女子学院中学校 入試対策
2024年度「女子学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
女子学院の満点は100点、理科の得点も大きく合否にかかわってくる。標準~やや難度の高いレベルの問題が並んでいる。問題の形式としては、リード文・実験や観察の結果をもとに答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。また、知識についてはかなり細かい事柄まで問われることがある。知識を確実に固めることは当然のこととして、問題演習をしっかり積んでおくことが必要である。一問一答式の問題だけでなく、実験や観察の結果を分析して解答する形式の問題演習や、計算問題の練習をしっかり行って頂きたい。分野毎の学習方法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は植物についての出題で、発芽と成長・樹木と環境の2つのテーマについて考える内容であった。記述問題も複数あり、レベルの高い出題であったといえる。近年では植物、食物連鎖、昆虫、メダカ、人のからだの働き等に関する出題が見られ、植物に関する出題が多い傾向にある。この分野の学習において、まずは各単元の知識を確実に覚えることは絶対条件となる。実験・観察問題が入試出題の中心となるが、確実な知識がなければ分析・考察もできない。ヒトのからだの働き、植物の分類・つくり・はたらき、昆虫や動物のからだのつくりや分類、食物連鎖などの基本知識を早い段階で確実に覚えて欲しい。その上で、実験や観察を通して考えさせるタイプの問題演習に時の間をかけたい。観察に使う顕微鏡など、実験器具の使い方についても覚えておきたい。
地学分野 本年度は月について出題された。クレーターについてのユニークな問題も含まれていた。ここ数年では、惑星の動き、太陽の動きと日食、星の動き、気象、気象衛星などについての出題が見られ、天体に関する出題が多い。この分野の学習方法としてもまずは正確な知識を身につけること。何を問われても大丈夫なように徹底的に知識を吸収する覚悟が必要。特に星・月・太陽などの動きについての理解に力を入れること。それ以外では、風・雲・四季の天気の特徴、岩石の分類、地層のでき方などテキストに書かれている事項は確実に理解し覚えて頂きたい。その上で、問題演習にも時間をかけて欲しい。
物理分野 浮力についての出題で、水の温度による体積の変化・熱気球など浮力に関係するテーマを深く突っ込んだ内容であった。ここ数年では、振り子の運動、てこのつりあい、ばね、電気回路、電磁石とモーターなどについて出題された。力のつりあいと電気に関する出題が多い。この分野の学習方法としては、ばね・てこ・滑車・振り子・浮力など力のつり合いに関する計算問題演習に時間をかけたい。問題集や他校の過去問なども利用し、多少難度の高い問題にもチャレンジして欲しい。電気については、豆電球の明るさ・電磁石・方位磁針の振れ・電熱線の発熱・LED回路・手回し発電機など幅広く問題演習を行いたい。
化学分野 今年度は気体の性質と中和反応についての出題であった。ここ数年を見ると、気体・水溶液なの性質、燃焼、化学変化に関する出題が多い。今年度は難度の高い計算問題は見られなかったが、難度の高い計算問題が出題された年度もある。この分野の学習方法としてまずは、水溶液や気体の性質、指示薬の色の変化など知識を固め、中和・溶解度などの計算問題演習をしっかり行って欲しい。この分野においても、問題演習のレベルは高めに設定して欲しい。
各単元の知識定着は夏休み終了までに終わらせたい。秋以降は過去問演習や総合的な問題演習に取り組んで欲しい。問題演習の際には、時間も意識して取り組んで欲しい。その上で、できなかった問題についてはしっかりその原因分析を行い、同じ間違いをしないように対策して欲しい。分析や対策については、プロの家庭教師を是非活用して頂きたい。
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2024年度「女子学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4題、小問数は30題程度ある。
100点満点で試験時間は40分、例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、計算問題、記述問題、図を描く問題と出題形式は多様である。正確で幅広い知識とその知識を運用する力が要求される。さらに、40分という時間に対して問題数が多いので、できる問題からてきぱきと答えることが求められる。
過去問等を利用した時間を意識した上での問題演習が必要である。
【大問1】 地学 月
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
1 クレーターについて
(1)クレーターは隕石などの衝突によってできたと考えられる。
(2)図の重なり方に注目すること。エが最も古く、イが最も新しい。
(3)ウ・エの大きいクレーターの半径は、ア・イの大きいクレーターの半径の2倍なので、面積は4倍となる。同じ面積あたりで比較すると、イのクレーターに最も多くの小さいクレーターができている。隕石の衝突が最も多かったと考えられるので、これが最も古いクレーターと考察できる。
(4)記述問題。地球の周りの大気中で隕石が燃え尽きてしまう。また、地球に落下したとしても、その跡は雨などの影響で侵食されクレーターとはならない。
2 月の見え方
(1)地軸の北半球側が太陽の方に傾いているものが夏至で、満月の日に月は太陽とは地球をはさんで反対側に位置する。地球が太陽の周りを反時計回りに公転していることから、秋分の日の位置も判断することができる。
(2)記述問題。クレーターに正面から太陽の光が当たるより、真横から当たった方がクレーターの内側に影ができ、輪郭がはっきり見える。
(3)計算問題。三角形の相似を利用して考えること。5㎜:55cm=1:110 となるので、3500×110 より、385000km。
月に関する出題。前半はクレーターについて問うユニークな内容、後半は月の見え方に関する出題で、ここでもクレーターの見え方についての問いが含まれている。2つある記述問題は高い考察力が必要。計算問題は難しくない。
【大問2】 生物 植物
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
1 発芽と成長
(1)発芽の3条件は「水」「空気」「適温」。
(2)10字以内指定の記述問題でレベル難。休眠する種子があることにより、環境が変化したとしてもすべて発芽せず絶滅してしまうという可能性が低くなる。
(3)トマトを切断した時の見え方と種の位置について図に描く問題。
(4)トマトの育て方についての選択問題。ある程度の大きさになったら、追加の肥料が必要を与え、支柱をつけて支え、大きさに余裕のある鉢に植え替える。
(5)キャベツの葉の形についての選択問題。
2 樹木と環境
(1)記述問題。強いビル風の影響で枝が折れてしまうなど。「並木の北側に・・・ビルが3つ建つ」と書かれてあるので、日当たりが悪くなる等の記述は不正解。
(2)地面を踏みしめることで、土壌の中のすき間がなくなり、水や空気が無くなってしまう。土の中の根も呼吸をしているので、空気が必要。
(3)記述問題。A地点側には水が必要以上にたまり、根を腐らせる原因となったと考えられる。
植物に関する出題。前半は発芽と成長、後半は樹木と環境がテーマとなっている。いずれにも記述問題が含まれ、レベルの高い出題となっている。
【大問3】 化学 気体の性質・中和反応
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
1 気体の性質
(1)①ものを燃やすと酸素が使われて減る。炭素が含まれる物質が燃えると二酸化炭素が増えるが、「どんな物質」には当てはまらない。
②塩化水素とアンモニアには刺激臭がある。
③アンモニアの水溶液はアルカリ性で、赤色リトマス紙を青色に変える。
(2)二酸化炭素の入っているびんに石灰水を入れて振ると白く濁る。
(3)二酸化炭素と水酸化ナトリウム・鉄と塩酸、いずれも化学変化が起こる。
2 中和反応
(1)アルカリ性で青く変化することからBTB液とわかる。
(2)ピペットの使い方についての選択問題。
(3)中和するのに必要な塩酸の体積とアンモニア水の体積は比例する。
(4)アンモニア水の濃さと中和に必要なアンモニア水の体積は反比例の関係がある。
(5)①アンモニア水を加えていない時、つまり塩酸だけの時は、蒸発させても固体は残らない。また、アンモニア水を20㎤加えた時は、0.75×2 より、1.50gの固体が残る。
②表より、残った固体は1.80gから増えていないことがわかる。このことから、1.80÷0.75×10より、塩酸30㎤にアンモニア水24㎤を加えた時に中和したと考えられる。従って、塩酸10㎤に8㎤のアンモニア水を加えると中和し、白色の固体を最大量作ることができる。
前半は気体の性質について、後半は塩酸とアンモニア水の中和反応についての出題。選択肢問題でやや迷うものがあるが、計算問題は意外と難度は高くない。当然、正確な知識は必須である。
【大問4】 物理 浮力と熱気球
- 難度:やや難
- 時間配分:12分
1 浮力
(1)液体の密度は700÷500 より1.4g/㎤。この値より密度の大きな物質は沈み、小さな物質は浮く。
(2)最も密度の大きな物質はbで1.5g/㎤。液体の密度をこれより大きくすればよい。液体の体積は500㎤なので、500×1.5より重さを750g以上にすればよいので、粉末Xを50g以上加えればよい。
2 温度と浮力の変化
(1)①表より、10㎤の物体Cは20℃の水には浮き、40℃の水には沈む。表より、20℃における水の密度は0.998g/㎤、40℃における密度は0.992g/㎤。従って、Cの重さは9.92gより大きく、9.98g未満となる。
②実験結果より、同じ体積であるAとCを比べるとCはAより重く、同様にDはBより重い。また、AとB、CとDは同じ材質なので体積が大きい方が重い。従って重い順に並べると、DBCAとなる。
(2)グラフより10℃から温度を下げていくと、4℃までは水の密度が大きくなり、4℃からは再び密度が小さくなり始める。従って6℃の水の密度と同じ物質は、10℃では沈んでいるが6℃から浮き始め、4℃で水より上に浮いた部分の体積が最も大きくなる。4℃を過ぎと再び沈み始める。
(3)氷の表面は気温に近いと思われる。また、水の密度は4℃で最も大きくなるので、湖底には4℃付近の水があると考えられる。
3 浮力と熱気球
(1)暖かくなった空気がバルーン上部から次第にたまっていき、冷たい空気がバルーン株から出てくことにより、外部の空気よりバルーン内の空気の方が密度が小さくなり、バルーンが浮かぶ。
(2)バルーン上部の穴を開けると、暖かい空気は外に逃げ、冷たい空気がバルーン下部から入ってくる。これにより、バルーン内の空気の密度が上がり、バルーンは降下する。
(3)夏に比べて冬はバルーンの中と外で気温差が大きくなり、浮かぼうとする力が大きくなる。結果として、より多くの人数を乗せることができる。
浮力に関する出題。温度による水の密度の変化や熱気球など、いろいろな切り口で浮力について考えるというかなり奥の深い内容になっている。浮力についての理解が不十分な生徒にとっては厳しい内容の出題であったかもしれない。
攻略のポイント
本校理科の入試問題では、知識・思考分析力・計算力などレベルの高い総合力が要求される。実験や観察の結果、表やグラフをもとに考察させるタイプの問題が多く、計算力、記述力が要求される問題も含まれる。選択肢問題は「答えが複数ある場合はすべて答えよ」と指定されてある。これがかなり高い関門となる。答えが1つだけなのか、複数あるのかがわからないために、常に「他に選択すべきものはないか?」を考える必要があり、正確な知識と判断力が要求される。
攻略ポイントとして、まずは苦手単元を作ることなく、各単元において正確な知識を身につけることが必要となる。その上で、計算問題や実験・観察問題の練習にしっかり時間をかけたい。過去問はもちろん、同レベル他校の過去問や問題集の難度の高めの問題等を有効的に活用して欲しい。
問題数が多いので、40分という試験時間はかなり短く感じられるであろう。できる問題から解答欄を埋めていくといった作戦をしっかり立てて欲しい。特に、入試直前期には時間を意識した問題演習を心がけて頂きたい。
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