城北中学校 入試対策
2018年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。
小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。
素材文の文量は10000字ほどにもなり、2018年度では記号選択が6問・1行記述が2問・50~80字の記述が4問と、記述重視の傾向が続いている。
来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって2年目になるが、合格者平均点は6割前後で、大きな変動は見られなかった。受験生も対策を講じてくるので、徐々に上向くものと思われる。
長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。
まずはそれぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。
出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、いまこの人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。
そしてそれらを50~100字程度で文章に破綻がないようまとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
この点では城北中の過去問では練習にならないので、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2018年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は10000字ほど。解答数は読解問題が13問、そのうち記号選択が6問・1行記述が2問・30~80字の記述問題が4問となっており、これに書き抜き1問と漢字10問が加わる。
文学的文章の場合は、説明的文章と違って文中から抜き出して記述にまとめられない場合も多い。文量も多いので、読むスピード・書くスピードが求められる。漢字と選択問題を速やかに終え、記述に回せる時間を確保しよう。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:47分
- ★必答問題
吃音の障害を持つ主人公は、クラスでの自己紹介のあいさつから逃げてしまう。それを知った姉に言われた言葉に、主人公は自分を変えたいという気持ちを強くし、話す機会を増やすため放送部に入ろうと決心する。
問2 「逃げたおかげで」という表現は、主人公にとってプラスの出来事であったことを意味している。皆の前で恥をかいてつらい思いをせずに済んだということである。一方、「逃げたせいで」は、良くない結果を表している。中学入学の最初のあいさつ・自己紹介という大事な機会だったのに、これまでと変わらずに逃げてしまい、自分の弱さを克服できなかったことを悔やんでいるのである。
問3 イも考えられるが、チラシは受け取ってしまっているので答えとして弱い。やはり、話しかけられたくなかったということであろう。
問4 放送部のチラシに書いてあった「誰でも練習すれば上手に話せるようになる」という言葉に期待を覚え、いっときは「少しだけ明るく、前向き」な気持ちになったのだが、冷静に考えると無理であると思い、そんな気持ちは消えてしまった。
問5 自分は「普通の人」ではないので、練習したところでうまく話せるようにはならないだろうというあきらめの気持ちが述べられている。笑われてからかわれて傷ついてしまうという恐れもあるようである。また、放送部の他の人に迷惑をかけてしまうという遠慮も述べられているので、ここを含めて答えとしても良いだろう。
問6 イは、知られたからと言って「入部せざるをえなくなる」わけではないから選ばない。決めてもいないことであれこれ訊かれるのが嫌だったのであろう。
問7 直前の会話から、主人公の新入学のあいさつのことを気にかけていたことがわかる。多少の期待もあったのだろうが、仮病をつかって逃げてしまったことを知って、残念だったのだろう。
問8 少し前の姉の「逃げたんだ」という発言に対して、同じような感情を表現した部分があるので、そこを抜き出す。
問9 読書は好きだと言っているので、アの「嫌い」やエの「魅力はない」は当たらない。ただ、好きな「理由」が消極的なだけである。ウの「本当は町に出たりゲームしたりしたい」は、心の奥の「願望」であって、それができないことで何か・誰かに「負い目」を感じているわけではないので×。
問10 主人公に「あまり重いことだと感じさせないほうがいい」と母は考えて話題にしないのだと、主人公は考えている。
問11 傍線のように考えるようになった一番のきっかけは姉の言葉であろう。しゃべる機会を増やして自信をつけることが「一歩踏み出す」ことに当たる。「そうなるために」の部分は、「人から逃げる弱い自分を変えたい。ちゃんとしゃべれるようになりたい」が1つ。もう1つは、傍線直前の「家族の会話にさえ参加できない」から、家族とも普通に話せるようになりたいと考えていることも加えて、計2点を書けばよいだろう。
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:3分
「図る・測る・計る」や「検討・見当」など、同音異語に注意しよう。
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって2年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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