｢『むら』から『くに』､そして日本全体を治めるようになっていく『政治の中心』の移り変わりについてのリード文｣からの出題。
｢歴史｣の各分野に及ぶ多彩な問題が並ぶ。比較的平易な問題が多いが、｢選択肢設問｣では｢細部｣に注意しないと判別しがたい難問もある。要注意だ。以下、いくつか確認してみる。

[問１]　｢下線部についての条件付き内容説明記述｣(字数指定なし。｢100字ほど｣の解答欄)
下線部①｢有力な『むら』の指導者の中には、多くの『むら』を従えて『くに』を治める者が出てきた｣について、｢『くに』はどのようにしてつくられていったのか｣を説明する。
「条件は｢『むら』が米づくりを行っていたことと関連させる｣こと。｢下線部｣と｢条件｣とを結びつけ、｢自らの知識｣も合わせて考えていく。
｢米づくり｣では｢水｣や｢土地｣の条件などによって収穫量に差が出てくる⇒｢水｣や｢土地｣をめぐっての｢争い｣が起こる⇒勝った｢むら｣は負けた｢むら｣を従えるようになる⇒｢強いむら｣はさらに周りの｢弱いむら｣を統合する⇒｢むら｣よりも規模の大きな｢くに｣へと発展していく。こういった｢流れ｣を｢過不足なく｣まとめていきたい。
たとえば、｢米づくりに欠かせない水や土地をめぐって『むら』どうしでの争いが起こるようになり、勝った『むら』は負けた『むら』を従え､さらに周りの弱い『むら』を統合して、より規模の大きな『くに』へと発展していく。｣といった｢答え｣になる。
｢条件｣は｢手がかり･ヒント｣ととらえること。

＜時間配分目安：３分＞

[問４]　｢下線部について選択肢設問｣(複数完全解答/６択)
下線部④｢(平城京は)約70年間で都としての役割を終えた｣について､その｢約70年間の出来事｣を｢２つ｣答える。
各選択肢の｢キーワード｣から｢時代｣を特定していきたい。
(イ)の｢鑑真｣＝｢都に本願寺を開いた｣⇒不適切(無論｢鑑真｣は｢唐招提寺｣､｢本願寺｣は｢親鸞｣だ)､
(ロ)の｢税や兵役｣＝｢律令制度での農民の負担｣＝｢奈良時代｣⇒適切､
(ハ)の｢中大兄皇子｣｢蘇我氏を滅ぼす｣＝｢乙巳の変(645年)｣⇒不適切(｢奈良時代｣以前だ)､
(ニ)の｢小野妹子｣｢中国に派遣｣＝｢遣隋使｣⇒不適切(｢聖徳太子が派遣｣＝｢飛鳥時代｣だ)､
(ホ)の｢税はすべて貨幣で納める｣＝｢奈良時代の租庸調は物納｣⇒不適切(｢すべて貨幣で納める｣＝明治時代の｢地租改正｣以降だ)､
(ヘ)の｢数年の間、都が平城京とは別のところ｣＝｢聖武天皇は社会不安などから、５年にわたって､『平城京』→『恭仁(くに)京』(京都府)→『難波宮(なにわのみや)』(大阪府)→『紫香楽宮(しがらきのみや)』(滋賀県)→『平城京』と､都を移した｣⇒適切｡
よって、｢答え｣は｢(ロ)(ヘ)｣｡｢聖武天皇が都を転々としたこと｣などは知らない諸君もいるかも知れない。無論、｢消去法｣でも解けるが、本校では｢ディープな知識｣も求められていると心得よ。

＜時間配分目安：２分＞

[問６(２)]　｢下線部についての年代整序の選択肢設問｣(複数完全解答/９択)
下線部⑥｢平安時代から江戸時代の終わり｣について、示されている｢その間におこった出来事｣９項目から｢京都と京都近郊における出来事｣を｢６つ｣選び、｢時期の早い順に並べた時｣に｢２番目｣と｢４番目｣になる出来事をそれぞれ答える。
何やらややこしい。とにかく正確に｢問題｣を理解することが最優先だ。要は、｢京都と京都近郊における出来事｣の｢年代整序｣をするということだ。先ずは、各選択肢の｢場所｣と｢時代｣を特定する。
(イ)｢金閣｣＝｢京都｣で適切⇒｢室町時代｣、
(ロ)｢平治の乱｣＝｢京都｣で適切⇒｢平安時代｣、
(ハ)｢元軍との戦い｣＝｢博多｣で不適切、
(ニ)｢大塩平八郎の乱｣＝｢大阪｣で不適切、
(ホ)｢明智光秀が本能寺を攻める｣＝｢京都｣で適切⇒｢安土桃山時代｣、
(へ)｢最後の将軍が政権を朝廷に返す｣＝｢大政奉還｣＝｢京都｣で適切⇒｢江戸時代｣、
(ト)｢応仁の乱｣＝｢京都｣で適切⇒｢室町時代｣、
(チ)｢平等院鳳凰堂｣＝｢京都府宇治市｣で適切⇒｢平安時代｣、
(リ)｢天草四郎を中心とする一揆｣＝｢島原･天草一揆｣＝｢長崎･熊本｣で不適切｡
次に、｢時代順｣で｢整序｣する。
｢平安時代｣＝(ロ)(チ)→｢室町時代｣＝(イ)(ト)→｢安土桃山時代｣＝(ホ)→｢江戸時代｣＝(ヘ)｡｢平安時代｣と｢室町時代｣をさらに｢年代整序｣すると、(チ)→(ロ)→(イ)→(ト)→(ホ)→(ヘ)となる。
従って､｢答え｣は｢２番目｣＝｢(ロ)｣､｢４番目｣＝｢(ト)｣になる。
｢年代整序｣では、｢年代｣の｢数字｣だけに頼るのではなく、｢背景｣や｢流れ｣を理解した上で｢整序｣していくことが肝要だ。

＜時間配分目安：２分半＞

[問６(３)]　｢下線部についての選択肢設問｣(複数完全解答/６択)
下線部⑥｢平安時代から江戸時代の終わり｣について、｢平安時代には生産できなかったもの｣を｢２つ｣答える。
各選択肢は、(イ)｢紙｣、(ロ)｢塩｣、(ハ)｢鉄砲｣、(ニ)｢絹布｣、(ホ)｢麻布｣、(ヘ)｢磁器｣｡
(ハ)の｢鉄砲｣の伝来(1543年)は｢戦国時代｣だとすぐ分かるはずだ。もうひとつはどうか？　細部に気を配らないと、意外と悩むかも。(ヘ)は｢陶磁器｣ではなく単に｢磁器｣だ。｢陶器｣は無論、｢平安時代｣以前から生産されていたが、｢磁器｣は豊臣秀吉の｢朝鮮出兵｣以降(安土桃山時代)だ。
従って、｢答え｣は｢(ハ)(ヘ)｣だ。｢入試の神様は細部に宿る｣ということだ。

＜時間配分目安：30秒＞

示されている｢東北新幹線｣｢秋田新幹線｣｢山形新幹線｣｢上越新幹線｣｢北陸新幹線｣｢東海道新幹線｣｢山陽新幹線｣｢九州新幹線｣それぞれの｢起点･終点となっている駅｣に関連する出題。
｢地理｣｡｢統計資料｣も含めて、多様な問題が並んでいる。いくつかの｢設問｣を考えてみたい。

[問１]　｢統計資料についての選択肢設問｣(２問/５択)
示されている｢起点･終点の駅｣のある｢東京｣｢(Ａ)｣｢(Ｂ)｣の３つの｢都市｣の｢雨温図｣で、｢(Ａ)｣｢(Ｂ)｣をそれぞれ答える。
各選択肢は、(イ)｢青森｣、(ロ)｢金沢｣、(ハ)｢大阪｣、(ニ)｢鹿児島｣、(ホ)｢福島｣｡
｢雨温図｣の読み方と特徴は徹底的に学習したはずだ。｢(Ｂ)｣は｢両端(11･12･１月＝冬)の降水量が突出して多い｣⇒｢日本海側の気候｣＝｢答え｣は｢(ロ)｣､｢(Ａ)｣は｢東京の雨温図とほぼ変わらない｣⇒｢太平洋側の気候｣(だが｢太平洋｣に直接面してはいない)＝｢答え｣は｢(ハ)｣となる。
６つの｢日本の気候区分｣については頻出なので、｢雨温図｣を含めてその特徴を完全に理解しておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問３]　｢統計資料についての組み合わせ選択肢設問｣(６択)
示されている､新幹線が通る｢東京都｣｢大阪府｣｢福岡県｣の｢工業生産割合｣の｢グラフ①～③｣について、それぞれの｢都府県｣の｢正しい組み合わせ｣を答える。
｢統計資料の組み合わせ選択肢｣では、｢特徴的な項目｣に着目して｢消去｣していきたい。
先ずは、｢グラフ①｣は｢輸送用機械｣の割合が他と比べて突出して大きい⇒｢福岡県｣と特定できるはず。なので、選択肢は(ハ)と(ヘ)に絞られる。
次に、｢化学｣と｢金属｣の割合が圧倒的に大きい｢グラフ②｣の方が｢大阪府｣､｢その他の工業｣の割合が大きい｢グラフ③｣が｢東京都｣だと判別できなくてはいけない。
従って、｢答え｣は｢(ヘ)｣だ。｢工業生産割合｣については、｢工業地帯｣｢工業地域｣別だけではなく、｢都道府県｣別でも押さえておきたい。

＜時間配分目安：１分＞

[問５]　｢説明文についての不適切選択肢設問｣(４択)
示されている｢現在新幹線が通っていない北海道と四国地方｣についての説明で、｢正しくないもの｣を答える。
各選択肢を確認する。
(イ)｢北海道は四国全体より面積が大きく人口も多い｣⇒｢日本地図｣を思い浮かべ、｢政令指定都市｣や｢百万都市は四国にはない｣ことを考えれば｢適切｣、
(ロ)｢北海道はトンネルで本州とつながり、鉄道と道路の両方が通っている｣⇒｢青函トンネル｣は｢鉄道専用｣なので｢不適切｣、
(ハ)｢北海道はニンジンやタマネギなど野菜の生産が全国１位であるが、果実の生産は温暖な四国が多い｣⇒無論｢適切｣、
(ニ)｢北海道の工業生産は四国全体より少ないが、全国１位の農業生産｣⇒｢前半｣は判別不能か？　ただし、(ロ)は確実に｢不適切｣だと判断できるので、｢答え｣となる。
｢選択肢設問｣ではあいまいで判別が困難な場合もある。そのときは｢消去法｣で特定していくこと。
尚、2016年３月に｢北海道新幹線｣が開業しているので、要注意。

＜時間配分目安：１分＞

｢民主政治の基本である参政権を中心とした、日本の国と地方の政治についてのリード文｣からの出題。｢公民｣の｢基礎的問題｣がほとんどで、得点源にしたい大問だが、２問だけ考えづらいものがある。
以下、それらを検討する。

[問５]　｢下線部に関する事項記述設問｣
下線部⑤の｢子どもたちの教育環境を整えること｣という｢地方自治体の仕事｣は､｢日本国憲法の定めるどのような国民の権利にもとづくものか｣を答える。
やや分かりづらい説明で一瞬とまどうかも知れないが、単純に考えること｡｢地方自治体の仕事｣で｢子どもたちの教育環境を整えること｣といえば、要はみんなが通っている｢市立○○小学校｣とか｢区立××小学校｣とかのことだ。
であれば、｢義務教育｣⇒｢答え｣は｢教育を受ける権利｣となる。尚、単に｢教育権｣ではなく正確に｢教育を受ける権利｣と覚えておくこと。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問７]　｢下線部に関する条件付き説明記述｣(字数指定なし。｢100字ほど｣の解答欄)
二重下線部(Ａ)と(Ｂ)は｢どちらも国民が政治の主役であるという原則にもとづく制度やしくみ｣だが、｢(Ａ)と(Ｂ)の違い｣を説明する。
｢条件｣は｢解答欄に合わせる｣こと。｢解答欄｣は｢Ａは～が､Ｂは～という違い｡｣となっている。
二重下線部(Ａ)は｢国民投票｣｢国民審査｣｢裁判員制度｣、(Ｂ)は｢内閣総理大臣の選出｣｢内閣不信任決議｣｢弾劾裁判｣といった｢国会の制度｣についての説明だ。｢両者｣の｢違い｣は何か？　ともに｢国民主権｣にもとづくのだが、前者は｢国民が直接参加｣するが、｢後者｣は｢国会議員を通じての参加｣ということに気づきたい。そうしたことを｢過不足なく｣まとめていく。
たとえば、｢(Ａは)主権者である国民自らが直接政治に参加する制度やしくみである(が､Ｂは)主権者である国民によって選ばれた代表者である国会議員が国民に代わって主権を行使する制度やしくみである(という違い｡)｣といった｢答え｣になる。
｢社会｣の｢説明記述｣では、適切な｢用語｣を用いることが減点を防ぐポイントだ。

＜時間配分目安：３分＞