｢漢字の書きとり｣(全10問)。
昨年度より平易になったが、｢同音異義｣｢同訓異字｣など注意を要するものがある。悩みそうなものとしては、②｢美しいハーモニーをカナでる｣＝｢奏(でる)｣、⑥｢校庭を一般にカイホウする｣＝｢開放｣、⑦｢有用なコウブツ資源｣＝｢鉱物｣、⑧｢ケントウ外れなことを言う｣＝｢見当｣くらいか｡尚、⑩｢仕事にツく｣＝｢就(く)｣､｢11画目｣には注意すること。｢右→下｣ではなく｢まっすぐ下｣だ。確実な｢語彙力｣の定着は必須条件｡

＜時間配分目安：２分以内＞

｢慣用句の意味の選択肢｣(全５問/各４択)｡｢総合的知識問題｣｡

｢慣用句｣の｢意味｣を答える。意外と難問か？　注意すべきものとしては、①｢口に糊する｣＝｢やっと暮らしをたてる｣という意味なので、｢答え｣は選択肢(エ)｢貧しく生活する｣、③｢耳を貸す｣＝｢人のいうことを聞く。相談にのってやる｣という意味なので、｢答え｣は選択肢(ア)｢相手の相談に乗る｣、⑤｢歯が浮く｣＝｢軽薄な言動に接して、不快な気持ちになる｣という意味なので、｢答え｣は選択肢(ウ)｢不快な様子｣｡分からないものがあった諸君は、｢知識｣の徹底復習が不可欠だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

日本の霊長類学を代表する筆者が､｢ヒト｣と最も近い｢進化の隣人｣である｢チンパンジー｣の｢視点｣から｢人間の子育て｣を論じている。本文では、｢チンパンジーの社会｣との対比から、｢人間の子どもたち｣は多くの｢大人との関わり｣の中で学び、育っていると指摘している。分かりやい文章で、内容もすぐに理解できるはず。本校らしい多種多様な｢設問｣が並んでいる。以下、いくつかを確認してみたい。

[問一]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各４択)。
｢総合的知識｣｡傍線部②｢しんがり｣､④｢じゃけん｣の｢意味｣を答える。これらの｢原意｣(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、各選択肢の｢余計なお世話｣な｢説明｣に引きずられて、｢本文中の意味｣にこだわり過ぎると､間違ってしまう可能性がある。要注意。｢答え｣は､｢②｣＝選択肢(ア)｢～最後尾｣､｢④｣＝選択肢(ウ)｢～意地悪くする｣だ。｢原意絶対優位の原則｣(｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)を徹底させよ。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問二]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/５択)。
本文中の空所　Ａ　～　Ｄ　に入る｢最も適当なもの｣を答える。各選択肢の｢語句｣は｢接続詞｣と｢副詞｣｡本校に限らず、｢接続詞｣や｢副詞｣などの｢空所補充問題｣は定番だ。特に､｢接続詞｣では｢逆説｣はともかく｢順接｣には十分に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。ここでは｢順接｣のみ。しかも、空所４カ所に対して選択肢は５つだ。細心の注意を払うこと。　Ａ　には選択肢(エ)(｢換言｣の｢要は｣)、　Ｂ　には(ア)(｢結びに打消し｣がくる｢呼応の副詞｣の｢けっして｣)、　Ｃ　には(ウ)(｢転換｣の｢ひるがえって｣)､　Ｄ　には(イ)(｢添加｣の｢さらには｣)が入ると特定できなくてはいけない。こうした｢空所補充問題｣では、｢候補｣がひとつとは限らないので、必ず全ての｢候補｣を｢代入確認｣すること。
＜時間配分目安：１分半＞

[問四]　｢理由説明選択肢｣(４択)。
傍線部③｢チンパンジーの教育を『教えない教育･見習う教育』と名付けた｣について、｢なぜか｣を答える。｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣)｡ここでは｢理由説明｣なので､｢直接的理由｣での｢消去｣になる。各選択肢の｢文末｣が(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)、｢教えない教育･見習う教育｣の｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣する。(ア)｢教えないから｣、(イ)｢義務があるから｣、(ウ)｢教えるから｣、(エ)｢工夫をするから｣｡｢教えない｣｢見習う｣のだから、当然、(ア)以外はすぐに｢消去｣できるはずだ。(ア)の他の部分の説明も特に誤っていない。従って、｢答え｣は｢(ア)｣｡｢一発消去｣だ。｢原意消去｣､おそるべし｡活用すること。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問五]　｢語句の空所補充選択肢｣(５択)。
本文中の空所【　あ　】に入る｢最も適当な語句｣を答える。ここでは｢原意消去｣は無理なので、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認する。直前に｢人間の人間らしい教育は｣とある。ということは、空所部には｢どのような教育なのか｣が入るはずだ。｢同一意味段落｣(｢論説文｣は｢同一意味段落に根拠あり｣、｢論説文｣の｢基本的解法｣のひとつ)の前文は､｢父母だけではない多くのおとなたちとの関わりのなかで、子どもたちはさまざまなことを学ぶ｣となっている。各選択肢の｢文末｣を確認する。(ア)｢教育｣、(イ)｢共育｣、(ウ)｢強育｣、(エ)｢競育｣､(オ)｢響育｣｡｢多くのおとなたちとの関わりのなか｣で｢学ぶ｣のだから、｢共に学ぶ｣がふさわしいと分からなくてはいけない。よって、｢答え｣は｢(イ)｣｡ここも｢一発消去｣だ。｢解法｣を的確に用いることが正解への早道。おそるべし｡活用すること。
＜時間配分目安：１分＞

[問八]　｢条件付き自由記述｣(｢字数指定｣なし、50字ほどの解答欄)。
波線部｢見習う学習はチンパンジーだけでなく人間にもある｣について、｢あなたが考える『見習う学習』には、どのようなものがあるか｣を説明する。｢条件｣は｢本文の内容を踏まえ、具体的に答える｣こと。先ずは、｢見習う学習｣とは具体的にはどういうことかということだ。｢条件｣は｢本文の内容を踏まえ｣｡そこに｢手がかり｣があるはずだ。｢チンパンジーだけでなく｣とあるので、｢チンパンジー｣に関する｢同一意味段落｣を確認する。すると、傍線③の段落に｢子ども｣は｢手本を見てまねる｣とある。つまり、｢見習う学習｣＝｢手本を見てまねる学習｣だ。であれば、｢部活動｣でも｢習い事｣でも何でもいいので、過不足なく｢具体的｣にまとめていけばいい。｢自らの体験｣を踏まえればまとめやすいはずだ。｢条件｣は｢手がかり･ヒント｣だと心得よ。
＜時間配分目安：３分＞

｢胡桃(くるみ)割り｣とからめて、｢僕｣の自我の目覚め、折々の家族の心情などが描かれていく少年の成長物語。本文では、病弱な母の容体が悪化し修学旅行に行けなくなった｢僕｣が､そのやりきれない気持ちを｢ナット･クラッカー(胡桃を割る器具)｣にぶつける様子が描かれている。60年以上前の作品で、なじみが薄く難解な語句が多いが、｢※注｣も活用し何とか内容を理解したい。ただ、｢設問内容｣は基本的なものが多い。以下、いくつかを検討してみよう。

[問二]　｢語句の働きの選択肢｣(４択)｡｢総合的知識問題｣｡
傍線部④｢ヒリヒリする｣と｢同じ働きのもの｣を答える。｢文法｣の問題。｢擬態語｣と｢擬声(音)語｣の違いだ。｢擬態語｣＝｢様子を表す言葉｣､｢擬声(音)語｣＝｢実際の物音をまねて表す言葉｣｡｢皮膚に痛みを感じた時｣に用いる｢ヒリヒリ｣は無論、前者だ。各選択肢は、(ア)｢肩をトントン叩く｣、(イ)｢雷がゴロゴロ鳴る｣、(ウ)｢紙をビリビリ破る｣、(エ)｢床がツルツルする｣｡(ア)(イ)(ウ)は実際の｢物音｣なので、｢答え｣は｢(エ)｣｡尚、ここでは設問の都合ですべて｢カタカタ表記｣だが、基本的に､｢擬態語｣＝｢ひらがな｣､｢擬声(音)語｣＝｢カタカナ｣なので注意すること。本校では、こうした｢知識｣も求められるということだ。
＜時間配分目安：30秒＞

[問三]　｢換言説明記述｣(｢50字以内｣指定)。
傍線部①の｢ガラリと生活を変え｣について、｢どういうことか｣を説明する。｢同一場面｣の｢直前直後｣を確認する(｢小説は同一場面直前直後に根拠あり｣、｢小説｣の｢最重要解法｣)｡｢父は｣｢書斎と調査旅行にばかり時間を費やしている人であった｣→｢家庭第一、それも妻の看護に専した｣､こうした｢変化｣が読み取れるはずだ。まさに、｢ガラリと生活を変え｣ている。従って、これらの内容をまとめればいいのだが、当然、｢変化｣の｢きっかけ｣にも触れる必要がある。｢きっかけ｣は直前から｢母の病気が相当進んでいると知った｣ことだと分かる。なので、たとえば、｢仕事にばかり時間を費やしていた父が、妻の病気の進行を知ってからは、家庭第一で看護に専したということ。｣といった｢答え｣になる。｢変化｣を説明する場合は、｢Ａ→きっかけ→Ｂ｣という形でまとめること。
＜時間配分目安：２分半＞

[問四]　｢内容説明抜き出し｣(｢２文｣指定)。
傍線部②｢六年生だけ一晩泊まりで、修学旅行で日光へ行く｣について、｢この旅行を『僕』が楽しみにしていることが最もわかる一続きの二文｣を探し、｢最初の五字｣を抜き出す。｢抜き出し｣では、｢抜き出し内容｣をとらえた上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいく。｢内容｣は｢楽しみにしている様子｣だ。｢範囲｣は｢同一場面｣が基本｡ここでは｢『僕』と『姉』とのやりとり｣が描かれており、｢同一場面｣は傍線③の段落の２つ後まで。確認する。すると、その最後の段落に｢生れて初めて……一泊旅行に出る……どんなに魅力を持っているか！　……計画が､あざやかに浮かんでくる。｣といった２文がある。まさに､｢楽しみにしている様子｣だ。なので、｢答え｣は｢生れて初め｣となる。｢抜き出し｣では、｢範囲の絞り込み｣が肝要だ。
＜時間配分目安：１分半＞