書籍の装丁をしている作者が、詩人や作家との交流や読書の記憶を通じての思いを述べている。
本文では、無名であっても｢いのちの香り｣がある自然の造形の豊かさにひかれると語っている。分かりづらい｢言葉｣もあるが、｢※注｣を活用すれば内容は理解できるはずだ。
本校らしい多種多様な｢設問｣が脈絡なく一気呵成に押し寄せてくる。中でも｢総合的知識問題｣は手強い。以下、いくつかの｢設問｣を確認してみたい。

[問一]　｢慣用句の条件付き換言説明記述｣(｢８字以内｣指定)。
傍線部①｢私の目はそのまま釘付けになってしまった｣について、｢釘付けになる｣とは｢どうなることか｣を説明する。
｢条件｣は｢解答欄にあわせる｣こと(｢冒頭｣に｢目が｣、｢文末｣に｢こと｣と記されている)。｢慣用句｣として知っていれば問題ないが、そうでなくても、｢釘付け｣という言葉の｢原意｣(＝もともとの意味)や前後の｢文脈｣から判断できるはずだ。たとえば、｢[目が]動かせなくなる[こと]｣といった｢答え｣だ。
あらゆる｢知識｣を確実に習得するとともに、｢原意からの類推｣ということも考えたい。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問五]　｢語句の意味の選択肢｣(４択)。
傍線部⑤｢もとよりなく｣の｢意味｣を答える。
無論、知っていなくてはいけない｢語句｣だ。｢もとより｣(＝｢元より｣｢固より｣｢素より｣)⇒｢はじめから･以前から｣｢言うまでもなく･もちろん｣｡が、ここではたと困ってしまう。各選択肢は、(ア)｢けっしてなく｣、(イ)｢はじめからなく｣、(ウ)｢もちろんなく｣、(エ)｢まよいなく｣｡あれれ､どうなってるの？　(イ)(ウ)､どっちだ？　無論｢文脈｣から判別する。直前を確認する。｢誰かに見せるために描いたのではもとよりなく｣となっている。｢代入確認｣すれば、｢答え｣が｢(ウ)｣だということは明白だ。
｢原意｣はもちろんだが、｢文脈｣をも確認する必要があるのが本校の特色だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問八]　｢換言説明選択肢｣(４択)。
傍線部⑧の｢仕事｣について、｢作者はどのような仕事をしている人か｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣で、先ずは｢原意消去｣(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣を最優先に考えること)をしたいのだが、さすがに｢仕事｣だけでは無理だ。
｢傍線部(空所部)一文一部の原則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分｣だった場合、｢傍線部(空所部)以外が重要｣ということ)を確認する。直後に｢装われるにふさわしい本には、いまだ巡り会えないまま｣とある。であれば、｢答え｣は選択肢(イ)の｢本の表紙などをデザインする人｣と特定できるはずだ。
あらゆる｢解法｣を駆使することが肝要だ。

＜時間配分目安：１分＞

[問十一]　｢理由説明選択肢｣(５択)。
傍線部⑪｢後者のほうが、私には限りなくいとしい｣のは｢なぜか｣を答える。
｢理由説明選択肢｣では先ず、｢直接的理由｣(各選択肢の｢文末｣)が傍線部に結びつくかどうかで｢消去｣していく。ここでは､｢直接的理由｣だから⇒｢いとしい｣と結びつくかどうかだ。確認する。選択肢(ア)｢喜びを感じるから｣⇒｢いとしい｣､(イ)｢安心できるから｣⇒｢いとしい｣､(ウ)｢満足するから｣⇒｢いとしい｣､(エ)｢ほこらしく思えるから｣⇒｢いとしい｣､(オ)｢守りたくなるから｣⇒｢いとしい｣となる。無論、(ア)(オ)以外は即｢消去｣できなくてはいけない。
次に、｢何が(を)｣で｢消去｣する。(ア)＝｢自分が価値を見いだせたこと｣､(オ)＝｢自然や季節のゆるぎない彩り｣だ。｢文脈｣から傍線部の｢後者｣＝｢自分の眼と手で見つけたもの｣だと分かるので、結局、｢答え｣は｢(ア)｣だ。
｢選択肢文末｣からの｢二段階消去｣も活用すべし。

＜時間配分目安：２分＞

[問十二]　｢語句の空所補充記述｣(全２問/｢漢字１字｣指定)｡
空所⑫･⑬にあてはまる｢言葉｣を｢漢字一字｣で答える。
｢傍線部(空所部)一文一部の原則｣で確認する。両者ともに｢自然の彩り｣についての言及だ。
｢一日の終りに⑫が焼けて、移ろってゆく朱の色｣⇒｢朱｣に｢焼ける｣⇒｢夕焼け｣なので、｢焼ける｣のは､そう、｢答え｣は⑫＝｢空｣｡｢六華のヴァリエーションを見せてくれる⑬の結晶｣⇒｢六華｣の｢結晶｣⇒｢６つの花｣で｢結晶｣､そう、｢答え｣は⑬＝｢雪｣｡
本校ならではのユニークな問題だ。｢文脈｣を読み解き、｢自らの知識｣を総動員すること。

＜時間配分目安：１分半＞

｢息苦しさ｣が募る中、｢どうしたら希望を手放さずに生きられるか｣について、児童文学研究者である筆者が自らに問いかけ、論じている。
本文では、日常の中の｢幸福に驚く力｣を養う｢子どもの文学の力｣に着目し、子どもは｢読み書き｣をしっかりと学ぶべきだと主張している。
平易な文章で理解しやすい。以下、いくつかの｢設問｣を検証してみる。

[問四]　｢内容説明選択肢｣(複数完全解答/５択)。
傍線部④｢中心にいる人たち｣について、｢誰のことか｣を｢あてはまるものをすべて｣答える。
｢誰｣か？　ここでは｢原意｣では判断できないので、無論｢本文｣から考える。
｢論説文｣の｢基本的解法｣は｢同一意味段落に根拠あり｣だ。ここでの｢同一意味段落｣は､傍線部の段落及び次段落だとすぐ分かる。先ずは、直後で｢中心にいる人たち｣＝｢壮年期の人たち｣と換言しているので、選択肢(ウ)の｢壮年期の人｣があてはまるとすぐに判明する。だが、｢複数解答｣なので次段落も確認する。すると、｢親の世代、つまり壮年期の人たち｣となっている。要は、｢壮年期の人たち｣＝｢親の世代｣｡従って、(エ)｢親の世代の人｣もあてはまる。｢同一意味段落｣に他の換言はない。よって、｢答え｣は｢(ウ)(エ)｣ということだ。
｢複数完全解答｣では、念には念を入れること。

＜時間配分目安：２分＞

[問六]　｢内容説明抜き出し｣(｢最初と最後の５字｣指定)。
傍線部⑥｢しっかり支えている｣について、｢具体的には何をしていると言えるか｣を､｢本文｣から探し｢最初と最後の五字｣を答える。
｢抜き出し｣では、｢抜き出すべき内容｣を正確にとらえた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。
傍線部は[問四]と｢同一意味段落｣｡｢内容｣は｢親の世代、つまり壮年期の人たち｣が｢具体的に支えているもの｣だとすぐに分かる。｢範囲｣は無論、同じ｢同一意味段落｣だ。確認すると、前段落に｢壮年期の人たちは家族を食べさせること、着せること、住まわせることを引き受けなくちゃならない｣とある。これだ。よって、｢答え｣は｢家族を食べ～わせること｣になる。
尚、｢抜き出し｣では｢候補｣はひとつとは限らないので、注意すること。

＜時間配分目安：１分半＞

[問十(２)]　｢指示語換言説明記述｣(字数指定なし。｢40字程度｣の解答欄)。
傍線部⑩｢毛穴から空気が入ってくるように、そういう意識を持たされていく｣について、｢そういう意識｣とは｢どういう意識か｣を説明する。
典型的な｢指示語換言｣だ。｢指示語が出たら前を見よ｣が合言葉。
確認する。２行前に｢そういう力が今、私たちにいろんな形でのしかかってきている｣とある。ということは、｢そういう意識｣＝｢そういう力｣､｢二重指示語｣だ。無論、再び開く。直前は｢自分たちの日常なんてつまらないものと思い込まされていく｡語るに値しないものだと思い込まされていく｣となっている。従って、これらを｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢自分たちの日常なんてつまらないものであって､語るに値しないものだという意識。｣といった｢答え｣になる。
尚、｢指示語｣は直接的に問われていなくとも、必ずすぐに開くこと(｢内容｣を正確に理解できなくなるので)｡

＜時間配分目安：２分＞

｢カタカナ｣を｢漢字｣に直す。基本的なものなので、本校志望者は全問正解が必然。
強いて、注意すべきものを挙げれば、(１)｢水分がジョウハツした｣(＝｢蒸発｣⇒細部を丁寧に)､(２)｢原因をキュウメイする｣(＝｢究明｣⇒｢同音異義語｣に要注意)｡｢漢字｣での失点は絶対に避けること。

＜時間配分目安：１分＞