城北中学校 入試対策
2024年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。素材文の文量は10000字ほどにもなり、2024年度では記号選択が6問・書き抜きが1問・40~85字の記述が5問と、記述重視の傾向が続いている。来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって5年目になり、過去問での練習もしやすくなったので、経験を積んでおきたい。
〇長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。まずはそれぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
〇記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、いまこの人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。そしてそれらを50~100字程度で文章に破綻がないようまとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
城北中の過去問で練習に加えて、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島岡女子学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
〇漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2024年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は10000字ほど。解答数は読解問題が12問、そのうち記号選択が6問・書き抜きが1問・30~80字の記述問題が5問となっており、これに漢字10問が加わる。素材文は15~17分程度で読み終え、記述問題に時間を残したい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:46分
- ★必答問題
自分と母を捨てて新たな家庭を作った父と再会した主人公。最初は嫌悪を覚えていたが、互いの子育てに共通した面があることに気づいた。
問1 a. 嬉しそうに「声を弾ませた」
b. 大袈裟な手ぶりが「鼻について」言い訳がましい台詞に腹が立つ。
問2 父が再婚して生まれた子供と自分の子供が同じ年であるという、年齢的に通常はありえない家族構成に驚きあきれている。
問3 自分を捨てて再婚し新たな娘をもうけ、さらにその子育ての話を捨てた自分に向けてしてくる父の無神経さに強い嫌悪感を覚えている。
問4 外食でおもちゃがもらえる「おこさまのやつ」を食べられると知って、凪斗のテンションがあがって後部座席で喜んでいる。
問5 息子が粘土でパンを作ったと聞いて、「いいね」と言いながら「親と同じ道を歩くという発想を取り除いてあげたい」と矛盾するような心情を持っている。少し後で、自分たちも結局は自分の経験からくるエゴを子どもに反映させているのかもしれないと考える場面があり、ただ粘土でパンを作っただけのことなのに良くも悪くもそんな考えを投影してしまうのは親のエゴ=呪いのようなものだと感じているのである。
問6 父と子でファミレスに行くという、自分が父からしてもらえなかったことを凪斗にしてあげていることで、子どもの頃の辛い思いが息子を通して報われた気持ちになっている。
問7 せっかく凪斗と楽しいひと時を過ごしていたのに、渚という女の子の存在で父が同じ場所にいることを予感し、父に対する負の感情が再び胸中に起こっている。
問8 自分の家庭を捨て、新たな家族を作ってファミレスに来た父。自分にはそんなことはしてくれなかったのに、新しい娘と楽しそうに食事に来ている父をみて、嫌悪を覚えている。
問9 帰りかけた主人公に「自分はお前にできなかったことの罪滅ぼしで娘をいろいろなところへ連れて行っているのかもしれない」と父が語りかけている。父にしろ自分にしろ、過去の経験を反映させ、その後悔から子どもに「罪滅ぼし」をしているのかもしれないと主人公は考えている。
問10 千沙登は自分の過去の経験から地域の枠にとらわれず凪斗に小学校受験をさせようと思っていたが、それは自分のエゴに過ぎず、それよりも今のままで優しいまま楽しくいられるように過ごさせてあげたいと考えるようになった。選択肢エのように「受験は間違い」だとは思っていない。
問11 父は主人公が子どもの頃にしてやれなかったことを、今の娘にしてやっているのかもしれない、そして子育てはおもしろいと言った。主人公と千沙登も自分のエゴで子育てをしていることを意識し、反省しつつも楽しんでいる。両者とも、過去の経験にもとづくエゴで子育てに向き合いながらそのことを楽しんでいるという点で同じであり、主人公にも父と通じるところがあったのだと思えたのだろう。
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:4分
1. 博士 2. 節 3. (お)札 4. 効(いて) 5. 蒸気 6. 基幹 7. 善後(策)――後始末をうまくつけるための方策 8. 留(める) 9. 門戸 10. 英断
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって6年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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