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女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「女子学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]

「女子学院対策」では先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元の「知識」を確実に定着させることが重要だ。
「基礎的事項」は無論、細部にわたる「詳細な知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもすること。だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。

そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の全分野から深く出題されるJGではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

[いもづる式学習]

全単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、JGで求められる「多角的思考」などできるはずがない。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ

1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。

その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、JGおなじみの「単元融合問題」や「総合問題」にも対応できるようになる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

 [手づくり式学習]

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。しかし、JGに限らず上位校ではそうした単純な出題はほとんどない。
特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。
「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけではなく「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられないような問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。

 [細部へのこだわり式学習]

前述のように、JGでは「リード文」「設問文」「統計資料」「地図」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題が多い。考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」「地図上の位置」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる
後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。

[意識継続式学習]

いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。無意識に机に向っていても無意味。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習していきたい。

女子学院の入試では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして70もの問題に答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。当然、「時間」も「意識」すること。

入試本番では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ

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2025年度「女子学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」「地理」「一般常識」。「暦」にまつわる出題。小問は全9問(解答数14)、「選択肢」(「時期整序」、「組み合わせ」、「複数完全解答」あり)、「事項・語句記述」。

大問は「歴史」(「考察問題」「一般常識」の混在あり)。「時間・年号・年中行事」に関する出題。小問は全7問(解答数16)、「選択肢」(「時期整序」、「不適切」、「複数完全解答」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。

大問は「歴史」(「公民」の混在あり)。「紀元節」にまつわる出題。小問は全5問(解答数8)、「選択肢」(「不適切」、「複数完全解答」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「20字ほど」の解答欄)。

大問は「公民」(「考察問題」「時事的要素」の混在あり)。「国民の政治参加」に関する出題。小問は全7問(解答数8)、「選択肢」(「不適切」、「複数完全解答」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。時間配分は、「説明記述」に12分程度、他は40秒弱で1問をこなすという超ハイペースになる。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問Ⅰ】

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

※本校では、全大問の前提として「語句はできるだけ漢字で書きなさい」と明記されている。したがって、以下の「大問」での「事項などの記述設問」は全て「漢字指定」だと考えること。

「歴史」「地理」「一般常識」。「季節と暦」にまつわる「説明文」からの出題。さまざまな単元と「一般常識」とが錯綜している大問だ。落ち着いて解いていきたい。いくつかを確認してみる。

[問2] 「下線部についての時期整序選択肢設問」(4択)。「一般常識」。

「説明文」中の下線部②「季節を表す言葉」のひとつに「二十四節気」があるが、2月1日以降、示されている「二十四節気」を「早く訪れる順に並べかえて」答える。「二十四節気」とは「1年を春夏秋冬4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けて季節をあらわす名前をつけたもの」のことだ。春:立春・雨水(うすい)・啓蟄(けいちつ)・春分・清明(せいめい)・穀雨(こくう)。夏:立夏・小満(しょうまん)・芒種(ぼうしゅ)・夏至・小暑(しょうしょ)・大暑(たいしょ)。秋:立秋・処暑(しょしょ)・白露(はくろ)・秋分・寒露(かんろ)・霜降(そうこう)。冬:立冬・小雪(しょうせつ)・大雪(たいせつ)・冬至・小寒(しょうかん)・大寒(だいかん)⇒下線を付したものはその時期も含めて覚えておくこと。

各選択肢は、(ア)「立夏」・(イ)「大寒」・(ウ)「秋分」・(エ)「冬至」。よって、「答え」は、(ア)→(ウ)→(エ)→(イ)になる。尚、本校ではこの程度の「一般常識」はまさに常識なので覚悟せよ。

                                 <時間配分目安:1分弱>

[問3(2)] 「下線部についての組み合わせ選択肢設問」(6択)。「地理」単元。

「説明文」中の下線部③「季節の移り変わり」は「植物の様子からも感じることができる」が、示されている「表」(桜の平年開花日を表している)の(A)~(F)は掲載されている「地図」中の①~⑥のいずれかの都市になっている。「表」の(C)・(D)・(E)に「あてはまる都市」の正しい「組み合わせ」を答える。「地図」中の都市はすぐに特定できなくてはいけない。①「札幌市」・②「盛岡市」・③「仙台市」・④「長野市」・⑤「静岡市」・⑥「宮﨑市」だ。桜の開花は低緯度から高緯度へと進むに決まっているので、開花が2番目に遅い(E)は「盛岡市」だと判別できるはず。この段階で、選択肢は(イ)か(カ)の2択に絞られた。そして、開花が3番目に遅い(D)は内陸部で標高も高い「長野市」だと特定したい。したがって、その「組み合わせ」になっている(イ)が「答え」ということになる。尚、「組み合わせ設問」では、自分が知っていて分かりやすい事項で一気に選択肢を絞り込むことが肝要だ。

                                 <時間配分目安:1分弱>

[問4(2)] 「下線部についての不適切選択肢設問」(5択。複数完全解答)。「地理」単元。

「説明文」中の下線部④「農業」について、「埼玉・神奈川・東京での、稲作・麦作の一般的な時期」で「まちがっているもの」を2つ答える。それぞれの時期の正誤判別をしていきたい。

(ア)「稲の田植えは5月~6月」⇒誰もが知っている=適切。

(イ)「稲の収穫は9月~10月」⇒これまた周知=適切。

(ウ)「猛暑の年は、稲の収穫時期が遅くなる」⇒はて? そんなこと知らないかもしれない。が、考えてみたい⇒そのままにしておけば高温障害で収穫量が減ってしまう→少しでも被害を減らしたい⇒収穫を早めることになる=不適切。

(エ)「二毛作の場合、二毛作を行わない場合より田植えの時期が遅くなる」⇒麦などの裏作を収穫した後になる=適切。

(オ)「麦の収穫時期は晩秋」⇒麦は稲の裏作にもなるのだから、収穫は初夏の6月~8月だと特定できるはず=不適切。「麦秋」=「麦」にとっての「実りの季節」=「麦の穂が実り、収穫期を迎える初夏の頃」のことだ。ついでに覚えておきたい。

                                  <時間配分目安:1分>

[問8(1)(2)] 「下線部についての事項記述設問」(全2問)。「歴史」単元。

「説明文」中の下線部⑧「旧暦」は(1)「何をもとに1カ月の長さを決めていたか」、また(2)「現在と比べて1カ月の長さはどうであったか」をそれぞれ答える。「旧暦」=「太陰暦」、「新暦」=「太陽暦」だということは知っていて当然。したがって、「答え」は(1)「月の満ち欠け」、(2)「短い」となる。「旧暦」は月の満ち欠けを基準としているため、1ヶ月が約29.5日となり、12ヶ月では約354日で「太陽暦」の1年より約11日短くなっている。

                               <時間配分目安:全問で2分>

[問9] 「下線部についての選択肢設問」(5択)。「一般常識」。

「説明文」中の下線部⑨「伝統行事」について、「現在の日本で、旧暦で行われることがもっとも一般的な行事」を答える。各行事は、(ア)「正月」・(イ)「桃の節句」・(ウ)「端午の節句」・(エ)「七夕」・(オ)「中秋(ちゅうしゅう)節」。全ての「行事」は知っているはずだが、「旧暦」か「新暦」かなどは考えたこともないに決まっている。どうする? 知らないのだから諦めるか? 否、類推してみよう。「中秋節」⇒「中秋の名月」⇒「月」⇒「旧暦」と結びつかなくてはいけない。よって、「答え」は(オ)だ。「中秋の名月」=「十五夜」⇒中国に由来する風習で、「旧暦」では秋にあたる7~9月のうち、その真ん中の「8月の満月」を「中秋の名月」として鑑賞する。尚、「私は知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えよ。

                                   <時間配分目安:1分弱>

※尚、[問4]は「平安時代の年中行事」、[問5]は「江戸時代の鐘の設置」、[問6]は「江戸時代の呉服屋の活動」などについてそれぞれ問われている。「歴史」単元の「深知り知識」が必要となり、とても手間ひまがかかる。「配点」(全て2点)を考えても「捨て問」にするのが合理的判断だ。

【大問Ⅱ】

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

「5つの時計(水時計・砂時計・線香時計・日時計・ゼンマイ式時計)」、「西暦と元号」、「年中行事」等々に関する出題。「奈良時代」~「昭和時代」までの多彩な「歴史的事項」などが問われている(「考察問題」「一般常識」の混在あり)。相当に手強い問題が紛れている大問だ、「捨て問」の見極めをしっかりとして解いていきたい。何問かをチェックする。

[問1] 「時計についての不適切選択肢設問」(6択。複数完全解答)。「一般常識」。

「5つの時計(水時計・砂時計・線香時計・日時計・ゼンマイ式時計)についての説明」で「まちがっているもの」を2つ答える。それぞれの説明の「要点」「ポイント」で正誤判別をする。

(ア)「もっとも天候や気温の影響が小さいのは線香時計」⇒「線香時計」は「線香が燃えた長さによって時間を計るしくみ」だと見当がつく⇒強風や雨などの影響を受けやすいと考えられる=不適切。

(イ)「砂時計は、日時計よりも短い時間を計るのに適している」⇒当然だ=適切。

(ウ)「日時計は、影の長さと伸びる方向を利用」⇒誰もが知っている=適切。

(エ)「ゼンマイ式時計」「巻かれたゼンマイがほどけて元に戻ろうとする力を利用」⇒そりゃそうでしょう=適切。

(オ)「時計の歴史で出現がもっとも新しいのはゼンマイ式時計で、次に新しいのは日時計」⇒よく分からないに違いない=保留。

(カ)「水時計は、水が流れ落ちたり、あふれたりする量によって時間を計測」⇒他には考えられない=適切。

結果として、「保留」だった(オ)は「まちがっている」ことになる。よって、「答え」は(ア)と(オ)。「日時計」は歴史上初めて登場した時計(紀元前5000年前後の古代エジプト)」だと考えられている

                                 <時間配分目安:30秒強>

[問2(1)(2)] 「西暦と元号についての選択肢設問」(全2問。4択)。「一般常識」。

「日本では西暦と元号が併用されている」が、(1)「必ず西暦を用いて表記するもの」、(2)「一般に元号よりも西暦が優先して用いられるもの」をそれぞれ答える。

各選択肢は、(ア)「法律公布の年月日」・(イ)「食品の賞味期限の年月日」・(ウ)「住民票に記されている年月日」・(エ)「パスポートに記されている年月日」。「パスポート」は世界各国で使用するのだから、「西暦」に決まっている。また、「食品の賞味期限」は外国人にも分かりやすいようにしているはずだ。以上から、「答え」は (1)=(エ)、(2)=(イ)だと判別できなくてはいけない。

                              <時間配分目安:全問で1分半>

[問6(4)] 「江戸についての不適切選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

「江戸の町の説明」で「あてはまらないもの」を答える。各説明の「ポイント」で正誤判別をする。

(ア)「鎖国をしていた間も江戸に外国人が来ることはあった」⇒「オランダ商館長」は貿易の許可を得ていることへの礼として、将軍に謁見するために江戸に参府していた=適切。

(イ)「武士も町人も男性の割合が高かった」⇒当たり前のこと=適切。

(ウ)「交通の便のよい日本橋付近には武家地が広がっていた」⇒「日本橋」=「商業地」と結びつかなくてはいけない=不適切⇒「武家屋敷」は江戸城のすぐ近くか、北側と西側に多く配置されていた。

(エ)「大名の妻や子も暮らしていた」⇒「参勤交代」の仕組みだ=適切。したがって、「答え」は(ウ)だ。「正誤判別」では、くれぐれも細部にこだわること。

                                 <時間配分目安:30秒強>

[問7(1)] 「明治時代に関する時期整序選択肢設問」(5択)。「歴史」単元。

示されている「ドイツ人医師ベルツの日記の一部」の中の「下線①~⑤の出来事」を「古い順に並べかえて」答える。それぞれの「出来事」の「キーワード」「要点」で「年代(時期)」を特定していく。

下線①「対露宣戦」⇒必須定着事項の「日露戦争」と結びつけなくてはいけない=「1904~1905年」。

②「第一回日本議会(帝国議会)の開院式」⇒「第一回帝国議会」⇒これまた誰もが定着していなくてはいけない=「1890年」。

③「憲法発布」⇒誰もが知っている「大日本帝国憲法発布」=「1889年2月11日」。

④「政府に反旗を翻して……西郷大将……」⇒「政府に反旗」「西郷大将」で「西南戦争」だと特定できる=「1877年」。

⑤「日英同盟の締結」⇒何の問題もない=「1902年」。というわけで、「答え」は、④→③→②→⑤→①になる。尚。「年代(時期)整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが重要だ。

                                 <時間配分目安:1分弱>

【大問Ⅲ】

  • 難度:
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

「紀元節という祝日」についての「リード文」からの出題。「明治時代」以降の基礎的な「歴史的事項」が問われている(「公民」の混在あり)。平易な大問なので、短時間で「全問正解」したい。やや悩みそうな2問だけを検証してみる。

[問2(2)] 「下線部についての目的説明記述設問」(「字数指定」なし、「20字ほど」の解答欄)。「リード文」中の下線部②「1940年には、この年が『皇紀2600年』にあたるとして、盛大な祝賀行事が行われました」について、「『中国との戦争が長引き、国民に戦争への協力が求められた』という状況(=[問2(1)]の「答え」)で、政府が『皇紀2600年』の祝賀行事を行ったねらいは何だと考えられるか」を説明する。「皇紀」=「初代天皇である神武天皇が即位した年を元年とする数え方」と説明されている。「国民が戦争に疲れている状況」で「国民を天皇のもとに団結させようとした」と考えられるはずだ。あとは簡潔にまとめていけばいい。たとえば、「戦争に向け国民を天皇のもとに団結させる目的。」(22字)といった「答え」だ。「リード文」、「設問文」等々、さまざまな「情報」を多角的に結びつけて考えること。

                                  <時間配分目安:3分>

[問3] 「下線部についての時期判別不適切選択肢設問」(5択)。

「リード文」中の下線部③の「1948年」「以降の出来事」として「まちがっているもの」を2つ答える。慎重に「時期判別」および「正誤判別」をしていく。

(ア)「大阪での初めての万国博覧会開催に向けて」「東海道新幹線開通」⇒「大阪での初めての万国博覧会」は「1970年」=「時期」はOK⇒「東海道新幹線開通」(1964年10月1日)は「最初の東京オリンピック」に向けてだ=不適切。

(イ)「朝鮮半島での戦争」「警察予備隊」「後に自衛隊」⇒「朝鮮戦争」(1950~1953年)をきっかけに「警察予備隊」→「保安隊」(1952年)→「自衛隊」(1954年)は周知のはず=適切。

(ウ)「ソ連と平和条約締結」「国際連合加盟」⇒「ソ連」とはいまだに「平和条約」を締結していない⇒「国際連合加盟」(1956年12月)は「日ソ共同宣言」調印(1956年10月)がきっかけだ=不適切⇒やや「ひっかけ」だ、要注意。

(エ)「1980年代のバブル経済」「土地や株の値段が急激に上昇」⇒「バブル経済」は「1980年代後半から1990年代初頭」⇒内容もOK=適切。

(オ)「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」「ノーベル平和賞受賞」⇒「日本被団協」の「ノーベル平和賞受賞」は「2024年」=適切⇒「時事ネタ」としても押さえているはずだ。したがって、「答え」は(ア)・(ウ)だ。「正誤判別」では、くれぐれも細部にこだわること。

                                 <時間配分目安:1分弱>

【大問Ⅳ】

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

「情報および国民の政治参加」に関する出題。多種多様な小問が並んでいる。「公民」単元(「時事的要素」あり)だけではなく、「考察問題」や馴染みのない「グラフ読み取り」など厄介な問題もある大問だ。心して臨みたい。2問だけチェックしてみたい。

[問1] 「資料についての理由説明記述設問」(「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。「考察問題」。「社会科の授業でスライドをつくって発表する」ことになり、「スライドには、利用した資料について(例1)・(例2)にならって情報を載(の)せた」が、「(例2)では、資料が公開された年月日に加えて、(例1)にはない『最終アクセス日』(最後にそのページを見た日)を掲載している。それは「なぜか」を説明する。(例1)はよく目にする「資料の出典」だ。それに対して(例2)では「最終アクセス日」の記載がある。なぜなのか? 無論、「知識」として押さえている諸君は誰もいまい。それでも解ける。だから「考察」するのだ。(例2)は「インターネット上の情報」だということがポイントだ。資料が公開された以降にデータが更新されることがある。そのことに注意する必要があるのだ。こうした内容を整理して、過不足なくまとめていけばいい。たとえば、「スライド作成後にネット上の情報が更新された可能性があるから。」(30字)といった「答え」になる。「与えられた情報」の細部に十分に配慮する必要があると心得よ。

                                 <時間配分目安:3分半>

[問7] 「統計資料読み取りの選択肢設問」(4択)。「公民」単元。

「1947年から原子力科学者会報で『終末時計』(核戦争などによる人類滅亡(終末)を午前0時とし、終末までの時間を『0時まで、残りあと何分(秒)』という形で示したもの)が発表されている」が、「1947年から2024年までの『終末までの時間』の変動を表したグラフ」を答える。「終末時計」、知らない諸君も多いに違いない。ただ、内容は理解できたはずだ。「グラフ」は縦軸に「終末までの時間(分)」、横軸が「年」になっている。「1947年から2024年」で「終末までの時間」が最も長くなった(終末から遠ざかった)のは「1989年のマルタ会談での冷戦終結宣言」が出されたときだと考えられるはず。その「グラフ」になっているのは(イ)か(ウ)で、前者は「2013年以降、終末までの時間が短くなり続けているのに対して、後者は同時期に終末から遠ざかっている。昨今の「国際情勢」を鑑みれば、「終末から遠ざかっている」とは到底判断できない。したがって、「答え」は(イ)だ。ちなみに、2025年現在は、「ウクライナ戦争」などによる核リスクの高まりや「気候変動の深刻化」が影響して「残り89秒」で過去最短になっている。

                                 <時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

制限時間内にこなすのは至難の技といえる解答数で、しかも、難易度はバラバラ。したがって、最大のポイントは「試験時間の使い方」になる。先ずは、難易度を即座に判断する。そして、「取れる問題を確実に押さえる」ことが重要だ。「取れそうにない問題は潔く捨てる!」ことも戦術のひとつ。時間を取られて、「できるはずの問題」を逃してしまっては元も子もないのだから。もし時間が余ったら、また戻ればいい。本校の合格ラインは完全非公表だが、解答数から考えて10問程度の「捨て問」なら大丈夫だ。6割以上は「基礎的知識」で十分対応可能で、あとは前述したような「本校対策」ができれば「安全圏」だ。

「基本的知識を基にした思考力や記述力、図表や資料等から必要な情報を読み取る能力」も求められる。それらの「設問」では、「リード文」「設問文」「統計資料」「歴史史料」「地図」等の「要素」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考えることが必要だ。また、「設問どうしの連関」や「設問条件=手がかり・ヒント」だということも心得ておきたい。そして、過去問演習を通じて(「解説」を読みながら)、どのような「要素」を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自らも「多角的思考」ができるように練習したい。また、近年頻出の「考察問題」にも対応できるようにしておくこと(本年度は少なく3問だったが)。さらに、「一般常識問題」も目立つようになってきている(本年度は8問)。来年度以降に向けても要注意だ。尚、本校の大いなる特色として「解答形式」が目まぐるしく変化するので、十分に注意する必要がある。

●もうひとつ。本校では「4科目の配点と試験時間が全て均等」であることにも注意したい。「社会」だからといって手抜きはできない。逆に考えれば「社会」が得意科目である場合、ライバルに大きく差をつけるチャンスにもなるのだ。

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