法政大学中学校 入試対策
2022年度「法政大学中学校の算数」
攻略のための学習方法
基本重視を貫く問題傾向
学校の難易度(偏差値など)に比べて、テスト問題が易しい入試を行う学校がある。その代表が法政大学中で、まだ男子校だった法政第一中のころからの傾向なので、学校の方針が「基本重視」と決まっていると言って良いだろう。
とはいえ、その問題レベルは「教科書レベル」「入試基礎レベル」というわけではなく、【大問2】から【大問6】まで入試の標準レベル問題が徹底して出題されている。決して難しくはないがやはり基本的な力がついていないと解けない問題であることは間違いない。
そして、この問題で120点(150点満点中)、難易度のやや高いときでも110点程度の得点が合格には必須となるので、そういう意味では決して易しいテストとは言えない。
多少のミスはあっても難題にじっくり取り組む力のある生徒よりは、標準的な問題を的確に正解していく生徒の方が向いていることも確かである。しかも他科目も全般に合格点が高い(算数と同じように問題が基本的なレベルでそろえられている)ので、配点が150点と高い算数において大きく失点することは許されない。
前半をノーミスで通過しよう
合格点を超えるためには、まず【大問1】の計算問題と【大問2】の小問集は1問も外せない。ここ2年間の問題を見ても、【大問1】【大問2】とも難度の高い問題は1問も出題されていない。どの問題もやったことがある、と思わせるような典型的な問題で占められているので、苦手な分野を作らず、基本的な問題を集めた教材(「4科のまとめ」など)を使ってそれぞれの解き方をしっかりと身につけることが大切だ。
捨て問の存在にも注意
【大問3】からは独立した大問形式となるが、設問も(2)までで、条件もそう細かい問題はなく、問題のレベルで言うと【大問2】とあまり変わらない、標準的な問題である。他校の問題に比べて大変解きやすいと感じることだろうが、これは他の受験生にとっても同じで、みな解きやすいと思ってテストにあたっている以上、算数の実力を知らしめると言うよりはできるだけミスをしないという姿勢で臨みたい。
【大問3】には「場合の数」が出題されることが多いが、ここは要注意でそれぞれの問題に対して「良い解き方」を引き出せるよう普段から心がけよう。「席の法則」など計算が使える問題では計算を使い、全部調べ上げる問題では順序よく樹形図にまとめて書いていけるという姿勢だ。日常の勉強では余裕があるせいかいい解き方で解いていても、テストになると焦ってなんでもかんでも全部書いてしまうという、「4年生以前」の知力に戻ってしまう生徒が「場合の数」という分野では目立つ。
【大問4】以降は平面図形・立体図形・速さなど手強い内容が目白押しとなる。中には標準レベルを超えた設問(2018年度にはないが、2017年度では【大問4】(2)、【大問5】、【大問6】(2)など)も現れる。解き進めてきて、これは難しい、と感じた設問は「捨て問」と判断して深追いしないという手がある。やったことがある、という既視感があるものならチャレンジしてみても良いが、はじめて見るような問題の場合時間をかけてもたいてい解けないというのが現実だ。その問題は捨てて、最後まで手をつけたら前に戻って見直しを徹底した方が良い。ただ、捨て問かどうかの判断は難しいのは確かなので、やってみて2・3分かけてもらちがあかない場合はそれ以上解かないというのが良いだろう。
まずは、基本的問題の解き方を定着させること。これで合格点までの問題には対応できる。その上で効率よく、ミスすることなく最後までテストを乗り切る。これが法政大学中の算数を突破するシンプルだが攻略法のすべてである。
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2022年度「法政大学中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
テスト時間は50分、設問数は20程度しかも問題の質は「易」~「標準」クラスのものがほとんどなので、時間に余裕を持って取り組むことが出来る。本年度もまた昨年度ほどではないにしろ全般に平易な年だった。前半の計算・一行問題はもとより、後半の大問に至るまで典型題が並ぶので、解くスピードよりも、標準的な問題を解く正確さが要求される。このテストであれば、90%以上は正解してほしい。
【大問1】計算問題
- 難度:易
- 時間配分:6分
- ★必答問題
どの問題も入試問題の計算としては平易な部類。(3)の逆算のみ注意して計算したい。
【大問2】小問集
- 難度:易
- 時間配分:16分
- ★必答問題
全部で8問からなるが、おおよその難度で分けると以下の通り。
易しい問題…(1)(2)(4)(5)(6)(7)
標準的な問題…(3)(8)
ここもできれば全問正解で進みたいところだ。
(1)面積の単位をそろえる一行問題だが、意外と全問を通しても難しい方にはいるかもしれない。
(2)は「等差数列」ならぬ「等比数列」だが、差が倍ずつ増えていくことが分かれば10番目まで数えてしまえばよい。
(3)は表の形を作り直すと容易に答えが求まる。ベン図では解きにくい。
(4)6回のうち表が2回出れば良いので、積の法則を用いて6×5÷2でオーケーだ。
(5)は一見つるかめ算っぽいがそうではなくて代金がちょうど650円になるように70円のパイを1個ずつ増やして残った金額が40の倍数になるように調べていくもの。と言っても、調べはすぐについてしまう。
(6)逆比の典型的な基本問題で、AのとBのが等しいところから答えを出す。
(7)流水算の基本問題で、船の上りの速さと下りの速さを出してから、それぞれにかかる時間を求めれば良い、だけ。
(8)は「半径が求まらない円の面積」を求めるもの。かつては難問だったかもしれないが、今では受験生のたしなみであろう。1辺10cmの正方形から底辺4cm、高さ6cmの三角形を4つひくと残った52cm2が中の正方形の面積である。ここで内接する円の半径をacmとすると、a×aは正方形の面積の、すなわち13が半径×半径に当たる。あとは円周率をかけてできあがり。まだこの問題が未習得の生徒はがんばって身につけること。
【大問3】場合の数(組み合わせ)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
3つの箱に赤玉、白玉をいれていく場合の数を求める、平易な問題。(1)の結果を(2)にうまく運用できるかがポイントになる。
(1)赤玉3個を(3,0,0)(2,1,0)(1,1,1)と場合分けすると、はじめから3通り、6通り、1通りの場合があることが分かる。それぞれ加えて10通り、が赤玉の場合の数。
(2)こちらは白玉2個を(2,0,0)(1,1,0)にわけて考えるとそれぞれ3通りずつになり合わせて6通り。このそれぞれに対して赤玉の入れ方は10通りあるのであとは積の法則で答えが求まる。
【大問4】辺の比と面積の比
- 難度:標準
- 時間配分:6分
(1)ではCとFを結ぶ補助線が引ければ良い。AE:ECが3:2であることから三角形CCEFの面積は16cm2となり、BD:DC=3:5から、三角形ACFの面積は40cm2となり、三角形ABFの面積は24cm2となる。あとは三角形ABFと三角形AFEの面積を比べれば良い。辺の比と面積の比を使う問題はよく出題されている。
(2)ではBD:DC=3:5から三角形BDFの面積が6cm2とわかるので、あとは(1)の結果を利用すれば良い。
ここまででは一番難しい問題とは言えるものの正解して進みたいところだ。
【大問5】立方体の切断と体積
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)は解説するに及ばないと思う。直線IJとKLは平行になっており、(2)の切断でも用いる。
(2)点I,J,K,Lを通る平面によって立方体を切断すると、辺BFと辺DHも切断されその形は六角形となる。立方体を切断して切断面が六角形になりその立体の体積を求める問題は本年度の中では最も難しいものになるだろうが、解き方は今では人口に膾炙していて切断した辺をそれぞれ延長して大きな三角すいを作り、そこから小さな三角すいを3つひくというのが常套手段である。ここが解ければ満点も夢ではない。
【大問6】差集め算
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
最後の大問も「標準」レベルの域を出るものではない。男女どちらに人数を合わせるかによって解き方は多少異なる。
(1)男子に人数をそろえてりんごを配ってみると、4個ずつ配ろうとして4個余る、はそのままで、男子に人数を合わせた女子にりんごを2個ずつ配ると(22+6=)28個余ることになる。あとは全体の差を1人あたりに配る差で割れば男子の数が出る。
(2)は付け足しのような設問で、男子の数が出ればりんごの数も分かるし梨の個数も求まるというもの。
攻略のポイント
法政大学中学の場合、男子校だった法政第一中からの伝統で、受験者の質に対して出題される問題のレベルが平易であることで知られている。それは本年度も全く揺るぎなかった。
150点満点で、受験者平均点93.8点(前年度は102.5点、前々年度は91.2点)、合格者平均点が126.6点(前年度は130.9点、前々年度は114.4点)と昨年度ほどではないにせよ、算数においては最低120点(80%)くらいは合格には必要だろう。
本年度だと【大問4】(2)、【大問5】(2)が解きにくかったくらいで…とは言っても立方体を切断して切断面が六角形になる立体の体積も普通に習っている問題のはずだ。
それにこの学校の場合算数の平均点が高いだけではなく、他の科目も平均点が高めなのでとにかくミスは許されない。
そのための対策としては、ふだんからミスを徹底的に減らすよう集中して問題にあたり、いざとなったらやり直せば良い、という甘えを捨てること。また、苦手分野を作らず、どの分野でも標準的な問題であれば解けるようにしておくことだ。
法政大学中ならば、来年度のテストも平均点が高いのは明らかだ。受験生はそれに合わせて「ミスのない自分」を仕上げてもらいたい。
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