｢縄文時代後期から戦後までの『米づくり』を中心とした、農業生産に関するリード文｣からの出題。｢歴史｣の多彩な問題が並ぶ。いかにも本校といった具合で、｢平易｣⇔｢難問｣が交錯している。以下、いくつか確認してみる。

[問１(４)(５)]　｢リード文中の空所補充事項記述設問｣(全５問/｢漢字｣指定)。
全５問だが、(１)～(３)は何ら問題ない(｢答え｣は順に、｢石包丁｣｢大宝(律令)｣｢平城京｣)｡で、残りの２問、決して｢難問｣ではないのだが、｢穴｣になっている可能性がある。｢豊臣秀吉の検地｣の結果、｢すべての土地の生産力を米の量で表示する(４)制がとられ｣⇒無論、(４)＝｢石高(制)｣が｢答え｣なのだが、｢石高制｣という｢用語｣を押さえているかどうかが決め手だ。そして、｢太平洋戦争｣の開始後、｢政府は米の流通を統制するために､(５)法を1942年に制定｣⇒｢答え｣は(５)＝｢食糧管理(法)｣だが、｢新食糧法｣の前に｢食糧管理制度｣があったことは知っていても、それが戦前の｢食糧管理法｣を引き継いだものだということを知らない諸君もいるやも知れぬ。尚、｢食糧管理(法･制度)｣の｢食糧｣は｢食料｣ではないことも要注意。本校では｢エアポケット｣がないようにすること。
＜時間配分目安：全部で２分＞

[問２]　｢下線部についての事項記述設問｣。
下線部(Ａ)｢人びとに開墾した土地の私有を認めた｣について、｢723年に出され、開墾した土地の一定期間の私有を認めた法令｣を答える。｢土地の私有を認めた｣？　カンタン！　｢墾田永年私財法｣に決まっているじゃん。と、即座に｢条件反射｣してしまってキミは負けだ。｢設問｣では、｢723年｣｢一定期間の私有｣となっているのだ。従って、｢答え｣は｢三世一身の法｣。｢墾田永年私財法｣は｢743年｣で｢永年私有｣だ。｢瞬発力｣は重要だが、｢早とちり｣と｢思い込み｣は即｢失点｣と心得よ。
＜時間配分目安：30秒＞

[問３]　｢下線部と資料に関する条件付き内容説明記述｣(字数指定なし。｢60字ほど｣の解答欄)。
下線部(Ｂ)｢豊かな生活｣に関連して、示されている〈資料１〉の｢奈良時代の貴族の食事｣(＝｢メニュー｣)には、｢『塩』を使ったり､『乾燥』『発酵』させたりする食べ物が多いが、それはなぜか｣を説明する。｢条件｣は｢当時の税制と〈資料２〉(特産物の産地と､都まで運ぶ日数を示した日本地図)をふまえて｣説明すること。｢設問｣でこれだけ説明されているということは、｢提示されていること｣や｢条件｣を整理することで、説明すべき内容がおのずと浮かび上がってくるはずだ。｢設問｣にある｢塩を使った｣＝〈資料１〉のたとえば｢しか肉の塩辛｣⇒〈資料２〉では｢群馬県｣が産地で｢都｣まで｢29日｣､｢乾燥｣＝同｢乾燥ナマコ｣⇒同｢能登半島｣が産地で｢都｣まで｢18日｣｡ということは、｢食材｣を何日もかけて運んだ⇒｢保存｣する必要があった⇒｢発酵｣も｢保存｣に適している。そして、｢税制｣はといえば、奈良時代は｢租庸調｣だ。無論、気づいたはずだ。その中で｢調｣は､｢各地の特産物を都まで運んで納めるもの｣だ。であれば、ここでつながった。あとは｢過不足なく｣まとめればいい。たとえば、｢食材の多くは都から離れた産地から『調』として運ばれてくるので、塩の使用や､乾燥､発酵などで保存する必要があったから。｣といった｢答え｣になる。｢設問そのもの｣や｢条件｣などは全て｢手がかり･ヒント｣になると心得よ。
＜時間配分目安：３分＞

[問８]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。
下線部(Ｇ)の｢不平等条約｣について、｢あやまっている説明すべて｣を答える。｢選択肢説明｣の｢細部｣にまで目を配ること。(ア)の関税自主権がなかったため｢国産品より値段の高い外国商品が次々に国内に入り｣⇒｢関税｣は｢低く｣なるので｢値段の高い外国商品｣は｢不適切｣、(イ)の｢外国人が日本で罪を犯しても、日本の法律で裁くことができない｣⇒｢領事裁判権｣を｢認めた｣ので｢適切｣、(ウ)の｢井上馨が欧化政策を進め｣｢ノルマントン号事件で領事裁判権廃止を求める国民の声が高まった｣⇒当然、｢適切｣､(エ)の｢陸奥宗光がアメリカとの交渉成功｣｢領事裁判権の廃止に成功｣⇒｢陸奥宗光｣は｢イギリス｣と交渉したので、｢不適切｣、(オ)の｢小村寿太郎がアメリカとの交渉成功｣｢関税自主権の完全回復に成功｣⇒無論、｢適切｣｡よって、｢答え｣は｢(ア)(エ)｣｡時間に追われて｢細部｣を見逃さないこと。
＜時間配分目安：１分半＞

[問10]　｢下線部についての年代整序選択肢設問｣(２問/複数完全解答/５択)。
下線部(Ｉ)の｢朝鮮｣について示されている｢近代の日本と朝鮮の関係を示した(ア)～(オ)の文｣を｢年代の古い順に並べかえた｣とき｢２番目｣と｢５番目｣になるものを答える。｢明治時代｣の両国関係だ。｢背景｣や｢流れ｣で整序していきたい。選択肢(イ)＝｢明治初期｣の｢征韓論｣→(エ)＝｢日露戦争｣後の｢ポーツマス条約｣→(ア)＝｢韓国併合｣→(オ)＝｢第一次世界大戦｣後の｢三･一独立運動｣→(ウ)＝｢日中戦争｣後の｢皇民化政策｣｡従って、｢答え｣は､｢２番目｣＝｢(エ)｣､｢５番目｣＝｢(ウ)｣となる｡｢年代整序｣では｢年代｣の｢数字｣だけに頼るのではなく、｢流れ｣を理解し特定していくことが肝要だ。
＜時間配分目安：１分半＞

｢2014年７月の安倍内閣による重要な憲法解釈変更の閣議決定｣という｢時事ネタ｣を切り口とした｢憲法は国家権力に守らせるものだという立憲主義に関するリード文｣からの出題。｢総合形式｣の出題で、｢歴史｣｢公民｣｢時事｣の問題が混在している。その中でも、｢公民｣で紛らわしいものがある。以下、いくつか検証する。

[問１(１)(５)(６)]　｢リード文中の空所補充事項記述設問｣(全８問/｢漢字｣指定あり)。
(１)は典型的な｢時事問題｣で､｢安倍内閣による憲法解釈変更｣で｢(１)権の行使を容認｣⇒当然、(１)＝｢集団的自衛(制)｣が｢答え｣(誤答は許されない)｡(２)(3)(４)と(７)(８)も平易で正答が求められる(｢答え｣は順に、｢権力｣｢ポツダム｣｢マッカーサー｣､｢国権｣｢吉野作造｣⇒｢漢字｣には要注意)｡残りの２問は意外と｢難問｣になるかも知れない。｢日本国憲法の成立過程｣で｢衆議院･(５)院で可決され｣⇒無論、(５)＝｢貴族(院)｣が｢答え｣なのだが、｢衆議院｣とくれば｢参議院｣と早とちりしてしまわないこと｡当時は｢大日本帝国憲法｣に基づく｢憲法改正｣だ。そして、｢日本国憲法｣は｢国民が自ら定めた(６)憲法という形式｣⇒｢答え｣は(６)＝｢民定(憲法)｣だが、しっかりと定着しているだろうか？　本校らしい｢深知り問題｣だ。ちなみに、｢君主(天皇)が定めた憲法｣は｢欽定憲法｣なので合わせて確認しておくこと。本校では､テキストの｢欄外｣｢※注｣にも要注意だ。
＜時間配分目安：全部で３分＞

[問４(２)]　｢下線部に関する事項記述設問｣(｢漢字９字｣指定)。
下線部(Ｃ)｢基本的人権｣について示されている｢憲法条文｣の｢すべて国民は、法の下に(う)(＝｢平等｣＝(１)の｢答え｣)であって、人種、信条、性別､……｣の下線部｢性別｣に関して、｢1986年に施行され、採用や昇進などにおける性別を理由とする差別の禁止を求めた法律｣を｢漢字９字｣で答える。無論、｢答え｣は｢男女雇用機会均等法｣だ。決して難問ではない。が、｢漢字｣を正確に記すことができるかだ。やはり、本校では正確な｢漢字｣で定着させておくことが必須となる。
＜時間配分目安：１分＞

[問８]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。
下線部(Ｇ)｢国会｣について、｢あやまっている説明｣を答える。｢国会の種類｣の問題だ。誰もが知っているはずの問題だが、実はこれまた､｢細部｣にまでこだわって正誤判定する必要がある。選択肢(ウ)に｢臨時国会は内閣が必要と認め、両議院の総議員の半数以上の要求があったときに召集｣とあるが、正しくは｢内閣または､いずれかの議院の総議員の４分の１以上の要求があったときに召集｣だ。従って、｢答え｣は｢(ウ)｣だ｡｢正確な知識｣と｢細部への目配り｣が肝要だ。
＜時間配分目安：１分以内＞

｢南北に細長い形状の日本は自然災害の被害が集中しやすいことに関するリード文｣からの出題。｢地理｣(１問のみ｢歴史｣)。｢統計史料｣｢地図｣｢路線図｣などの多彩な設問が並ぶ。難易度はさほど高くないので、高得点を狙いたい大問だ。以下、いくつか検討しよう。

[問３(２)]　｢下線部についての理由説明記述｣(字数指定なし。｢60字ほど｣の解答欄)。
下線部(Ｂ)｢降雨量の増加にともない、洪水や土砂災害が起こりやすくなっている｣について、
｢鹿児島県で土砂災害が起きやすいのはなぜか｣を説明する。｢太平洋側｣の地域では、確かに梅雨から夏にかけて降雨量が多く、集中豪雨もある。だが、｢鹿児島県｣が特に｢土砂災害が起きやすい｣のはなぜなのか？　やはり、何か｢地形｣的な要因があるはずだ。そう、｢鹿児島県｣といえば｢シラス台地｣＝｢火山灰地｣⇒｢もろく崩れやすい｣ということだ。そうしたことを｢過不足なく｣まとめていきたい。たとえば、｢太平洋側の気候で、梅雨から夏にかけて降雨量が多く集中豪雨もある上に､もろく崩れやすい火山灰のシラス台地の地域が多いから。｣といった｢答え｣になる。｢自らの知識｣を多角的に結びつけて考えていくこと。
＜時間配分目安：２分半＞

[問６(ア)(エ)(カ)]　｢下線部に関する説明文中の空所補充事項記述設問｣(全６問)。
下線部(Ｅ)｢交通網｣に関して示されている｢北陸新幹線｣の｢路線図｣ついて､｢説明文｣中の空所(ア)～(カ)に｢あてはまる語句｣を答える。(イ)(ウ)(オ)はとても易しいので、即正解としたい(｢答え｣は順に、｢信濃(川)｣｢フォッサマグナ｣｢神通(川)｣)｡そして、(ア)は｢長野県は他の地域よりも出荷時期を遅らせる(１)栽培がさかん｣⇒(１)＝｢抑制(栽培)｣なのだが、｢促成栽培｣は完全に定着していても、｢抑制栽培｣は押さえていない可能性もあるので要注意。次に、(エ)は｢低床の路面電車を導入している(エ)市｣｢(エ)市は神通川河口付近に位置している｣⇒２ヵ所あり後半から(エ)＝｢富山(市)｣と分かるはずだが、｢低床の路面電車を導入している｣ということも知っておきたい。最後の(カ)は｢歴史｣､｢石川県金沢市｣の｢地域は江戸時代に外様大名の(カ)氏が治めていた｣⇒｢加賀百万石｣から(カ)＝｢前田(氏)｣に結びつくかどうかが勝負だ。尚、｢前田氏｣が｢外様大名｣だったことも押さえておくこと。
＜時間配分目安：全部で２分半＞

[問７]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。
下線部(Ｆ)｢ハザードマップ｣について、示されている｢高潮･津波･洪水･土砂災害のいずれかに関するハザードマップを作成している関東地方の市区町村の分布を表した(ア)～(エ)の地図｣の中で｢土砂災害の分布地図｣を答える。先ずは、｢高潮｣｢津波｣は｢沿岸部の市区町村｣だけが作成しているはずなので、(イ)(ウ)は｢消去｣可能だ。そして、残りの判別だが、(ア)よりも(エ)の方が｢分布｣が密集しており、また、(ア)は(エ)よりも｢山間部｣の｢分布｣が目立っている。ということは､｢洪水｣は(エ)で、｢土砂災害｣が｢(ア)｣＝｢答え｣だと判断したい。初見の｢地図｣や｢統計資料｣も｢知っていること｣を結び合わせて解いていくことが肝要。
＜時間配分目安：１分＞