市川中学校 入試対策
2019年度「市川中学校の理科」
攻略のための学習方法
市川中の理科の満点は、算数や国語と同様に100点。従って市川中受験者は理科についても怠ることなくしっかり対策をする必要がある。
例年問題のレベルは高く、計算問題や思考力を要求する問題も多く出題される。
近年出題されているテーマは、力のつりあい・電気回路・光の反射・溶解度・水溶液と金属の反応・中和反応・人のからだの働き・昆虫・日食などの天体に関する出題。
物理分野と化学分野の比重がやや高くなっている。すべての分野に苦手を作ることなくまんべんなく学習することが基本ではあるが、特に物理・化学分野および天体の学習をしっかり行う必要があろう。
基本を早い段階で定着させ、秋以降は計算問題・実験等に関する長めの文章を読んで答える総合問題演習を多く行って欲しい。過去問以外で演習に使う問題の選択については、塾の先生や家庭教師を利用するとよいであろう。
分野毎の学習法
生物分野
本年は市川市内の生物に関する出題であった。内容としては、市川に詳しいことが有利に働くようなものではない。近年では、植物、人の消化のはたらき、生物の進化、昆虫などから出題されている。
この分野に関しては、各単元の基本をしっかり理解し覚えることが大切である。
植物の光合成や呼吸、だ液の働きなどは、実験に関する問題やデータを読み取って答える問題も出題される可能性が高いので、一問一答形式以外の総合的な問題演習も多く行って欲しい。
地学分野
本年度は日食などをテーマとした天体についての出題であった。ここ何年かを見ても、天体に関しての出題頻度が高く、月から見た地球についてなどレベルの高い問題もあった。
この分野の学習として、月・星・太陽の動きや日食・月食等に関しては、単なる丸暗記ではなく、理屈もしっかり覚えておきたい。また、地層・地震などが取り上げられる可能性もあるので、怠りなく学習しておきたい。
物理分野
本年はてこのつり合いに関する出題であった。過去の出題を見ても、てこ、ばね、浮力など力のつり合いに関する出題が多い。また、電気・光に関する出題も度々見られる。
単なる基本知識だけでは答えられない難易度の高い問題が出題される年もあるので、多少難しめの問題も含めてしっかり問題演習を積んでおきたい。
化学分野
物理分野同様、この分野も出題比率が高くなっている。本年は気体の性質と化学変化に関する出題であった。ここ何年かにおいては、金属と水溶液の反応、ものの溶け方、金属の燃焼、中和反応等についての出題の多くなっている。この分野に関しても、問題集等を使ってレベルの高い問題も含めて練習を積み重ねておきたい。
特に、ものの溶け方、金属と水溶液の反応、中和反応は出題される可能性が非常に高いので、しっかり練習して欲しい。
市川中入試で合格点を取れる力を身につけるためには、レベルの高い問題に対応する必要もあるが、何はさておきまずは各分野の基本をしっかり固めておきたい。基本がしっかりしてない段階で過去問や難度の高い問題に手を出しても、結局はなかなか得点できずに、もう一度基本に戻らざるを得ない状況に陥ってしまうだろう。
早い段階で基本をしっかり固め、秋以降に本格的な市川中対策を進めて欲しい。
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2019年度「市川中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は30題程度で100点満点。試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題・適語を答える問題・計算問題が中心で、簡単な記述問題も含まれている。
問題数が多く、計算問題・記述問題も見られるので、40分の制限時間はかなり短く感じられるであろう。過去問演習を行う中で、時間の使い方の対策を事前に考えておきたい。
【大問1】地学分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
天体に関する問題
(1)日食が起きる可能性があるのは新月の日のみである。
(2)月には大気がない。
(3)腕を伸ばして見た50円玉の穴が視直径0.5度に相当する。
(4)地球に届く太陽光による月の影の大きさは、地球-月間の距離で月およそ1個分小さくなる。
(5)図2を見ると、月の直径の約3倍が地球の影の大きさに見える。
(6)(4)(5)より、地球の直径は月の直径の約4倍となる。
12800÷4=3200 より月の直径は3200km。
(7)(6)の計算結果と、図3(斜辺と底辺の間の角度)を用いて計算すると、
3200÷0.00875より、約37万kmとなる。
日食などを題材にした天体に関する出題。基本知識問題もあるが、
計算問題を含め思考力を必要とする、やや難度の高い問題になっている。
【大問2】化学分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
気体の性質・化学変化に関する問題
(1) 空気中の二酸化炭素が溶けるため、普通の雨でも弱い酸性を示す。
(2)二酸化硫黄は空気よりも重く、水に溶けやすい。このような性質の気体を集めるには、下方置換法を用いる。
(3)炭酸カルシウムと硫酸水溶液が反応すると、二酸化炭素が発生する。二酸化炭素であることを確認するためには、石灰水に通して白く濁ることを確認すればよい。
(4)図5と表1を見ると、硫黄は石炭の重さの2%、硫黄を燃焼させたときに発生する二酸化硫黄は、硫黄の重さの2倍。従って、1億2千万×0.02×2より、480万トンの二酸化硫黄が放出される。
(5)1%硫酸水溶液を10kg作るのに二酸化硫黄が65g必要であることから、二酸化硫黄480万トンでは1%硫酸水溶液は約7.4億トン。さらに、炭酸カルシウム1gを溶かすのに必要な1%硫酸水溶液が10㎤であることから、7.4億トンの1%硫酸水溶液では7400万トンの炭酸カルシウムを溶かすことができる。
(6)2%硫酸水溶液20㎤は、1%硫酸水溶液40㎤として考えること。炭酸カルシウム4gと1%硫酸水溶液40㎤が反応し、炭酸カルシウムが1gあまる。
前半は気体の性質に関する知識問題。後半は化学反応の計算問題。
問題文に書かれた条件をよく読むことと、やや複雑な計算を丁寧に行うことができるかがポイント。ここでの計算力が本入試の明暗を分ける1つのポイントになろう。
この大問での正答率が低い場合は、気体の性質に関する知識を整理するとともに、水溶液と金属の反応や中和反応などの計算練習をしっかり行って欲しい。
【大問3】生物分野
- 難度:標準
- 時間配分:8分
市川市内の生物についての出題
(1)人が管理することで保たれている環境を「里山」という。
(2)フジなどのつる性植物は、光を少しでも多く浴びようと、他の植物や建物にからみついたり寄りかかったりしながら、高く伸びようとする。
(3)本文中の「斜面林の中は湿度がとても高く」より、斜面林の中を乾燥から守る働きがあると考えられる。
(4)生物同士の食べる-食べられるの関係を「食物連鎖」という。
(5)アメリカザリガニのように、もともと日本には生息していなくて、他国から持ち込まれた生物を「外来種」と呼ぶ。
(6)斜面林では、雨で表土が流れやすく、このような場所で板根が形成される。
(7)湿地をそのまま手を加えずに放置しておくと、草木に覆われて乾燥して、草原になってしまうおそれがある。
市川市内の生物をテーマにした出題。内容としては、市川市民かどうかで左右されるものではない。やや細かい知識が必要な問題も見られる。
【大問4】物理分野
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
てこのつりあいに関する問題
(1)支点の左右で「支点からの距離」×「重さ」が等しい時に棒はつり合う。
20×3÷2=30 30g
(2)20×3=60 60÷4=15 60÷1=60 より、15gから60gまでの重さをはかることができる。
(3)棒の重さの15gを棒の中心のEに描き入れた上で、つりあいの計算をすること。
計算方法は(1)(2)と同様。
(4)(3)と同様に棒の重さを描き入れた上で計算すること。
(5)棒磁石Bが棒磁石Aを引き付ける力がおもりの重さと同様に働く。棒磁石Bが棒磁石AのS極を引き付けているので、棒磁石Bの上側はN極になる。
(6)電磁石の力を強くすればよい。そのためには、①電池の数を増やして電流を大きくする ②コイルの巻き数を多くする ③電磁石の中心に鉄心を入れるのいずれかが必要。
(7)棒磁石AのS極に下向きの力が必要。そのためには、電磁石のC端をS極にすればよい。
前半はてこのつり合いに関する標準的な出題。棒の重さを考慮する点がポイント。
後半は、てこにつり下げるおもりの代わりに、電磁石の磁力を使ってつり合わせる問題。
決して難問ではなく、しっかり正答したい。
ここで得点できない場合は、てこのつり合いの計算(棒の重さを考えるてこ)の練習をさらに行って欲しい。電磁石の働きに関する復習も必要。
攻略のポイント
4分野からまんべんなく出題されている。
計算を必要とする問題、思考力を必要とする問題、簡単な記述問題も見られ、全体の問題量も少なくない。ただし、知識さえあれば正答できる問題もある程度含まれており、ここでの失点をいかに少なく食い止めるかが大きなポイントになろう。
大問は4題あるが、必ずしも解きやすい順番に問題配列されているわけではないことにも注意が必要である。例えば、今年度の出題であれば、大問4のてこのつりあいについての計算問題よりも、大問1の天体についての計算問題の方が難度が高い。
試験時間は40分で問題数も多いので、とりかかる順番や時間の使い方を意識する意味でも、過去問演習はしっかり行って頂きたい。
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