市川中学校 入試対策
2024年度「市川中学校の理科」
攻略のための学習方法
市川中の理科の満点は、算数や国語と同様に100点。したがって市川中受験者は理科についても怠ることなくしっかり対策をする必要がある。近年の出題傾向を見ると、力のつりあい・電気回路・溶解度・水溶液と金属の反応・中和反応などの出題頻度が高く、物理分野と化学分野の比重がやや高くなっている。すべての分野に苦手を作ることなくまんべんなく学習することが基本ではあるが、特に物理・化学分野および天体の学習をしっかり行う必要があろう。基本を早い段階で定着させ、秋以降は計算問題・実験等に関する長めの文章を読んで答える総合問題演習を多く行って欲しい。過去問以外で演習に使う問題の選択については、塾の先生や家庭教師を利用するとよいであろう。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は種子の新型コロナウイルス感染症と抗体検査に関する出題であった。問題文や図の読み取りがポイントとなる問題であったが、内容を理解することが難しい部分があった。近年では、植物の発芽、昆虫(バッタ)、動物のからだのつくり、市川付近で見られる生物、人の消化のはたらき、生物の進化などから出題されている。この分野に関しては、各単元の基本をしっかり理解し覚えることが大切である。植物の光合成や呼吸、だ液の働きなどは、実験に関する問題やデータを読み取って答える問題も出題される可能性が高いので、一問一答形式以外の総合的な問題演習も多く行って欲しい。
地学分野 本年度は流れる水の働きと地層に関する出題で、レベルの高い問題も含まれていた。近年では、天体および気象に関しての出題頻度が高い。月から見た地球についてなどレベルの高い問題も見られる。この分野の学習として、まずは天体と気象を中心に知識を確実に覚えること。月・星・太陽の動き、風の吹き方等に関しては、単なる丸暗記ではなく、理屈もしっかり覚えておきたい。また、今年出題された地層や地震などが出題される可能性もあるので、怠りなく学習しておきたい。
物理分野 本年は電気回路についての出題で、今年の大問4題の中では比較的得点しやすい問題が並んでいた。近年では、てこ・ばね・浮力など力のつり合いに関する出題と電気回路に関する出題が多く、光に関する出題も度々見られる。単なる基本知識だけでは答えられない難易度の高い問題が出題される年もあるので、多少難しめの問題も含めてしっかり問題演習を積んでおきたい。
化学分野 本年は中和反応と金属と水溶液の反応についての出題であった。今年の出題内容は、本校の化学分野で頻繁に出題される化学分野の典型的な内容と言える。ここ何年かを見ても、ものの溶け方、状態変化、中和反応、金属と水溶液の反応、金属の燃焼など化学変化についての出題頻度が高くなっている。この分野に関しても、問題集等を使ってレベルの高い問題も含めて練習を積み重ねておきたい。特に、ものの溶け方、金属と水溶液の反応、中和反応は出題される可能性が非常に高いので、しっかり練習して欲しい。
市川中入試で合格点を取れる力を身につけるためには、レベルの高い問題に対応する必要もあるが、何はさておきまずは各分野の基本をしっかり固めておきたい。基本がしっかりしてない段階で過去問や難度の高い問題に手を出しても、結局はなかなか得点できずに、もう一度基本に戻らざるを得ない状況に陥ってしまうだろう。早い段階で基本をしっかり固め、秋以降に本格的な市川中対策を進めて欲しい。
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2024年度「市川中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は27で100点満点。試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題・適語を答える問題・計算問題が中心で、記述問題も複数含まれていた。長めのリード文や会話文・図・表・グラフを読み取って答える問題や計算問題・記述問題も見られるので、40分の制限時間は決して長くはない。過去問演習を行う中で、時間の使い方の対策を事前に考えておきたい。
【大問1】物理 電気回路
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
(1)豆電球の明るさが変わらなかったことから、電池を並列につないだと考えられる。
(2)1つの電池から流れる電流が1/2 になるので、電池が長持ちし、豆電球の点灯時間が長くなる。
(3)記述問題。電池が直列つなぎになっているので、電池を1個外すと、リモコンは動作しなくなる。
(4)スイッチ1だけを入れても、豆電球Cと豆電球Eに電気が流れない。
(5)明るい順に、A、B、D、C=Eとなる。
(6)スイッチ3を入れると、豆電球Cに流れる電流の向きが変わる。
(7)明るい順に、A=E、D、B=Cとなる。
(8)熱によってフィラメント(タングステンという金属)の変形を和らげるために、ばねのような構造になっている。
電気回路に関する出題。並列回路・直列回路についての基本的な考え方が身についているかどうかを問う内容になっており、特に難問は含まれていない。
【大問2】化学 中和反応・水溶液と金属の反応
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)塩酸とアルミニウム・水酸化ナトリウム水溶液とアルミニウム、いずれの反応でも「水素」が発生する。
(2)図を見て実験器具名「メスシリンダー」を答える問題。
(3)記述問題。水素も空気(主に窒素と酸素)も水に溶けにくい。
(4)図3のようにすると、水面が下がろうとするので、メスシリンダー内の気圧が下がる。図4のようにすると、水面が上がろうとするので、メスシリンダー内の気圧が上がる。
(5)実験結果より、塩酸A100㎤と過不足なく反応するアルミニウムは0.1g。水酸化ナトリウム水溶液B100㎤と過不足なく反応するアルミニウムは0.3g。
(6)実験結果より、AとBを1:1で混ぜた時に完全に中和している。A25㎤とB75㎤では、Bが50㎤あまる。これに溶けるアルミニウムは0.15gで、水素は180発生する。A75㎤とB25㎤ではAが50㎤あまる。これに溶けるアルミニウムは0.05gで、水素は60㎤発生する。
(7)塩酸と水酸化ナトリウム水溶液との中和反応では固体として食塩ができる。また、一部が中和し水酸化ナトリウム水溶液があまったとき、水を蒸発させると食塩の他に固体の水酸化ナトリウムが残る。
中和反応および水溶液と金属の反応についての出題。実験結果から「過不足なく反応する組み合わせ」を考えることが解答のポイント。計算問題としては典型的な出題であり、練習をしっかり行っていれば十分正答可能な問題が中心。
【大問3】地学 流れる水の働きと地層
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
(1)川の流れの働きの中で、積もらせる働きは「たい積作用」。
(2)記述問題。川の流れが遅くなると、たい積作用の働きが大きくなる。
(3)問題文の「チャートに対する泥岩の割合はB川の方が大きい」に注目する。①と④は泥岩がチャートの2倍なのでA川。②と③は泥岩がチャートの3倍なのでB川となる。また、A川B川ともに、れきは上流ほど大きくなる。
(4)A川について、地点Oと地点P間の距離は、問題文に示された直角三角形の三
辺の比を利用すると660m。2地点の標高差は表より3.3m。したがって、660÷3.3より、200m進むと標高が1m変化する。川Bについても同様に考えると、100m進むと標高が1m変化する。
(5)地点Sは現在標高183.4mなので、問題文より10m掘った標高173.4m地点にれきの地層が見られる。10万年間で123.4m隆起したことになるので、10年間では、123.4÷10万×10、単位を変換して1.234㎝となる。
(6)記述問題。玄武岩は火山岩の一種で、溶岩が急に冷えたことによってできる。従って、この付近で火山活動(噴火)があったと考えられる。
流れる水の働きと地層に関する出題。知識問題は確実に正答すること。後半の計算問題は、問題文に書かれてある内容や図・表の読み取りとポイント。表が複数あり、使う数値の判断にやや迷う可能性のある設問が含まれ得ている。
【大問4】生物 新型コロナウイルス感染症と抗体検査
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
-
(1) 問題文の「ヒトなどの細胞や最近に侵入して」より、細菌よりも小さいことになる。
(2) 2を10回かけると、約1000倍となる。
(3) 問題文には、エンベロープウイルの不活化には有効だが、ノンエンベロープウイルスには効果が薄いと書かれてあるので、アルコールにはエンベロープを壊す働きがあると考えられる。
(4) 問題文の「テストライン上には捕捉抗体Tが存在していて、標識抗体と結合している抗原に結合」より、捕捉抗体Tの先端に抗原が結合している図を選択すること。
(5) 偽陰性の原因についての記述問題。
(6) 記述問題。栄養のある食事をとる。睡眠を十分にとるなど。
抗原検査を中心とした新型コロナウイルスに関する出題。抗原検査についての解説や図が提示されているが、それでも内容の理解が難しいであろう。
攻略のポイント
4分野からまんべんなく出題されている。知識さえあれば解ける問題、思考力・計算力が問われる問題、問題の理解がポイントとなる問題がバランスよく出題されている。昨年大幅に易化した反動で今年度は昨年に比べて大幅に難化し、合格者平均が20点以上下がっている。試験時間は40分あるが、問題の読み取りや計算に時間がかかる問題が多くあり、日頃から時間を意識した問題演習も必要である。
攻略のポイントとしては、まずは知識問題での失点をしないこと。その上で、ある程度レベルの高い問題を想定して、日頃の問題演習に時間をかけることが必要である。各分野の計算問題と実験観察を通して考えるタイプの演習をしっかり行って欲しい。
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