女子学院中学校 入試対策
2015年度「女子学院中学校の算数」
攻略のための学習方法
女子学院が女子校の中でも最難関校の一つであり、また人気の高い学校であることは百も承知のことと思われる。それだけ合格への壁は厳しく、突破は容易ではない。まず覚悟の程を決めよう。
これから算数について書いていくわけだが、特に女子学院の場合、算数という1科目のみを単体で考えることは難しい。
4科目の配点がどれも100点満点だと言うこともあり、どの科目についても算数と同じ特色(短い時間)で多くの問題にあたらなければならない。
スピードもかなりのものが要求され、どの科目も高得点が期待される。
学校によっては、「算数はきついけど、理・社は簡単」とか、「国語は記述で大変だが、算数は平易である」というように、どこかに「休息所」があるものだが、この学校にはない。どの科目でも気が抜けずハイスピードで解いていかなくてはならない。設問によってはいじわるなものもある。正解かどうか迷うところも多々存在する。それでも女子学院合格のためには、1問でも多く迅速に解き、正解していかなければならない。
算数においては、決して難易度の高い問題まで追及する必要はない。
男子難関校の算数につき合う時間があるなら、理科や社会の知識をひとつでも多く増やすことの方が合格への賢明な道である。
では、標準的な問題が普通に解ければよいとかというとそういうことはなく、ある水準までの問題は100%正解でき、スピードを上げて問題を処理しても雑にならないという、いわばマシーンのような精密さを身につけたい。それが目標だ。マシーンと言っても緻密ではあっても壊れやすいスマホのようなものではなくて、できれば重機(ブルドーザー)のように力業で最後まで解ききるパワーが欲しい。
分野別に見てみよう。
「図形の問題」では、基礎の基礎、まさに定義を聞かれたりする。
たとえば「平行四辺形とはどういう四角形か?」という問いに対して、必要十分に答えられるだろうか。同じように「長方形とは…?」と問題を変えてもよい。
答えは、「平行四辺形とは、2組の対辺がいずれも平行な四角形である」「長方形とは、4つの角がすべて直角である四辺形である」。正しく答えられただろうか?
算数で初めて「長方形」や「平行四辺形」を習ったときに、図形を見て直感的に形で覚えてしまっていると、意外に出てきにくいものだ。
もちろんそのままの形で問題になるわけではないが、四角形の分類などでは重要な事柄になる。
また、角度の問題では、原点に返って「多角形の内角の和・外角」などを用いて解くことがほとんどで、学年が下の生徒でも解けることがあるだろう。
ただ、解けることがあるだろうではダメで、必ず解けることが必要である。
平成25年度の問題であれば【大問Ⅰ】の(3)・(4)、【大問Ⅱ】、平成24年度の【大問Ⅰ】(4)(5)(6)なども見て分らないという問題ではあるまい。レベルで言えば平易な方だ。しかし、さっと問題に取り組み、よどみなく正確に答えを出せるかどうか?迷うことなく正解にたどり着けるよう演習を積み上げていかなければいけない。
「速さの問題」においては、条件に惑わされずに素早く自分にわかりやすい形にまとめることだ。それは、線分図でもよいしグラフの形でもよい。
条件に惑わされる問題として、平成25年度【大問Ⅳ】を挙げる。流水算に通過算の要素を付け加えたもので、長さや速さの単位もバラバラ、解き方自体は説明しやすいものだが、生徒にとってはかなり取っつきにくい問題だったと思われる。
女子学院の「速さの問題」には、このような問題文自体がわかりにくいことが多い。
イメージと異なりかなり意地の悪い問題を出してくるので、慣れるくらいまで過去問に取り組んでおきたい。
特殊算を用いる文章題は年度によって難易度が異なる。本年度のようにかなり難しいときもあり、いくら「全問正解せよ」といっても解けきれないレベルだろう。ただ、過去問を解くに当ってはすべての問題で正解まで道筋を模範解答などでしっかりとつかんでおきたい。
問題を解くスピードをつけるには、マイペースを引き上げるよう自覚的に努力しなくてはいけない。4年生の時よりは5年生、5年生よりは6年生と、学年が上がるにつれて理解力だけでなく解くスピードも上がっては来ているはず。今の速さで十分、女子学院の問題に対応できると言う生徒は読み飛ばしても構わない。そうではない生徒は古い方法ながら、時間を短めに計って一行問題集などで練習するのが一番よい。上にも書いたが、速く解くだけでも不十分で、解き方が崩れないことが肝心である。「下手な鉄砲数うちゃあたる」ではなく、「百発百中」を目指したい。したがって、手順のムダをなくし、「早くていねいに」という究極の腕前を磨いてもらいたい。
最後に、過去問には十分な時間の余裕を持って取り組むこと。
4科目のトータルで実力を判断すること。
算数においては最後の問題にまで時間が残せるようペース配分をつかむこと。
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2015年度「女子学院中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
40分で大問が6、小問が25(求め方も含む)。
時間の短さに比べると問題数が多いのはこの学校の特色である。
本年度の問題は、昨年度の平易さに比べると問題の難度がもとに戻っており、女子学院の対策を十分にとっていない生徒には質・量ともに厳しいものであったろう。
逆に、女子学院の過去問に多く触れ、傾向をしっかりつかめていた生徒は合格点に届いたと思われる。
そういう意味では、力の差がはっきりと出る女子学院らしい良問と言えよう。
【大問1】計算と小問集
- 時間配分:12分
(1)は分数と小数の混合四則計算で、分数に合わせていけば約分なども使えてスムーズに解けたはずだ。
(2)は食塩水の基本公式に基づいたもので、「食塩の重さ=濃度×食塩水の重さ」を用いれば解ける。四捨五入を忘れて分数で答えるなどのミスがなければここは楽に済ませておきたい。
(3)変にうまく解こうと考えずに、円の面積から重なった長方形の面積を引けばよい。
(4)問題集によくある直角二等辺三角形の相似形問題だが、三角形DEFが二等辺ではないところがやや問題を複雑にしている。そのおかげで答えが分数になるなど時間を使われることとなった。内容は典型題の域を出ない。
(5)これもJGの十八番、多角形の角度を求めていくもの。多角形の内角の公式を知っていればあまり工夫がなくても解き終えるように出来ている。あせらず、順番に求めていきたい。過去問に当たれば、類似問題はいくらでもある。
(6)今では古典的にも言える倍数の問題。受験生活の中でいつか解いたことがあったなあ、と思い出される問題の一つ。ただし、倍数の問題としては中程度のものであり、この(6)が解ければ【大問1】は全部解けると思われる。
できれば、全問正解といきたい。
【大問2】割合と文章題
- 時間配分:5分
初めの糸口はつるかめ算の考え方。
ゲームに1回勝つと負けるでは何点差がつくかな、という基本的なもの。点数の差がわかれば比1つあたりの大きさもわかり、順次正解が導かれるだろう。
ここも完全正解したい。
【大問3】立体図形の影の面積(相似形)
- 時間配分:5分
【大問1】【大問2】と順当に解いてきた生徒たちが軒並み「うわっ!」とばかりに目を覆いたくなる問題、これが【大問3】だ。女子学院では珍しい出題であり、ここの失点は免れない。
上からも横からも影の形・大きさを把握できる能力とていねいな作図が必要になる。
男子校の難問特訓につきあっているうちに、こういう問題が得意になってしまった女子だけが解いて先に進みそう。ここはとばして進むほうが賢明だ。
【大問4】速さのグラフ
- 時間配分:8分
この問題と次の問題がどれだけできたかが本年度の合否のカギを握ったと考えられる。
女子学院の過去問にはしばしば見られるパターンの問題なのだが、グラフを理解しそこなうと深みにはまってしまう。バスA・Bがただ向かい合って走るだけではなく片道を走り終えると15分間停車するという条件があり、過去問と比べると難易度が高くなっている。
また、設問も①から解けるとは限らず、ここでも③から求まるので、グラフだけにこだわらず、簡単な線文図を書いて両バスの進み方をしっかりと把握したい。
水そうグラフととともに出題されると手の込んだ条件をもとに解かされる、ここはちゃんと勉強してその難易度を体感しておきたい。
【大問5】集合の問題
- 時間配分:5分
典型的な3つの集合の問題であり、ベン図に条件をまとめて各所をア~キと置き、消去算の式を解きながら一つずつほぐしていきたい。②と③の条件は「だけ」の有無にすぎないが、ここから答えが一つ出てしまうなど相変わらず女子学院は人が悪い。
【大問6】水そう問題
- 時間配分:6分
本年度の問題のいいところは、受験生が「いやだなあ…」と思える問題がわかりやすいところにある。【大問6】、ここも避けるでしょう。
女子学院の場合、解けるか解けないかというポイントのほかに、時間がかかりそうかそうでないかというポイントもある。【大問6】の場合、どちらのポイントに対しても否定的な答えしか用意できないところがある。
内容としては、直方体の容器に水が入っていて、その中に立体を沈めていくという典型的なものだが、沈めていく立体がよくない。豊島岡あたりの最後の問題のようだ。
この問題に関しては、算数に対して自信に満ちあふれている生徒か、ここまで解いてきて時間が十分に余った生徒はトライしてみよう。時間がほどほどにしか余らなかった生徒は、前の部分の見直しをした方が賢者の進む道である。
攻略のポイント
テスト時間は40分で100点満点。そしてこの分量。
合格点は発表されていないので諸説紛々だが、本年度の問題レベルであれば70%台の正解をして合格となると思われる。
【大問3】と【大問6】の難易度が突出しており、他の問題を正確に解き、さらにこの2題にも手が伸びれば理想的である。
女子学院の場合、算数だけで合否が決まるとは思えないが、とりあえず下のようなことは言える。
・さまざまなジャンルの問題に迅速かつ正確に反応でき、合理的に解を導く処理能力が必要である。
・誰もが「出来る」と思った問題は間違いなく解けるようにしておく。
・難問に遭遇したときは、その問題との「つきあい方」を判断できるようにする。最後までやらずとも解けそうな設問をしっかり解いておく。
女子学院が最難関校のひとつであることは誰もが認めるところである。しかし、算数において合格点を取ろうとするならば、それは難問を解ける力を必要とすることではない。基本的な問題または標準的な出題を、いかにそつなくこなすことが出来るかにかかっている。
難問の克服には時間と…そして特殊な能力が必要になることがある。
しかし女子学院の算数は、日常の学習の中で算数と真摯に向き合ってきたという積み重ねによって克服できるものである。
努力によって合格を勝ち得るものなのだ。傾向と対策をしっかりと読んで、女子学院合格の礎として欲しい。
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