雙葉中学校 入試対策
2019年度「雙葉中学校の理科」
攻略のための学習方法
雙葉中理科の満点は50点。
問題文や図などを読み取った上で解き進めていく考察力や思考力が要求される。とは言っても、標準レベルの問題も多く、まずは塾のテキスト等で学んだ知識をしっかり固め、知識問題での失点を極力しないことが求められる。
問題を解く上では、慌てて解答用紙を埋めようとするのではなく、問題文をしっかり読み取ることに時間をかけて欲しい。分野毎の学習方法は以下の通りである。
生物分野
本年度は昆虫の特徴と生態に関する出題であった。ここ数年を見るとやはり昆虫の出題が見られ、その他では、動物のからだのはたらきと血液循環、植物などをテーマにした問題が見られた。
いずれも単なる知識を問うものだけではなく、問題文を読んだ上で、各設問を考えながら解き進めていくものが多い。
この分野の学習法としては、まずは植物、昆虫、動物、人のからだの働きについての基本知識を確実に覚えることが第一であり、その上で、植物のはたらきや人のからだのはたらきを確認するための実験や観察の進め方についてもしっかり確認し、問題演習をしっかり行って欲しい。
また、日頃から図鑑を見る、生物に関するニュースに気を配るなど、生物についての関心を持つことも大切である。
地学分野
本年度は火星および流水の働きに関する出題であった。ここ数年を見ると、地層・岩石・化石、星の動きなどに関する出題が見られた。中でも地層のボーリング調査に関する問題の出題率が高く、今後も重点をおいて学習して欲しい。
その他、天体・気象などの基本知識をしっかり覚えておくことも必要である。
この分野に関しても、単なる丸覚えだけでは対応できないタイプの出題が中心なので、長めの問題文を読んで解き進めていくタイプの問題演習もしっかり行っておきたい。
火山噴火・地震によっておこる液状化などの様々な現象、フェーン現象、地球温暖化などの気象に関するやや詳しい事柄についても興味を持って学習して頂きたい。
また、時事的な内容の出題も考えられるので、地震や火山噴火などのニュースにも関心を持って頂きたい。
物理分野
本年は光の性質・虫メガネによる像の見え方に関する出題で、レベルの高い内容であった。ここ数年では、力のつり合い、電気、磁石に関する出題などが見られた。
この分野の学習としては、てこ、滑車など力学の計算練習はもちろんのこと、電気、音、光などについても幅広く知識を身につけて頂きたい。
また、問題集等を使用して、問題演習もしっかり行って欲しい。
化学分野
今年度は気体の性質と環境問題に関する出題であった。ここ数年を見ると、水溶液と化学変化、水の三態変化、熱量、二酸化炭素の発生、酸化などに関する出題も見られた。中でも、化学変化に関する出題頻度が高い。
この分野の学習方法としては、水溶液の性質や気体の性質、指示薬の色の変化などの基本知識は確実に覚えた上で、計算問題の練習もしっかり行って欲しい。「中和」「酸素の発生」「二酸化炭素の発生」「金属と水溶液の反応」「燃焼」「溶解度」などをテーマにした計算問題の練習に時間をかけたい。
過去問の練習もしっかり行って頂きたい。過去問を進める上では時間の使い方を意識して欲しい。問題文や図を読み取ることが大きなポイントとなる出題なので、その読み取りにどの程度時間をかけてよいのかを確認しながら過去問演習に取り組んで頂きたい。
また、過去問以外では、同じようなタイプの問題の演習にも取り組んで欲しい。問題の選択については、プロの家庭教師に相談して頂きたい。
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2019年度「雙葉中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は25題程度で50点満点。試験時間は30分であった。(H22年より試験時間は30分)
適語を答える問題、記号選択問題が中心で、記述問題、図を描く問題も見られた。
試験時間が30分しかないが、あせらずに落ち着いて解くことが大切。
問題文や図・表の読み取りを落ち着いて行って欲しい。
【大問1】地学 火星・流水の働き
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 「地球に大接近」といえば、火星である。
問2 火星での生物生存の痕跡は確認されていない。
問3 火星は地球より外側を公転している。太陽から遠いために、地球より温度が低い。
問4 基準点との標高差÷基準点からの距離で、その土地の傾きを比較ができる。傾きが大きいほど上流に位置し、角ばった大きな石が多くなる。
問5 まっすぐ流れているところでは川の中央、曲がっているところでは外側の方が流れが速い。
問6 川底の形の絵を描く問題。流れの速い部分が深くなる。
問7 大きな石が運ばれていることから、大雨などの影響で流れが速くなり、運搬作用の働きが大きくなったと考えられる。
問1~問3は火星に関する出題。「2018年に大接近した」という時事的な内容も含
まれるが、太陽系の惑星の位置関係を理解していれば、十分解答可能。
問4~問7は川の流水に関する出題。絵を描く問題や簡単な記述もあるが、基本知識
に基づいて容易に解答できる問題。
この大問での失点が多かった場合は、8個の惑星の位置関係や特徴および流水の働きについてしっかり学習して頂きたい。
【大問2】化学 気体の性質と環境問題
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
問1 硫化水素は空気の約1.19倍の重さで、刺激臭があり毒性が強い。
問2 二酸化炭素の性質に関する○×問題。水に溶けると炭酸水となり酸性を示す。固体の状態ではドライアイスと呼ばれ、保冷剤として使用される。また、温室効果ガスと呼ばれ、地球温暖化の原因となる。
問3 二酸化硫黄が溶けた酸性雨対策として石灰水で中和している。中和に関す説明を選択すればよい。
問4 やや難しい問題。問題文と表より、同じ体積の酸素と窒素の重さの比は8:7、体積の比は1:4。よって、酸素と窒素の重さの比は2:7。3秒間でふき出した酸素の重さは1.92gなので、気体全体の重さは、1.92×(2+7)=8.64g。
問5 山頂では気圧の低下により、ポテトチップスの袋はふくらむ。
問6 酸素原子の個数に注目して考える。酸素原子では1、酸素分子では2、オゾン分子では3。矢印の左右で酸素原子の個数を一致させればよい。
気体の性質を中心とした出題。問4の計算問題はやや難問。それ以外は標準的な内容の出題なので、しっかり得点したい。
【大問3】生物 昆虫の特徴と生態
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 卵⇒幼虫⇒さなぎ⇒成虫と変化することを完全変態とよぶ。チョウ、カブトムシなどが該当する。
問2 昆虫は脱皮を繰り返すことによりからだを成長させている。カイコガの幼虫は桑の葉などを食べるが、成虫は何も食べない。これは覚えておいて欲しい知識。
問3 実験1~3の説明より、オスはメスのフェロモンを2つの触覚で感じていることが読み取れる。
問4 2つのグラフを見ると、物質Aは卵の前方に多く含まれ、卵全体で見ると、物質Aが少ない場所では、物質Bが多くなっている。このことから、物質Aは卵の前方において、物質Bの合成を抑える働きがあると考えられる。
問5 グラフを描く問題。問4より、物質Aの多い中ほどで、物質Bが少なくなる。
問1・問2は昆虫に関する知識問題。完全変態の昆虫と不完全変態の昆虫は確実に覚えておきたい。
問3以降は問題文とグラフを読み取れるかを問う問題。落ち着いて読み取って答えて欲しい。決して難問ではない。
ここでの正答率が低かった場合は、まずは昆虫に関する基本知識をしっかり復習して欲しい。
また、問題文やグラフを読み取って答えるタイプの問題は本校では頻出なので、過去問等を用いて問題演習を十分行って欲しい。
【大問4】物理 光・虫メガネによる像
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
問1 焦点距離が同じであれば、直径の大きな虫メガネの方が多くの光を集めることができる。
問2 表1より、虫メガネから矢印Yまでの距離÷虫メガネから矢印Xまでの距離=矢印Yの長さ、という関係が読み取れる。
問3 図3を読み取ると、③では矢印の先端部分、①では矢印の根元、②ではその両方からの光が届いていることがわかる。
問4 光の進み方を作図する問題。レンズA2とA1の間にP´Q´と同じ向き、拡大された像をみることができる。
問5 表2より、虫メガネから矢印Yまでの距離÷虫メガネから矢印Xまでの距離=矢印Yの長さが成り立つ。従って、矢印Yの長さは15÷60=0.25cm。
さらに、表1で虫メガネから8cm離れた長さ1cmの矢印を見ると長さ3cmの像が見えることから、長さ0.25cmの矢印の像の長さは0.75cmとなる。
今年度の出題の中で1番の難問。
特に、問2以降は図と表の読み取りができるかどうかにすべてがかかっている。
攻略のポイント
大問1から大問4まで標準レベルの出題も多く見られるが、知識の丸暗記だけでは答えられない思考力・考察力を必要とする問題も含まれる。今年度は特に大問4で高いレベルの考察力が求められる出題であった。
実験や観察などに関する問題文、図、表を正確に読み取る力が他校の入試問題以上に求められる。同様の問題が毎年出題されているので、今後も同じような傾向の出題が予想される。
本校の攻略のポイントとしては、まずは苦手分野を作ることなく、基本レベルの知識を身につけることがあげられる。その上で、過去問や問題集を使って、問題文や図・グラフなどを読み取って解くタイプの問題演習を数多く行って欲しい。演習に使う問題に関しては、塾や家庭教師に相談して頂きたい。
今年度は時事的な内容を含む出題も見られたので、来年度以降も要注意である。
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