市川中学校 入試対策
2024年度「市川中学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
論説文と小説(随筆文)の2題が例年出されている。近年増加傾向にあった文量について、2021年度では約7000字であったが、2023年度・2024年度は約11000字とまた増えている。しかし、もともと問題数が少なめの試験だったこととも考え合わせると、いたずらに問題を難しく時間がかかるようにするのではなく、しっかり考える時間を持たせるような意図が感じられる。今後数年の傾向を注意して見ておきたい。
本校の特徴として、選択肢問題に注意が必要である点は変わりない。五択である上に、一つの選択肢が100字を越えることもある。スピードとともに細部にまで注意を払う集中力も必要となり、本校の試験対策において特に訓練が必要な部分であろう。 ともあれ、長文をすばやく読み、重要な部分をすぐ探せるように傍線や印で見やすくしておく工夫は重要である。
論説文であれば、段落を整理すること
形式段落を意味段落にまとめ、各意味段落の内容を大まかでいいので小見出しのようにメモしておく。
要点と細部の区別では、段落の最初と最後にポイントがあることが多いので、最重要と思われる一文をマークする。別の言葉で言い換えた箇所などを線で結んで参照できるようにしておくのも良い。そして全体をながめて要旨をまとめる。普段の学習で、要旨を50字や100字で簡潔にまとめる練習をしておくと、実力アップにもつながるだろう。
小説では、まず場面を分けること。
時間・場所・登場人物の移動などを手がかりに、映画のシーンのようにイメージしておく。人物の言動から性格を把握し、情景も感じ取って心情を読み取る。特に気持ちに変化があった箇所は問題にされることも多いのでマークしておいたほうが良い。そして、誰のどんな気持ちが描かれた話なのかを読み取るのである。
このような点が整理できていれば、選択肢を判断する際の手助けになる。記述問題でも役立つはずである。
ただし、本校の記述問題は単純に文中から抜き出してつなぎ合わせただけでは答えにならないものが多い。 文中の実例を自分の言葉で具体的にまとめる必要があったり、言葉を補わなければわかりづらかったりする場合がある。傾向や字数の近い記述問題を多くこなし記述力をつけておきたい。
漢字・知識問題
漢字は読み・書き・同音異字の選択肢と多彩な形の出題が見られる。過去問で十分に慣れておくこと。
ことばの知識も毎年出されている。文法が出題される年度もある。油断せず学習しておく。
試験の難易度について
2~3年毎に国語の試験の平均点にばらつきがあり、難易度に差があるようである。あまりに難しい問題に当たった時は、あきらめて他の問題に注力する作戦も有りである。
なるべく多くの年度の過去問を見て、こういった点も実感しておいて欲しい。
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2024年度「市川中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題で約10000字・設問でも選択肢内に1000字ほどの問題があり文量がかなり多いので、何度も読み直す余裕はない。できれば素材文2つは12~13分ほどで読み終え、残りを問題の解答に回したい。選択肢・記述ともに時間のかかりそうな問題を後回しにして、解ける問題をまず終わらせる。総解答数は21問と少なめなので、一通り最後まで手を付けるペースを過去問でつかんでおきたい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:31分
- ★必答問題
女性が自立することを阻む「女らしさ」の正体と、男性が規定する文化における女性の「他者性」について論じている。
【文章Ⅰ】
問1 「心のどこかで自立することに躊躇してしまう」理由について、次段落で社会構造を挙げている。そして「女らしさ」とは「そうあるべき規範」であるとの見解を示したうえで、⑭段落で「女らしさの内部に矛盾を抱え込んでいる」ばかりでなく「現代社会の構成員の置かれている状況と矛盾する」要素を含んでいることを指摘している。そのせいで自立しようとする女性は不安を感じたり否定されてしまったりすると述べられているので、選択肢エが合う。
問2 「社会によって割り振られた一連の性格と態度と行為の類型を学習していく結果」とあるので、選択肢アとウは正しい。
問3 イ・ウ・エ・オの内容はそれぞれ、⑦~⑨段落に示されている。
問4 男性が文化を規定する社会では、「男性を表す言葉」が「人間」という意味でも使われており、「人間=男性=我々」という前提が存在する。そのため「女性を表す言葉」は人間ではない「他者」となってしまうのである(⑯・⑰段落)。
【文章Ⅱ】
問1 看護婦としての女性らしさと戦場で働く男らしさと、両方が求められる任務なのである。
問2 戦争が終わってみると「兵隊だった」という事実で一般の女性たちから否定され、戦地では仲間として守ってくれた男たちも、戦後は「わたしたちを置き去りにして、かばってくれなかった」→選択肢オ
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:16分
蝦夷地へ流罪となった青山玄蕃を護送する若い主人公は、長く共に旅し話を聞くうちに玄蕃という人間に敬意を覚える。
問1 玄蕃の言葉を追っていくと、戦のない時代が長く続いているのに武士としての地位を捨てられず硬直した権威となって、その身分を保つ家という尊厳もまた硬直している、と嘆いている→選択肢ア
問2 直接には、直後の「玄蕃のうちには一助と捨松が棲んでいる」を指している。町人の家で生まれ実の母とくらしていた頃の名前と、武家に養子に出されて以降の名前である。玄蕃は町人と武士という二つの視点から武家社会を眺め、その経験が現在の玄蕃の考えを形作ったのだと、主人公は気づいたのである。
問3 武士(おのれ)・武家(おのれに近き者)に目をかけるのは間違っている、そんなものは二の次だと本来の武士の意識を玄蕃は否定している。道中、玄蕃は困っている人を何度も助けており、武士という狭い社会ではなく、すべての人を助けて世の中のために尽くすのが真の武士であり男なのだと、主人公に語りかけているのである。
問4 イ. 「俺は勝手をしたか」という玄蕃のことばに「いや」と答えようとしている。同場面で「父を送る子」のような気持ちにすらなっているので、合わない。
ウ. 主人公の最後の口上は玄蕃の考えや行動に敬服し立派な人物だと思ったが故である。
問5 イ. さまざまな視点から武家社会の矛盾を見抜き、自らの家も取り潰してまで自分の信念を貫く玄蕃に主人公は敬意を覚えている。「訊きたいことは山ほどある」のに罪人として護送しなければならない自分の役目に気が重くなっていることの表現である。
【大問三】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
1. 祭典 2. 首脳 3. 伝承 4. 電灯 5. 晴耕(雨読) 6. 創刊 7. 座右 8. 乳歯
攻略のポイント
読解問題は今年度はまたやや文量が増えた。選択肢問題の字数の多さを念頭に、同傾向の問題を多くこなして慣れておきたい。まずは、本文を読み一通りすべての問題に目を通すスピードをつける。そして選択肢や書き抜きの問題で手間取らないよう、素材文を読みながら重要点を手際よくマークしていくコツをつかむ。特に選択肢の五択については最終的に2つで迷う場面が多く、そうなると細部の違いが重要になるので、細かい点を見落とさない落ち着きや注意力も必要である。
また、記述問題は、文中から取り出して単純につなぎ合わせるだけでは答えにならないものが多いので、傾向の似た問題で訓練したい。
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