開智中学校 入試対策
2018年度「開智中学校の国語」
攻略のための学習方法
[知識]
「開智の国語」では、「出題比率」が高い「総合的知識問題」が攻略ポイントのひとつだ。さあどうするか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。 日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。 「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。
また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。 そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。 入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。
そして、「文法」。 塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることもあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。
[速読]
大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で4000~5000字程度。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。
しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。 意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。 こうした手法によって、開智おなじみの「ややこしい選択肢設問」にも的確に対処できるようになる。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみる積極性がほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
開智に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。
[解法]
前述したように、開智特有の「難問」に勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
たとえば、塾での練習問題。 答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。 特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。
解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
[記述]
「開智の記述対策」は前述したが、その前に前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。
では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(開智の典型的な「長文記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。
その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙で)。
[意識]
どのような状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漠然と机に向かっていても無意味。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。
そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。
「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか?
…といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。50分という時間で解き進めていかなくてはならない開智では、ひとつのミスが致命的になる。
入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
2018年度「開智中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字問題」(「読み」と「書きとり」、各5問)。2分程度で丁寧に終えたい。
大問二は「総合的知識問題」。「季語からの季節特定」(全5問)。2分ほどで解きたい。
大問三は「論説文」、出典は池内了「疑似科学入門」(文字数約2600字)。小問は全8問(解答数13)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「説明記述」(「60字以内」指定)、「自由記述」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)、「総合的知識問題」。問題文は3分強で読み切り、設問を22~23分で解きたい。
大問四は「小説」、「小説」、出典は森絵都「みかづき」(文字数約2700字)。小問は全8問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(全2問。「80字以内」指定、「字数指定なし」で「25字ほど」の解答欄、各1問) 、「総合的知識問題」。問題文は3分半ほどで読み切り、設問を17~18分で解きたい。
【大問一】「漢字の読み書き」
- 難度:標準
- 時間配分:2分
「漢字の読みと書きとり」(各5問)。例年並みの難易度、本校志望者は「全問正解」といきたいが、やや悩ましいものを確認する。
①「蚕」=「かいこ」⇒「サン」という「音読み」(「養蚕」など)も定番。
③「車窓」=「しゃそう」⇒まさか間違うまい。
⑤「思う存分」=「ぞんぶん」⇒これも頻出。
⑥「鏡に顔をウツす」=「映(す)」⇒「同訓異字」に要注意。
⑨「夏目漱石のセイカをおとずれる」=「生家」⇒「同音異義語」を確認すること。
もし、ひとつでも曖昧(あいまい)な漢字があれば、改めての習練が不可欠。
<時間配分目安:全問で2分以内>
【大問二】「総合的知識問題」(「季語」の「季節」特定)
- 難度:やや難
- 時間配分:2分
「季語の季節特定記述」(全5問。「春」「夏」「秋」「冬」のいずれか指定)。「総合的知識問題」。示されている①~⑤の「俳句」の「季語」は「四季のうちのどれか」を答える。「季語」の「解説」も記されているので、なんとかしたい。確認する。
①「打水のゆき届きたる祭路地」、[季語]「打水」(道や庭先などに水をまく)⇒「水をまく」季節といえば⇒「答え」は「夏」。
②「その中の一羽は遅し鳥帰る」、[季語]「鳥帰る」(日本に飛来してきた渡り鳥が、また北方に帰っていく)⇒日本で冬を過ごした渡り鳥が、春になり帰っていくので⇒「答え」は「春」。
③「書を伏せて眼鏡拭きいる夜長かな」、[季語]「夜長」(夜が長く感じられるようになる)⇒「秋の夜長」と言うではないか⇒「答え」は「秋」。
④「虫干しの背広に父の香の残る」、[季語]「虫干し」(衣類や書物などを干して湿気をとり、黴(かび)や虫の害を防ぐ)⇒じめじめとした梅雨が明けた後だと判断できる⇒「答え」は「夏」。
⑤「火の用心大人に合わす子らの声」、[季語]「火の用心」(拍子木を打ちながら町内を回り、火元へ注意を促す)⇒あまり見かけなくなった風物詩だが、「火」を使うようになる季節⇒「答え」は「冬」。
ちなみに、「季語」は「歳時記」によって定められており、現在の「季節感」とは異なるものもある。また、「季節の祭事」でも「新暦」ではなく「旧暦」が基本なので注意したい(たとえば、「天の川」は「夏」ではなく「秋」だ)。「俳句」や「短歌」なども含めて、本校ではあらゆる「知識(国語常識)」が問われると覚悟せよ。
<時間配分目安:全問で2分半>
【大問三】「論説文の読解」(「自由記述」「総合的知識問題」あり)
- 難度:やや難
- 時間配分:26分
- ★必答問題
「占い」「超能力」「怪しい健康食品」など、社会にまかり通る「疑似科学」のワナにはまらないためにどうしたらよいか? また、地球温暖化問題などの「科学が苦手とする問題」で「疑似科学」に陥らないためにはどうしたらよいか?――さまざまな手口と社会的背景を解き明かしながら、一人ひとりが自ら考えることの大切さを論じている。本文では、国への奉仕が健康の目的だった歴史の経緯、健康ブームの背景、健康不安につけ込む「疑似科学」的な健康食品の商法などについて考察している。
「科学論」ではあるが難解な語句は少なく、内容は分かりやすい。「総合的知識問題」から「自由記述」まで、本校らしい網羅的な小問が並んでいる。以下、いくつかを確認してみたい。
[問一] 「語句の空所補充選択肢」(全4問/5択)。本文中の Ⅰ ~ Ⅳ の空所に「あてはまる言葉」を答える。
各選択肢は、「接続詞」と「副詞」だ。「接続詞」は本校に限らず定番の問題。中でも「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認する必要がある。
順に空所に「あてはまる言葉」を確認していく。 Ⅰ には「たとえて言えば。言ってみれば」という意味の「副詞」である(エ)の「いわば」、 Ⅱ には「順接」の「接続詞」である(イ)の「だから」、 Ⅲ には「言うまでもなく」という意味の「副詞」である(ウ)の「むろん」、 Ⅳ には「逆接」の「接続詞」である(ア)の「しかし」がそれぞれ入ると分からなくてはいけない。
「逆接」以外では、いくつかの「候補」をしっかりと「代入確認」してから確定することが重要だ。
<時間配分目安:全問で2分>
[問二] 「四字熟語の空所補充記述」(2問/各「漢字1字」指定/複数完全解答)。「総合的知識問題」。「四字熟語」。
本文中の空所X・Y(2箇所ある)に「あてはまる漢字一字」をそれぞれ答える。
ともに「四字熟語」の一部。「X口Y音」と「Y工X曲」だ。何の問題もないはず。前者からすぐに、「異口同音」⇒X=「異」、Y=「同」が「答え」だと分かる。ただ、やや不安なのは後者だ。「同工異曲」、知っていただろうか? 「どうこういきょく」と読み、「外見は違っているようだが、内容は同じであること」という意味だ。定着させておきたい。本問は平易だったが、本校では「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」などは必出。確実に習得しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問三] 「語句の空所補充選択肢」(全3問/4択)。
本文中の【A】~【C】の空所に「あてはまる言葉」をそれぞれ答える。
「総合的知識問題」(語句の意味)と「文脈読解」を組み合わせた問題だ。
各選択肢は、
(ア)「画一化している」、(イ)「精を出している」、(ウ)「功を奏している」、(エ)「呪文化している」。
(エ)は一種の「比喩表現」だが、他はそれぞれの「意味」を押さえているかが問われている。
「画一」=「個々の性質や事情は重視せず,全体を一様にそろえること」、
「精を出す」=「精いっぱい働く。こつこつ物事をする」、「功を奏す」=「効果を現す。成功する」という意味だ。
これらを、それぞれの空所前後の「文脈」にあてはめてみると、「答え」は、【A】=(ウ)の「功を奏している」、【C】=(イ)の「精を出している」だと分かる。そして、【B】に(ア)の「画一化している」はふさわしくないと判別できるはずだ。結果として、「消去法」で【B】=(エ)「呪文化している」となる。
念のために確認すると、「『健康のためには命を失っても構わない』という倒錯した心情」→「健康であることが【B】のだ」という「文脈」から、「健康であることに縛られている」ということで、「呪文」を「比喩」として用いていることが分かる。
こうした問題では、「知識」で即決することと、「文脈」から読み解いていくことを、臨機応変に組み合わせることが肝要。
<時間配分目安:全問で2分半>
[問六] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部③「ヨガがオカルトの隠れ蓑となった」について、「どういうことか」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。「換言説明」なので、「隠れ蓑」の「原意」での「消去」だ。各選択肢の文末を確認する(選択肢の説明でのポイントは「文末」だ)。
(ア)「神秘的な魅力が増した」、(イ)「怪しいイメージを打ち消すことができた」、(ウ)「注目がそれほど及ばなくなった」、(エ)「人気は際立っている」。
「隠れ蓑」=「実体を隠すための手段」なのだから当然、(イ)以外は「消去」できるはず。他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」は(イ)だ。「一発消去」!
「原意消去」は必ず活用すること。
<時間配分目安:1分以内>
[問八] 「条件付き自由説明記述」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。
二重傍線部(P)「何のために長生きするかを問うことなく、長生きすることのみが目的となっているのである」、(Q)「長生きすることが目的となってしまって、長生きすることによって何を達成するかが問われていないのである」のような、身の回りにある「目的のための手段にすぎなかったものが目的になってしまっている例を挙げて」説明する。
「条件」は「長寿や健康以外の例で説明する」こと。ややこしくて長い問題文、頭が混乱するに違いない。どうすればいいんだ! とあわてずに、単純化してみることだ。すると、要は「『手段』が『目的』となってしまった例」を説明すればいいのだと分かるはずだ。
たとえば、「修学旅行」、訪れた場所で「見聞を深める」ことが「目的」のはずなのに、無理な「予定」を組み、それをこなすことだけに必死になって、「見聞」という本来の「目的」が果たされなかった。たとえば、「漢字テスト」、「漢字」が正しく書けるようになったかを確認することが「目的」なのに、その時だけ合格すればいいと、直前に無理矢理覚えて、あとは忘れてしまう。……、皆の周りにそうした「例」がきっとあるはずだ。そのようなことを「過不足なく」まとめていけばいい。
尚、「自由説明記述」は、2020年度からの「新大学入試制度」を意識して、今後はこれまで以上に出題されることが予想されるので、しっかりと準備せよ。
<時間配分目安:3分>
【大問四】「小説の読解」(「説明記述」「総合的知識問題」あり)
- 難度:易
- 時間配分:20分
昭和36年、小学校用務員の「吾郎」は「千明」に誘われ、ともに学習塾を立ち上げ、やがて、2人は結婚し、「千明」の母「頼子」と娘「蕗子(ふきこ)」と暮らし始める。経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――山あり谷あり涙あり、「昭和」から「平成」の塾業界を舞台に奮闘を続ける家族の物語。本文では、塾の運営をめぐり「千明」と険悪になっていた「吾郎」が、家族で出かけた遊園地で、「蕗子」や「頼子」の本当の考えを知る様子が描かれている。
内容はすぐに理解でき、設問は比較的解きやすい。手際よく解き進めていきたい大問だ。以下、いくつかを検討してみよう。
[問二] 「人物名の空所補充選択肢」(3択)。
本文中の空所 X には「どの人物の名前が入るか」を答える。
各選択肢は、(ア)「頼子」、(イ)「千明」、(ウ)「蕗子」。なかなかユニークな問題だが、「解法」に基づいて考えればいい。
先ずは、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で前後を確認する。「その白々とした中にまず浮かんだのは、 X の顔である」となっている。「指示語」があるので開く(「指示語」が出たらすぐに開くこと)。その=「『吾郎』の頭の」⇒つまり、「吾郎」の「頭の中」に「 X の顔」が浮かんだということになる。
次に、浮かんだ「きっかけ」を「同一場面」から読み取る(「小説は同一場面直前直後に根拠あり」、「小説」の「最重要解法」)。直前から、「頼子」の「だから、『千明』はよく知ってるのよ。親の職業が、いかに子どもの人生を左右するかを」という言葉が「きっかけ」で、「吾郎の頭が真っ白になった」ことが分かる。となれば、「吾郎」の頭に浮かんだのは当然、娘の「蕗子」の顔だ。よって、「答え」は(ウ)となる。
とにかく、「解法」を的確に用いることが「正解」へのショートカットだと心得よ。
<時間配分目安:1分>
[問三] 「語句の空所補充記述」(「漢字1字」指定)。
「総合的知識」。「慣用句」だ。本文中の空所 Y に「入る色を表す言葉」を「漢字一字」で答える。
「傍線部(空所部)一文一部の法則」で空所前後を確認する。「 Y い目で見られる」だ。この時点ですぐに、ピン!とこなくてはいけない。「色」なのだから、「答え」は「白」以外はあり得ないはずだと分かる。無論、「白い目で見る」=「冷淡な、悪意のこもった目で人を見る」ことだ。「白眼視する」ともいうので覚えておきたい。
尚、即断できなければ、前後の「文脈」から読み取ることも可能だが、本校志望者であればやはり、この程度の「慣用句」はすぐに出てきてほしい。
<時間配分目安:30秒>
[問四] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部①「吾郎の胸がにわかにざわつきだした」について、「なぜか」を答える。
先ずは「原意消去」(「理由説明」では「直接的理由」での「消去」)。「胸がざわつきだした」ことの「理由」として、直接結びつかないものを「消去」する。
各選択肢の「文末」は、(ア)「不安がつのってきたから」、(イ)「悲鳴を上げてしまうのは恥ずかしいから」、(ウ)「どういう話をすればいいのか分からないから」、(エ)「期待と不安が入り交じっていたから」。
先ずは、「内容」以前に気づきたいことがある。傍線部は「ざわつきだした」と、「過去」のことだ。であれば、「現在」のこととして「理由」を説明している(イ)「恥ずかしいから」(「恥ずかしかった」ではない)と、(ウ)「分からないから」(「分からなかった」ではない)は「消去」でいい。
次に、「にわかに」「胸がざわつきだした」⇒「急に落ち着かなくなった」⇒「期待と不安が入り交じっていた」ではなくて、「不安がつのってきた」の方がふさわしいと判別できるはずだ。他の部分の説明も特に誤っていない。よって、「答え」は(ア)。
「時制」による「選択肢消去」という手法も使いこなしていきたい。
<時間配分目安:1分>
[問五] 「内容説明抜き出し」(「5字」指定)。
傍線部②の「なぜ今? この状況で?」という「疑問」に対する「吾郎の考えが述べられている一文」の「はじめの五字」を抜き出して答える。
「抜き出し」では、「抜き出し内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。「内容」を捉えるために、「同一場面」の「直前直後」を確認したい。すると、「蕗子」が「吾郎」に語りかけてきた「お父さんは、うちの塾が大きくなったら、いや?」という言葉で、「吾郎」が「疑問を頭に散りばめ」ている「状況」が分かる。つまり、「抜き出すべき内容」は「『蕗子の疑問』に対する『吾郎の考え』」だ。「抜き出し範囲」はもちろん、「同一場面」。丁寧に探していく。傍線部から4段落目の冒頭に、「もしや蕗子はこの究極のどさくさにまぎれて、ふだんは言えないことを言おうとしているのではないか。吾郎がそこへ思い至った直後……」という部分がある。まさに、「蕗子の疑問」に対する「吾郎の考え」ではないか。したがって、「答え」は「もしや蕗子」となる。
「抜き出し」では「範囲」の絞り込みがポイントとなり、その際にはさまざまな「解法」を駆使しなくてはいけないと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問八] 「条件付き換言説明記述」(「字数指定」なし、「25字ほど」の解答欄)。
傍線部⑤「吾郎の胸に輝く一番星となった」について、「どういうことか」を説明する。
「条件」は「分かりやすく言いかえて説明する」こと。この問題文、何か違和感がないか? 「どういうことか」と問うているのだから、そもそも「換言説明」なのに、わざわざ「分かりやすく言いかえて」と「条件」が付されている。要は「『比喩表現』の部分は、きちんと全て『換言』しなさい」と、教えてくれているのだ。どの部分が「比喩」なのか? もちろん、「胸に輝く一番星」だ。「胸」=「心」、「輝く」=「はっきりと見える(分かる)」、そして、「一番星」は「夕方、最初に見える星」(通常は「金星」のこと)⇒「暗くなりかけても、『励み』や『希望』になるもの」と捉えることができるはず。となると、こうした「要素」だけで「解答欄」は埋まってしまう? そのようだ。
では、まとめてみよう。たとえば、「どんなときでも吾郎を励ます明確な希望となったこと。」といった「答え」になる。
改めて、「設問条件」の持つ重要性を思い知らされる問題だった。
<時間配分目安:2分半>
攻略ポイント
●「曲者の選択肢設問」、どう攻略するか? 残念ながら「裏ワザ」は存在しない。要は、「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで丁寧に「消去」していくほかない。したがって、「基本的解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要だ。特に「原意消去」はしっかりと意識すること。それによって「失点」を防ぎ、「得点力」も安定する。「合格ライン」は5割台半ば(本年度の男女合計の「4教科合格基準得点率」は55.6%)、「選択肢設問」はライバルに差をつける大きな「ポイント」となると心得よ。
●「説明記述対策」も怠ってはならない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめ、優先度の高いものから積み上げていく。そうした練習を繰り返すこと。頻出の「自由記述」では、「設問内容」「条件」などから「内容」を限定して考えていく手法を身につけよ。
●「総合的知識問題」にはどう対処するか? 「高度な語彙力」だけではなく「あらゆる知識」が問われる。本校を志望したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。
●試験時間は50分。問題文のボリュームは全体で4000~5000字程度となっている(本年度は約5300字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすること。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
開智中学校の科目別
入試対策一覧
中学受験のために
家庭でできること
インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは
リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。