女子学院中学校 入試対策
2021年度「女子学院中学校の算数」
攻略のための学習方法
女子学院が女子校の中でも最難関校の一つであり、また人気の高い学校であることは百も承知のことと思われる。それだけ合格への壁は厳しく、突破は容易ではない。まずは覚悟を決めよう。
これから算数について書いていくわけだが、特に女子学院の場合、算数という1科目のみを単体で考えることは難しい。
4科目の配点がどれも100点満点だと言うこともあり、どの科目についても算数と同じ特色(短い時間)で多くの問題にあたらなければならない。
スピードもかなりのものが要求され、どの科目も高得点が期待される。
学校によっては、「算数はきついけど、理・社は簡単」とか、「国語は記述で大変だが、算数は平易である」というように、どこかに「休息所」があるものだが、この学校にはない。どの科目でも気が抜けずハイスピードで解いていかなくてはならない。設問によってはいじわるなものもある。正解かどうか迷うところも多々存在する。それでも女子学院合格のためには、1問でも多く迅速に解き、正解していかなければならない。
算数においては、決して難易度の高い問題まで追及する必要はない。
男子難関校の算数につき合う時間があるなら、理科や社会の知識をひとつでも多く増やすことの方が合格への賢明な道である。
では、標準的な問題が普通に解ければよいとかというとそういうことはなく、ある水準までの問題は100%正解でき、スピードを上げて問題を処理しても雑にならないという、いわば機械のような精密さを身につけたい。
図形の問題
「図形の問題」では、基礎の基礎、まさに定義を聞かれたりする。
たとえば「平行四辺形とはどういう四角形か?」という問いに対して、必要十分に答えられるだろうか。同じように「長方形とは…?」と問題を変えてもよい。
答えは、「平行四辺形とは、2組の対辺がいずれも平行な四角形である」「長方形とは、4つの角がすべて直角である四辺形である」。正しく答えられただろうか?
算数で初めて「長方形」や「平行四辺形」を習ったときに、図形を見て直感的に形で覚えてしまっていると、意外に出てきにくいものだ。
もちろんそのままの形で問題になるわけではないが、四角形の分類などでは重要な事柄になる。
また、角度の問題では、原点に返って「多角形の内角の和・外角」などを用いて解くことがほとんどで、学年が下の生徒でも解けることがあるだろう。
ただ、解けることがあるだろうではダメで、必ず解けることが必要である。
平成30年度の問題であれば【大問1】の(2)・(5)などは見て分らないという問題ではあるまい。レベルで言えば平易な方だ。しかし、さっと問題に取り組み、よどみなく正確に答えを出せるかどうか?迷うことなく正解にたどり着けるよう演習を積み上げていかなければいけない。
速さの問題
「速さの問題」においては、条件に惑わされずに素早く自分にわかりやすい形にまとめることだ。それは、線分図でもよいしグラフの形でもよい。女子学院の「速さの問題」には、このような問題文自体がわかりにくいことが多い。
イメージと異なりかなり意地の悪い問題を出してくるので、慣れるくらいまで過去問に取り組んでおきたい。
特殊算を用いる文章題
特殊算を用いる文章題は年度によって難易度が異なる。平成28年度のようにかなり難しいときもあり、いくら「全問正解せよ」といっても解ききれないレベルだろう。
また平成30年度大問5のようにユニークな差集め算が久々に出されるということもある。水準が安定しない以上、過去問を解くに当ってはすべての問題で正解まで道筋を模範解答などでしっかりとつかんでおきたい。
問題を解くスピード
問題を解くスピードをつけるには、マイペースを引き上げるよう自覚的に努力しなくてはいけない。
4年生の時よりは5年生、5年生よりは6年生と、学年が上がるにつれて理解力だけでなく解くスピードも上がっては来ているはず。今の速さで十分、女子学院の問題に対応できると言う生徒は読み飛ばしても構わない。
そうではない生徒は古い方法ながら、時間を短めに計って一行問題集などで練習するのが一番よい。
上にも書いたが、速く解くだけでも不十分で、解き方が崩れないことが肝心である。「下手な鉄砲数うちゃあたる」ではなく、「百発百中」を目指したい。したがって、手順のムダをなくし、「早くていねいに」と いう究極の腕前を磨いてもらいたい。
最後に。
過去問には十分な時間の余裕を持って取り組むこと。
4科目のトータルで実力を判断すること。
算数においては最後の問題にまで時間が残せるようペース配分をつかむこと。
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2021年度「女子学院中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
40分で大問が6、小問が20数問(求め方も含む)と例年同じ程度の分量が出題される。
テスト時間の短さ(40分)に比べて問題数が多いのはこの学校の大きな特色である。
ただし本年度に関して言えば、基本的な設問が目立ったのでそれほど時間不足となることはなかっただろう。しかし、迅速に処理していく姿勢は大切だ。
【大問1】計算問題・角度・売買損益・規則性・図形と比
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(2)左辺をまとめると分数のなるので、その分母と分子の差が33になるように整数倍すれば答えが求められる。
(3)はJG名物の一つ、角度を求める問題であるが、本年度の出題はかなりやさしい部類に属するものだ。おうぎ形の中にある直角二等辺三角形と二等辺三角形の性質を使えばいずれも容易に答えまでたどりつく。
(4)もまた典型的の売買損益の問題で、求める原価を①としてA店とB店の売値をそれぞれ式で表し、その差が180円であることから①あたりを求めればよい。問題の質は低いものでないが、JG特訓で鍛えられた受験生は他愛もない問題だったろう。ここまでは順風満帆のはず。
(5)ここでようやく頭を使う設問に遭遇する。○○●●…と2つずつ並べていった場合、最後に黒い石をおくのは、○○●●のときと○○●のときがあるので[1]では解答らんが2つあるわけだ。[2]のほうは●○○なので空らんはひとつしかなく、この2つの考えを式にしたものから白い石の個数が求まるということになっている。はじめて点差がつきそうな問題であった。
(6)は見た目なんともなさそうな図形の問題ととらえるから、解くときとの較差から苦戦する問いとなっている。底を流れる考え方は長方形の辺の長さを比でおいて式を立てて解くということだが、突然難易度が上がるので冷や汗が出る。どうしても解法の糸口が見つかりそうもないときは「捨て問」として先に進むのも現実的な選択だ。
【大問2】数の性質(公約数)
- 難度:易
- 時間配分:2分
- ★必答問題
連除法を用いた公約数の問題だが、まさか2月1日にこれだけ基本的な問題を解くことになろうとは予想もしていなかったに違いない。せめてあといとうと整数を3つにするとか、組み合わせがたくさんあるとかしてくれないと受験生たちもつらかろう。
【大問3】ニュートン算
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
はじめにあったケーキの数を①とおくと、1分あたりに追加されるケーキの数は0.05となるので、3人が20分で箱づめするケーキの数は②となり、これが60(3×20)にあたることから①あたりは30…というようになんのひねりのないニュートン算基本タイプと言うことになる。いずれの設問も容易に解答できる。うしろの問いにはつるかめ算の考えを使うがこれもまた経験ずみであることは間違いない。【大問1】レベルの問題だった。5分もかかるまい。
【大問4】立体図形(側面積・底面積・水の深さ)
- 難度:易
- 時間配分:5分
- ★必答問題
そろそろ骨の折れる大問が来るかと思いきや、まさか2月1日に(以下略)…
(1)は懐かしさしか感じない設問で、(2)①も図形の中心と線で結ぶことで正三角形を作り、あとはおなじみの「30度,60度,90度」の三角形から面積を求めるだけ。②にはなにかあるのではあるまいか…と思って取り組むと2年くらい前でも解けそうな問題で拍子抜けだ。ただ、計算の工夫だけはして時間を無駄に使わないようにしよう。
【大問5】立体図形(展開図)
- 難度:標準
- 時間配分:6分
立方体の展開図が与えられ、向かい合った面の数の和が7にならないような組み合わせを調べる問題。ようやくJGらしい、手間のかかる問題ではあるが時間はたっぷりあるので場合の数よろしく調べていけば良い。組み合わせもあまり多くないので正解できることだろう。
【大問6】速さと比
- 難度:標準
- 時間配分:10分
【大問6】では、速さ!グラフ!プール!と提出されているので、受験生たちも流水算!逆比!難問!などが脳裏をかすめたことと思われるが、本年度のラストにふさわしい「易」・「標準」レベルの速さの問題であった。(4)は「やや難」。
(1)4行にわたる問題文を読むと、兄のグラフには横ばいの箇所があり、兄は妹より速く泳げ、その速さの比などもわかるのでグラフの選択も○アの値も間違えようがない。
(2)では、脳裏をかすめた逆比を使って式を立てるという技術が必要となる。兄と妹が往復にかかる時間をそれぞれ②、③とすると、兄が5往復+4回の休けいにかかった時間と妹が4往復する時間が等しいことから①あたりが求められる。
(3)は(1)で選んだグラフを使って、三角形の相似を利用した解き方を行うとスマートに解ける感じがする。できれば(3)まではしっかり正解しておきたい。
(4)は、兄と妹が(3)ですれちがった地点を通過する時間を逐一調べていけば良い。そうはいっても【大問1】(6)と並んで本年度のテストでは最も質の高い設問である。時間に余裕がない場合はさっと手を引いて出来た問題の見直しにかかってもよいだろう。
攻略のポイント
テスト時間は40分で100点満点。
2年続けて標準的な問題が目立つ出題となった。特に本年度は最後の大問まで基本的な問いを含んでおり、合格ラインはさぞかし高かっただろう、と推察される。
【大問1】(6)・【大問6】(4)以外はすべて正解したいし、少なくとも受験生には80%以上の得点を求めたい。
難易度が最高水準にある学校なので、来年度以降また問題の質が高いテストに戻るという可能性は十分にあるだろう。しかしJGを志望する生徒は今までとってきた対策を変更すべきではないと思う。あくまでも、標準的な問題を素早く、適切に解ける力こそが合格への王道と言えるからだ。
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