城北中学校 入試対策
2021年度「城北中学校の国語」
攻略のための学習方法
出題傾向と特色
例年は文学的文章・説明的文章の読解に語句や漢字というオーソドックスな構成であったが、2017年度から大きく傾向が変わった。
小説の読解1題(ことばの知識を含む)に漢字の書き取りだけと、かなりの変わりようである。説明的文章は出されていない。
素材文の文量は10000字ほどにもなり、2021年度では記号選択が7問・30~90字の記述が5問と、記述重視の傾向が続いている。
来年度も記述中心の構成なのか、文学的文章だけなのか、あるいは以前の傾向に戻るのか、さまざまに考えられる。学校説明会などには積極的に参加して、情報収集を怠りなく行いたい。
傾向は変わったが、全体の難易度は変えていないと思われる。傾向が変わって5年目になり、過去問での練習もしやすくなったので、経験を積んでおきたい。
長文読解
素材文は文学的文章・説明的文章のどちらが使われるか、あるいは両方出されるのか、いろいろな可能性を考えてどちらにも対応できるようにしておかなければならない。
まずはそれぞれの読解の基本的な技術を磨こう。文学的文章であれば登場人物の整理・時間や場所や人物の入退場による場面分け、人物の心情や描かれているテーマの把握など。説明的文章であれば、形式段落と意味段落の整理、段落ごとの要点と細部、要旨と全体の要約など。
出題傾向は変わったが、素材文自体の難易度などは過去問と変わらないと思われるので、過去問で経験を積むことはもちろん有効である。
記述対策
文学的文章では、人物の心情や行動の理由などを聞かれる場合が多い。類似問題をこなすのはもちろんだが普段の読書においても常に意識して、いまこの人物はどういう気持ちなのか・なぜこんな表情になりこんな行動をとったのかなど、考えながら読むようにしたい。
説明的文章であれば、要点・要約が答えあるいは手がかりになる場合が多いので、読んだ部分を短くまとめるような練習が役に立つだろう。
そしてそれらを50~100字程度で文章に破綻がないようまとめる練習を積もう。だいたい一つの事柄・内容は20~25字くらいでまとめられることが多いので、70字であれば2~3の内容を使って解答を組み上げれば良いということになる。
城北中の過去問で練習に加えて、記述問題中心の普連土学園中や、難易度は高くなるが海城中や豊島岡女子学園中などは、文章量の多さなどの面でも練習台になるだろう。
傾向の近い他校の過去問などもうまく利用して、記述問題に慣れておかれたい。
漢字・言語事項
言葉の知識も出されている。漢字と合わせて、標準レベルの教材でよいので、丁寧に学習しておこう。
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2021年度「城北中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
素材文は小説で文量は9300字ほど。解答数は読解問題が12問、そのうち記号選択が7問・30~90字の記述問題が5問となっており、これに漢字10問が加わる。書き抜き問題は出されなかった。素材文は15~17分程度で読み終え、記述問題に時間を残したい。
【大問一】小説の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:45分
- ★必答問題
大地震で船を失ったロシア人と、人生を方向付けてくれた恩人を失くした主人公との心のふれあいが描かれる。
問1 a たどたどしい――未熟で言葉や動作がなめらかでないさま。
b おもむろに――落ち着いてゆっくりと事を始める様子。
問2 きっかけは太郎左衛門が羽織を脱いでかけてくれたことである。直前に父親が亡くなり兄弟が消息不明であることを知らされても動じていない様子だったが、太郎左衛門のやさしさに触れて心が動き、父と兄弟への思いが溢れてきたのである。
問3 突然船大工になれと言われて、はいと「平蔵はたんたんとうなずい」ている。自分が船を作ることに明確なイメージが持てず、その意義をまだ見いだせていないのであろう。
問4 選択肢アと選択肢イは内容がほぼ一緒で、違いはイの「誰かにその苦しみを理解してほしいと思っている」の部分である。もしイを選んだ場合、「他人に苦しみを理解してほしいと思っていること」までアレクサンドルとヨシフに理解してもらいたいことになり図々しい人になってしまうので、イは選ばない。
問5 直前の会話で、二人が言葉やしきたりはわからなくとも、大事な人を亡くした悲しみを理解し分かち合おうとしてくれていることが伝わってくる。形式ばったお悔やみの言葉など知らなくても、それだけで主人公はありがたいと思ったのである。
問6 ヨシフの言い方には慌てている様子が見て取れる。主人公に、外国人には全くなじみがないであろう和歌を詠まれて、その言葉の意味がわからず戸惑っている。
問7 言いかえてしまうと陳腐な感じになってしまうと感じている。それでは自分が将来を胸に描くきっかけになった歌の美しさや感動が伝わらなくなってしまうと思い、日本の比喩表現であることが伝わらなかったとしても、もともとの美しい表現を大事にしたかったのであろう。
問8 アレクサンドルは日本語が分からず、ヨシフの通訳を介して主人公と会話している。そんなアレクが主人公が月を船と感じたという伝わりづらいであろう話を理解した様子だったので、心が通じた気がしたのである。
問9 そもそも言葉の壁があるので、少しでも正確に伝わるようにゆっくりと話しているということが一点。もう一点は、「月の船」が主人公にとって恩師との大事な思い出であり、人生の方向を示してくれたイメージでもあることから、船大工の道を志した当初の気持ちを思い出し、あらためて自らに向けても語りかけているという意味があるのだと思われる。
問10 偶然ではあったが、壊れた船の名前が月の女神の名前であった。そしてアレクは「月の船に乗って空を渡りたい」と、主人公の思いと重なるような言葉をかけてくれた。恩師を亡くして「月の船」を作りたいと思っていた気持ちが熱量を失っていた時に、同じ思いをロシア人であるアレクが持っていることを知り、心のふれあいを感じて船を作る意欲がわき、前に進もうと思えた。そんな気持ちにさせてくれたアレクに感謝の言葉を告げたのである。
問11 言葉や文化の異なるロシア人と心を通わせ合い、主人公は励まされた。この物語のテーマはそこにあるだろう。
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:5分
1. 計(らい)――考え合わせて適切に処置すること。判断・取り扱い。
4. 賛辞――ほめたたえる言葉。
6. 退(ける)――後方へ下がらせる・その場から遠ざける。取り除く・除外する。
8. 委(ねる)――処置などを人に任せる。すべてをささげる。
10. 序(の口)――物事の始まったばかりのところ。
攻略のポイント
新たに記述対策が必要になった点は負担に感じるかも知れない。だが、同じく記述問題が多く出される、いわゆる最難関校ほど難しくはない。傾向が変わって5年目だが、合格者平均点に大きな変動はなく、難易度自体は以前と変わらないものと思われる。
来年度も同じ傾向が続くものと仮定して、同程度の字数の記述問題を多くこなしておこう。過去問が不足するが、同じように記述問題の多い普連土学園中など、他校の過去問も利用して経験を積んでおきたい。
たとえ設問の形がどうであれ、読解力を磨くことが第一であることは言うまでもないだろう。
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