これからも守っていこうと決意を新たにする。
問一 Ⅰ. そもそも義母は子どもの塾通いが気に食わないので、「眉をひそめたまま」。
Ⅱ. 娘は大人たちの険悪なやりとりを「息を殺して」見ていた。
問二 子どもを高い月謝を払って塾に通わせていること・母親がパートで働き娘を学童保育に通わせていることなど、主人公の子育てが気に食わず憤っている。
問三 (一) 義母は「我慢を強いられた子どもは性格が歪みろくな大人にならない」と考え、主人公は「夢を持てない大人になること・自分に自信が持てないこと」こそ可哀そうだと考えている。
(二) 美音のこともあるが、傍線②のあとで俊介が自ら目標を持って塾に行きたいと言い出したことを主人公は誇らしく思い、応援していることが描かれている。そんな俊介の気持ちを理解もせず「可哀そう」と言う義母に、自分が盾になって俊介の意志を守らなければと意を強くしたのである。
問四 義母に初めて反抗したことで緊張はしたが、はっきり意見を言うことができほっとしている。また、俊介が自分に味方してくれたことが嬉しく、大人の事情も理解しているようすの息子をたのもしく思っているようである。
問五 耳の障害のせいで普段はあまり声を出さない美音が大きな声で自分を応援してくれていることが、とても嬉しかった。
問六 とっくにあきらめていた保育士になるという夢を子どもたちが応援してくれたことがとてもうれしく、自分も新たな夢に向かって進みながら、俊介と美音という大切な存在をしっかり守り育てていこうと気持ちを新たにしている。
攻略のポイント
選択式問題が多く、選択肢の字数も多い。できれば素材文を1分600~700字ペースで読み、選択肢もなるべく迷わずに選びたいところだが、どうしても迷う問題は後回しにして、最後にじっくり考える。
ここ数年は記述問題は1問しか出なかったが、2022年度は3問・2023年度は2問出された。配点が大きいので空欄にしてはもったいない。既定の字数を埋めて部分点は確実に稼げるように過去問をこなしておこう。
冒頭の漢字・熟語の問題も3割の配点があるので、ぜひ全問正解して、スタートダッシュを狙いたいところである。
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