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雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「雙葉中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

雙葉では、「漢字の書きとり」はもちろん、様々な「総合知識問題」が出題されている。さあどうするか? 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることも多いし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の用法を確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。

 

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で4500~6500字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の最初と最後を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性もほしい。

その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。雙葉に限らず、他の学校(男女問わず)の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。

解法

前述したように全ての「読解力」の基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

上記「攻略のポイント」で「雙葉対策」に触れた。が、その前に前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(雙葉の「長文記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(この段階では「マス目のない用紙」を使うこと)。
雙葉の「長文記述」は「100字程度」が目安なので、「最重要要素」+3つほどの「必要な要素」がメドだ。

意識

いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく机に向っていても時間の無駄。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要だ。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「必要な要素」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていかなくてはならない雙葉では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。
常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「雙葉中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「随筆」、出典は田中陽子「ゆずりはの詩」(文字数約3000字)。
小問は全14問(解答数18)。「選択肢」(「空所補充」「複数完全解答」、「内容合致」あり)、「抜き出し」(1問)、「空所補充記述」、「説明記述」(全6問。1問のみ「60字以内」指定で、他は「字数指定」なし)、「総合的知識問題」。問題文は4分ほどで読み切り、設問を20数分で解きたい。

大問は「小説」、出典は辻村深月「光待つ場所へ」所収の「しあわせのこみち」(文字数約1800字)。
小問は全12問(解答数15)。「選択肢」(「空所補充」「複数完全解答」「組み合わせ」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(全4問。全て「字数指定」なし)、「総合的知識問題」。問題文は2分半ほどで読み切り、設問を16~17分で解きたい。

大問は「総合的知識問題」。小問は全2問(解答数10)。
全て「語句記述」(「漢字の書きとり」5問と「慣用表現」5問)。3分ほどで丁寧に終えたい。

【大問一】「随筆の読解」(「本文合致」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:27分
  • ★必答問題

青森県の十和田湖畔にて北東北の手仕事に触れ、伝えてきた「暮らしのクラフト ゆずりは」の店主が、20年間におよぶ作り手とのやりとりの中で得た「老いゆく人の心と生きる力」をめぐるエピソードを語っている。
本文では、馬具職人の技を生かしたバッグづくりを提案した筆者が、その製作に生きがいを発見した「工藤さん」との絆を深めていく様子がつづられている。

平易な文体で読みやすいのだが、筆者がわき上がる思いをそのまま自由につづっていることもあって、「文脈」の読み取りや、エピソードそのものから「心情」をつかむ点ではなかなか苦心する文章だ。
また、レベルの高い「総合的知識問題」も紛れており、厄介さのある大問だ。以下、いくつかの「設問」を確認してみたい。

[問一] 「慣用表現の空所補充[動詞の活用]記述」(全4問/各4択)。「総合的知識問題」。
傍線部(a)~(d)の空所【   】に「最もふさわしい語」を示されている中からそれぞれ選び、「本文に当てはまる形」に直して答える。

「慣用表現」に用いられる「動詞」を特定して「文脈」に即して「活用」させて記述するという、とてもユニークかつ難易度の高い問題だ。「答え」を確認していく。

(a)「生計を【   】ている」⇒「生計を立てる」(生活をしていくための方法・手段を得る)という表現になる⇒「~て」につなげるので「連用形」⇒「答え」は「(生計を)立て(ている)」

(b)「帰途に【   】た」⇒「帰途につく」(帰宅する)という表現になる⇒「~た」につなげるので「連用形」⇒「答え」は「(帰途に)つい(た)」

(c)「直感が【   】ました」⇒「直感がはたらく」(直感する)という表現になる⇒「~ます」につなげるので「連用形」⇒「答え」は「(直感が)はたらき(ました)」

(d)「構想を【   】ます」⇒「構想を練る」(計画の骨組みを思い描く)という表現になる⇒「~ます」につなげるので「連用形」⇒「答え」は「(構想を)練り(ます)」。

さまざまな「知識」を組み合わせて考えるというのは、本校の定番となっている。しっかりと対応できるように練習しておくことが肝要。

<時間配分目安:全部で2分弱>

[問三] 「条件付き換言説明記述」(字数指定なし、「60字ほど」の解答欄)。
傍線部②「あれのおかげで5人の子どもを学校へやれた……」について、「どういうことか」を説明する。

「条件」は、「具体的に説明する」こと。典型的な「指示語換言」だとすぐに気づく必要がある。
直前から、「あれ」=「いい馬」=「愛馬」だと分かる。「愛馬のおかげ」とはどういうことか? 「同一場面」で「状況」を確認する(「随筆や小説」では「同一場面に手がかり・ヒント」がある)。直後に「昼夜を問わず厳しく労働し、生活を支え、苦楽をともにしてきた馬に対する感謝の念」とある。
また、「同一場面」の前半には、「馬は家になくてはならない労働力、農耕馬として飼われていた」と説明されている。
こうした「状況」から、「愛馬のおかげ」の内容を捉えることができるはずだ。あとは、「条件」に従い、「具体的」にまとめていきたい。

たとえば、「昼夜を問わず農耕馬として厳しい労働にたえ、生活を支えてくれた愛馬がいたからこそ、5人の子どもの学校の費用をまかなえた。」といった「答え」になる。「条件」に的確に応じることが、減点を防ぐポイントとなる。尚、「指示語」は直接的に問われていなくとも、すぐに開いておくことが肝要。

<時間配分目安:2分半>

[問四] 「語句の空所補充選択肢」(全2問/6択)。「総合的知識問題」。
「オノマトペ」など「副詞」の「意味・用法」だ。本文中の   1    2  に「最もふさわしい語」を答える。

空所部分は、 「   1   日が暮れ、……、暗がりの中に   2  裸電球のような明かりがゆらめく」となっている。各選択肢から、「答え」を確認していく。

  1  は「(日が)暮れ」を修飾しているので(カ)「とっぷりと」、   2  は「(暗がりの中に明かりが)ゆらめく」のだから(エ)「ぽつんと」がそれぞれふさわしい。

尚、(ア)の「さんさんと」は「太陽などが明るく光り輝く様子」、(イ)の「しんしんと」は「夜がふけていく様子。寒さが身にしみる様子。雪が降る様子」、(ウ)の「つるんと」は「物の表面がなめらかで、つやのある様子。なめらかでよく滑る様子」、(オ)の「めっきりと」は「状態の変化がはっきり感じられる様子」などを表している。本校では、こうした「副詞」の微妙な「意味・用法」をも判別することが求められていると心得よ。

<時間配分目安:2問で1分弱>

[問六] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部④「本来の馬具の仕事をしてもらうことはできないでしょうか」について、「筆者はどういう仕事をしてもらいたいと考えているか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)をしたい。だが、「本来の馬具の仕事」は本文内容そのものに関連するので、さすがに「原意」だけでは難しい。「同一場面」に「手がかり」を求める。すると、直後に「従来の馬具ではなく、その技術を現代の生活に生かすために。できるなら、かつて人と馬をつないだ馬具のように、使い込むほどに味わいのある手仕事を……」とある。

したがって、「答え」は「使いこむほどに味わいの出る」と説明されている(エ)になる。本問では難しかったが、設問段階での「原意消去」は時間短縮のために必ず試みること。

<時間配分目安:1分強>

[問七] 「内容説明記述」(「60字以内」指定)。
傍線部⑤「『はっ』としました」について、「どういうことに気づいたのか」を説明する。

先ずは、「はっ」とした「きっかけ」を確認したい(「随筆・小説」では何かの「きっかけ」が内容をつかむ大きなヒントになる)。直前に「私は、目新しさ、やわらかさ、軽さだけに走り、提案をしていた」とある。誰に対しての何の提案か?「筆者」が馬具職人の「工藤さん」に依頼した「バッグづくり」の提案だと分かる。そして、こうした提案に対して、「工藤さん」は「浮かない顔をしている」。つまり、「目新しさ、やわらかさ、軽さだけ」の「バッグづくり」の提案に「工藤さん」が納得していないということが、「筆者」が何かに「気づいた」ことの「きっかけ」だと分かるはずだ。

では、何に「気づいた」のか?「同一場面」の次段落に「馬具は、……。厚く硬く丈夫でなければ(ならない)……、その(馬具職人の)技を生かしたものでなければならなかった……、頭でわかっていても、心ではわかっていませんでした」とある。こうした「要素」を「過不足なく」まとめていく。

たとえば、「馬具職人の工藤さんに提案するバッグは目新しさや軽さだけではなく、技を生かした硬くて丈夫なものでなくてはならなかったこと。」といった「答え」だ。「問題文」を正確に読み取り、説明すべき「要素」を的確に捉えることが重要。

<時間配分目安:2分半>

[問八] 「漢字の空所補充記述」(2ヵ所/各「1字」)。「総合的知識問題」。
「四字熟語」だ。傍線部⑥「    題」の空所に「ふさわしい漢字」を答え、「四字熟語」を完成させる。

傍線部だけから瞬時に特定の「四字熟語」が思い浮かべばいいが、あまり馴染みがないかも。「傍線部・空所部一文一部の法則」(傍線部や空所部が一文の一部分だった場合、「傍線部以外が重要」という基本的解法)で、「文脈」を読み取り、どのような内容なのかを捉えたい。直前に「きっと仕事の大変さを知らないのをいいことに」とあり、直後は「~をいっていたに違いありません」となっている。ここから、「何か難しい要求をしていた」ことが分かるはず。とすれば、「実現がとうてい不可能な要求」といった意味の「無理難題」だと判断したい。「答え」は「無」と「難」だ。本校が求める「語彙力のレベル」の一端が分かる問題だ。

<時間配分目安:1分弱>

[問十二] 「語句の空所補充選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。「語句の意味・用法」。
傍線部⑩「      馬具職人」の空所に「最もふさわしい語」を答える。

各選択肢は、(ア)「一介の」、(イ)「一筋の」、(ウ)「一抹の」、(エ)「一昔の」。

さあ、どうか? 「文脈」から「意味内容」を確認するまでもなく、そもそも「~の馬具職人」と修飾可能なものは、「一介の」だけだと判別したい。「ひとつのつまらないもの」といった「意味」だ。他の選択肢の「言葉の意味」も確実に定着していることが本校志望者にとっては必須だ。あやしいものがある諸君は確認しておくこと。

<時間配分目安:30秒弱>

【大問二】「小説の読解」(「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:20分

「恥ずかしさ」と「息苦しさ」と「駆け出したくなるような衝動」……、若かりし頃の「一瞬一瞬」の全てが詰まった青春小説短編集の一篇。本文では、「世界を見る感性という武器」があると自信があった大学生の「私」が、最初の課題で自分よりも優れた作品を目の当たりにし、圧倒的な敗北感を味わう姿が描かれている。本文はとても短く、全体が「同一場面」だということに注意したい。また、多種多様な「総合的知識問題」が出題されていることにも留意すること。以下、いくつかの「設問」を検証してみる。

[問一] 「語句の空所補充選択肢」(4択)。「語句の意味・用法」。
本文中の空所部   ①  に「入る語として最もふさわしいもの」を答える。

空所部は「学部による  ①   がなく、どこの学部の学生でも履修できる」。

各選択肢は、(ア)「垣根」、(イ)「塀」、(ウ)「天井」、(エ)「溝」。

無論、「比喩表現」になる。
「どこの学部の学生でも履修できる」⇒「学部の間を隔てるものがない」ということ⇒「答え」=(ア)の「垣根」となる。

尚、(エ)の「溝」も「隔たり」の意味で用いられるが、特に「人間関係における感情的対立や認識の隔たり」を表すので注意したい。

<時間配分目安:30秒弱>

[問二] 「条件付き空所補充の換言説明記述」(字数指定なし、「10字ほど」の解答欄)。
傍線部②の「出揃った」を「わかりやすく言いかえて」説明する。

「条件」は、「解答欄の空所にあてはまるように説明する」こと。

解答欄は「合格者が[      ]最初の授業」となっている。「同一場面」で「状況」を確認する。直前に「授業の履修資格をもらえる合格者の名前が貼り出され、そこには私の名前もあった」とある。

ということは、たとえば、「(合格者が)全員出席した(最初の授業)」といった「答え」になると分かるはずだ。

くれぐれも、空所に合致させるように注意すること。

<時間配分目安:1分弱>

[問五] 「指示語の内容判別選択肢」(複数完全解答/4択)。
傍線部(ア)~(エ)の「それ」のうち、「同じ内容を示しているもの」を「すべて」答える。

「指示語内容」の判別をするわけだ。それぞれの「指示語」を開いていく。

「いい作品がいくつかありました。(ア)それだけでも珍しい」⇒(ア)の「それ」=「いい作品がいくつかあったこと」、「『さらに抜きん出ているものがあったので、初回の授業は(イ)それを見てもらおうと思います』、彼の言う(ウ)それは、私の絵だという確信があった」⇒(イ)(ウ)の「それ」=ともに「さらに抜きん出ているもの」、「作者が自分であるという[気はずかし](=[問六④]の答え)と、逆に(エ)それを宣言したいという……」⇒(エ)の「それ」=「作者が自分であるということ」。よって、「答え」は(イ)(ウ)だ。

「複数完全解答」では当然ながら、慎重には慎重を期すことが肝要。

<時間配分目安:1分半>

[問七] 「条件付き心情説明記述」(字数指定なし、「100字ほど」の解答欄)。
傍線部⑥「私は落ち着かなかった」について、「私」は「どのような気持ちか」を説明する。

「条件」は「そのような気持になった理由もあわせて説明する」こと。

「きっかけ」を確認すると、「同一場面」の直前から「教授の指示で教室のカーテンが閉められ薄闇になったことが、私の夢想を裏切り、胸の奥がざわつきだしたこと」だと分かる。「私の夢想」とは何か? 前段落から「教室で見ることになった、抜きん出ていい出来の作品の作者である私を教授が褒(ほ)めている様子」だと判断できる。
では、なぜ「薄闇になったことが私の夢想を裏切る」ことになるのか? 直後に「私の絵は、暗い場所で見たほうがいいと判断されたのだろうか?」とある。つまり、「絵」を「暗い場所」で見る?⇒おかしいのではないか?⇒「抜きん出ていい出来の作品」は私の作品ではない?……、と不安になってきている。だから、「胸の奥がざわつきだし」「落ち着かなかった」と考えられるはずだ。

したがって、たとえば、「絵を見るのなら明るい場所でいいはずなのに、わざわざ教授が教室を暗くさせたので、抜きん出ていい出来の作品が『私』のものであるという夢想が裏切られてしまったのではないかという胸の奥がざわつく不安な気持ち。」といった「答え」になる。

「指定字数」に応じて適切に「説明すべき要素」を加減することが肝要だ。

<時間配分目安:3分半>

[問九] 「単語用法の判別選択肢」(全3問/5択)。「総合的知識問題」。
「文法」で「助詞の用法」だ。本文中のa~cと「同じ働きの『の』」を示されている例文から答える。

「助詞」の「の」は定番だ。すぐに「用法」の判別ができるはず。「答え」を確認していく。

(a)「映ったのは空だった」⇒「もの」と換言できる=「体言代用」⇒「答え」=例文(イ)「かごに入っているのを下さい」、

(b)「私の描いたあの道」⇒「が」と換言できる=「主格」⇒「答え」=例文(ア)「花の咲いている丘」、

(c)「どこかの屋上」⇒「どこか」が「屋上」を修飾している=「連体修飾」⇒「答え」=例文(オ)「浅草の名物」。

本校では「文法」が頻出。細部まで理解し、定着させておく必要がある。

<時間配分目安:3問で1分半>

[問十二] 「語句の空所補充抜き出し」。
本文中の空所  ⑨  に「最もふさわしい語」を抜き出して答える。

空所前後は「私を  ⑨  のには、充分すぎると言えた」。

「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。「内容」を捉えるために「同一場面」から「状況」を読み取っていく。「私の作品」ではなかった「抜きん出ていい出来の作品」が「私に見せた世界」は美しく、その映像だけで「圧倒的な敗北感を味わうには充分だった」ということが分かる。

つまり、「抜き出し内容」は「私に圧倒的な敗北感を味わわせる」といったものだ。「抜き出し範囲」は無論、「同一意味段落」。ただし、本大問の冒頭で記したように、本文全てが「同一意味段落」なので注意すること。丁寧に探していくと、本文の最初に「三分間のフィルムが私に見せた世界は美しかった。私を打ちのめすには、充分すぎるほどに」という部分がある。「内容」として合致している。空所にもあてはまる。

よって、「答え」は「打ちのめす」だ。

尚、「抜き出し」では「候補」はひとつとは限らないので、必ず「抜き出し範囲」の全てを確認すること。

<時間配分目安:2分>

【大問三】「総合的知識問題」(「漢字の書きとり」と「慣用表現」)

  • 難度:
  • 時間配分:3分

「総合的知識問題」。「漢字の書きとり」と「慣用表現の空所補充」だ。両問とも、例年にはない平易なものだ。本校志望者なら、一気呵成に「全問正解」して当然。念のために、いくつか検討したい。

[問一] 「漢字の書きとり」(全5問)。
示されている例文(1)~(5)の「カタカナ」を「漢字」で答える。

あえて注意すべきものを挙げれば、

(3)「イヒョウをつく展開」=「意表」
(4)「フカクにも涙した」=「不覚」
(5)「前途にコウミョウを見いだす」=「光明」

ひとつでも不安が残るものがあった諸君は、学習不足だと自覚せよ。

<時間配分目安:全部で1分半>

[問二] 「慣用表現の熟語補充記述」(全5問)。
示されている例文(1)~(5)の空所   に「あてはまる熟語」を入れて、「慣用表現」を完成させる。

どれも、できて当然の問題。「答え」だけを確認しておく。

(1)「一寸の虫にも五分の魂」
(2)「医者の不養生」
(3)「果報は寝て待て」
(4)「無用の長物」
(5)「白羽の矢」

「慣用句」も含め、「故事成語」「ことわざ」など、あらゆる「言語的事項」は完璧にしておくこと。

<時間配分目安:全部で1分半>

攻略のポイント

●「国語」に自信のある首都圏最上位層が競い合う本校、生半可な対策では合格はままならない。しかし、ビビることはない。一歩ずつ地道な努力を重ねれば、必ず勝利できる。「高い国語力」=「正確な読解力」、その基本は「解法」だ。様々な「設問」に対応した適切な「解法」を習得し、応用できるようにすることが「最善の攻略法」になる。「国語」の合格ラインは非公表だが、70%は目指したい(過去10年間の「4科合計の合格最低得点率」は65.7%、本年度は10年間の最低で、なんと59.3%。一気に難化の兆しか?)。

●「説明記述対策」、いかなる「指定字数」にも対応できることが最大のポイント。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法をマスターしたい。それぞれの「要素」を「20~30字程度」として、どのような「字数のパターン」でもまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。

●本校では「高度な語彙力」や「文法」などの「総合的知識力」も問われる。本校を志望したその時点からあらゆる「知識」を独自に吸収するように努力することが重要(当然、塾での学習だけでは不十分)。尚、「韻文」や「文語」についても一定程度の習得が必要となる。

●試験時間は50分。問題文のボリュームは全体で4500~6500字程度。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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